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- 自由気ままに列車とバスでプラハからウィーンへ
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エリア:
- ヨーロッパ>オーストリア>ウィーン
- ヨーロッパ>チェコ>チェスキー クルムロフ
- ヨーロッパ>チェコ>チェコその他の都市
- テーマ:観光地 世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2017/01/13 10:25
今回は出張で東欧ヨーロッパのチェコおよびオーストリアを視察する機会を頂きました。
2週間前にお隣のポーランドを視察して帰国したばかりの10月末に、プラハ、クトナー・ホラ、チェスキークロムロフ、ザルツブルグ、ウィーンの5都市に行ってまいりました。
玄関口のプラハまでは、ヨーロッパ周遊の旅には最適の就航都市が多い、ターキッシュエアラインズを利用しイスタンブール経由で約18時間の旅でした。現在もイスタンブール乗継ぎの心配をされているお客様も多いですが、往復ともに乗継ぎでアタトゥルク国際空港を乗り継いでも、全く何も心配ありませんでした。
プラハ空港から市内までは、エアポートエキスプレス(AE)が片道60CZKで旧市街を通りプラハ本駅まで移動できます。また市内交通に欠かせないトラムやバスを利用するのに24時間の1日券又は72時間の3日券を滞在に合せて購入するとホテルへの移動や観光に便利でした。
初のチェコ、初のプラハは定番の観光からスタートしてみました。「王の道」と呼ばれる火薬塔からカレル橋を通ってプラハ城までの道のりからスタートしました。2500mに及ぶ歴史的な道は約4世紀にわたって歴代の王が戴冠パレードを行ってきた道だとの事です。
旧市街のお土産物屋、広場のレストランなどで一息つくのも良いかもしれない。
カレル橋に着くと人がごった返しており、ストリートパフォーマーや似顔絵描き職人を観ながら歩くのがとても楽しい。プラハ城へは新登城道を上るとプラハの街並みが一望できるのでお勧めです。
しかしプラハ城の入場の為のセキュリティチェックは、行列をなしているので、旧登城道から入るのがお勧めです。残念ながら訪問した日が丁度独立記念日の祝日の為、プラハ城は閉館時間が早く残念ながら、あまり見て回ることが出来ず、プラハを再度訪問する理由が出来てしまった。
翌日列車を利用し中部に位置する小さな都市クトナー・ホラへは片道約50分でプラハ本駅からクトナー・ホラ本駅にアクセスできる。世界遺産にも登録されている聖バルバラ教会を始め旧市街には見どころが沢山あるが、クトナー・ホラと言えば何とも珍しい墓地教会(納骨礼拝堂)が存在する。13世紀後半にエルサレムにある聖墓から持ち帰った一握りの土をここにまいたことから始まり、以来この協会は聖地とみなされ、埋葬を望むものたちの遺体がボヘミアだけでなく中央ヨーロッパから集まったと言われている。
現在の教会内部は見渡す限り、骨や骸骨が・・・4万人もの僧侶の骨で装飾されている。
教会の塔の上には、十字架とドクロマークがあるのもこの教会ならではないだろうか。
チェコ旅行といえば、必ずと言ってよいほどチェスキークロムロフを訪れる人が多く密かに外せないと思っていた。今回は、プラハ中心部の外れにあるNa Knizeciバスターミナルからバスを利用して移動することに・・・約3時間でチェスキークロムロフに到着する。
列車と違って嬉しいのは、乗換なしで行けることだ。バスの車内ではwifiやエンターテイメントのサービスもあり、あっという間に到着することが出来る。
景観の美しさと歴史的価値から世界遺産にも登録されたこの街の見どころは、旧市街全体が見所になっている。ヴルタヴァ川が旧市街を包むように流れ、お城を中心とした町並みが古城から望める。赤レンガ色の屋根が密集する美しい眺めに、写真を撮りすぎてしまいました。
チェコを後にして、オーストリアへはシャトルバスを利用して、途中トイレ休憩をはさみ3時間でザルツブルグに到着した。ミニバンのシャトルバスのお陰で、ホテルからホテルへの探さずに送迎で便利です。ユーロ圏の為、国境らしい国境もなくトイレ休憩のお店の通貨が€(ユーロ)に変化したことで、オーストリアに入国したことに気付いたほどだ。
ザルツブルグは、「塩の城」という意味の名を持つこの街は周囲の岩塩鉱から産出された塩の取引で繁栄を続けてきたが、夏には毎年音楽祭も開催され、音楽の都として知られている。音楽に縁のない自分でも知っているモーツァルト生誕の地として有名です。モーツァルトの生家、モーツァルトの住居、モーツァルト小橋、モーツァルト広場の像と音楽好きでなくとも街歩きが楽しめます。ホーエンザルツブルグ城塞からは町並みが楽しめます。
オーストリアの首都ウィーンへは、ザルツブルグ中央駅から列車で約2時間半で到着します。今回列車の移動で便利だったアプリをご紹介!「Rail Planner」のヨーロッパの鉄道検索、スケジュールを立てるのに大変助かりました。何といってもオフラインで使える優れもので、ヨーロッパの鉄道旅には欠かせません。ウィーンに着いたら、観光にも必須なウィーン48時間フリーパスを購入しました。トラム・地下鉄・バスと時間内は乗り放題で、滞在日数に併せて購入することをお勧めします。
ウィーンは首都だけに、観光スポットも点在し時間が足りないので、要所を抜粋して訪問しました。ウィーンと言ったら王宮、シェーンブルン宮殿、ベルヴェデーレ宮殿とハプスブルク家の栄華を感じることが出来ました。またシュテファン寺院の観光と共にケルントナー通り周辺のカフェ巡りで、旅の最後の至福の時間を堪能しました。
【スタッフおススメ度】
プラハ★★★★★ プラハの街歩きが楽しい
墓地教会(納骨礼拝堂)★★★★★ プラハから日帰りでクトナー・ホラへ
チェスキークロムロフ★★★★★ 天気の良い日に展望スポットへ
ザルツブルグ★★★★ 夏のザルツカンマーグートへ
ウィーン★★★★ 美味しいトルテを探しに。
(2016年11月 大道隆宏)
- あま〜いスイーツが止まらない!カフェ巡りinチェコ&オーストリア
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エリア:
- ヨーロッパ>オーストリア>ウィーン
- ヨーロッパ>チェコ>プラハ
