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- ツェルマットの隠れリゾートでディナーを
-
エリア:
- ヨーロッパ>スイス>ツェルマット
- テーマ:ホテル・宿泊 グルメ
- 投稿日:2012/11/07 23:47
- コメント(0)
十月下旬、観光客の少ない静かなツェルマット。
昼間、白銀のマッターホルンを堪能した夜、こんなホテルのダイニングでのディナーはいかが?
ホテルの名前「OMNIA」と書かれているのが読める。ツェルマットの中心から遠くはない。岩をくりぬいて、ここまで上がってくる専用のエレベーターがあるので便利。通常のパッケージ団体は入ってこないホテルである。
我々旅倶楽部で秋のスイスを企画し、ツェルマットに二泊することにしたが、正直この時期には多くの観光客相手のレストランは閉めてしまっていた。
現地のガイドさんが、「以前一度行って気になっているホテルがあるのです」とお勧めくださり、コンタクトして夕食をアレンジできた特別な今回である。
まずはアミューズ
ローストビーフと薄い揚げた生地にクリームを巻き込んだもの、だったと記憶している。
このどっしりしっかりした石のテーブルが素晴らしい。このテーブルを四つ組み合わせて、我々十六人がちょうどゆったり座れるテーブルをつくってくれていた。前日の下見の時には「ちょっとむずかしいですね」と言われていたので、さらに嬉しくなった。
パンは六種類ぐらいあった。黒いものはゴマ?と訊いたら、「タコです」と言われた。
●前菜は三つのコース共違ったものが出された。
○二種類のチキン、この緑色のソースはなんだと思われます?
わさびとRas el Hanout(ラ・エル・アヌゥ/ラゼラヌゥ)スパイス⇒(アラビア語。これ自体三十種類のスパイスを混ぜたもの)を混ぜたもの。
○パンプキンスープとオレンジのラビオリ
メニューを見ても、どんなものが出てくるのか想像できなかった。見ても、どんな味か想像できなかった。
ラビオリの生地を軽く揚げたものには、たぶんオレンジの皮が練りこんである。オレンジの香りと味わいが、甘すぎないパンプキンのスープと実によく合っている。
個人的にはパンプキンスープはどれも味が想像できてしまうようで好きでもなかったが、これは、この皿は、今夜の一番だったかもしれない。
●タルボット(ヒラメ)にフォアグラ乗せ
日本語でヒラメというとこんな身ではないが、英語でタルボットになると、体長五十センチにもなる巨大・肉厚な魚を指している。淡白な白身とこってりのフォアグラのコンビです。
●イノシシ肉と季節の野菜
●シカ肉とトリュフ、秋野菜
ジビエの季節。これらはやっぱり赤ワインと一緒に楽しむと、より美味しくなる。
●洋梨を薄くスライスして洋梨のムースにさしてある
●スイスチョコレート盛り合わせ
●ベリーとアイスクリーム
お皿はカンバスですね
最後にお茶と一緒に、こんな楽しいお楽しみがついてきた。
事前に担当者とよく打ち合わせをしてメニューを決め、それをゆっくり残さず食べる用意(お腹減らしておくこと)をしてくる事。この静かなホテルの雰囲気に溶け込んで、雪のツェルマットでの美味しい夜でした。
昼間、白銀のマッターホルンを堪能した夜、こんなホテルのダイニングでのディナーはいかが?
ホテルの名前「OMNIA」と書かれているのが読める。ツェルマットの中心から遠くはない。岩をくりぬいて、ここまで上がってくる専用のエレベーターがあるので便利。通常のパッケージ団体は入ってこないホテルである。
我々旅倶楽部で秋のスイスを企画し、ツェルマットに二泊することにしたが、正直この時期には多くの観光客相手のレストランは閉めてしまっていた。
現地のガイドさんが、「以前一度行って気になっているホテルがあるのです」とお勧めくださり、コンタクトして夕食をアレンジできた特別な今回である。
まずはアミューズ
ローストビーフと薄い揚げた生地にクリームを巻き込んだもの、だったと記憶している。
このどっしりしっかりした石のテーブルが素晴らしい。このテーブルを四つ組み合わせて、我々十六人がちょうどゆったり座れるテーブルをつくってくれていた。前日の下見の時には「ちょっとむずかしいですね」と言われていたので、さらに嬉しくなった。
パンは六種類ぐらいあった。黒いものはゴマ?と訊いたら、「タコです」と言われた。
●前菜は三つのコース共違ったものが出された。
○二種類のチキン、この緑色のソースはなんだと思われます?
