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フランス紀行

~フランスの社会・生活・文化に関する情報や日本社会との比較分析、世界各地を旅して発見した面白い情報をお届けします。~

プロフィール

ニックネーム:
Neomars
居住地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
性別:
女性
会社名:
Tabet International en France
会社英字名:
Tabet International en France
会社所在地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
業種:
現地ツアー企画・現地ガイドなど
自己紹介:
単なるスポット紹介やグルメを堪能することだけに飽き足らない旅慣れた日本人が欲している情報とは何か・・・。それは、「現地とコネクトすること」ことができる情報提供ではないかと思っています。表層に現れる現象の根拠を歴史的、文化的、社会的価値観の観点から探り、ついでに辛口ジョークや捻りの利いたブラックジョークも交えながら、「なるほど・・」と納得しながらクックックゥと笑って楽しんで頂ける情報提供をお約束します!

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近距離TGV
プロヴァンス・アルプ・コートダジュールを走る
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
テーマ:観光地 街中・建物・景色 歴史・文化・芸術 
投稿日:2014/11/04 20:21
コメント(0)
フランスは地方がそれぞれ個性豊かであることが特徴です。特に、南フランスは地方のなかでも別格。

南仏といえば、ニースやカンヌ、モンテカルロといった有名・高級避暑地がすぐに頭に浮かぶかもしれません。でも、これらはコートダジュール、またの名をリビエラ海岸地域ともいわれ、地中海に面してイタリアとの国境沿い付近に広がる一部の地域をさします。

近距離TGV

南フランスの魅力は高級リゾートに限ったものではありません。歴史観光はもちろんのこと、香水からグルメ、ワイン、ライフスタイル、芸術に至るまで様々な領域で世界中の多くの人々を魅了してきました。

コートダジュールからスペインに向かって進むと地中海沿いに進むと、香水の街、グラースに辿りつきます。フランスをはじめ世界の有名なメゾンの殆どは、このグラースで香水を調達するといいます。何万もの異なる香を嗅ぎ分けることができる調香師が調合する秘伝の香り・・・。香水を創ることができるのは有名メゾンに限ったことではありません、香水造りに関する一日コースに参加し、自分オリジナルの香水をプロデュースすることもできます。

内陸部に向かうと、アビニオンやアルルに代表されるオートプロヴァンスがあります。教皇庁やローマ時代の水道橋などの世界遺産を堪能し、中世の歴史に想いを馳せるには格好のロケーション。アルルは、ゴッホとゴーギャンが暮らした場所としても知られており、かの有名な「ひまわり」「アルルのゴッホの寝室」などが描かれました。

あまり知られていませんが、ゴッホやゴーギャンに限らず多くの印象派の画家が南仏の太陽に惹かれ、当地で人生の一時を過ごしたということ。サンポール・ド・ヴァンスに礼拝堂を建てたマチス、エクス・アン・プロヴァンスで生涯を閉じたセザンヌ、他にもシャガールやピカソなども一時を過ごし、南仏の太陽の下に煌めく自然や人、街並みを描いたといわれます。

エクス駅

画家に限らず、私達一般人も感動のため息を漏らすのが、辺り一面に広がるラベンダーやひまわり畑。南仏の太陽と大自然に育まれた食材を活かすプロヴァンス料理も多く生み出され、ピーター・メールの『南仏プロヴァンスの12ヵ月』で南仏のライフスタイルが紹介され、日本でも有名になりました。

フランス全土の街や村で定期的に立つマルシェの散策はフランスで暮らす愉しみの1つとしてあります。澄み渡る青空の下を散歩して、旬の食材や地元の手作りグルメで溢れかえるマルシェで買い物をする贅沢。地元の人達とおしゃべりしながら、ついでによそのお宅のレシピまで教えてもらったり。夏場であれば、熟れた真っ赤なプラムを紙袋一杯に買い込み、がぶりと噛みついた瞬間に広がるジューシーな甘さ・・・。フランス人が「人生の愉しみ方」を知っていると言われる所以が理解できる瞬間です。

あまり知られていませんが、ローヌ川沿いはプロヴァンス・ワインの生産地で、中にはボルドーやブルゴーニュに匹敵する質を誇るものもあります。南仏の暑さを吹き飛ばすのど越し爽やかなロゼが人気で、オリーブオイルやトマトを基調にし、魚料理ともよくマッチする辛口なものから、太陽を燦々と浴びた果物を彷彿させるフルーティなものまで様々です。