- ヨーロッパ>チェコ>テルチ
- テーマ:世界遺産 グルメ 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2016/06/23 16:25
お酒に強くない私はビールを飲めるよう練習していました。なぜなら最初の訪問国はビールの国チェコ。ビールが安くておいしいと聞いたので。そしてスイーツが甘くて美味しいところでもあるので、カフェ巡りがとても楽しみで、もちろん観光もするのですが、とにかくKLMオランダ航空でプラハへ。夕方に到着し、空港内にカウンターがあるエアポートタクシーを使って市内のホテルへ。観光地で客待ちしているタクシーはぼったくられる事も多いようですが、このエアポートタクシーなら安心です。空港から市内はだいたい30分くらいで600CK前後です。
プラハでの主な観光地はほとんど徒歩でまわれますが、ホテルから中心部や、プラハ城など、ちょっと距離がある時にはトラム、メトロが便利です。どこも中世ヨーロッパのような街並みがとても綺麗です。
プラハ城はお昼前後には観光客でごった返す為、朝一の観光がおすすめです。門をくぐると目の前いっぱいに広がる聖ヴィート大聖堂や、赤と白のかわいらしい外観で中に入ると雰囲気満点の聖イジー教会、カラフルな小人のお家が並んでいるような黄金小路などなど、あちこちゆっくりとまわりたいものです。黄金小路のお家に入っているお土産屋さんをみてまわるのも楽しく、フランツ・カフカの仕事場だったお家もあります。
(水色のお家がカフカの仕事場)
プラハ城から城下町へ下り、カレル橋を渡ると旧市街です。カレル橋には30もの聖人像が並び、お土産屋さんや似顔絵職人、ストリートパフォーマーに、観光客が入りまじって大賑わいです。日本人には馴染み深いザビエルの像もいます。みんなさわっていくこの聖ヤン・ネポムツキー像。この台座のレリーフに触れると幸運が訪れるのだとか。
カレル橋を渡って旧市街側にやってきたら、今夜のマリオネット劇のチケットを買っておきます。国立マリオネット劇場のHPでは上演日と演目を確認でき、オンラインで予約も可能です。チケットは開演直前でも買える場合が多いようですが、念の為、日中に入手しておきました。
その後、プラハの中心である旧市街広場へ。ここでヤン・フス像やティーン教会ととも並び、プラハ観光の目玉となっているのが旧市庁舎の天文時計です。旧市庁舎は増改築を繰り返して現在の形に至るため、複数の建物が連なって一つになっています。その旧市庁舎の南側にあるのが有名な天文時計です。天動説に基づく2つの時計が並び、年月日と時間を表すプラネタリウムと1日1目盛り動くカレンダリウムになっています。朝9時から夜9時の毎正時になると時計の仕掛けが動いて、キリストの12使徒があらわれます。これを見るために観光客が山のように集まり、スリも多いため要注意です。
北に移動して、ユダヤ人地区にはシナゴーグがいくつも残っています。現在のユダヤ人地区は19世紀後半に整備されていて、それ以前は迷路のような複雑な町並みだったそうです。
夜になったら、さっきチケットを買っておいたマリオネット劇を観にいきます。せっかくチェコを訪れるなら、伝統芸能であるマリオネット劇を一度は観てみたい。プラハでは、由緒ある国立マリオネット劇場や王の道のマリオネット劇場をはじめ、あちこちで上演されています。国立マリオネット劇場では、伝統的なマリオネット人形達が巧みな技術で操られ、モーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」を現代風アレンジで面白おかしく熱演してくれます。
女たらしのドン・ジョヴァンニが数々の女性に言い寄り、最後は罰があたって石像に地獄に連れて行かれてしまうというお話。ダメ男のジョヴァンニに、なんだかんだついていってしまう従者レポレッロや、女性たちとの修羅場など、事前に演目の内容を予習しておくと、さらに楽しめます。幕間にはモーツァルトのマリオネットも登場し、激しいアクションで観客の笑いを誘ったり、ドン・ジョヴァンニがお風呂に入る場面では、客席に水しぶきが飛んできたりと笑いどころ満載です。
国立マリオネット劇場はこじんまりとしたホールで、ロビーではアイスやジュースを売っています。小さめの映画館みたいな雰囲気で、観光帰りにも気軽に寄れる劇場でした。
☆プラハのおすすめカフェ&スイーツ
○オヴォツニー・シュヴェトゾルOvocny Svetozor
プラハに何店舗かある人気のケーキ屋さん。ケーキの種類が豊富で、ポップなお店。イートインもテイクアウトも可能。
○Apetit
赤い外観に、螺旋階段やシャンデリアがかわいい雰囲気の良いカフェ。ケーキ、お菓子やフレビチキと呼ばれるチェコのオープンサンド、ビールもあり、価格も良心的。地元民の利用客も多い。トラムDlouha trida駅のすぐ向かいにある。このメドヴニークはハチミツのスポンジケーキにキャラメルソースを挟んだチェコの伝統的なケーキ。懐かしい感じのほのかな甘みがたまらない。
○あちこちで売っているトゥルデルニーク
小麦粉の生地を筒状に巻いて炭火で焼き、表面に砂糖やシナモンをまぶした伝統的なお菓子。中にチョコレートを塗ったり、アイスクリームをいれたりと色々なトッピングをしてくれるお店も。食べ歩きに大人気のおやつ。
チェスキークロムロフに向かう途中で世界遺産の町テルチへ。町の中心となるザハリアーシュ広場には、ルネッサンス様式、初期バロック様式のカラフルな家々がずらりと並び、まさにおとぎ話の1ページのような眺め。
「モラヴィアの真珠」と言われるこの可愛らしい町でメルヘンな気分に浸ったら、本日の宿があるチェスキークロムロフへ。プラハ〜テルチ、テルチ〜チェスキークロムロフは車で各2時間くらいです。
メルヘンの次はファンタジーの世界にやってきました。石畳みの細い路地が入り組む旧市街は、赤い屋根の間から独特な塔が延び、ヴルタヴァ川が流れています。美しい街並みに、だまし絵のようなスグラフィット装飾が面白く、地図も持たずに歩き回るだけでも楽しめます。
(街のシンボル、チェスキークロムロフ城の塔)
チェスキークロム城にもスグラフィット装飾があちこちに見られます。
こんな壁も近くでよく見ると…
レンガ造りや、彫刻が施されているように描かれているんです。
城内はツアーで見学し、残念ながら撮影禁止ですが、カラフルな城の塔にも登ることができます。ここからの景色は絶景!