わさびとRas el Hanout(ラ・エル・アヌゥ/ラゼラヌゥ)スパイス⇒(アラビア語。これ自体三十種類のスパイスを混ぜたもの)を混ぜたもの。
○パンプキンスープとオレンジのラビオリ
メニューを見ても、どんなものが出てくるのか想像できなかった。見ても、どんな味か想像できなかった。
ラビオリの生地を軽く揚げたものには、たぶんオレンジの皮が練りこんである。オレンジの香りと味わいが、甘すぎないパンプキンのスープと実によく合っている。
個人的にはパンプキンスープはどれも味が想像できてしまうようで好きでもなかったが、これは、この皿は、今夜の一番だったかもしれない。
●タルボット(ヒラメ)にフォアグラ乗せ
日本語でヒラメというとこんな身ではないが、英語でタルボットになると、体長五十センチにもなる巨大・肉厚な魚を指している。淡白な白身とこってりのフォアグラのコンビです。
●イノシシ肉と季節の野菜
●シカ肉とトリュフ、秋野菜
ジビエの季節。これらはやっぱり赤ワインと一緒に楽しむと、より美味しくなる。
●洋梨を薄くスライスして洋梨のムースにさしてある
●スイスチョコレート盛り合わせ
●ベリーとアイスクリーム
お皿はカンバスですね
最後にお茶と一緒に、こんな楽しいお楽しみがついてきた。
事前に担当者とよく打ち合わせをしてメニューを決め、それをゆっくり残さず食べる用意(お腹減らしておくこと)をしてくる事。この静かなホテルの雰囲気に溶け込んで、雪のツェルマットでの美味しい夜でした。
- ベルン駅の巨大クリストフォロス像
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エリア:
- ヨーロッパ>スイス>ベルン
- テーマ:街中・建物・景色 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2012/11/06 20:14
- コメント(0)
スイスの首都・ベルン中央駅地下で、突然巨大な顔に出会った。
十九世紀に駅が建設されるまでこの場所には下図のように城壁があった。黄色が城壁。灰色が現在の駅である。左に後述する教会がある。
その城壁を守っていた木造の頭部がこれなのだ。
頭だけでこんなに大きい、全身10メートルに達したと言われている。
14世紀に建設された城壁は15世紀に増強され、この場所にはクリストッフェル塔と呼ばれる高さ55メートルに達する城門が出現した。
1818年頃の様子を再現した図↓
ここにはめ込まれていたのがこの巨像。
この巨人は何者か?もともとはラインの渡し守・聖人クリストフォロスとしてつくられた。肩にキリストを載せて川を渡ったという逸話から手には杖を持っていた。再現した像がベルン歴史博物館にある。
上記二つの再現図・再現像の肩にキリストが居ないのはなぜか?
それは、1528年の宗教改革による。華美な装飾を罪悪とみなしたプロテスタントは、大聖堂内の30にも及ぶ祭壇を破壊。
カソリックの「聖人」というものを敵視し、このクリストフォロスも旧約聖書に登場するゴリアテとみなされた。ま、この時破壊されなかっただけ幸運ではある。
その後、この木造の像は三百五十年もの年月を生き延びていた。鉄道駅建設によって塔と共に破壊されるのを惜しんだベルンの人々は多かった。投票の結果はしかし、415対411で、取り壊し賛成派が勝利。
取り壊し直前1865年の様子が写真に残されている。これはクリストッフェル門を外側から写している。逆側を撮っていればクリストフォロスが写っていただろうに、残念。
この写真左端に写っている精霊教会を市内方向から写すとこんなかんじ
巨像はその顔の部分と足先・手の先だけを博物館に残し、全身は貧しい人々へ薪として与えられたという。博物館へいくと、真っ先に出迎えてくれた。
色は風雪で全く失くなっているけれど、本物の迫力はすごい。
南ドイツ後期ゴシックの名匠リーメンシュナイダーの影響をうけた、ニュルンベルグのアルブレヒトという人物の手になると言われている。
足の部分は地下階へ降りたところにある。
こちらの方には色がしっかり付いているのは何故なのだろう?
ニュルンベルグのアルブレヒトは、15世紀後半から16世紀にかけて、ベルンを代表する彫刻家の一人と言われたそうだ。大聖堂の洗礼盤はかわいいライオンちゃんが覗いている。
拡大図はこちらから
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20121103
上を見上げた。このゴシック天井のキーストーンの一つに、アルブレヒトが刻んだという聖アンドレがあると教会の説明にあるのですが・・・ちょっと見えません。
宗教改革で破壊された祭壇にあったとされる司教像の頭部が、大聖堂のテラスを発掘して見つかった。んんん、なるほおど、アルブレヒトが卓越したニュルンベルクの石工マイスターたちの伝統を受け継いでいるのがよくわかる。
十九世紀に駅が建設されるまでこの場所には下図のように城壁があった。黄色が城壁。灰色が現在の駅である。左に後述する教会がある。
その城壁を守っていた木造の頭部がこれなのだ。
頭だけでこんなに大きい、全身10メートルに達したと言われている。
14世紀に建設された城壁は15世紀に増強され、この場所にはクリストッフェル塔と呼ばれる高さ55メートルに達する城門が出現した。
1818年頃の様子を再現した図↓
ここにはめ込まれていたのがこの巨像。
この巨人は何者か?もともとはラインの渡し守・聖人クリストフォロスとしてつくられた。肩にキリストを載せて川を渡ったという逸話から手には杖を持っていた。再現した像がベルン歴史博物館にある。
上記二つの再現図・再現像の肩にキリストが居ないのはなぜか?