オートプロヴァンスから南下すると、パリと並ぶフランス最古の大学が立ち並ぶ学問の都市、エクス・アン・プロヴァンスに辿りつきます。夏には盛大な音楽祭なども開催され、南フランスの文化の発祥地といっても過言ではありません。街の中心地には、パリ大学に次ぐフランス最古の大学であるエクス・アン・プロヴァンス大学があります。印象派の画家のひとりであるセザンヌが描いた「サン・ヴィクトワール」も遠くに拝むことができ、なかなか落ちない夏の夕日に輝く姿はプロヴァンスの名物となっています。

マルセイユ市街

更に南下すると、パリのリヨン駅を発ったTGVの終着駅となるマルセイユに到着します。ギリシャの植民地としての起源をもつマルセイユはフランス最古の都市、最大の貿易港として栄え、また、地中海世界の首都としての存在感を今に残す都市です。ブイヤベースやパスティスなどの地元の伝統料理に加え、クスクスなどのアラブ料理を出すお店も立ち並ぶなど、アラブ文化の影響が各所で色濃く感じられます。マルセイユは今や、アメリカの大都市に負けない「サラダボール」なのです。

多民族化が進む一方で、地中海が誇る伝統文化が脈々と受け継がれるのがこの都市の特長でもあります。サヴォン・ド・マルセイユなど、数世紀に亘る長い歴史を超えて原料から作り方から全て現在に受け継がれ、市内の5か所の工房でのみ生産されたものしか正式のサヴォンとして認められないとされているようなものから、今やフランス全土で愛されクリスマスには欠かせない「サントン・ド・マルセイユ」まで様々。サントン人形は、キリスト降誕を祝うクレシュの様子を再現したり、プロヴァンスの農民の生活を表現するものまで、プロヴァンスの伝統を今に伝える貴重な民芸品です。

最後になりましたが、プロヴァンスを語るのに忘れてはならないもの。それは、世紀の画家たちが魅せられ、追い求めた南仏の光です。プロヴァンスに来られた際には、朝起きたら必ず空を見上げて下さい。見渡す限り真っ青な空がどこまでも広がり、吸い込まれていきそうな錯覚を覚えます。どこまでも青い空には、白いカモメが輪を描いてゆったり飛んでおり、そこにほんのり地中海の潮風が吹いてくる。

夏場は午後10時を過ぎてようやく日が傾き、オレンジの暖かい間接照明がポツリ、またポツリと灯るようになる日暮まで、人々は家族や親しい友人達と一緒に食前酒や夕食を楽しみ、語らいます。レストランなどに限らず、各家庭のバルコニーでも人々が集まり、テーブルを出して楽しい団らんをひと時を過ごしているプロヴァンスの原風景。

自然と文明が穏やかに調和しているプロヴァンスに、是非とも一度TGVで旅してみて下さい。
タグ:
南フランス プロヴァンス 地中海 コートダジュール 南仏 

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フランスの全てを教えます!
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サヴォン・ド・マルセイユ(Savon de Marseille)を救え!
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
テーマ:買物・土産 観光地 歴史・文化・芸術 
投稿日:2012/12/22 20:21
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昨日のフリーペーパーに、サヴォン・ド・マルセイユを守るために、マルセイユのアルティザンが署名活動を開始した旨を報じた記事が掲載されていました。

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サヴォン・ド・マルセイユという石鹸は、誰でも一度は聞いたことがあるかと思います。Made in France というよりも、Made in Marseilleの石鹸で、プロヴァンスで取れたオリーブオイルや他原料を使用し、地中海の海水を用いて醸造し、最後は地中海の潮風で自然乾燥て作られることが義務付けられており、政府の厳しい管轄の下に置かれています。

私も個人的に驚いたのですが、作り方は各メゾンによって少々異なるものの、原料に用いるものは全てプロヴァンス産であることが厳しく求められているとのことです。対岸から来るマグレブ産などの安いもので間に合わせたものは、たとえ作り方が正しくとも、最早サヴォン・ド・マルセイユとは見なされないといいます。

