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エリア:
- 近畿 > 京都
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テーマ:
- 書籍・CD・DVD
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- / 歴史・文化・芸術
表題の作品を読みました。
以下にその感想です。
『犯人は現場に首だけ戻る』
倉知淳(実業之日本社)
主人公・折本光一と久世敬太郎は本職は(さほど売れない)フリーライターだが、警察で「派遣さん」と呼ばれる非正規雇用捜査官でもある。まあ、その実態は警察の捜査に「協力」して犯行現場に行ったり関係者に事情聴取したりしてレポートを提出するというもの。あまり良く分からない部分もあるが、2人はいわゆる「隙間バイト」でこれをやっているのだろう。一応は登録制のようであるが。しかしそこはまあ、深く追求せずに「こういう仕事もあるのだ」と大らかに受け止めたい。現代を舞台にしたミステリで民間の探偵がどうやって警察と協力するのか、という課題に対してのひとつの解答がここにあるわけだ。ちなみに、探偵役は久世の方である。
余談だが、この作品中で並の作家なら「京都弁」と書くところを倉知氏は「京言葉」と正しく書いている。流石である。ベテランの境地である。ただ、「京ことば」と書いてくれたらもっと良かったと思う。^^
さて、本書は4作が収録されれているが、全体を貫くキーワードは「切断」である。「切断」というとジョイス・ポーターの『ドーヴァー4』を思い浮かべるが、「犯人は何故切断したのか」という謎に四者四様の解決がある。短編本格ミステリのお手本のような一冊なのだ。
「犯人は現場に(首だけ)戻る」〜首ヲ切ル者〜
強盗殺人の容疑者が殺され、切断された首が強盗殺人の現場である家の門柱に乗せられていた。何故。
首切断の理由も本格ミステリ的で納得がいく。傑作である。冒頭の作品が良いと全体に対する期待が膨らむ。
「かゆいところに手が(もう一本分)届く」〜腕ヲ切ル者〜
車に撥ねられて死んだ女性の右腕が切断され、死体の腹の上に乗せられていた。何故。
切断した腕の使い道は何だったのか、という謎である。
この事件に別件の殺人事件が絡み、久世は犯人が切断した腕を何に使ったかを解き明かす。
「悪事千里を(片方の足で)走る」〜足ヲ切ル者〜
被害者は左胸を刺され、首を絞められて、左足を切断されていた。しかも切断された足はご丁寧にもズボンの中に戻されていたのである。何故。
これは関係者の証言から「被害者は足を見せたくなかった」とうのはすぐ分かる。では、それは何故かというと想像がつかないのである。
前半の二作では折本と久世の2人は担当刑事の案内であっちこっち動き回るのだが、この第三話では一ヶ所に留まっている。つまり関係者がひとつの場所に集まっている所で事情聴取をしているわけだ。なので小説としてもかなりの部分は各関係者の証言だけが並べられている。
これは作者の手抜きではないだろう。証言だけを次々と読むことで被害者の「足の秘密」がクローズアップされて来るのである。ちゃんと考えているのだ、と思う。
「幽明境を(首も手足も)異にする」〜ばらばらニ切ル者〜
最後の作品は少し短い。他の三編の半分の長さである。
被害者は頭部と四肢がバラバラに切断され、ご丁寧にも両手足は手首と足首とでも切断されていたのである。何故。
最後の作品では折本と久世は動き回らないだけではなく、関係者の事情聴取もしない。否、する必要がないのだ。何故ならば聴きに行くべき関係者がいないから。
これでどうやって事件を解決する?