それは、1528年の宗教改革による。華美な装飾を罪悪とみなしたプロテスタントは、大聖堂内の30にも及ぶ祭壇を破壊。
カソリックの「聖人」というものを敵視し、このクリストフォロスも旧約聖書に登場するゴリアテとみなされた。ま、この時破壊されなかっただけ幸運ではある。
その後、この木造の像は三百五十年もの年月を生き延びていた。鉄道駅建設によって塔と共に破壊されるのを惜しんだベルンの人々は多かった。投票の結果はしかし、415対411で、取り壊し賛成派が勝利。
取り壊し直前1865年の様子が写真に残されている。これはクリストッフェル門を外側から写している。逆側を撮っていればクリストフォロスが写っていただろうに、残念。
この写真左端に写っている精霊教会を市内方向から写すとこんなかんじ
巨像はその顔の部分と足先・手の先だけを博物館に残し、全身は貧しい人々へ薪として与えられたという。博物館へいくと、真っ先に出迎えてくれた。
色は風雪で全く失くなっているけれど、本物の迫力はすごい。
南ドイツ後期ゴシックの名匠リーメンシュナイダーの影響をうけた、ニュルンベルグのアルブレヒトという人物の手になると言われている。
足の部分は地下階へ降りたところにある。
こちらの方には色がしっかり付いているのは何故なのだろう?
ニュルンベルグのアルブレヒトは、15世紀後半から16世紀にかけて、ベルンを代表する彫刻家の一人と言われたそうだ。大聖堂の洗礼盤はかわいいライオンちゃんが覗いている。
拡大図はこちらから
http://komatsusin.hopto.org/koma/modules/iDiary/index.php?mode=show&date=20121103
上を見上げた。このゴシック天井のキーストーンの一つに、アルブレヒトが刻んだという聖アンドレがあると教会の説明にあるのですが・・・ちょっと見えません。
宗教改革で破壊された祭壇にあったとされる司教像の頭部が、大聖堂のテラスを発掘して見つかった。んんん、なるほおど、アルブレヒトが卓越したニュルンベルクの石工マイスターたちの伝統を受け継いでいるのがよくわかる。
- パウル・クレー・センターで昼食を
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エリア:
- ヨーロッパ>スイス>ベルン
- テーマ:グルメ 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2012/10/29 13:52
- コメント(2)
ベルンからトラムで十分ぐらいの郊外に「パウル・クレー・センター」がある。モダンな美しい建物だが、今日の目的はそこに付属したレストラン。
建物入口の紅葉した楓に反応してしまうのは日本人だけではないでしょうね。波打った緑色のデザインがこのセンターのシンボルになっている。
ドアを入るとKOMA-Tsusin Swiss Autumn Tour 9daysと案内版があった。
今日のメニュー
ナプキンもこのセンターのシンボルがはいってしゃれている。
●アミューズは牛肉のタルタル(ユッケ風生肉)イタリアン・パセリ乗せ。
赤いのはバラのソース。下にひかれた黒い線は「ソイソース・カラメル」と説明された。「日本風なんですね」と反応すると、「皆さんは日本からなんですね」とにっこり。遠来の客をゆっくりもてなしてくれようとする雰囲気が嬉しい。
●前菜はFreiland Nusslisalatオミナエシのサラダ〜器にもびっくり
バイオ卵を65℃で半熟に、パルメザンチーズ、黒い○はビゴール産豚のベーコンをパリパリにしたもの。ビネガー風味のドレッシングがからめてある。これらを合わせての食感と味わいは絶妙。
●主菜はGreyerzer Poularde鶏肉だが、付け合せの野菜も充分主役。この色とりどりの美しさはさすが美術館のレストラン。
ニンジンが赤も黄色も甘い。丸いのはラディッシュ、トマト・ピューレ、セロリのムース、リコッタ・チーズのスフレ。鶏肉にはスペインのハムとセージが挟み込んであった。
●デザートの前菜〜メニューにはなかったチョコレート料理三種
右から、シャーベットをチョコでコーティングしてカルア・ミルクの泡をのせたもの、センターのシンボルが入ったカネロニ風コーヒー味、プラリネのコーヒー味。