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実際に見ていただくと分かるのですが、オリーブ成分のパーセンテージ(72%)までしっかりと彫刻されているのが分かります。色はベージュと緑色のものが元祖ですが、昨今では、観光客向けに各種色素をつけた彩り豊かなヴァージョンも出回っています。

もっとも、この着色に関して地元の工房の間で意見が分かれています。人工的に着色したものも正式のサヴォン・ド・マルセイユとして見なすのかどうか・・・・。

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いずれせによ、元祖のものについては、香料や着色料も含まず無添加で肌に優しく、アトピーやニキビに悩む方にも安心して利用してもらえるようで、しかも使用後も自然に優しいのが特徴です。

サヴォン・ド・マルセイユの歴史は古く、14世紀に遡り、ルイ14世の治世において作り方が統一され、17世紀後半において、時の財務大臣であるコルベールにより、マルセイユ地域で活躍する90ほどの工房で作られたもののみをサヴォン・ド・マルセイユと呼ぶと定められました。

Le premier savonnier dans la région est recensé en 1370. La formule de ce savon a été réglementée au XVIIe siècle sous Louis XVI.. En 1688, Colbert a passé un édit limitant l'utilisation du nom « savon de Marseille » uniquement aux savons fabriqués à l'huile d'olive dans la région de Marseille,qui compte, au XIXe siècle, 90 savonneries.
(フランス語ウエキペディアより)

しかしながら、昨今では、中国やトルコやチュニジアなどから偽物の安いバージョンが出回っており、これが本物の「サヴォン・ド・マルセイユ」の真価を下げ、ついでに価格破壊も行っています。

これに講義する署名活動が、ここに掲載する新聞記事の主題です。

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良い物を安く手に入れたいというのが誰もの願い・・・でも、本物は高価であるというのが当たり前。歴史の風化にも耐えて今日まで受け継がれてきたものには、それなりの価値とレガシーがあり、それに対価を払うのは、ある種、使う者の義務とも言えるでしょう。

私は個人的に物欲がないので、基本的にメードインチャイナもメードインフランスも気にせず使っていますが・・・でも、拘りを持つものには、真価を求めます。そこで判断材料になるのは、長きに渡る歴史の風化に耐えてきたかどうか・・・。

歴史の検証を経て今現在も本物として通用するものについては、我々現代人も敬意を払い、後世に受け継いでいくべく努力する義務があります。

何ができるかって、出来る限り、本物以外を買わないようにし、買ったら大切に使うということに尽きるでしょう!
タグ:
サヴォン・ド・マルセイユ プロヴァンスお土産 フランス観光 アルティザン 伝統工芸 

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サントン2
クレシュ・ド・ノエル(サントン・ド・マルセイユ
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
テーマ:買物・土産 観光地 歴史・文化・芸術 
投稿日:2012/12/21 19:31
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クレシュ・ド・ノエルは、イエス・キリストが誕生したシーンを模型にしたもので、クリスマスの由来をヴィジュアルに再現するまたとないオブジェです。サパン・ド・ノエル(クリスマス・ツリー)など煌びやかなクリスマス・デコレーションの影に隠れて存在感が薄い感じがありますが、実際には、キリスト誕生を祝うクリスマスに欠かせません。

サントン4

フランス革命の頃からプロヴァンス地方で習慣として定着し、その後、フランス全土に広がっていったようです。そのためか、クレシュ・ド・ノエルを彩るサントン人形は、サントン・ド・マルセイユと呼ばれ、プロヴァンス地域の伝統的な農民の生活を描いています。

サントン3

クリスマスの時期ともなると、マルセイユの旧港に近い広場には、所狭しとクリスマス・マルシェが立ち並び、行きかう人々の目を楽しませます。その中で最も目を弾くのが、サントン人形を売るマルシェ。パリと比較しても、マルセイユではサントン人形を売るマルシェが多いことに気がつきます。

お店によって、サイズもコレクションも様々です。そして、買う人も、どれが自分のコレクションにとってベストか一生懸命、吟味しています。

サントン1

プロヴァンス地方では、このクレシュ・ド・ノエルをサパン・ド・ノエルと同様に、クリスマスには欠かせないオーナメントと見なしている家庭が多いのが特徴です。もっとも、昨今では、他の多くの伝統と同様に廃れつつあることは否めませんが、それでも、他の地域と比較して、まだ根強く残っているようです。