お城には広大な庭園があり、花の時期にはまだ早いようですが、不思議の国のアリスに出てくるような生け垣の迷路もあって、とても素敵なお庭です。
(町でかっこいい魔女を発見!)
(フチ子みたいな彼ら)
チェコでの3日間、各地でビールを頂きましたが、個人的に1番美味しかったのがチェスキークロムロフのエッゲンベルグビール。醸造所の直営レストランがあり、魚料理もおいしい!醸造所は見学もできるそうです。
その後、車でオーストリアとの国境を越え、リンツ駅まで約1時間半。国境は看板がちらっと出ているだけでした。リンツから列車でハルシュタットを目指します。が、駅の電光掲示板でスケジュールを確認するも、乗る予定の列車が無いような、何かおかしい。駅員さんに確認すると、途中の区間が運休で、その区間だけ代わりにバスが出てるんだとか。アットナング・プッハイムからグムンデンまではバスに乗り換えとなりましたが、駅の目の前にバスが停まっていて、係員さんも案内してくれ、車掌さん含む乗客みんながそのバスに乗り換えるようだったので、難なく済みました。ザルツカンマーグートと呼ばれる地方に入り、車窓から次々に見えてくる2000m級の山々と湖の大自然の景色に目を奪われます。ハルシュタットの小さな駅で下車すると、駅の出口は船着場とつながっています。ハルシュタットの町は駅とは反対岸にある為、渡し船を使います。向こう岸まではたった10分足らずですが、湖の上から大自然の山々やハルシュタットの町を堪能できる貴重な時間でした。
ザルツカンマーグートとは「塩の宝庫」という意味で、ハルシュタットにも世界最古の塩坑があります。しかも今でも操業していて、ケーブルカーで山を登って見学できます。ケーブルカーは15分毎に出ていますが、ツアーは全部で3時間近くかかります。その途中には世界遺産展望橋があり、ちょこんと飛び出した三角形の展望スペースからはハルシュタット湖の美しい景色を見渡すことができます。こんなに高い所から下を覗き込んでも、怖くないのは今までの海外研修の賜物に違いありません。
また、小さなハルシュタットの町では墓地も狭く、古い遺骨を取り出して、新しい遺体を埋めていました。その遺骨を納めていたバインハウスには、1000もの頭蓋骨があるそうで、楽しみにしていたのですが、なんとクローズしていました。。。
湖畔の町なのでここもお魚が美味しいです。
(マスのフィレ)
ハルシュタット滞在中はだいぶ天候が荒れましたが、ちょこちょこ覗く晴れ間を頼りになんとか観光できました。
次は列車でザルツブルクへ向かいます。ハルシュタットでは帰りの駅への渡し船も列車にあわせて出ています。そしてザルツブルク行きの列車も、行きと同様に途中の区間はバスに乗り換え、ハルシュタットから約2時間半でザルツブルクへ。駅前のバスターミナルから町の中心部へオーブスと言うトロリーバスに乗ります。ミラベル広場までは10分ほど。
ザルツブルクはモーツァルト生誕の地であり、この近辺は映画『サウンド・オブ・ミュージック』の舞台としても有名です。ザルツブルクには、モーツァルトの生家やその後移り住んだ住居があり、モーツァルト像や、彼をモチーフにしたお土産はもちろん、ザルツブルク音楽祭などではモーツァルトの楽曲が演奏されます。モーツァルトの生家では、モーツァルトが幼い頃に使っていたバイオリンや、『魔笛』を作曲したクラヴィコード(鍵盤楽器)などが展示されています。プラハで観たマリオネット劇のドン・ジョヴァンニもモーツァルトのオペラでした。250年以上も前にここで生まれ、今なお演奏され続ける楽曲を残したモーツァルトがここで過ごしたことを思うと、尊敬を超えて不思議な気持ちというか、むしろ馴染み深くなれたような気がしてきて少し嬉しくなります。
(サウンド・オブ・ミュージック『ドレミの歌』の舞台、ミラベル宮殿)
(モーツァルトグッズ色々)
☆ザルツブルグのおすすめカフェ&スイーツ
○トマセッリ
モーツァルトやカラヤンも通ったという歴史あるカフェ。ウェイトレスさんがケーキをトレーに並べて持ってきてくれます。ケーキを選ぶのが楽しすぎて、その場面を撮り忘れました。
ザルツブルクからさらに列車で2時間半、ウィーンにやって来ました。市内を縦横無尽に走る地下鉄Uバーンや路面電車、バスを使ってシェーンブルン宮殿やベルヴェデーレ宮殿、シュテファン寺院など観光名所をまわります。
(ベルヴェデーレ宮殿)
(シェーンブルン宮殿)