●デザート主菜はTatinリンゴですね。
手前はサワークリーム。スポイトに入ったカラメルソースを好みでかける。
退出の時、ひとりひとりに黄色い箱に入ったお土産を手渡してくれた。
中身は小さなお菓子四種類。夕飯はこれをつまめば充分かしらん。
建物入口の紅葉した楓に反応してしまうのは日本人だけではないでしょうね。波打った緑色のデザインがこのセンターのシンボルになっている。
ドアを入るとKOMA-Tsusin Swiss Autumn Tour 9daysと案内版があった。
今日のメニュー
ナプキンもこのセンターのシンボルがはいってしゃれている。
●アミューズは牛肉のタルタル(ユッケ風生肉)イタリアン・パセリ乗せ。
赤いのはバラのソース。下にひかれた黒い線は「ソイソース・カラメル」と説明された。「日本風なんですね」と反応すると、「皆さんは日本からなんですね」とにっこり。遠来の客をゆっくりもてなしてくれようとする雰囲気が嬉しい。
●前菜はFreiland Nusslisalatオミナエシのサラダ〜器にもびっくり
バイオ卵を65℃で半熟に、パルメザンチーズ、黒い○はビゴール産豚のベーコンをパリパリにしたもの。ビネガー風味のドレッシングがからめてある。これらを合わせての食感と味わいは絶妙。
●主菜はGreyerzer Poularde鶏肉だが、付け合せの野菜も充分主役。この色とりどりの美しさはさすが美術館のレストラン。
ニンジンが赤も黄色も甘い。丸いのはラディッシュ、トマト・ピューレ、セロリのムース、リコッタ・チーズのスフレ。鶏肉にはスペインのハムとセージが挟み込んであった。
●デザートの前菜〜メニューにはなかったチョコレート料理三種
右から、シャーベットをチョコでコーティングしてカルア・ミルクの泡をのせたもの、センターのシンボルが入ったカネロニ風コーヒー味、プラリネのコーヒー味。
●デザート主菜はTatinリンゴですね。
手前はサワークリーム。スポイトに入ったカラメルソースを好みでかける。
退出の時、ひとりひとりに黄色い箱に入ったお土産を手渡してくれた。
中身は小さなお菓子四種類。夕飯はこれをつまめば充分かしらん。
- グリムゼルのおもてなし、封鎖された峠のホテルを脱出
-
エリア:
- ヨーロッパ>スイス>マイリンゲン
- テーマ:街中・建物・景色 ハイキング・登山 自然・植物
- 投稿日:2012/07/07 12:30
- コメント(0)
霧と雨の中到着したグリムゼルホスピッツはダム湖の只中に建つ一軒家である。後日、峠から降りてくる途中に撮影した写真↓
手前のグリムゼル湖を見下ろすように建つ黒い三角屋根がホテル。その左側の建物群が発電所の施設。ともに目立たないようにつくられているのがわかる。色の違うむこうの湖も人造湖レーデリクスボーデン。
嵐のような天気の中ここへ到着したのだが、霧でどんなところにいるのか見当もつかない状況であった。そんな我々をホテルのダイニングは暖かくむかえてくれた。
●鳥レバーソテーと夏サラダ
●ポルチーニのクリームスープと生ハム
●ラムの腰肉とローズマリーソース、ズッキーニとポム・ドフィーヌ(ジャガイモのピューレとシュー生地をボール状にして卵黄をかけて焼いたもの)
レバーやラムの肉は「日本人は苦手」という先入観が日本の旅行会社にあるのであまり出されない。でも、実際上手に調理してあればとても美味い食材なのです。チィチーノのスイス赤ワインにもよく合った。
**
翌朝起きて、天気は回復するどころか雷まで加わった豪雨である。霧だけはとれてきて、自分たちが今どんな峠道のホテルにいるのかが理解できてきた。
ホテルからダム湖を見下ろす
少し雨の止んだ時にダムの端まででて見上げるホテル
この風変わりな三角屋根は、ダム建設で沈んだ修道院を模している。自分の足ものとの水の下に、こんな建物があるという事実は不思議な感覚だ。
今日は10時の出発してツェルマットへ向かう予定。チャーターバスをオーダーしていたが、そのバスは既に昨夜到着している。朝、そのドライバーと顔をあわせると★「落石で峠はどちらの道へも降りられない状況だよ」と、いきなり教えてくれた。
ホテルのスタッフに訊くと、「復旧作業ははじまっているが、いつ道が開くのかは分からない」との事。ううむ、それじゃ、とにかくこの場所を楽みましょ!
