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イチローとジュンコの夫婦珍道中

~バックパッカー日記~

プロフィール

ニックネーム:
イチローとジュンコ
居住地:
東京都
自己紹介:
2000年9月 日本を旅立ったイチローとジュンコは、飛行機で、南アフリカ・ケープタウンに降り立った。
二人はそこから日本まで、飛行機を使わずに、陸路と船のみで帰る。
アフリカ大陸南端の喜望峰から日本まで、アフリカ、東西ヨーロッパ、中東、シルクロードとまるまる1年かけての、夫婦珍道中。
野宿もしました。ゴリラと挨拶もしました。サハラを越え、ヒマラヤを越え。。
大自然、世界遺産、カルチャーショック、紛争の傷跡、そして、多くの出会い。
2001年8月無事帰国した二人の旅を振り返って、番外編コラムを掲載します。

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サハラ砂漠を歩いて渡る? 2
サハラ砂漠を歩いて渡る!「砂漠のアリ作戦」? (モーリタニア・モロッコ国境)→(モロッコ)ビルガンドゥーズ
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
  • アフリカ>モロッコ>モロッコその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/19 17:59
 ミッション・インポッシブル。砂漠のアリ作戦2日目。

 朝8時、ミリタリーポストの石小屋の中のソルジャー達は、皆まだ寝静まっている。
 昨夜の親切なもてなしに感謝の意を書き残し、ミートと3人でいよいよ西サハラ砂漠のモーリタニア、モロッコ国境緩衝地帯へ歩いて踏み込む。

 もうここはモーリタニアでもモロッコでもない。

 かつてスペインが作ったという砂の上にガレキが並ぶこん跡をたどって少し歩くと、道の脇に地雷注意の標識が立っているのを発見。
 これは珍しいと、写真に収めようとカメラのファインダーを覗きながら標識に近付くと、
 「危なーい」
Junkoが叫ぶ。

 写真を撮るのに夢中で、ついスペインの道をほんのちょっとだけ外れた砂の上に足をのせてしまったのだ。
 スペインの道の外は、どこに地雷が埋まっていてもおかしくない。
 「絶対に道を外れないように、On the wayで歩こう。」
と朝、皆で言い合ったばかりなのだ。

サハラ砂漠を歩いて渡る? 1

 途中、休憩を取ったりしながら、砂漠の中を右に左にくねり続くガレキのスペインの道を進む。

 朝でまだしゃく熱と言う程暑くないお陰か、気合が入っているせいか、重いバックパックを背負っているにも係わらず、3人とも皆もくもくと、ぐいぐい歩いて順調に約10km先にあると言うモロッコのミリタリーポストに向かって進んで行く。

サハラ砂漠を歩いて渡る? 2

 歩くのは大変だが、取り囲む砂漠の大パノラマはまるで月か火星かと言う程の、美しくも、地の果てをも連想させるもの。

 ミートはSONYの小型のビデオカメラでビデオを撮りまくっている。少しぐらいさっと撮るならまだしも、ここは地雷も埋まる国境緩衝地帯。西サハラのモロッコへの帰属問題もまだ完全には決着していない。
 「そんなにガンガン撮って、スパイにでも間違えられたらどうすんの。。。」
と、気をもむ自分とJunko。

 歩き始めて2、3時間余り、目前の小高い丘の上に建物とアンテナが建っているのが見える。
 「恐らくあそこだろう。」
 「昨夜のモーリタニアのミリタリーポストの人達のように、モロッコのソルジャー達も親切な人達だといいね。」

 その建物に向かって歩いていると、さびついて横たわる車(多分地雷でやられた)の向こうに、古びれたランドローバー車と人の姿。
 話をきいてみると、彼らは数名のモロッコ人。モーリタニア人の運転する車でモロッコへ入ろうとしたが、モーリタニア人とモロッコ人が同じ車でモーリタニアからモロッコへ入る事は許されず、ここでモロッコ人の車が通るのを待っていると言う。

 「歩いてはモロッコへは入れないよ。」
と、その内の一人が言う。
 何か根拠があって言っているのだろうか。

 ともかく、モロッコはもう目の前、苦労してここまで来たのだからもう行くしかない。この砂漠の中をまた10km以上も歩いて戻るなんて考えられない。

 1km程坂道を上がると、鉄の鎖が行く手をはばむ。その奥にはポリスが座っている。
 モロッコのミリタリーポストだ。

 鎖を越えようとすると、奥のポリスはひらいた手のヒラをこちらに伸ばし、「そこで待て」のジェスチャー。
 だが、待てど暮らせど、奥のポリスは座ったまま、何の動きもない。

 「His behavior is very bad!!」
ミートが頭をかかえる。もしや「完全無視」?