そして今回行ってきたのがホイリゲ酒場。ホイリゲとはその年の新しいワインのことで、ホイリゲが飲める酒場も指す言葉。できたてのホイリゲが飲める庶民的なホイリゲ酒場は、ウィーン近くのグリンツィングの町に特に多くあります。ウィーンのリンク上のショッテントーア駅から38番の路面電車で終点グリンツィング駅まで30分ほどで行くことができました。
(ショッテントーア駅の路面電車乗り場)
ホイリゲは毎年11月11日の聖マルティンの日に解禁され、ハムやチーズなどの冷たいおつまみやローストチキン、時にはアコーディオンなどの生演奏と一緒に楽しむことができます。観光終わりに、ワイン好きなら是非訪れてみて欲しいところです。
そしてその観光の合間に、ウィーンのスイーツを求めてカフェを巡りました。もはや観光しているのか、カフェ巡りをしているのかわからないくらい。ウィーンにはバリエーション豊かなコーヒーとともに、カフェが驚くほどたくさんあります。休憩はもちろん、食事するにもよし、伝統の味を求めるもよし。ウィーンでポピュラーなコーヒーは、温めたミルクとコーヒーが半分ずつ入ったメランジュです。コーヒーとウィーンの絶品スイーツを注文して、おしゃれなカフェで過ごすひと時はとても贅沢です。
☆ウィーンのおすすめカフェ&スイーツ
○ザッハー
ザッハートルテで有名な、老舗ホテル・ザッハー内のカフェ。真紅に金色がポイントのイメージカラーの内装で、メニューはおしゃれな新聞風。格調高いホテルの雰囲気を持ち合わせているが、観光客が多く、行列ができていることも多々。ザッハーのザッハートルテにはあんずのマーマレードがたっぷり入っている。ザッハーは日本に出店していないが、お土産用のザッハートルテも販売されていて、賞味期限も長めなので、これで日本でもザッハーのザッハートルテを味わえる。
○デメル
カフェザッハーと「オリジナル」・ザッハートルテの名を奪い合ったカフェ。こちらも老舗で皇室御用達の看板を掲げ、皇妃エリザベートの好物はここのスミレの砂糖菓子だそうだ。デメルは洋菓子一筋のお店なのでケーキやお土産のお菓子の種類も豊富で、日本でもデパートに入っていたりする。デメルのザッハートルテはザッハーのものよりさっぱりしていて、どちらかというと日本人向き。甘いもの好きな私はザッハーの方も好きだけれど。夏は店頭でアイスクリームも売っている。この時4月中旬は既にアイス始まっていました。
○インペリアル
最高級ランクのインペリアルホテル内のカフェ。まさに御褒美として訪れるのにぴったり。皇帝に献上したインペリアルトルテは、チョコレートとマジパン、アーモンドも入って、何層にもなっている。小ぶりでもずっしりと重量感があり美味しい。インペリアルトルテはオリジナルの他に2種類あり、モーツァルト生誕250周年記念に作られたピスタチオ入りのモーツァルトエディションと、オレンジのマジパンとダークチョコレートのブラックオレンジ。
○ゲルストナー
皇妃エリザベートの好きなスミレの砂糖菓子を指すゲルストナーを店名に持つカフェ。皇室御用達で、国立オペラ座や楽友協会にもケータリングしている。美術史博物館内や、他にも何店舗かある。ケルントナー通りの店舗ではショーケースからマカロンが誘惑してきた。
○モーツァルト
映画『第三の男』の脚本が書かれ、映画内にも登場して有名なカフェ。チョコレートとピスタチオのモーツァルトトルテが売り。広いテラス席が気持ち良さそう。ザッハーで食べた直後、同じ区画にあったので、ここでは食べずに写真だけ。
○アイーダ
気軽に立ち寄れるピンク色のチェーン店。一つはシュテファン寺院の近くの角にあり、多くの人がここでアイスクリームを食べたりして休憩している。
○ハヴェルカ
戦後、ウィーンに戻って来た作家や文化人が集ったという伝説的カフェ。店舗はかなり古びているが改装していないので、当時のままになっている。賑やかなグラーベン通りから細い路地に入ったところにあり、恐らくこのカフェの存在を知らなければ気付かないようなお店。
カフェツェントラルをはじめ、行ってみたかったけれど、まわりきれなかったカフェやここに書ききれなかったり、未だ知らないカフェも無数にあります。きっとまた来るような気がするので、その時にまたカフェ巡りしたいです。お酒をのみ、美しい景色と音楽に癒され、大好きなケーキに囲まれて本当に幸せな旅でした。
オススメ度
プラハ・・・★★★★★ 中世ヨーロッパの面影を残す美しい文化の街
テルチ・・・★★★★ かわいらしいおとぎ話の世界。観光客がいない時が最高。
チェスキークロムロフ・・・★★★★★ 町中にだまし絵があって、どこも絵になる景色
ハルシュタット・・・★★★★ 雨の日も幻想的な湖畔の町
ザルツブルグ・・・★★★★★ モーツァルトの故郷であり、見所もたくさん!