ここは水力発電に関すする展示もあるのでそれを見に行くことにする。ダムサイトのエレベーターを降りるとびっくり。誰もいないの峠道のこんな場所に、無料の充実した博物館がつくられているのである。ホテルから右下の建物がそれ。
英語も併記されていてわかりやすい。この図によると★スイスの発電量の6割弱が水力。そして原子力が四割を占める。原子力発電所は国内に5基あるが、実際には三基が稼働している状況らしい。
★以下、この旅のために現地の方に調べていただいた内容を加えて解説。
☆きのう霧の中で乗った急勾配の乗り物も含めて、このあたりはKWOという私営の発電会社の所有となっている。KWOとはつまり「K=Kraft(英語で言うPower=電力)」「W=Werk(英語で言うWork=この場合設備を指す)」合わせてKWは発電所という意味になる。
☆Oberhasliオーバーハスリは地名。標準ドイツ語でHase(ハーゼ)はウサギ。Hasliはスイスドイツ語でウサギちゃん。※語尾にliがつくとカワイイ感じに聞こえるのがスイスドイツ語。
マイリンゲン周辺の山をHasliberg(ハスリベルク:ウサギちゃん山)、
谷をHaslital(ハスリタール:ウサギちゃん谷)と呼ぶ。グリムゼル峠周辺はOberhasli。
よってKWOを無理やり訳せば「ウサギ谷発電所」となりましょうか。
★グリムゼル湖について<海抜1909m>
1億㎥の水をたたえるグリムゼル湖はKWOの5つの貯水池の中で最大の湖です。
長さ約6km、発電能力は2億6100万KWです。この貯水量を全部使って発電すれば、約3億kWhの総電力生産量となり、住宅3百万軒が月間に消費する電力量を賄うことができ、これは料金にして50億円に相当します。
1926年にダム壁と湖岸の両方が建設され、1932年、グリムゼル湖の水から初めてのグリムゼル電力がハンデック第1発電所で生産されました。
複雑な山岳地形を活かして大小さまざまな貯水湖を水路で網目様に繋いで、総水量を多くしています。しかもそれらの水路や道路を地中トンネル式にして、地表から観光客の目に入らないように配慮しているのです。
なあるほど!よく調べていただきました。
しばらく地下の博物館をわいわい貸切見学をしていると、突然、ホテルのスタッフが我々を呼びに来た。「発電所を通してみなさんを脱出させてあげましょう」という。
はじめは、いったい何のことか分からなかったが、はっと思い当たった。この発電所はほとんどすべてが地下に造られている。その設備の中を通して封鎖されている道の外へ出してくれようとしているのだ。
急ぎ、ホテルへ戻り出発準備。時刻はもうすぐ午前11時。
朝までの仕事を終えたホテルのスタッフがりんごを齧りながら我々を案内してくれたのはさっきの博物館の下の階にあるゴンドラだった。
8人しか乗れないこの小さなゴンドラが動いているのは以前見たことがあったが、そうか、これは発電所やホテルの従業員用のものだったのか。
我々は少人数だから二度の運行で出してもらえることになったのだろう。
ゴンドラからは巨大なグリムゼル湖のダム壁がよく見える。
到着したダムの下でしばらく待たされ、迎えの車が地下から登場した。
※二日後に再びこの峠を越えた時、その場所がバスから見えた。
ダム壁の左端から、写真右下へゴンドラで降り、そこに開けられた入口から地下道へ入ったのである。
まっすぐな整備されたコンクリートの道が出現した。途中にあるいくつかの扉が開くと、また別の長いトンネルが続いている。
途中のガラスのショーケースに何か展示されている。「ロッククリスタル」と運転している発電所スタッフが教えてくれる。
ドライバーが運転しながらひとつの横扉を指して「ここを入ると研究所」と言う。前出の調べていただたい資料から、それが何かわかる。
★実はグリムゼルは核廃棄物の埋没試験場として有名なところです。
国内5基の原発から出てしまった廃棄物を山中に穴を掘って埋めようとしています。これも地中で作業しているので、日本人ほか年間2千人の見学者が訪れる迫力ある美しい峠道を通っても、これらの処理場は地表からは見えません。
青森の大湊港(原子力船むつ)や六ヶ所村(再処理工場)で大騒ぎする日本が
アイスランドと並んで見習うべきところといえるでしょう。
☆ドイツのハイルブロンでも地下にこういった施設があるのを新聞で読んだことがあった。原子力発電所からの廃棄物は、ただの廃棄物ということではなく処理して再利用が可能である。将来、これらを必要とする子孫たちに安全に引き渡せるように、研究して貯蔵してあるのである。
三キロ近いトンネルを走り・・・
ドアが開くと、もうひとつ下のダムの壁が見えるところへ出た。★冬季、この峠は雪で封鎖される。しかし、発電所は稼動しているのだからそこで働く人々は現場へ行ける必要がある。この地下道はそのためのものなのである。
車はその壁を見上げる道を走り
一般道へ合流
きのう昼食を食べたハンデックホテルへの道を下っていくが、一台の車にも出会わない。そりゃ、そうだ、峠の道は封鎖されているのだから。
我々だけがこのバーの向こうから降りてくることが出来た。
無事、封鎖されたグリムゼル峠を脱出!