 彼らはいわゆる「お役人」だ。歩いてここ西サハラの国境を越えて入国しようと言う前例の無い我々の行動に、どうしていいかわからず無視を決め込んでしまったのだろうか。そんな事されたら、この砂漠の真中で我々はどうすればいいのか。

 「ムッシュー、ケスクセ・プロブレーム?(何か問題があるのですか)」
と、ミートがフランス語で叫ぶ。
 ポリスは再び、そこで待てのジェスチャー。

 しばらくして、ようやく丘の上のアンテナが立つ建物から、一人の男が現れる。
 「申し訳ない。もうしばらく待ってくれ。」

 更にしばらくすると、小ぶとりの偉そうな軍服姿の男が部下を従えて現れる。
 「歩いてここを通る事はできない。外国人の運転する車でなら通れるが、車がないのではダメだ。戻れ。」

 いくら頼んでも、ぶっちょう面の男はガンとして我々のモロッコ入国を許さない。
 「今すぐ、ビーコンの圏外、1km後ろの車が横たわる丘の下へこの道を戻れ。」

 ミッション・インポッシブル。映画では不可能と思われた作戦が成功するが、我々の砂漠のアリ作戦は最後の最後で見事に玉砕。
 モロッコ入国を果たせず、仕方なく来た道を1km戻り、横たわるさびた車の脇に荷物を置き砂漠の砂の上に座り込む。

 午後の砂漠の太陽は容赦なく、大地を、空気を、そして我々を照らしつける。

 「彼は正しかったね。」
先程、歩いてモロッコへは行けないと教えてくれた、「モロッコ人の車」を待つ男がモーリタニア人、モロッコ人以外の外国人の車を待つ我々に近付いて来る。

 ボー然と座り込む我々の前に来ると、近づいてきた2人の男が我々に手を差し出す。
 見ると手にはビスケットとパン。

 彼らは昨日からずっと、水も日陰もないこの砂漠の真中で車を待っていると言う。この先、後何日待たなければいけないのかもわからない。極限状態も覚悟だと言うのにアカの他人の我々に食料を手渡した上に、
 「水もあるから、困ったら言ってくれ。」

ひたすら、「サンキュー」、「メルシー、ブークー」を繰り返すしかない我々。胸が締め付けられ、熱くなる。

 これが砂漠の民のやさしさなのか。厳しい環境で生きる彼らにこそ、真のヒューマニズムがひそんでいるのか。
 豊かすぎる国から来た我々3人、満ち足りた生活をする我々に果たして彼らの真似ができるだろうか。

 砂漠へ追い返された我々。砂漠で真の人のやさしさに触れた我々。
 今、我々は不幸なのか幸せなのか。

 「我々の水も食料も限界がある。夕方前までここで車を待って現れなければ、大変だがモーリタニアのミリタリーポストまで歩いて戻ろう。モーリタニアのミリタリーポストでは水も食料の提供して貰える。そこで車を待つ方が何もないこの砂漠の上で待つよりマシだ。」
と言うと、ミートは、
 「夕方、もう一度モロッコのミリタリーポストに行って頼んでみよう。我々の事をあまりにもかわいそうに思って入国を許してくれるかも知れない。例え再び入国を拒否されても、せめて水と食料、そしてネグラだけでも提供してくれるよう頼んでみよう。」

 夜の砂漠はこごえるほどの寒さ。風も強く、こんな砂漠の真中で夜を過ごすのはムリだ。
 行くか戻るか選択は2つしかないのだ。

 その時、道の向こうから車の排気音が聞こえてくる。見ると車はモーリタニアで良く見かけるランドローバー。
 「だめだ。あれはモーリタニア人の車だ。」
と、ミートが頭を下にうなだれる。

 だが良く見てみると、
 「ホワイトピープル。ア・ホワイトピープル・イズ・ドライビング(白人だ。白人が運転している)!!」
叫び手を振る自分。

 我々の前に止まったランドローバー、車にはフランス人のドライバーのおじさんが一人だけ。
 ミートが事情を説明すると、
 「OK!!乗りな!!」

 「イッツ・ア・ミラクル!!」
自分は叫び、ミートは天を仰ぎ神に感謝でもしているのか。

 「(フランス人の)気が変わらない内に急いで」
この状況で人助けをしようと言うのに、フランス人のドライバーの気が変わる訳もないのだが、ともかくJunkoをせかし、急いで荷物を車にのせる。

