ワールドコーポレーション　スタッフブログ

あるイギリスの調査で「もっとも老後に住みたい場所はどこか」というアンケートが行われ、選ばれた村がロンドンの郊外にある。そこはロンドンから車で２時間ほどの静かな村である。この村はナショナルトラスト（自然保護団体）によって守られていることと交通の便が悪いため、観光地としては大きく発展していないことが特徴である。英国人はもちろん、世界中から愛される田舎の村「コッツウォルズ」についてご紹介していきたい。




曇りのイメージも多いロンドンですが、朝焼けは本当に美しい！



ロンドンからコッツウォルズに向かう途中の道でのんびりと佇む羊がのどかで心休まる光景です。



コッツウォルズとは、美しい石造りの家やコテッジが続くいくつもの町や村をつないだ一連の地域を指し、古英語で「羊小屋のある丘」という意味である。その言葉どおり、13世紀には羊毛産業の集散地として栄え、英国でも歴史と伝統を兼ね備えたエリアとして知られている。コッツウォルズが近づいてくると、どこまでも続く緑の大地の丘陵の中に車窓からはこの地方で採れる石炭岩、ライムストーンに彩られた街並がみえてくる。特別に高い建物もなければ、近代的な建物もない町並みが、変わりゆく時代に中で変わらないもののよさ物語る。そこに住む人も訪れる人もこの村とその自然を守ろうとする心を象徴しているような優しい光景である。



ライムストーンに彩られた町並みが安らぎを与えてくれます。


コッツウォルズの一つ「ボートンオンザウォーター」という小さな村があり、川と橋が融合した景色は訪れるものを魅了し、「コッツウォルズのヴェネツィア」ともいわれている。静かな町の間を通り抜けるように小川が流れ、小川のほとりに白い鳩が羽を休めている光景に思わず心が惹かれ趣くままに散歩をしてみる。小川とその小川を見守るようにある石造りの家と小さな橋が感動的な三重奏を静かに奏で、旅人の心を魅了してくれる。たくさんの鳩が空に飛び立つと景色がまた白く変わりそれもまた情緒あふれる光景である。地元の人の話しによると、夏になるとこの小川のほとりにはたくさんの家族連れや子供たちが水遊びを楽しむのだとか。英国人のヴァカンスの場所としても愛されているようであった。



そこから車で少し行くと、「バイブリ-」という村がある。かつて芸術家であったウィリアム・モリスはバイブリーに住みつき、「イングランドで最も美しい村」と評したほどである。この村に到着すると、まず目に飛び込んでくるのは、この村の唯一のホテルである「スワンホテル」である。ホテルの外壁には苔が生えていてその古い歴史を物語る。バイブリーの村を散策していると、古い絵画の中にまるで自分自身が入り込んでしまったかのようなタイムスリップをした感覚を覚える。自分自身の足音と小川の水のせせらぎの音以外は何も聞こえないほど、静寂な時間が流れているのである。この村の中に、アーリントンローとよばれる石造りの家々がありその家に沿うようにある小道がある。少し遠くからその景色を眺めると、だんだんとその小道が狭まっていく光景がこの景色に余韻をもたせ心の琴線にふれる。その小道を何度も行き来しながら、自分自身の好きな角度からバイブリーの村を眺める。それは旅人にとって、限られた時間の中で心ゆくまで景色を堪能するとても貴重な時間で、この村と出会えたことに感謝の念が込み上げてくるのである。



レトロなスワンホテル。写真好きの旅行者は何日間も滞在するのだとか。自転車でコッツウォルズの村を散策するのもお勧めです。


そんなコッツウォルズに夕暮れの時間が訪れると、蜂蜜の色合いにも似たライムストーンが夕陽をあびて黄金色に輝く姿に、なんともいえない感動込み上げてくる。確かな余韻を胸に刻みながら、コッツウォルズをあとにするのであった。

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