家庭に限らず、教会では大々的にコレクションしているところもあり、クリスマス・シーズンになると一般公開してくれます。クリスマスにフランスを訪れた方には必見の催しだといえます。

Cresh1

クリスマス・マーケットや教会を訪れ、エスプリ・ド・ノエルを満喫してみてください!
タグ:
プロヴァンス クリスマス フランス観光 サントン人形 南フランス 

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秋1
秋が深まる南フランス
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
テーマ:観光地 歴史・文化・芸術 自然・植物 
投稿日:2012/09/14 18:23
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新涼や やわらぐ陽光 背に浴びて 緑が萌える プラタナスの木

秋1

9月に入ってから、8月の最後の2週間にフランス全土を襲ったカニキュル(猛暑)が嘘だったかのそうに、涼しい日が続いています。

もっとも、カニキュルといっても、南仏はその対象ではなく、暑くても38度を超えることはなく、地味に暑かったというぐらいでしたが。

日本で38度となれば暑さもさることながら、湿気で窒息死してしまうでしょうが、ここでは、湿気が少なく、しかも海風が常に吹いていることから、日陰や室内にいれば、そう耐えられないわけではありません。

で、私も日中は家で息を潜め、日が陰る7時頃から買い物に出たり、散歩に出たりして、夜行性動物のように夜になって忙しくする生活を送っていました。

因みに、主としてカニキュルの直撃を受けたのは、ピレネー山脈やアーキテーヌと呼ばれる南西部からマッシブ・セントラルと呼ばれるフランス中部を経て、ストラスブールがある北東部にかけてでした。この地域は、夏は暑く、冬は寒くで、田園風景が美しく、フランス農業の恩恵を最もエンジョイできる地域ではあるものの、気候は厳しい地域だといえます。

しかしながら今では、朝晩は肌寒く、朝早く起きて窓を開け、外の新鮮でクリスピーな空気に包まれながら読書をすることもできなくなりました。

寮生活をしていた高校時代から早起きが習慣となり・・・・ちょっと年寄り臭いですが・・・、以来、朝の新鮮な空気のなかで勉強をしたり、新聞や本を読んだりするようになりました。空気も脳も冴えており、抵抗なく何でもどんどん吸収できるし、逆にアウトプットも盛んで、勉強や仕事が捗ります。

一時、仕事で東京暮らしをしていた時はそうでもありませんでしたが、緑溢れる南仏に移ってからは、朝の空気を「味わう」ことが一日の楽しみになりました。

朝の空気って、その土地の香りがするということをご存知でしょうか?田舎や都会という区別なく、その土地の匂いを堪能できるのが早朝だと私は思っています。

もっとも、東京やパリ、NYCやロンドンなどハイテクが支配する大都会になると、残念ながら最早「土地の匂い」といったものはなくなってしまうのですが・・・。

でも、アジアの諸都市にはまだ土地の匂いがあるのは皆さんもご存知だと思います。

たとえば、夏場の香港で朝散歩してみると、亜熱帯の湿気を含んだ重い空気に混じって、ゴミ箱から臭う残飯が腐り始めた若干スエタような匂いが街一帯に充満しています。

バンコクやホーチミン・シティーなどでは、寺院から流れ出てくる線香の香りなども混じり、南国の暖慢な朝にけだるさを添えるものとなっています。

南仏の朝にも独特の香りがあります。我が家は地中海からは少し離れた緑豊かな高台にあるので、海の香りというよりも、森林が醸し出す緑の香りに包まれています。

ここに住み始めて、朝起きるとベランダに出て深呼吸し、美味しい空気を満喫しながら、真っ青な空を見上げて、「おお、今日も晴天か・・」と思うことが習慣になりました。

9月になって、曇りの日もちらほら出てきますが、夏場は毎日「快晴!」というビックリマーク付きの日が続きます。ようやく今、スローダウンしはじめたか・・というかんじです。