ウィーン・・・★★★★★ カフェ天国。スイーツ好きにはたまらない街。
(2016年4月 増田里紗)
- 美の裏側にある東欧ロマンを目撃せよ!〜芸術の国ロシア・チェコ周遊〜
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エリア:
- ヨーロッパ>チェコ>プラハ
- ヨーロッパ>ロシア>サンクトペテルブルグ
- テーマ:世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2016/01/04 16:35
○●○ロシア・サンクトペテルブルク エルミタージュ美術館○●○
エルミタージュ美術館に所蔵されている作品は、約300万点。ルーヴル美術館の10倍もの数の作品がここにある。何がどうすごいのか、何を観るべきなのかわからなくなってしまいそう。でもここは美術館の雰囲気に身を任せ「もし1枚絵を貰えるとしたらどれ?」と考えながら回ると、難しいことを考えずに鑑賞できるだろう。
エルミタージュ美術館は4つの建物から成っている。冬宮と小エルミタージュ、旧エルミタージュと新エルミタージュ、これにエルミタージュ劇場が付属しているので、少しややこしい。入口は本館である冬宮の宮殿広場に面している側にある。
美術館へ入る前に、建物を観察してみよう。
この美術館はかつて、ロマノフ朝歴代皇帝の冬の宮殿として使われていた。冬と言っても北の都。夏は5〜7月の3か月しかないので、それ以外の9か月をこの宮殿で過ごしていた。エカチェリーナ2世時代、この外壁は彼女の好きな薄い水色だったようだ。
美術館であると同時に、ここは極めて政治的な場所でもある。冬宮前の宮殿広場で1905年、血の日曜日事件が発生した。それ以降もロシア革命時には革命軍に占拠され、ナチスドイツによる900日包囲の際も攻撃の対象だった。この美術館の歴史は、ロシア民族の歴史と常に共にある。ナチスドイツの監視の目をかいくぐり、コレクションを疎開させた美術館員たちの命がけの努力によって、今日私たちはこの美術館を訪れることができる。
冬宮と小エルミタージュの通用口で、珍しい標識を発見。
「猫注意!」と書かれてあるらしい。
エルミタージュ美術館では、地下室で60匹以上の猫を警備員として雇っている。かつてはエカチェリーナ2世しか見ることを許されなかったこのコレクション。彼女は「エルミタージュ(フランス語で隠れ家の意)」と呼ばれた私的な美術館(現在の小エルミタージュ部分)にその一切を愛蔵していた。しかし同時に、彼女はエルミタージュへのネズミの不法侵入、無許可での鑑賞に悩まされていたという。悩んだ挙句、犬好きで大の猫嫌いながらも、彼女はやむなく宮殿内で猫を飼うことを決めたそう。以来、エルミタージュ美術館の警備には猫が大活躍している。年に1度警備員たちがコレクションを鑑賞できる「猫の日」もあるようだ。
この巨大な規模の美術館にしては、かなり特殊な環境にあるのがエルミタージュ。
鑑賞する上での注意点を何点か挙げておきたい。
1 迷路のように広大で、出入口は3つだけ、階段の数も少ない。
また、トイレは1階にしかない。
2 飲物の持ち込み禁止。(入口にてチェック有)カフェは1階にしかなく、席数もかなり少ない。食事を済ませてから美術館へ向かうのがベター。
3 来館後、コートは出入口付近のクロークに預ける。(無料で利用可能)
出入口は3か所あるので、どこで預けたか覚えておく必要あり。
4 19、20世紀の作品は別館へ。
マチスやゴーギャンなど19世紀以降の画家たちの作品は、宮殿広場を挟んで向かい側の別館にある。(入場料別途必要)最近レイアウトが変わったばかりで、まだガイドブックにも反映されていないので要注意。(2015年4月現在)
エルミタージュコレクションは「大使の階段」からはじまる。まだ美術館が宮殿だった時代、海外使節を迎え入れた正面玄関だった。このロシアバロックの極致は、豪華絢爛の代名詞と言っても過言ではない。広い館内で迷子になってしまったら、ひとまずここを目指すといいだろう。
ナポレオン戦争で勝利を勝ち取った300人の将軍たちの肖像画がずらり。空いているスペースは戦死した将軍のためのもの。ビーフストロガノフを考案したストロガノフ将軍の肖像もここにある。
歴代皇帝謁見の間。ピョートル大帝が守護聖人としていた聖ゲオルギー(聖ゲオルギウス)の名が冠されている。聖ゲオルギーはトルコのカッパドキア出身。リビアのシレナで生贄にされそうになっていた王妃のため、悪い竜を退治した逸話で有名。彼はキリスト教の勝利を暗示させる存在で、騎士道精神の象徴とされている。ピョートル大帝はゲオルギーと同じ誕生日だったようだ。
ちなみに、ヨーロッパの教会でよく見かけるゲオルギーはこちら
バチカン美術館の≪ラファエロの回廊≫を、そっくり模写したのがこの回廊。エカチェリーナ2世がバチカンにあるその回廊の美しさを知り、現地に職人を派遣。隅々まで模写させ作らせた。(所々バチカンのものと違う部分もあるらしい)バチカンの回廊はフレスコ画だが、フレスコ画の技法はもともと南イタリアの温暖な気候を活かして生まれたもので、この極寒の地には適さない。エルミタージュの回廊は全て油絵で描かれている。
エルミタージュで押さえておきたいのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた2枚の聖母子像。