 そして、すぐにでも我々自身、車に乗り込みたい所だが、忘れてはならない事が一つ。

 モロッコ人の車を待つ「彼ら」は、外国人のこの車ではモロッコへは入れない。彼らはまだ車を待ち続けなければならないのだ。
 先程彼らから手渡されたパンとビスケットを彼らに返し、抱ようし合って、感謝と敬意、そして彼らの幸運を願う。

 そして車に乗り込み、先程門前払いされたモロッコのミリタリーポストへ。
 先程我々の入国を拒否した偉そうな男の背後にいた部下らしき男が、「良かったな。」と言う様な表情で我々を迎える。

 「外国人の車でなら問題ない。」
指示されるがまま、その男にパスポートを預ける。

 車にはそのモロッコのミリタリーポリスも乗り込み、一緒に、国境後最初のモロッコの街、ビルガンドゥーズまで行く。

 パスポートは、その後もダクラへ着く迄、預けたまま。
 実は国境にもビルガンドゥーズにもイミグレーションが存在せず、モロッコ入国の手続きはダクラのポリスで行われるのだ。その為、ダグラに着いて入国手続きが済む迄、我々のパスポートは預けられたままになるのだ。

 ビルガンドゥーズ、手持ちの地図を広げると確かに西サハラはモーリタニアの国境付近にその地名が載っている。
 だが、今、我々がいるここビルガンドゥーズ。ミリタリー施設が丘の上に建ち、その丘の下には駐車場と石で造られた小屋が3軒あるだけ。街とも村とも呼ぶには程遠い、単なるミリタリー施設が砂漠の中にあるだけに過ぎない。

 すぐにでもダクラへ向かえるのかと思っていたら、ダクラへ立てるのは明日の午後2時だと言う。
 一体ここで何のどんな手続きが必要でそんなに時間が掛かるのか?

 我々は粗末な石レンガでできた小屋に、「寝ていいよ。」と言われる。

 何とかモロッコ入国を果たした我々だが、「山」は越えたとは言え(実際には山でなくて砂漠だが・・・)、ダクラに着いてパスポートを返して貰うまで、まだまだ予断は許されない。

 いったん丘の上のミリタリー施設へ姿を消した、一緒に乗り込んで来たモロッコのポリスが、2度、3度、丘の下の小屋の前の日陰で疲れ切って休む我々3人のもとへ現れ、そのたび、山盛りのバゲットにビスケット、パックの牛乳まで差し入れてくれる。
 彼は、我々3人が大変な思いでここ迄来たと言う事情を知っている。それで親切にしてくれるのだろう。

 それにしても、ついさっきまでは冷たくモロッコ入国を拒否し、砂漠へ追い返したくせに、「歩く」か「外国人の車」かの違いだけで、いとも簡単に入国を許され、この待遇の違いはどう言う事だろう。

 「デッド・オア・アライブ」
許されざる者は砂漠でどうなろうと構わず、モロッコ入国を許された者には気を寄せる。
 差入にありがたく思いながらも、全くもって釈然としない。

 モーリタニアとヌアディブの街に、「アメリカ人と日本人の3人が、歩いてモロッコとの国境を越えたらしい。」と言う噂が広まっている恐れがありますが、それは間違いです。
 我々の作戦は失敗です。結局最後は歩いてモロッコへは入れず、フランス人の車をヒッチハイクしてモロッコへ入ったのです。

 奇跡的に車が現れヒッチハイク出来たから良かったものの、追い返された砂漠の真ん中で、車が現れなかったらと思うと背筋が凍り付きます。

 加えて、「あの時」、車が砂にスタックしたまま抜けられなかったら、モーリタニアのミリタリーポストで泊めてもらえなかったら、地雷を踏んでしまっていたら・・・等々後から良く考えると、今更ながら、何もなかったから良かった様なものの、やり過ぎたと深く反省しております。
 良い子(=善良な旅行者)は決してマネしないで下さい。


【食事】

朝:パン
昼:パン
夜:パン、ピーナッツ、ビスケット、牛乳

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
1US$ ≒ 9DH(モロッコ・デュラハム)
※現在の所、歩いてモーリタニア→モロッコの国境は越えられません。ヌアクショット又はヌアディブで外国人ツーリストの車をヒッチするか飛行機を使いましょう。