手前のグリムゼル湖を見下ろすように建つ黒い三角屋根がホテル。その左側の建物群が発電所の施設。ともに目立たないようにつくられているのがわかる。色の違うむこうの湖も人造湖レーデリクスボーデン。
嵐のような天気の中ここへ到着したのだが、霧でどんなところにいるのか見当もつかない状況であった。そんな我々をホテルのダイニングは暖かくむかえてくれた。
●鳥レバーソテーと夏サラダ
●ポルチーニのクリームスープと生ハム
●ラムの腰肉とローズマリーソース、ズッキーニとポム・ドフィーヌ(ジャガイモのピューレとシュー生地をボール状にして卵黄をかけて焼いたもの)
レバーやラムの肉は「日本人は苦手」という先入観が日本の旅行会社にあるのであまり出されない。でも、実際上手に調理してあればとても美味い食材なのです。チィチーノのスイス赤ワインにもよく合った。
**
翌朝起きて、天気は回復するどころか雷まで加わった豪雨である。霧だけはとれてきて、自分たちが今どんな峠道のホテルにいるのかが理解できてきた。
ホテルからダム湖を見下ろす
少し雨の止んだ時にダムの端まででて見上げるホテル
この風変わりな三角屋根は、ダム建設で沈んだ修道院を模している。自分の足ものとの水の下に、こんな建物があるという事実は不思議な感覚だ。
今日は10時の出発してツェルマットへ向かう予定。チャーターバスをオーダーしていたが、そのバスは既に昨夜到着している。朝、そのドライバーと顔をあわせると★「落石で峠はどちらの道へも降りられない状況だよ」と、いきなり教えてくれた。
ホテルのスタッフに訊くと、「復旧作業ははじまっているが、いつ道が開くのかは分からない」との事。ううむ、それじゃ、とにかくこの場所を楽みましょ!
ここは水力発電に関すする展示もあるのでそれを見に行くことにする。ダムサイトのエレベーターを降りるとびっくり。誰もいないの峠道のこんな場所に、無料の充実した博物館がつくられているのである。ホテルから右下の建物がそれ。
英語も併記されていてわかりやすい。この図によると★スイスの発電量の6割弱が水力。そして原子力が四割を占める。原子力発電所は国内に5基あるが、実際には三基が稼働している状況らしい。
★以下、この旅のために現地の方に調べていただいた内容を加えて解説。
☆きのう霧の中で乗った急勾配の乗り物も含めて、このあたりはKWOという私営の発電会社の所有となっている。KWOとはつまり「K=Kraft(英語で言うPower=電力)」「W=Werk(英語で言うWork=この場合設備を指す)」合わせてKWは発電所という意味になる。
☆Oberhasliオーバーハスリは地名。標準ドイツ語でHase(ハーゼ)はウサギ。Hasliはスイスドイツ語でウサギちゃん。※語尾にliがつくとカワイイ感じに聞こえるのがスイスドイツ語。
マイリンゲン周辺の山をHasliberg(ハスリベルク:ウサギちゃん山)、
谷をHaslital(ハスリタール:ウサギちゃん谷)と呼ぶ。グリムゼル峠周辺はOberhasli。
よってKWOを無理やり訳せば「ウサギ谷発電所」となりましょうか。
★グリムゼル湖について<海抜1909m>
1億㎥の水をたたえるグリムゼル湖はKWOの5つの貯水池の中で最大の湖です。
長さ約6km、発電能力は2億6100万KWです。この貯水量を全部使って発電すれば、約3億kWhの総電力生産量となり、住宅3百万軒が月間に消費する電力量を賄うことができ、これは料金にして50億円に相当します。
1926年にダム壁と湖岸の両方が建設され、1932年、グリムゼル湖の水から初めてのグリムゼル電力がハンデック第1発電所で生産されました。
複雑な山岳地形を活かして大小さまざまな貯水湖を水路で網目様に繋いで、総水量を多くしています。しかもそれらの水路や道路を地中トンネル式にして、地表から観光客の目に入らないように配慮しているのです。
なあるほど!よく調べていただきました。
しばらく地下の博物館をわいわい貸切見学をしていると、突然、ホテルのスタッフが我々を呼びに来た。「発電所を通してみなさんを脱出させてあげましょう」という。
はじめは、いったい何のことか分からなかったが、はっと思い当たった。この発電所はほとんどすべてが地下に造られている。その設備の中を通して封鎖されている道の外へ出してくれようとしているのだ。
急ぎ、ホテルへ戻り出発準備。時刻はもうすぐ午前11時。
朝までの仕事を終えたホテルのスタッフがりんごを齧りながら我々を案内してくれたのはさっきの博物館の下の階にあるゴンドラだった。