歴史上、何百人もの画家たちが聖母子像を描いているが、レオナルドの≪リッタの聖母≫は中でも珍しい。聖母マリアは、言わずもがな純潔の存在。たとえ絵の中でも性的な一面を表現してはいけないし、服を脱がせてはならない。そのため、授乳の様子が描かれた作品は世界でも数少ない。≪リッタの聖母≫に描かれているのは授乳の様子だが、一般的に描かれる聖母子像よりも、ごく自然な母子の姿に近いように思う。
そしてもうひとつが、レオナルド初期の作品≪ブノワの聖母≫。
≪リッタの聖母≫と比較して見てみると、≪ブノワの聖母≫に描かれたイエスの手足は少し雑なように見える。それに窓の外の背景も白く、≪モナ・リザ≫を描いた画家のものとは思えない。この作品に贋作の噂があるのは、そのためだ。これは彼の初期作品、まだ技術が未熟で彼らしくない部分が際立っているのかもしれない。
ぼーっと眺めていると、聖母の緑の服は芝生に、イエスの持つ白い花はシロツメクサに見えてきた。公園の芝生で花を摘んで、きゃっきゃと遊んでいる姉弟のよう。聖母子像としてではなく、親心で微笑みながら観てしまう作品だ。
≪ダナエ≫は巨匠レンブラントの最高傑作であり、エルミタージュいわくの作品。
大胆に横たわる女性は、ギリシア神話の英雄ペルセウスの母ダナエ。娘の男児によって殺される、と予言を得た父アルゴス王に幽閉されている様子が描かれている。通常この主題の絵画には、彼女を見初め、金の雨に化けて彼女の寝床に忍び入るゼウスの姿も描かれるが、それがないのがこの作品の特徴。
しかしそれ以上に鑑賞者の目を引くのは、光と影の巨匠レンブラントの描く、ダナエの輝きと透明感をもつ肌、艶めかしい肢体。1985年、一人のリトアニアの青年が彼女に魅了された。彼女を自分だけのものにするため、作品に硫酸をかけてしまった。その上、刃物で2回切りつけた。彼女の美しい肌はあっという間に剥がれ落ち、青年はすぐ精神病院送りに。作品の修復には12年かかったが、もとの輝きを完全に取り戻すことはできなかった。この事件以降、エルミタージュでは飲物の持ち込みが禁止されている。この作品の下には、今も硫酸をかけられた跡が残っている。
ロシアといえば治安の悪いイメージだったのだが、サンクトペテルブルグは心配するほど治安も悪くない。夜一人で街の中心部を歩いても、危ないような雰囲気は全くなかった。しかし置き引き、スリは多い。美術館鑑賞中のスリも多いので注意して頂きたい。
○●○チェコ・プラハ ≪スラヴ叙事詩≫○●○
スラヴとゲルマン。カトリックとプロテスタント。文明の十字路として発展したチェコの国土。国民的画家ミュシャは、チェコ国民が自国の歴史と向き合うため、優れた絵画を制作することを自らの義務と考えていた。自国を離れ、パリで画家としての名声を得ることとなった彼。海外で活躍していくにつれ、自身がチェコで生まれた意味、国の歴史の是非を己に問うていたのかもしれない。6×8m、全20点の連作は制作に18年を費やしたが、完成した1928年、国は「チェコ・スロバキア」と呼ばれていた。チェコ独自の歴史を省みることを、当時の人々は必要としていなかった。「ミュシャの絵画は、国民の愛国心を刺激するものである」とみなされ、彼はナチスドイツにより逮捕。厳しい尋問に耐えられず、祖国解体を知らないまま78歳で息を引き取った。
ミュシャの夢であり、チェコ国民が歩んできた歴史でもあるこの作品が、近年注目されはじめている。
「スラヴ叙事詩」には彼のイメージである草木から着想を得た幻想的なパターンと、女神ような微笑みでこちらを魅了する女性像は決して存在しない。
作品は全て、もやのかかったようなくすんだトーンで描かれている。確かにミュシャの筆致なのだが、惹きつけられるのは優美さではなく、人々の眼光。その鋭さに、思わず息を飲んでしまう。比べてみると、とても面白い。
一般的に知られているミュシャ
スラヴ叙事詩の人々
群集像のどこかにこちらをじっと見つめる女性がいて、ここで起こっている出来事をしっかりと目撃するようにと訴えかけてくる。
今回訪れたヴェレトルジュニー宮殿でのスラヴ叙事詩展は今年いっぱいとのこと。とは言っても、この展示はもともと2012年の4ヶ月限定の予定だった。それまではチェコ南東部に位置するモラフスキー・クロムロフ城に常設されていた。評判が評判を呼び、会期も延びに延び、現在は2015年いっぱいの展示予定とのこと。(また会期が延びる可能性もあるかも・・・?)
そして2017年には東京に来日予定。2年後にやってくるミュシャブームの前に、ぜひプラハでスラヴ民族の物語を目撃してほしい。
上で書かなかったエルミタージュ美術館の特徴が、実はもう一つある。約300万点もの作品を所蔵しているにも関わらず、ロシア人画家の作品がほとんどない。チェコにおいても、ミュシャとヨゼフ・チャペック以外の画家の名前はほとんど聞かない。しかしどちらの国の生活でも、芸術はしっかりとしみついている。街中のいたるところにギャラリーがあり、街角では似顔絵画家がたくさんいる。
出発前はただただ美術館を巡ることが楽しみだったが、街を歩くにつれ、人々の生活と芸術との距離感を観察するのが楽しい旅となった。
【スタッフおすすめ度】
●エルミタージュ美術館 ★★★★★
素晴らしい宮殿装飾と圧巻のコレクション!しっかり準備してから訪れたい。
●ヴェレトルジュニー宮殿「スラヴ叙事詩」★★★★★
2年後には日本に来日予定。ミュシャの夢であり、チェコ国民が歩んできた歴史を目撃せよ!