【宿】(ビルガンデゥーズ)石小屋。無料。

サハラ砂漠を歩いて渡る2
サハラ砂漠を歩いて渡る!「砂漠のアリ作戦」? (モーリタニア)ヌアディブ→モロッコとの国境
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/18 17:47
「ミッション・インポッシブル!!」
(今日の日記にはお題を付けさせて頂きます。)

 昨日、アメリカからやってきた旅人、ミートから持ちかけられた作戦は、
 「歩いて国境を渡る。」

 外国人が乗合タクシーでモーリタニアからモロッコへ入れない理由は、
 「外国人はモーリタニア人と一緒に国境を渡る事は許されない。」

 そして、外国人の車でならそれが許される理由は、
 「モーリタニア人、モロッコ人以外の、外国人同士だけなら何の問題もない。」

・・・と言うのが、ヌアディブのモロッコ領事館で、我々もミートも聞いたモロッコ側の見解だ。

 これを拡大解釈すると、
 「例え車でなくても、歩いてでも外国人同士だけなら国境通過は許される。」
と言う事になる。

 そこで、
 「国境直前までタクシーなどで行って、そこから歩いて国境を渡り、モロッコへ入国する。」
と言うのが、ミートのアイデアだ。

 だが実際はそう簡単には行かないのだ。

 昨晩、ミートと我々3人に、「私の車で乗せてってやるよ。」と言うキャンプサイトの主人、それに車で国境を通過して来たと言うフランス人ツーリストを交えて、国境の様子の情報収集及び国境越えの作戦を皆でたてる。
 モーリタニア、モロッコ両国の国境には緩衝地帯があり、モーリタニア側の国境最終ミリタリーポストからモロッコ側の国境ポストまで約10km。
 ただし、特別に許可された乗合車以外の、地元の一般の車は、モーリタニア国境を越える事は許されず、小高い丘の上のミリタリーポストの監視の双眼鏡に見つからないようポストの3km手前までしか行けないと言う。

 我々はまずキャンプサイトの車に乗り、モーリタニア側の国境ポストの3km手前で降り、モロッコ側の国境ポストまで約13kmを歩いて渡る。

 我々が重い荷物を背負って歩こうとしている国境緩衝地帯は、しゃく熱の西サハラの砂漠のど真ん中。しかもかつての紛争の名残で地雷があちこちに埋まっていると言う。
 道はあるにはあるがボロボロ、道の上を歩いている分には地雷の心配はないが、道を外れると危険との事。

 難関はまだある。

 我々が今いるヌアディブの街からモーリタニア側の国境ポスト迄約40km、その間、ポリスチェックポイントが2ヶ所ある。
 我々日本人2人とミートの「外国人ツーリスト3人は、国境付近で車がガス欠になり車を停めてあるので、そこ迄送って行く。」
という理由をでっち上げ、ポリスチェックをかいくぐると言うのは、キャンプサイトのご主人のアイデア。
 国境通過が許されない一般の車両が、国境方面へ向かうと言うのだから、ポリスチェックをかいくぐるにはそれなりの理由が必要なのだ。

 何とか無事、モロッコ入国を果たすと、国境後、最初にある街はビルガンドゥーズ。
 国境を通過し、モロッコへ入国してしまえば、後はどんな車に誰と一緒に乗ろうが自由な筈なので、そこで、その約450km先のダクラまで車をヒッチハイクする。ダクラ迄行けば、モロッコ北部の主要都市までバスが出ている。

 広大な砂漠の上を、ポリスチェックをかいくぐり、ミリタリーポストの監視の目から逃れ、地雷を避けて、働きアリの様に大きな荷物を背負ってせっせと歩いて国境を越える。
 名付けて「砂漠のアリ作戦」。

 不可能ではないだろう。だが無謀にも見える。大丈夫だろうか。
 やる気まんまんのアメリカ軍ミートとそそのかされた日本からやって来た我々2人、さぁ、作戦開始だ!!