8人しか乗れないこの小さなゴンドラが動いているのは以前見たことがあったが、そうか、これは発電所やホテルの従業員用のものだったのか。
我々は少人数だから二度の運行で出してもらえることになったのだろう。
ゴンドラからは巨大なグリムゼル湖のダム壁がよく見える。
到着したダムの下でしばらく待たされ、迎えの車が地下から登場した。
※二日後に再びこの峠を越えた時、その場所がバスから見えた。
ダム壁の左端から、写真右下へゴンドラで降り、そこに開けられた入口から地下道へ入ったのである。
まっすぐな整備されたコンクリートの道が出現した。途中にあるいくつかの扉が開くと、また別の長いトンネルが続いている。
途中のガラスのショーケースに何か展示されている。「ロッククリスタル」と運転している発電所スタッフが教えてくれる。
ドライバーが運転しながらひとつの横扉を指して「ここを入ると研究所」と言う。前出の調べていただたい資料から、それが何かわかる。
★実はグリムゼルは核廃棄物の埋没試験場として有名なところです。
国内5基の原発から出てしまった廃棄物を山中に穴を掘って埋めようとしています。これも地中で作業しているので、日本人ほか年間2千人の見学者が訪れる迫力ある美しい峠道を通っても、これらの処理場は地表からは見えません。
青森の大湊港(原子力船むつ)や六ヶ所村(再処理工場)で大騒ぎする日本が
アイスランドと並んで見習うべきところといえるでしょう。
☆ドイツのハイルブロンでも地下にこういった施設があるのを新聞で読んだことがあった。原子力発電所からの廃棄物は、ただの廃棄物ということではなく処理して再利用が可能である。将来、これらを必要とする子孫たちに安全に引き渡せるように、研究して貯蔵してあるのである。
三キロ近いトンネルを走り・・・
ドアが開くと、もうひとつ下のダムの壁が見えるところへ出た。★冬季、この峠は雪で封鎖される。しかし、発電所は稼動しているのだからそこで働く人々は現場へ行ける必要がある。この地下道はそのためのものなのである。
車はその壁を見上げる道を走り
一般道へ合流
きのう昼食を食べたハンデックホテルへの道を下っていくが、一台の車にも出会わない。そりゃ、そうだ、峠の道は封鎖されているのだから。
我々だけがこのバーの向こうから降りてくることが出来た。
無事、封鎖されたグリムゼル峠を脱出!
- 雨と霧のグリムゼル峠へ、そして美味しいおもてなし
-
エリア:
- ヨーロッパ>スイス>マイリンゲン
- テーマ:ホテル・宿泊 グルメ 自然・植物
- 投稿日:2012/07/04 01:17
- コメント(0)
グリンデルヴァルドからポストバスを乗り継いで峠を越えた。グループ旅行でこんなルートを行くのは《手造の旅》ぐらいのものだろう。なにせ一般車両でさえも入れないルートなのである。
マイリンゲンからグリムゼル峠へ向かう道へ入り、途中にあるハンデックホテルで昼食にした。ポストバスから降りる我々15人をポストバスの運転手さんもめずらしそうに、心配そうに、バスから降りて見送ってくれた。
ハンデックホテルには今回の昼食のためにわざわざ下見に行っていただいた。その今回の旅にかける想いは、ホテル側に伝わっていたといって良い。最初に出されたサラダは、雨に降られた疲れも忘れさせるような美しい花のサラダだった!そしてメニューカードの言葉★皆様がお食事を楽しんでくださること、そしてこのハンデックでの時間が忘れられないものとなるよう願いを込めて★
●第一の皿*色彩豊かなサラダとアルプスのハーブ、自家製山岳チーズとフレッシュチーズのドレッシング
チーズはホテルのすぐ裏でつくっている。ドレッシングもそのチーズをつかったここだけのもの。花は皿に塗った蜂蜜の上にデザインされていて、これをパンでぬぐって食べる。すべて、食べられる美しくて美味しいサラダなのです。
●第二の皿*子牛のクリームソース・チューリヒ風、クリスピーなバターレシュティ(ハッシュドポテト)と本日仕入れた野菜
メインコースはスイスでよく出される肉料理にきのこソースだが、付け合せの野菜がどれも秀逸。アスパラ、ズッキーニ、これらはその味だけでたべさせてくれている。
●第三の皿*フレッシュいちごとバニラクォーク(成熟させていない若いチーズ)マイリンゲン産メレンゲ
デザートは近くのマイリンゲンの町が発祥といわれる「メレンゲ」をつかった一皿。フレッシュなイチゴとさくさくの甘いメレンゲ。