そのせいか、照りつける太陽の光にも心持丸みが増し、肌に優しいものになりつつあるような気がします。

そして、空の色も、満天の蒼から、白味を帯びた秋の晴天へと移行するのが見えます。

そろそろ、秋が本格化する南フランスの朝が続くようになります。
タグ:
プロヴァンス 南フランス 南仏観光 ライフスタイル 南仏の気候 

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フランスに関する興味深い情報が満載です!
ベルナール・アルノー
LVMHグループ代表ベルナール・アルノー、ベルギーへ逃亡かなうか?!
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>パリ
テーマ:留学・長期滞在 その他 歴史・文化・芸術 
投稿日:2012/09/12 17:50
コメント(0)
既にご存知の方も多いかもしれませんが、現在フランスでは、日本でも御なじみのLVMHグループ代表であるベルナール・アルノーがベルギーへ移民するかしないかが注目されています。

そうです。オーランド大統領が選挙戦で公約に挙げていた(資本主義を標榜する国並びに人々の間で)悪名高き「75%所得税」こそが、この騒ぎの根拠なのです。

年収が100万ユーロ(現行変換レートで約1億円)を超える家庭に対する所得税75%適用がいよいよ現実的になってきたため、それこそ天文学的な年収を得ているムッシュー・アルノーはフランス国籍を捨て、ベルギー国籍を取得するべく動き始めたのです。

もっとも、ご本人は「個人的な理由」とおっしゃっていますが、この「個人的な理由」に節税が含まれていることは明らかです。

で、この動きに対するフランス政府の対応は、もっぱらの噂によると、ムッシュー・アルノーに国籍拒否をするようベルギー政府に裏で働きかけているとのことです。

裏工作をするなんて、セコイですよね・・・・・!そこまでしていてほしいなら、彼が嫌がるような税制など導入しなければよいのに・・・・。

ベルナール・アルノー

もっとも、ムッシュー・アルノーはハイプロファイルな人物であるため、メディアに派手に取り上げられていますが、他のフランスの多くのお金持ちも彼と同じことを考え、国外逃亡の機会を虎視眈々と狙っていることは確かです。

なぜなら、フランス政府のメッセージは誤解などしようにもできないほどクリアーだからです。

アンチ・ビジネス。。。

これにつきます。

なぜアンチ・お金持ちではなくて、アンチ・ビジネスに限定するかというと、紆余曲折を経て、今では、ビジネスのみを対象にしてこの税制が施行されるかもしれないからです。

つまり、ビジネスパーソン以外のお金持ちの最たるシンボルである芸能人、スポーツ選手、芸術家などは対象外になるということです。

巷では、スポーツ選手が対象となると、フランスのガス抜き装置であるサッカー試合が上手く機能しなくなるので対象外にされたと言われています。

75%が適用されれば、フランスのサッカーチームは瞬時にして壊滅状態に陥ります。

アメリカのスーパーボールではありませんが、サッカーの試合でフランス選手がプレーをするとなると、街全体に静けさが広がり、時々、そこかしこで雄たけびが聞こえるようになります。そうです。みんな全てを忘れて試合中継に夢中になっているのです。

そして、フランスが勝つと、それこそ自分が勝利したかのごとく喜び勇み、日々の憂さ晴らしをするわけです。

サッカーを通じて国民に定期的にガス抜きをしてもらうためにも、サッカー選手はフランス政府にとって欠かせない存在になっているわけです。

因みに芸能人も芸術家に含まれ、フランス文化を守り育成する大切なアジェントとして位置づけられ、対象外にされるようです。

コメディアンやその辺のTVパーソナリティといわれる人々がどれだけフランス文化の繁栄に貢献するのか知りませんが・・・・・。

ということで、そうなると、残るはビジネスだけになり、このロジックからいくと、フランスにとってビジネス、特にビッグ・ビジネスは必要ないと考えられているという結論が導き出されるわけです。

実際に、フランスの労働者の意見を聞くと、彼らは経営者に搾取され、彼らを搾取することで経営者は潤っているのだと信じて疑いません。

自分に対して雇用を提供し、この雇用のお陰で自分を含む家族を養うことができるのだ・・・という発想にはどう転んでもならないようですが・・・。

余談ですが、週35時間制、1ヵ月を越える有給を保証されているフランスの労働者が搾取されているというならば、日本の労働者はどうなるのでしょうか・・・・?