サハラ砂漠を歩いて渡る1
『砂漠のアリ作戦』 ミッションチャート
<ミッション1>ヌアディブ→モーリタニア側国境最終ミリタリーポスト(約40km)
1-1) 2ヶ所のポリスチェックをかいくぐる。
-2) 最終ミリタリーポストの監視に見つからない様ポスト3km手前で降車し歩く。

<ミッション2>国境・モーリタニア側ミリタリーポスト→モロッコ側ポスト(約10km)
2-1) モーリタニア側ミリタリーポストを通り、モーリタニアを「出国」する。
-2) モロッコ側ポスト迄約10kmを歩く。地雷が埋まっているので道を外れてはいけない。

<ミッション3>モロッコ側ポスト/ビルガンドゥーズ→ダクラ(約450km)
3-1) ヒッチハイク。

※よい子は決してマネをしないで下さい。(よい子=最良な旅行者)



 我々2人とミートの3人が乗った古びれたランドローバーは、昼、丁度12時頃、ヌアディブのキャンプサイトを出発。
 車はキャンプサイトの従業員の男が運転、そして車にはもう一人、これから向かう国境までの道は砂漠の中の所々道なき道、ガイドが必要なのだ。

 国境緩衝地帯を10km以上歩かなくてはならない我々は、何が何でも明かるい内に歩き切って国境っを渡ってしまいたいので、朝一番にでも出発したかったのだが、このガイドがなかなか現れず、出発が昼までずれ込んでしまったのだ。

 ヌアディブの街を出てすぐ幹線道路をそれ、ガイドのナビゲーションに従って車は砂漠の道なき道を走る。

 そしてまず、1ヶ所めのポリスチェック。

 「モロッコへ行くのか?」
と、ポリス。
 「Yes。国境手前までこの車で行って、あとは歩いて国境を越えモロッコへ行く。」
とミートが返答する。

 「『国境付近でガス欠の車が停めたままになっている』なんてウソはすぐバレる。正直に言ってちゃんと出国しておいた方がいい。」
と言うのが、後から聞いたミートの考えだ。

 「パスポート」
と言うポリスの指示に従って、我々3人はパスポートを提出。
 すると、ミートのパスポートにはさんであった外貨申告書を見て、ポリスは我々2人に
 「お前達の外貨申告書はどこだ?」
 「そんな物持っていない。モーリタニア入国の際、何も言われなかった。」
と返す。

 「いいかイチロー。外貨申告書なんてそんなシリアスな問題じゃないんだ。これは単なるゲームだ。やつらはバクシーシ(ワイロのお金)が欲しいだけなんだ。」
とミートが耳もとでささやく。

 ポリスはまず4000ウギアのバクシーシを要求して来る。すると、
 「こんな面倒臭い事はもう沢山だ。ここで折り返して今すぐ又ヌアディブに戻ろう。」
とドライバーが叫ぶ。

 このドライバーの振るまいも、多分演技。我々は事前に「車代はバクシーシ込」の約束をしてあったので、最終的にドライバーがいくらポリスに支払ったのかわからなかったが、この演技でバクシーシは多少「割引」されたと思われる。

 モーリタニアの出国スタンプが押されたパスポートが返され、まず一番目のポリスチェックを通過。

 そのパスポートの出国スタンプが押されたページを見せ、二番目のポリスチェックは難無く通過。
 ミートの考え通り、一番目のポリスチェックで正直にモロッコへ行く事を伝え、出国スタンプを貰っておいて正解だった様だ。

 さすがはアメリカ人ミート51才。ニューヨークユ・ニバーシティのコミュニケーション学のプロフェッサーだそうだ。文句なしのこのミッションのリーダーだ。
 ただ、なんとか笑顔で善良な旅行者を強調して各関門を乗り切ろうとする我々日本人2人に対して、ミートはあくまで強気なのが少し気になる。

 2つのポリスチェックを抜けると、車はしばらく砂漠の道なき道を進む。

 窓の外には、砂漠の向こうにコバルトブルーの海が広がる。
 人の手が全く入っていない純真無垢な砂の大地が造り出す造形美と大海原、静まり返ったその美しいランドスケープに息を呑む。
 正に、困難なミッションの途中の、一瞬のつかの間の清涼水だ。

サハラ砂漠を歩いて渡る2

 「あれが昔スペインが作ったモロッコへ続く道路だよ。」
とドライバーとガイド。
 見ると、それは道路と言うよりガレキが並んでいるだけ。しかもほとんど砂に埋もれ、目を凝らさないと、石ころなのか道路のこん跡なのか見分けるのが困難な程だ。

 車は砂にタイヤをとられないよう、砂の浅い所を選んで進まなければならない。バカ正直にこの「スペインの道」を進もうとすると、そこをおおうぶ厚い砂の中に突っ込んでしまうので「スペインの道」はあくまで道しるべ。引き続きガイドのナビゲーションに従って、砂漠の中の道なき道を進む。