2015年5月 仙波佐和子
エルミタージュ美術館に所蔵されている作品は、約300万点。ルーヴル美術館の10倍もの数の作品がここにある。何がどうすごいのか、何を観るべきなのかわからなくなってしまいそう。でもここは美術館の雰囲気に身を任せ「もし1枚絵を貰えるとしたらどれ?」と考えながら回ると、難しいことを考えずに鑑賞できるだろう。
エルミタージュ美術館 冬宮
エルミタージュ美術館は4つの建物から成っている。冬宮と小エルミタージュ、旧エルミタージュと新エルミタージュ、これにエルミタージュ劇場が付属しているので、少しややこしい。入口は本館である冬宮の宮殿広場に面している側にある。
美術館へ入る前に、建物を観察してみよう。
この美術館はかつて、ロマノフ朝歴代皇帝の冬の宮殿として使われていた。冬と言っても北の都。夏は5〜7月の3か月しかないので、それ以外の9か月をこの宮殿で過ごしていた。エカチェリーナ2世時代、この外壁は彼女の好きな薄い水色だったようだ。
美術館であると同時に、ここは極めて政治的な場所でもある。冬宮前の宮殿広場で1905年、血の日曜日事件が発生した。それ以降もロシア革命時には革命軍に占拠され、ナチスドイツによる900日包囲の際も攻撃の対象だった。この美術館の歴史は、ロシア民族の歴史と常に共にある。ナチスドイツの監視の目をかいくぐり、コレクションを疎開させた美術館員たちの命がけの努力によって、今日私たちはこの美術館を訪れることができる。
「猫注意!」
冬宮と小エルミタージュの通用口で、珍しい標識を発見。
「猫注意!」と書かれてあるらしい。
エルミタージュ美術館では、地下室で60匹以上の猫を警備員として雇っている。かつてはエカチェリーナ2世しか見ることを許されなかったこのコレクション。彼女は「エルミタージュ(フランス語で隠れ家の意)」と呼ばれた私的な美術館(現在の小エルミタージュ部分)にその一切を愛蔵していた。しかし同時に、彼女はエルミタージュへのネズミの不法侵入、無許可での鑑賞に悩まされていたという。悩んだ挙句、犬好きで大の猫嫌いながらも、彼女はやむなく宮殿内で猫を飼うことを決めたそう。以来、エルミタージュ美術館の警備には猫が大活躍している。年に1度警備員たちがコレクションを鑑賞できる「猫の日」もあるようだ。
美しい彫刻が並ぶ回廊
この巨大な規模の美術館にしては、かなり特殊な環境にあるのがエルミタージュ。
鑑賞する上での注意点を何点か挙げておきたい。
1 迷路のように広大で、出入口は3つだけ、階段の数も少ない。
また、トイレは1階にしかない。
2 飲物の持ち込み禁止。(入口にてチェック有)カフェは1階にしかなく、席数もかなり少ない。食事を済ませてから美術館へ向かうのがベター。
3 来館後、コートは出入口付近のクロークに預ける。(無料で利用可能)
出入口は3か所あるので、どこで預けたか覚えておく必要あり。
4 19、20世紀の作品は別館へ。
マチスやゴーギャンなど19世紀以降の画家たちの作品は、宮殿広場を挟んで向かい側の別館にある。(入場料別途必要)最近レイアウトが変わったばかりで、まだガイドブックにも反映されていないので要注意。(2015年4月現在)
大使の階段(ヨルダン階段)
エルミタージュコレクションは「大使の階段」からはじまる。まだ美術館が宮殿だった時代、海外使節を迎え入れた正面玄関だった。このロシアバロックの極致は、豪華絢爛の代名詞と言っても過言ではない。広い館内で迷子になってしまったら、ひとまずここを目指すといいだろう。
1812年祖国戦争の画廊
ストロガノフ将軍
ナポレオン戦争で勝利を勝ち取った300人の将軍たちの肖像画がずらり。空いているスペースは戦死した将軍のためのもの。ビーフストロガノフを考案したストロガノフ将軍の肖像もここにある。
聖ゲオルギー(大玉座)の間
歴代皇帝謁見の間。ピョートル大帝が守護聖人としていた聖ゲオルギー(聖ゲオルギウス)の名が冠されている。聖ゲオルギーはトルコのカッパドキア出身。リビアのシレナで生贄にされそうになっていた王妃のため、悪い竜を退治した逸話で有名。彼はキリスト教の勝利を暗示させる存在で、騎士道精神の象徴とされている。ピョートル大帝はゲオルギーと同じ誕生日だったようだ。
ちなみに、ヨーロッパの教会でよく見かけるゲオルギーはこちら
聖ゲオルギー(聖ゲオルギウス)の装飾 ※プラハの街角にて撮影
ラファエロの回廊
バチカン美術館の≪ラファエロの回廊≫を、そっくり模写したのがこの回廊。エカチェリーナ2世がバチカンにあるその回廊の美しさを知り、現地に職人を派遣。隅々まで模写させ作らせた。(所々バチカンのものと違う部分もあるらしい)バチカンの回廊はフレスコ画だが、フレスコ画の技法はもともと南イタリアの温暖な気候を活かして生まれたもので、この極寒の地には適さない。エルミタージュの回廊は全て油絵で描かれている。
レオナルド・ダ・ヴィンチ≪リッタの聖母≫
エルミタージュで押さえておきたいのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた2枚の聖母子像。
歴史上、何百人もの画家たちが聖母子像を描いているが、レオナルドの≪リッタの聖母≫は中でも珍しい。聖母マリアは、言わずもがな純潔の存在。たとえ絵の中でも性的な一面を表現してはいけないし、服を脱がせてはならない。そのため、授乳の様子が描かれた作品は世界でも数少ない。≪リッタの聖母≫に描かれているのは授乳の様子だが、一般的に描かれる聖母子像よりも、ごく自然な母子の姿に近いように思う。
レオナルド・ダ・ヴィンチ≪ブノワの聖母≫
そしてもうひとつが、レオナルド初期の作品≪ブノワの聖母≫。
