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- プロヴァンス・アルプ・コートダジュールを走る
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エリア:
- ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
- テーマ:観光地 街中・建物・景色 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2014/11/04 20:21
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フランスは地方がそれぞれ個性豊かであることが特徴です。特に、南フランスは地方のなかでも別格。
南仏といえば、ニースやカンヌ、モンテカルロといった有名・高級避暑地がすぐに頭に浮かぶかもしれません。でも、これらはコートダジュール、またの名をリビエラ海岸地域ともいわれ、地中海に面してイタリアとの国境沿い付近に広がる一部の地域をさします。
南フランスの魅力は高級リゾートに限ったものではありません。歴史観光はもちろんのこと、香水からグルメ、ワイン、ライフスタイル、芸術に至るまで様々な領域で世界中の多くの人々を魅了してきました。
コートダジュールからスペインに向かって進むと地中海沿いに進むと、香水の街、グラースに辿りつきます。フランスをはじめ世界の有名なメゾンの殆どは、このグラースで香水を調達するといいます。何万もの異なる香を嗅ぎ分けることができる調香師が調合する秘伝の香り・・・。香水を創ることができるのは有名メゾンに限ったことではありません、香水造りに関する一日コースに参加し、自分オリジナルの香水をプロデュースすることもできます。
内陸部に向かうと、アビニオンやアルルに代表されるオートプロヴァンスがあります。教皇庁やローマ時代の水道橋などの世界遺産を堪能し、中世の歴史に想いを馳せるには格好のロケーション。アルルは、ゴッホとゴーギャンが暮らした場所としても知られており、かの有名な「ひまわり」「アルルのゴッホの寝室」などが描かれました。
あまり知られていませんが、ゴッホやゴーギャンに限らず多くの印象派の画家が南仏の太陽に惹かれ、当地で人生の一時を過ごしたということ。サンポール・ド・ヴァンスに礼拝堂を建てたマチス、エクス・アン・プロヴァンスで生涯を閉じたセザンヌ、他にもシャガールやピカソなども一時を過ごし、南仏の太陽の下に煌めく自然や人、街並みを描いたといわれます。
画家に限らず、私達一般人も感動のため息を漏らすのが、辺り一面に広がるラベンダーやひまわり畑。南仏の太陽と大自然に育まれた食材を活かすプロヴァンス料理も多く生み出され、ピーター・メールの『南仏プロヴァンスの12ヵ月』で南仏のライフスタイルが紹介され、日本でも有名になりました。
フランス全土の街や村で定期的に立つマルシェの散策はフランスで暮らす愉しみの1つとしてあります。澄み渡る青空の下を散歩して、旬の食材や地元の手作りグルメで溢れかえるマルシェで買い物をする贅沢。地元の人達とおしゃべりしながら、ついでによそのお宅のレシピまで教えてもらったり。夏場であれば、熟れた真っ赤なプラムを紙袋一杯に買い込み、がぶりと噛みついた瞬間に広がるジューシーな甘さ・・・。フランス人が「人生の愉しみ方」を知っていると言われる所以が理解できる瞬間です。
あまり知られていませんが、ローヌ川沿いはプロヴァンス・ワインの生産地で、中にはボルドーやブルゴーニュに匹敵する質を誇るものもあります。南仏の暑さを吹き飛ばすのど越し爽やかなロゼが人気で、オリーブオイルやトマトを基調にし、魚料理ともよくマッチする辛口なものから、太陽を燦々と浴びた果物を彷彿させるフルーティなものまで様々です。