 ところが、
 「ウォーン、ウォーン、ウォン・・・。」
ドライバーがいくらアクセルを踏み込んでもタイヤはカラ回り。
 どうやらガイドは道を誤ってしまったらしい。車は砂漠の砂にスタック。

 ガイドもミートも自分もJunkoも車を降り、タイヤのまわりの砂を掘り、全員で渾身の力をこめて車を押す。
 しゃく熱の太陽が容赦なく照りつける砂漠の真中で、これを数え切れない程くり返す。
 汗がしたたる。砂じんで目が痛い。

 1〜2時間してようやく車は砂地獄を脱出。
 危うく「砂漠のアリ」は、ミッション半ばで「アリ地獄」に喰われる所だった。

 「ヘーイッ!!」
ドライバーは声を上げて喜んでいる。
 「何がヘーイだ、今はいいが、我々のミッションはまだ先があるんだ。」
と自分とミート。

 この砂との戦いですっかり時間を食われ、時刻はもう夕方になろうとしている。
 「だから、もっと早く出発しておけば・・・。」

 やがて車は、こんもりと砂が盛り上がった小さい砂丘の陰に停車。

 「いいか、そこを曲がってあっちの方へ行け。」
と、ドライバーとガイド。
 どうやら我々は、モーリタニア側の国境最終ミリタリーポストの手前まで来たらしい。

 我々3人は車を降り、砂の上にバックパックを降ろし、ヌアディブへ戻って行く車を見送る。

 ついにサハラ砂漠の真中に3人だけになってしまった。もう行くしかない。
 覚悟を決め、バックパックを背負う。

サハラ砂漠を歩いて渡る3

 時刻は既に夕方過ぎ、
 「今日、地雷も埋まる砂漠を10km以上も歩くのは無理だな。モーリタニアのミリタリーポストでお願いして何とか今晩は泊めさせてもらおう。」

 歩き始めて間もなく、小高い丘の上に小屋を発見。そこへ向かって歩いていると、そこから監視していたソルジャーが我々の方へ歩いて近付いてくる。

 ミートが事情を説明すると、そのソルジャー先導でミリタリーポストへ案内される。緊張が体を走る。

 石を積んだ小さな小屋の中へ入ると、
 「ハロー、どうしたんだい。・・・そりゃあ大変だったな。まあ座って。」
と、小屋の中にいた4人のソルジャーは、皆柔らかい笑顔。

 「お腹も空いただろう。」
と、お茶に、パンやクッキーやピーナッツの茶菓子迄つけて、もてなしてくれる。
 厳しい尋問などがあるのではないかと恐れていただけに、この展開はあまりにも意外。

 夜は調味料で味付けしただけのマカロニと、質素ながらも晩ご飯までごちそうになる。

 砂漠の夜は寒い。強い寒風が吹き付け、ヒューヒューとうなりを上げている。
 ここのミリタリーポストに電気はない。お茶や料理は携帯のガスコンロで作っている。

 日が落ち、砂漠の地平線がオレンジ色に染まる頃、寝袋を持ちあわせていないミートはミリタリーポストの石造りの小屋に、自分とJunkoの2人は離れの鉄道のレールをたてかけて作ったすき間風が吹きつける粗末な監視小屋に寝袋を敷いて眠りに就く。

 車もなんとか砂地獄を抜けられた。そして国境ミリタリーポストのモーリタニアのソルジャー達に意外にも親切にしてもらって、とりあえず今夜の所はひと安心。

 だが、当初の計画では、今日中に国境を越えモロッコ入国を果たす予定だったのだが、、、。
 ミッションは明日も続く。


【食事】

朝:バゲット、オレンジ
昼:なし
夜:マカロニ

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
・ヌアディブ→モーリタニア国境ミリタリーポスト手前
(宿泊していたCamping Baieで車を手配)3000UG/1台バクシーシ込 12時発 17時着

【宿】
(国境のモーリタニアのミリタリーポスト手前)無料

NoPhoto
謎のアメリカ人現る (モーリタニア)ヌアディブ
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/17 17:27
 モロッコのダクラ迄乗せて行ってくれる車を待ちこがれて、今日で4日目。

 「外国人はモーリタニア人と同じ車で国境を越える事は許されない。」
と言う、理解し難いモロッコ政策により、ダクラ迄の乗合4×4に乗せてもらえない我々2人。ここヌアディブのキャンプサイトで毎日、日がな外国人ツーリストの車をヒッチハイクしようと張り込んでいる。