それが出来るのである。現場の状況だけで久世敬太郎は真相を喝破する。見事だ。
先行の三話はWEB雑誌に掲載されたようだが、この最終話は書き下ろしである。だから手を抜いたのではないだろう。最小限の手懸りだけで論理を組み立てて解決に至るという、究極の設定なのだ、と思う。
本格派ファンならこの本を読まない手は無い。
今年のベストテン候補である。
http://sealedroom.blog.jp
以下にその感想です。
『犯人は現場に首だけ戻る』
倉知淳(実業之日本社)
主人公・折本光一と久世敬太郎は本職は(さほど売れない)フリーライターだが、警察で「派遣さん」と呼ばれる非正規雇用捜査官でもある。まあ、その実態は警察の捜査に「協力」して犯行現場に行ったり関係者に事情聴取したりしてレポートを提出するというもの。あまり良く分からない部分もあるが、2人はいわゆる「隙間バイト」でこれをやっているのだろう。一応は登録制のようであるが。しかしそこはまあ、深く追求せずに「こういう仕事もあるのだ」と大らかに受け止めたい。現代を舞台にしたミステリで民間の探偵がどうやって警察と協力するのか、という課題に対してのひとつの解答がここにあるわけだ。ちなみに、探偵役は久世の方である。
余談だが、この作品中で並の作家なら「京都弁」と書くところを倉知氏は「京言葉」と正しく書いている。流石である。ベテランの境地である。ただ、「京ことば」と書いてくれたらもっと良かったと思う。^^
さて、本書は4作が収録されれているが、全体を貫くキーワードは「切断」である。「切断」というとジョイス・ポーターの『ドーヴァー4』を思い浮かべるが、「犯人は何故切断したのか」という謎に四者四様の解決がある。短編本格ミステリのお手本のような一冊なのだ。
「犯人は現場に(首だけ)戻る」〜首ヲ切ル者〜
強盗殺人の容疑者が殺され、切断された首が強盗殺人の現場である家の門柱に乗せられていた。何故。
首切断の理由も本格ミステリ的で納得がいく。傑作である。冒頭の作品が良いと全体に対する期待が膨らむ。
「かゆいところに手が(もう一本分)届く」〜腕ヲ切ル者〜
車に撥ねられて死んだ女性の右腕が切断され、死体の腹の上に乗せられていた。何故。
切断した腕の使い道は何だったのか、という謎である。
この事件に別件の殺人事件が絡み、久世は犯人が切断した腕を何に使ったかを解き明かす。
「悪事千里を(片方の足で)走る」〜足ヲ切ル者〜
被害者は左胸を刺され、首を絞められて、左足を切断されていた。しかも切断された足はご丁寧にもズボンの中に戻されていたのである。何故。
これは関係者の証言から「被害者は足を見せたくなかった」とうのはすぐ分かる。では、それは何故かというと想像がつかないのである。
前半の二作では折本と久世の2人は担当刑事の案内であっちこっち動き回るのだが、この第三話では一ヶ所に留まっている。つまり関係者がひとつの場所に集まっている所で事情聴取をしているわけだ。なので小説としてもかなりの部分は各関係者の証言だけが並べられている。
これは作者の手抜きではないだろう。証言だけを次々と読むことで被害者の「足の秘密」がクローズアップされて来るのである。ちゃんと考えているのだ、と思う。
「幽明境を(首も手足も)異にする」〜ばらばらニ切ル者〜
最後の作品は少し短い。他の三編の半分の長さである。
被害者は頭部と四肢がバラバラに切断され、ご丁寧にも両手足は手首と足首とでも切断されていたのである。何故。
最後の作品では折本と久世は動き回らないだけではなく、関係者の事情聴取もしない。否、する必要がないのだ。何故ならば聴きに行くべき関係者がいないから。
これでどうやって事件を解決する?
それが出来るのである。現場の状況だけで久世敬太郎は真相を喝破する。見事だ。
先行の三話はWEB雑誌に掲載されたようだが、この最終話は書き下ろしである。だから手を抜いたのではないだろう。最小限の手懸りだけで論理を組み立てて解決に至るという、究極の設定なのだ、と思う。
本格派ファンならこの本を読まない手は無い。
今年のベストテン候補である。
http://sealedroom.blog.jp