**
さぁ、食事がおわったら裏にある絶景のアトラクションへ行こう。道にはここで飼われているぶたちゃん。
そしてその先を登っていくと・・・おお!今日はこの長さ70メートルの吊り橋、行方は霧の中。
高さも70メートルあるこのゆれる橋、企画段階では渡れない人が出るかもしれないと心配していたのだが、この霧のおかげで下が見えず、全員ほいほいと渡りきることができたのだった(笑)
この橋も面白いけれど、これを渡りに来たのではない。この先にあるヨーロッパで最も急勾配をあがっていく乗り物が目的。
ゲルマーバーンは最大斜度106%!角度にして45度を超えているのです。
実際に乗っていると背中から真上に吊り上げられるような感覚に襲われる。足の下の霧の中へ転げ落ちそうに感じる。
この乗り物はもともと電力会社がゲルマーダム建設のために建設した。作業員を運ぶ輸送機関だったのである。
KWOというその電力開発私企業のロゴが車体にプリントしてある。
★このゲルマーバーンからは晴れた日には絶景が見えるのだが、本日は全くの霧の中。
ゲルマーバーンを降り、ハンデックホテル前から峠に上がる最終のポストバスに乗り、ダムサイトに一軒だけ建てられたホテルへ到着。
峠のホテル、グリムゼルホスピッツに到着する頃に、雨はもう嵐と呼んで良い状態になってたのだった。
〜翌日の旅行記に続く
マイリンゲンからグリムゼル峠へ向かう道へ入り、途中にあるハンデックホテルで昼食にした。ポストバスから降りる我々15人をポストバスの運転手さんもめずらしそうに、心配そうに、バスから降りて見送ってくれた。
ハンデックホテルには今回の昼食のためにわざわざ下見に行っていただいた。その今回の旅にかける想いは、ホテル側に伝わっていたといって良い。最初に出されたサラダは、雨に降られた疲れも忘れさせるような美しい花のサラダだった!そしてメニューカードの言葉★皆様がお食事を楽しんでくださること、そしてこのハンデックでの時間が忘れられないものとなるよう願いを込めて★
●第一の皿*色彩豊かなサラダとアルプスのハーブ、自家製山岳チーズとフレッシュチーズのドレッシング
チーズはホテルのすぐ裏でつくっている。ドレッシングもそのチーズをつかったここだけのもの。花は皿に塗った蜂蜜の上にデザインされていて、これをパンでぬぐって食べる。すべて、食べられる美しくて美味しいサラダなのです。
●第二の皿*子牛のクリームソース・チューリヒ風、クリスピーなバターレシュティ(ハッシュドポテト)と本日仕入れた野菜
メインコースはスイスでよく出される肉料理にきのこソースだが、付け合せの野菜がどれも秀逸。アスパラ、ズッキーニ、これらはその味だけでたべさせてくれている。
●第三の皿*フレッシュいちごとバニラクォーク(成熟させていない若いチーズ)マイリンゲン産メレンゲ
デザートは近くのマイリンゲンの町が発祥といわれる「メレンゲ」をつかった一皿。フレッシュなイチゴとさくさくの甘いメレンゲ。
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さぁ、食事がおわったら裏にある絶景のアトラクションへ行こう。道にはここで飼われているぶたちゃん。
そしてその先を登っていくと・・・おお!今日はこの長さ70メートルの吊り橋、行方は霧の中。
高さも70メートルあるこのゆれる橋、企画段階では渡れない人が出るかもしれないと心配していたのだが、この霧のおかげで下が見えず、全員ほいほいと渡りきることができたのだった(笑)
この橋も面白いけれど、これを渡りに来たのではない。この先にあるヨーロッパで最も急勾配をあがっていく乗り物が目的。
ゲルマーバーンは最大斜度106%!角度にして45度を超えているのです。
実際に乗っていると背中から真上に吊り上げられるような感覚に襲われる。足の下の霧の中へ転げ落ちそうに感じる。
この乗り物はもともと電力会社がゲルマーダム建設のために建設した。作業員を運ぶ輸送機関だったのである。
KWOというその電力開発私企業のロゴが車体にプリントしてある。
★このゲルマーバーンからは晴れた日には絶景が見えるのだが、本日は全くの霧の中。
ゲルマーバーンを降り、ハンデックホテル前から峠に上がる最終のポストバスに乗り、ダムサイトに一軒だけ建てられたホテルへ到着。
峠のホテル、グリムゼルホスピッツに到着する頃に、雨はもう嵐と呼んで良い状態になってたのだった。
〜翌日の旅行記に続く
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