 しかし、ダクラ行の車はなかなか現れない。 現れたと思ったら乗せてもらえない。
 そしてついに、今日はキャンプサイトには新しい車は1台も出現せず。

 そりゃぁ、何ヶ月も何年も待っていれば、いつかダクラ迄乗せてってくれる車が見つかる事だろうが、これは旅だ。そんなにいつ迄も待ってはいられない。

 実はヌアディブからモロッコのカサブランカ迄、週一便飛行機が飛んでいるのだ。
 車が見つかる迄、いつ迄待てるか、どこ迄我慢できるか。
 「ある程度待っても見通しが立たなかったら飛行機を使わざるをえないかも知れない。」

 「ここヌアディブでビザの延長はできますか。」
我々のモーリタニアビザの有効期間は一ヶ月、もしその間に車が見つからなかったらと心配して、宿のおやじに尋ねてみると、
 「できるよ。一度の延長申請で1ヵ月間延長できる。」

 ビザの延長ができなければ、ビザの有効期限をリミットにして、それ迄車が見つからなければ、カサブランカ迄「飛んで」しまおうかとも考えていたのだが、我々は今、飛行機を使わずにアフリカ喜望峰から日本までを旅する「挑戦」中。ここはビザを延長してでも「長期戦」を覚悟する。

 午後、お昼がてら気晴らしに街を軽く散歩して、キャンプサイトに戻ると、一人のアメリカ人がキャンプサイトをたずねて来る。彼もダクラ迄行くそうで、一緒にダクラへ行く仲間を探しているそうだ。

 「私達2人もダクラへ行くんですが、あなたは車を待っているんですか?」
とそのアメリカ人に尋ねると、
 「いや、私も車は待っていないんだが・・・。」

 そしてヒッチハイクの車待ちで長期戦も覚悟した矢先、そのミートと名乗る謎のアメリカ人から、とんでもない話を持ち掛けられる。。。。


【食事】

朝:バゲット、ピーナッツ
昼:リーポワソン、オレンジ
夜:パン、オレンジ

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
・(ヌアディブ)Camping Baie 1000UG/部屋泊1人(2泊目からの料金)

NoPhoto
カナリア諸島の人々 (モーリタニア)ヌアディブ
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/16 17:20
 「あそこに見える建物には、日本人が沢山いるよ。彼らは仕事で来てるんだ。」
と、宿のオーナーの家族の少年。
 昼食がてらにふらふら歩いていると、その建物の前で、日本人らしき男の人とすれ違う。

 「こんにちは。」
と声を掛けると、
 「Where are you from? I'm from South Korea.」
 とその男の人は韓国人。
 モロッコ西の沖に浮かぶスペイン領カナリア諸島に住んでいて、船舶関係の仕事でカナリア諸島のラパルマとここモーリタニアのヌアディブをしょっ中船で行き来しているそうだ。

 どうやら宿の少年が言っていた「日本人」と言うのは、彼ら船舶関係の仕事に従事する韓国人の人々の事だったようだ。

 「その船に私達が乗る事はできますか。」
 カナリア諸島は、スペインのリゾートアイランドとして名高い。スペイン本土とは客船が往来している。
 もしカナリア諸島まで船で行ければ、スペイン本土まで飛行機を使わず到達する事ができる。そう我々は今、アフリカ喜望峰から日本まで飛行機を使わず、陸路と船のみで帰る旅の「挑戦中」なのだ。

 「それは無理だよ。」
と、その韓国人の人は、あっさり笑顔で返答する。

 韓国人の人と別れ、少し歩くと、道沿いにある一軒の中華料理屋。入ってみるとやさしそうな中国人の女性と、ここにも韓国人のおじさんが1人。2人ともスペイン語を話している。

 「お2人とも、もしかしたらラパルマから来ているのですか。」
 「ええ、そうですよ。」
 「ラパルマへは、ここヌアディブから船があると聞いたのですが。」
 「ええ、その船で働く韓国人や中国人が沢山この店へやって来ますよ。」

 「その船に私達が乗る事はできませんか。」
 「船は貨物船だからね。それは無理だよ。」
 韓国人のおじさんが指さした船の写真は、大きなコンテナを幾つも積んだ巨大な貨物船。やはり、そんな船に乗る訳には行かない様だ。