オートプロヴァンスから南下すると、パリと並ぶフランス最古の大学が立ち並ぶ学問の都市、エクス・アン・プロヴァンスに辿りつきます。夏には盛大な音楽祭なども開催され、南フランスの文化の発祥地といっても過言ではありません。街の中心地には、パリ大学に次ぐフランス最古の大学であるエクス・アン・プロヴァンス大学があります。印象派の画家のひとりであるセザンヌが描いた「サン・ヴィクトワール」も遠くに拝むことができ、なかなか落ちない夏の夕日に輝く姿はプロヴァンスの名物となっています。
更に南下すると、パリのリヨン駅を発ったTGVの終着駅となるマルセイユに到着します。ギリシャの植民地としての起源をもつマルセイユはフランス最古の都市、最大の貿易港として栄え、また、地中海世界の首都としての存在感を今に残す都市です。ブイヤベースやパスティスなどの地元の伝統料理に加え、クスクスなどのアラブ料理を出すお店も立ち並ぶなど、アラブ文化の影響が各所で色濃く感じられます。マルセイユは今や、アメリカの大都市に負けない「サラダボール」なのです。
多民族化が進む一方で、地中海が誇る伝統文化が脈々と受け継がれるのがこの都市の特長でもあります。サヴォン・ド・マルセイユなど、数世紀に亘る長い歴史を超えて原料から作り方から全て現在に受け継がれ、市内の5か所の工房でのみ生産されたものしか正式のサヴォンとして認められないとされているようなものから、今やフランス全土で愛されクリスマスには欠かせない「サントン・ド・マルセイユ」まで様々。サントン人形は、キリスト降誕を祝うクレシュの様子を再現したり、プロヴァンスの農民の生活を表現するものまで、プロヴァンスの伝統を今に伝える貴重な民芸品です。
最後になりましたが、プロヴァンスを語るのに忘れてはならないもの。それは、世紀の画家たちが魅せられ、追い求めた南仏の光です。プロヴァンスに来られた際には、朝起きたら必ず空を見上げて下さい。見渡す限り真っ青な空がどこまでも広がり、吸い込まれていきそうな錯覚を覚えます。どこまでも青い空には、白いカモメが輪を描いてゆったり飛んでおり、そこにほんのり地中海の潮風が吹いてくる。
夏場は午後10時を過ぎてようやく日が傾き、オレンジの暖かい間接照明がポツリ、またポツリと灯るようになる日暮まで、人々は家族や親しい友人達と一緒に食前酒や夕食を楽しみ、語らいます。レストランなどに限らず、各家庭のバルコニーでも人々が集まり、テーブルを出して楽しい団らんをひと時を過ごしているプロヴァンスの原風景。
自然と文明が穏やかに調和しているプロヴァンスに、是非とも一度TGVで旅してみて下さい。
南仏といえば、ニースやカンヌ、モンテカルロといった有名・高級避暑地がすぐに頭に浮かぶかもしれません。でも、これらはコートダジュール、またの名をリビエラ海岸地域ともいわれ、地中海に面してイタリアとの国境沿い付近に広がる一部の地域をさします。
南フランスの魅力は高級リゾートに限ったものではありません。歴史観光はもちろんのこと、香水からグルメ、ワイン、ライフスタイル、芸術に至るまで様々な領域で世界中の多くの人々を魅了してきました。
コートダジュールからスペインに向かって進むと地中海沿いに進むと、香水の街、グラースに辿りつきます。フランスをはじめ世界の有名なメゾンの殆どは、このグラースで香水を調達するといいます。何万もの異なる香を嗅ぎ分けることができる調香師が調合する秘伝の香り・・・。香水を創ることができるのは有名メゾンに限ったことではありません、香水造りに関する一日コースに参加し、自分オリジナルの香水をプロデュースすることもできます。
内陸部に向かうと、アビニオンやアルルに代表されるオートプロヴァンスがあります。教皇庁やローマ時代の水道橋などの世界遺産を堪能し、中世の歴史に想いを馳せるには格好のロケーション。アルルは、ゴッホとゴーギャンが暮らした場所としても知られており、かの有名な「ひまわり」「アルルのゴッホの寝室」などが描かれました。
あまり知られていませんが、ゴッホやゴーギャンに限らず多くの印象派の画家が南仏の太陽に惹かれ、当地で人生の一時を過ごしたということ。サンポール・ド・ヴァンスに礼拝堂を建てたマチス、エクス・アン・プロヴァンスで生涯を閉じたセザンヌ、他にもシャガールやピカソなども一時を過ごし、南仏の太陽の下に煌めく自然や人、街並みを描いたといわれます。