≪リッタの聖母≫と比較して見てみると、≪ブノワの聖母≫に描かれたイエスの手足は少し雑なように見える。それに窓の外の背景も白く、≪モナ・リザ≫を描いた画家のものとは思えない。この作品に贋作の噂があるのは、そのためだ。これは彼の初期作品、まだ技術が未熟で彼らしくない部分が際立っているのかもしれない。
ぼーっと眺めていると、聖母の緑の服は芝生に、イエスの持つ白い花はシロツメクサに見えてきた。公園の芝生で花を摘んで、きゃっきゃと遊んでいる姉弟のよう。聖母子像としてではなく、親心で微笑みながら観てしまう作品だ。
レンブラント≪ダナエ≫
≪ダナエ≫は巨匠レンブラントの最高傑作であり、エルミタージュいわくの作品。
大胆に横たわる女性は、ギリシア神話の英雄ペルセウスの母ダナエ。娘の男児によって殺される、と予言を得た父アルゴス王に幽閉されている様子が描かれている。通常この主題の絵画には、彼女を見初め、金の雨に化けて彼女の寝床に忍び入るゼウスの姿も描かれるが、それがないのがこの作品の特徴。
しかしそれ以上に鑑賞者の目を引くのは、光と影の巨匠レンブラントの描く、ダナエの輝きと透明感をもつ肌、艶めかしい肢体。1985年、一人のリトアニアの青年が彼女に魅了された。彼女を自分だけのものにするため、作品に硫酸をかけてしまった。その上、刃物で2回切りつけた。彼女の美しい肌はあっという間に剥がれ落ち、青年はすぐ精神病院送りに。作品の修復には12年かかったが、もとの輝きを完全に取り戻すことはできなかった。この事件以降、エルミタージュでは飲物の持ち込みが禁止されている。この作品の下には、今も硫酸をかけられた跡が残っている。
美しい3人のヴィーナス
アモールとプシュケ
カラヴァッジオ≪リュートを弾く若者≫
額縁の装飾もユニーク
スフィンクス!?な貴婦人
ロシアといえば治安の悪いイメージだったのだが、サンクトペテルブルグは心配するほど治安も悪くない。夜一人で街の中心部を歩いても、危ないような雰囲気は全くなかった。しかし置き引き、スリは多い。美術館鑑賞中のスリも多いので注意して頂きたい。
自分がもし1点作品を貰えるならこれ!フラ・アンジェリコ≪聖母子と天使たち
○●○チェコ・プラハ ≪スラヴ叙事詩≫○●○
スラブ叙事詩≪原故郷のスラヴ民族≫
スラヴとゲルマン。カトリックとプロテスタント。文明の十字路として発展したチェコの国土。国民的画家ミュシャは、チェコ国民が自国の歴史と向き合うため、優れた絵画を制作することを自らの義務と考えていた。自国を離れ、パリで画家としての名声を得ることとなった彼。海外で活躍していくにつれ、自身がチェコで生まれた意味、国の歴史の是非を己に問うていたのかもしれない。6×8m、全20点の連作は制作に18年を費やしたが、完成した1928年、国は「チェコ・スロバキア」と呼ばれていた。チェコ独自の歴史を省みることを、当時の人々は必要としていなかった。「ミュシャの絵画は、国民の愛国心を刺激するものである」とみなされ、彼はナチスドイツにより逮捕。厳しい尋問に耐えられず、祖国解体を知らないまま78歳で息を引き取った。
ミュシャの夢であり、チェコ国民が歩んできた歴史でもあるこの作品が、近年注目されはじめている。
アルフォンズ・ミュシャ渾身の大作「スラブ叙事詩」
「スラヴ叙事詩」には彼のイメージである草木から着想を得た幻想的なパターンと、女神ような微笑みでこちらを魅了する女性像は決して存在しない。
≪ルヤナ島のスヴァントヴィト祭≫
≪グルンヴァルトの戦いが終わって≫
≪聖アトス山(正教会のヴァチカン)≫
≪スラヴ讃歌≫
作品は全て、もやのかかったようなくすんだトーンで描かれている。確かにミュシャの筆致なのだが、惹きつけられるのは優美さではなく、人々の眼光。その鋭さに、思わず息を飲んでしまう。比べてみると、とても面白い。
一般的に知られているミュシャ
聖ヴィート大聖堂のステンドグラス≪聖キリルと聖メトディウス≫
スラヴ叙事詩の人々
群集像のどこかにこちらをじっと見つめる女性がいて、ここで起こっている出来事をしっかりと目撃するようにと訴えかけてくる。
今回訪れたヴェレトルジュニー宮殿でのスラヴ叙事詩展は今年いっぱいとのこと。とは言っても、この展示はもともと2012年の4ヶ月限定の予定だった。それまではチェコ南東部に位置するモラフスキー・クロムロフ城に常設されていた。評判が評判を呼び、会期も延びに延び、現在は2015年いっぱいの展示予定とのこと。(また会期が延びる可能性もあるかも・・・?)
そして2017年には東京に来日予定。2年後にやってくるミュシャブームの前に、ぜひプラハでスラヴ民族の物語を目撃してほしい。
上で書かなかったエルミタージュ美術館の特徴が、実はもう一つある。約300万点もの作品を所蔵しているにも関わらず、ロシア人画家の作品がほとんどない。チェコにおいても、ミュシャとヨゼフ・チャペック以外の画家の名前はほとんど聞かない。しかしどちらの国の生活でも、芸術はしっかりとしみついている。街中のいたるところにギャラリーがあり、街角では似顔絵画家がたくさんいる。
出発前はただただ美術館を巡ることが楽しみだったが、街を歩くにつれ、人々の生活と芸術との距離感を観察するのが楽しい旅となった。
芸術の国バンザイ!
【スタッフおすすめ度】
●エルミタージュ美術館 ★★★★★
素晴らしい宮殿装飾と圧巻のコレクション!しっかり準備してから訪れたい。
●ヴェレトルジュニー宮殿「スラヴ叙事詩」★★★★★
2年後には日本に来日予定。ミュシャの夢であり、チェコ国民が歩んできた歴史を目撃せよ!
2015年5月 仙波佐和子
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