 ただ、今日ひょんな事からわかって来た事は、どうやらスペイン領カナリア諸島のラパルマには、韓国人や中国人が沢山住んでいて仕事をしているようだという事。
 そう言えば、トーゴとガーナの国境で車に乗せてくれた船舶関係の会社を経営する韓国人の南さんも、スペイン国籍を取得しラパルマに住んでいると言っていた。

 きっとコリアン・レストランやチャイニーズ・レストランもあって、彼らのコミュニティーもしっかりでき上がっている事だろう。
 単なるリゾート・アイランドのイメージしかなかったカナリア諸島だが、「色々」ある様で何だか興味が沸いて来る。

 ダクラ行の外国人ツーリストの車だが、今日はフランス人カップルが運転するワゴン車が1台、キャンプサイト近くのガソリンスタンドに寄った所でヒッチハイクを試みるも、
 「出入国で面倒臭い事になるのが心配だから。」

 今日もカナリア諸島にも行けず、モロッコはダクラへも行けず・・・。
 ヌアディブの街に来て早3日目の夜が過ぎようとしている。

カナリア諸島の人々  1
 
【食事】

朝:バゲット、ピーナッツ
昼:リーポワソン、オレンジ
夜:チョコクリーム、バゲット、オレンジ

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
・(ヌアディブ)Camping Baie 1000UG/部屋泊1人(2泊目からの料金)

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パリダカ気分 (モーリタニア)ヌアディブ
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
テーマ:鉄道・乗り物 
投稿日:2001/03/15 17:16
 毎年開催されるパリ・ダカールラリー。
 そのハイライトが、モーリタニアのサハラ砂漠越え。

 特にヨーロッパで人気のこのラリー、テレビではその激しいレースとともにサハラ砂漠の美しいランドスケープも映し出され、人々を魅了しているようだ。

 そんな人々の中に、お金に余裕があって、「車であのパリダカールのモーリタニアを走ってみたい」と言う人がいて、ヨーロッパから車でモーリタニア迄やって来るのだ。

 公共の交通機関で国境を越えモロッコへ行く事が許されない外国人旅行者の我々は、モロッコのダクラまで、そんな人達の車をヒッチハイクして行く他ないのだ。

 モーリタニアの砂漠を車で走ると言う事は、ただ事ではない。もちろんそれなり装備が必要で、砂漠を走る為にラリー車ばりの改造をほどこしたり、GPSを付けたりと、かなりお金がかかる。

 そして、今日、我々の泊まるキャンプサイトに3台の車を連ねて現れたフランス人のひと家族。2台の4WD車と大きなキャンピングカー1台。
 車から降りて来たおじいさんを捕まえて、
 「もしダクラへ行くのなら連れてってもらえませんか。」
と聞くと、
 「ダクラへ行く事は行くが、いつになるかわからんのだよ。3日後かも知れないし、5日後かも知れないし、もっと先かも知れない。私は雇われメカニックに過ぎんのでわからないんだよ。」

 それぞれの車の扉が開いて、熟年の夫婦と娘が降りてくる。
 その脇から車の中を覗き込むと、ビックリ。

 1台の4WD車には大きな犬が2匹、もう1台の4WD車には鳥カゴに大きなオウム。豪華内装のキャンピングカー内のじゅうたんの上には猫もいる。
 砂漠でのハードな移動で疲れてしまったのか、2匹の犬の内1匹の黒い犬は、グッタリしてしまっていて、無理矢理口を開けさせられ、薬を飲ませられている。

 翌日、その家族は釣に行くと言ってどこかへ行ってしまったのだが、
 「お金持にはお金持の遊び方があるんだな。」
と、Junkoと顔を見合わせる。

 今日は他にも2台、ダクラへ行くという4WD車が現れたのだが、見るからにお金持ちそうなこちらも熟年のフランス人夫婦達、連れて行って貰えないかと尋ねると、「ノー、スペース」とあっさり断わられてしまう。
 車を見ると、あと2人位は座れるスペースは充分ある様に見えるが、嫌がる人の車に無理矢理乗せてもらう訳にも行くまい。
 何でも彼らは、余計な外国人を同乗させて、検問や国境でもめるのを恐れているのだとか。

 この旅で何度も地元の車をヒッチハイクしてきた我々だが、
お金持の道楽中の車をヒッチハイクするのは、これまで以上に難しい様だ。


【食事】

朝:バゲット、ピーナッツ
昼:リーポワソン
夜:バゲット、クッキー、コーラ

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
・(ヌアディブ)Camping Baie 1000UG/部屋泊1人(2泊目からの料金)

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