画家に限らず、私達一般人も感動のため息を漏らすのが、辺り一面に広がるラベンダーやひまわり畑。南仏の太陽と大自然に育まれた食材を活かすプロヴァンス料理も多く生み出され、ピーター・メールの『南仏プロヴァンスの12ヵ月』で南仏のライフスタイルが紹介され、日本でも有名になりました。
フランス全土の街や村で定期的に立つマルシェの散策はフランスで暮らす愉しみの1つとしてあります。澄み渡る青空の下を散歩して、旬の食材や地元の手作りグルメで溢れかえるマルシェで買い物をする贅沢。地元の人達とおしゃべりしながら、ついでによそのお宅のレシピまで教えてもらったり。夏場であれば、熟れた真っ赤なプラムを紙袋一杯に買い込み、がぶりと噛みついた瞬間に広がるジューシーな甘さ・・・。フランス人が「人生の愉しみ方」を知っていると言われる所以が理解できる瞬間です。
あまり知られていませんが、ローヌ川沿いはプロヴァンス・ワインの生産地で、中にはボルドーやブルゴーニュに匹敵する質を誇るものもあります。南仏の暑さを吹き飛ばすのど越し爽やかなロゼが人気で、オリーブオイルやトマトを基調にし、魚料理ともよくマッチする辛口なものから、太陽を燦々と浴びた果物を彷彿させるフルーティなものまで様々です。
オートプロヴァンスから南下すると、パリと並ぶフランス最古の大学が立ち並ぶ学問の都市、エクス・アン・プロヴァンスに辿りつきます。夏には盛大な音楽祭なども開催され、南フランスの文化の発祥地といっても過言ではありません。街の中心地には、パリ大学に次ぐフランス最古の大学であるエクス・アン・プロヴァンス大学があります。印象派の画家のひとりであるセザンヌが描いた「サン・ヴィクトワール」も遠くに拝むことができ、なかなか落ちない夏の夕日に輝く姿はプロヴァンスの名物となっています。
更に南下すると、パリのリヨン駅を発ったTGVの終着駅となるマルセイユに到着します。ギリシャの植民地としての起源をもつマルセイユはフランス最古の都市、最大の貿易港として栄え、また、地中海世界の首都としての存在感を今に残す都市です。ブイヤベースやパスティスなどの地元の伝統料理に加え、クスクスなどのアラブ料理を出すお店も立ち並ぶなど、アラブ文化の影響が各所で色濃く感じられます。マルセイユは今や、アメリカの大都市に負けない「サラダボール」なのです。
多民族化が進む一方で、地中海が誇る伝統文化が脈々と受け継がれるのがこの都市の特長でもあります。サヴォン・ド・マルセイユなど、数世紀に亘る長い歴史を超えて原料から作り方から全て現在に受け継がれ、市内の5か所の工房でのみ生産されたものしか正式のサヴォンとして認められないとされているようなものから、今やフランス全土で愛されクリスマスには欠かせない「サントン・ド・マルセイユ」まで様々。サントン人形は、キリスト降誕を祝うクレシュの様子を再現したり、プロヴァンスの農民の生活を表現するものまで、プロヴァンスの伝統を今に伝える貴重な民芸品です。
最後になりましたが、プロヴァンスを語るのに忘れてはならないもの。それは、世紀の画家たちが魅せられ、追い求めた南仏の光です。プロヴァンスに来られた際には、朝起きたら必ず空を見上げて下さい。見渡す限り真っ青な空がどこまでも広がり、吸い込まれていきそうな錯覚を覚えます。どこまでも青い空には、白いカモメが輪を描いてゆったり飛んでおり、そこにほんのり地中海の潮風が吹いてくる。
夏場は午後10時を過ぎてようやく日が傾き、オレンジの暖かい間接照明がポツリ、またポツリと灯るようになる日暮まで、人々は家族や親しい友人達と一緒に食前酒や夕食を楽しみ、語らいます。レストランなどに限らず、各家庭のバルコニーでも人々が集まり、テーブルを出して楽しい団らんをひと時を過ごしているプロヴァンスの原風景。
自然と文明が穏やかに調和しているプロヴァンスに、是非とも一度TGVで旅してみて下さい。
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