いずれにせよ、ビッグビジネスをはじめとする経営陣、そして国家経済、ひいては社会の新たな発展を担う企業家は全て、フランス労働者の敵になるというわけです。

国民投票によって選ばれる大統領は、このマジョリティの見解を無視することは到底できず、従って、このマジョリティを「喜ばせる」方向で政策を打ち出すことが求められるわけです。

補足ですが、100万ユーロほどの年収がないけど、それに次ぐカテゴリーに属する人々、つまり現行変換レートで日本円に換算すると1500万円以上の年収のある個人には45%の所得税が課されます。

所得税が45%となれば、各種税金・社会保障の徴収などを差し引き、最終的に手元に残るのは約40%、つまり1500万円の年収の個人が最終的に手にする年収額は僅か600万円ぐらいになるということです。。。。

月給に換算すると、50万円ぐらいになります。1500万円稼いで、月々の税引き後所得が僅か50万円じゃあ、相当な労働意欲のある個人でないかぎり、働く意欲も失せるというものです。

さて、アンチ・ビジネスな税制を施行することで、果たしてフランスが必要としている財政赤字の軽減と雇用創出を中心とする国家経済の繁栄が実現できるのか・・・・?

確かに、富裕層を優遇する税制を通じて短期的スパンにおける経済の活性化を期待することはできません。富裕層の手持ちのキャッシュが増えたとしても、全てにおいて満たされた状態にある彼らの購買意欲を活性化することは難しいと考えられるからです。

一方で、極端な話、貧乏人の手持ちのキャッシュが増えると、経済効果はてき面だといわれています。なぜなら、彼らは日々の食事の量や質を上げたり、日用雑貨をはじめ物質面での欠損を補うべく直ちに消費に走るからです。

このことから言えることは、短期的な経済の活性化を目指すうえで、中産・労働者階級を対象とする減税は理に適っているということがいえます。

この延長線上で考えると、当然、富裕層に対する増税が政策オプションとして浮上してきます。財政ピンチにあるフランスとしては、てっとり早く、しかも一般受けもよい、この策に飛びつかない理由がありません。

そして、生まれも育ちも全てビジネスとは縁がなく、蓄財や贅沢には全く興味がないムッシュー・オーランドが大統領となれば、「75%」が登場する条件は全て揃ったも同然です。

しかし、長期的な視点で見ると、この「75%」はフランス経済に対する自殺行為であることは間違いありません。

この税制が施行されれば、富裕層の国外逃亡が相次ぐのみならず、頑張って働いたり、知恵と勇気を振り絞って企業しても全く意味がないという社会風土を醸成し、新たな雇用や国際競争力に富むビジネスの創出を阻むことになるからです。

そして何よりも恐ろしいのは、グローバルに通用する能力の持ち主にとって、もはやフランスに留まる理由がなくなるということです。これは、フランスの繁栄を担う次世代の人材流出に繋がります。

広い見識と高い能力の持ち主であれば、自分で稼いだお金を政府に持っていかれて無駄にされるよりも、自分の価値観に見合った方向で有意義に使いたいと思うのが自然です。

例え、それが貧しい人々の救済に利用されるとしても、政府によって勝手に割り振りされるのではなく、自分で基金を解説したり、援助グループを結成することで役立てたいと思うのが自然です。

実際に、ビル&ミランダ・ゲイツ基金をはじめ、アメリカの富裕層の間では、「人道援助」が旬を迎えています。

そうです、世界のセレブの趣味は今や人道援助であり、彼らのサロンの会話の中心は「今、どのような援助に関わっていらっしゃるの?」だといいます。

一昔前の哲学や芸術、歴史に関する知識や教養は最早メインストリームから外れてしまい、世界のどこでどのような人道問題が起きており、それにどう関わることができるのかについて熟知していることこそ、今世紀における教養となりつつあるわけです。

このような現実があるなかで、政府が中心となって国民の富の再分配に関わるなどということは流行りません。

このことは、何も人道援助に限ったことではなく、雇用創出などビジネスの分野でも言えることなのです。

さて、ムッシュー・アルノーの国外逃亡の企てですが、果たして成功裡に終わるのかどうか・・・。

因みに、もしベルギー国籍が取れなくても、我が家の夫曰く、フランスに滞在する期間が半年を切る場合には、フランスに所得税を納める必要がなくなるとのことです。ぶっちゃけ、5ヶ月と29-30日の滞在であれば、この税制から逃れられるそうです。

いずれにせよ、この「75%」が施行されるならば、ムッシュー・アルノーベルギーへの逃亡は確実になるでしょう。
タグ:
ライフスタイル ブランド ルクス LVMH フランス 

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