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麻布でミシュラン3つ星の花山椒しゃぶしゃぶ

訪問 2014.04

京都で四半世紀に渡り修行した大将の料理は旬の素材への拘りと、その素材を最大限に活かす創意工夫の賜物と言える極上の味わい。伝統の味を噛み砕いて自らの言葉に置き換え、より新しい心境を切り開いている。ミシュランの3つ星を取り続ける美味しさの源泉は、この飽くなき探究心ゆえと思わせる。4月の10日間程しか採れないという山椒の花を、これだけ贅沢に使う料理も他に類を見ない。ほんの一握りで数千円はするという希少価値の山椒の花を、これでもかと鍋に投入して柔らかな牛肉で巻いて頂く幸せは言語に尽くせない。 今回は先付から春の終わり、初夏の訪れを感じる美味しさ。蛤の煮凝りは白いジュレとなって春の山菜を覆っている。時間と共に白から透明に変わる軽い味わいの蛤出汁の中から、春の名残りが次々に現れてくる楽しさが何とも言えない。凌ぎのカラスミ蕎麦も、この店のスペシャリテ。丁寧に作られたカラスミが肌理細やかに削られて、蕎麦の上に掛けられている。こんな上品な蕎麦には出会ったことがない。椀物の白身魚が鯉であることにも驚かされた。川魚独特の生々しい脂の感覚は皆無。さっぱりと透明感のある白身の味わいにうっとりする。川魚らしさでも

麻布でミシュラン3つ星の花山椒しゃぶしゃぶ

訪問 2014.04

京都で四半世紀に渡り修行した大将の料理は旬の素材への拘りと、その素材を最大限に活かす創意工夫の賜物と言える極上の味わい。伝統の味を噛み砕いて自らの言葉に置き換え、より新しい心境を切り開いている。ミシュランの3つ星を取り続ける美味しさの源泉は、この飽くなき探究心ゆえと思わせる。4月の10日間程しか採れないという山椒の花を、これだけ贅沢に使う料理も他に類を見ない。ほんの一握りで数千円はするという希少価値の山椒の花を、これでもかと鍋に投入して柔らかな牛肉で巻いて頂く幸せは言語に尽くせない。

今回は先付から春の終わり、初夏の訪れを感じる美味しさ。蛤の煮凝りは白いジュレとなって春の山菜を覆っている。時間と共に白から透明に変わる軽い味わいの蛤出汁の中から、春の名残りが次々に現れてくる楽しさが何とも言えない。凌ぎのカラスミ蕎麦も、この店のスペシャリテ。丁寧に作られたカラスミが肌理細やかに削られて、蕎麦の上に掛けられている。こんな上品な蕎麦には出会ったことがない。椀物の白身魚が鯉であることにも驚かされた。川魚独特の生々しい脂の感覚は皆無。さっぱりと透明感のある白身の味わいにうっとりする。川魚らしさでもある脂感を落とすために、じっくりと焼いているからとのこと。手間隙かけただけの極上のお椀となっている。

この時期しか食べられない花山椒しゃぶしゃぶは、この店の名物となっている。希少な丹波産の山椒の花をどんぶりいっぱい、惜しげもなく鍋に投入する。刺しのたっぷり入った山形牛で、この花山椒を巻いて口に方張ると、牛肉の脂が山椒の花の柔らかさでまどろみを得て広がり、やがて山椒の僅かな辛味の片鱗が後を引く美味しさとして、いつまでも左右の頬の内側に残る。文句なしに美味しい。食事は2種類の土鍋炊込みご飯。一つは旬のうすい豆。紀州産らしい甘みの強いエンドウマメ。もう一方は焼物でも堪能した物集女の筍。2種類の炊き込みご飯をほんの一口づつ食べ比べる贅沢。おまけに花山椒が添えられて、最後まで感動できる。

日本酒は1種類のみ。この日の日本酒は新潟県の大吟醸、鄙願。新潟らしいすっきりとした口当たりと喉越し、淡白な味わいが、京料理らしい繊細な料理の味わいと良く合っていて飲み過ぎる。日本酒は1合づつの片口で出されるので、あっという間に空いてしまい、何合飲んだのか記憶に残らない。皿ごとに軽く1合は飲んでしまう。

場所は六本木ヒルズから麻布十番交差点に下る鳥居坂下交差点の手前。最寄り駅は東京メトロ南北線、都営大江戸線の麻布十番駅。麻布十番交差点から鳥居坂の信号を超えた左手に在る。通りからはビルの1階にも関わらず一軒家風のファサード。表札まで掲げていて芸が細かい。エレベーターは2階からとなり3階の店へは階段の方が早い。

店は3階に10席のカウンターと4人テーブルが1卓と言うコンパクトさ。花山椒の季節には予約が殺到するため、6階で経営しているカウンター8席のビストロを、2ヶ月間だけ別館として利用している。大将には、4階のミシュランの星を持つ居酒屋と共に、このビル一棟を丸ごと傘下に収める勢いを感じる。

大将は気さくで話も面白い。昔は職人気質で気難しかったが、この歳になって色々悩み始め、だからこその成長を感じると笑う。花山椒への拘りも、季節ごとに旬の素材を使った旬の料理とも言えるスペシャリテを持つことも、長年かけて最高と思える料理を完成させた上で、さらに工夫をし続けることで始めて最高の料理に近づくのではとも言う。いくつになっても成長を貪欲に求める大将の話を心地よく聞きながら、日本酒を飲み過ぎて記憶が薄れていく余韻を楽しめる。

≪今回の料理≫
お任せコース 23760円 別途サービス料10%

蛤の煮凝りと春野菜
カラスミ蕎麦

薇の白和えとコゴミの胡麻和え
白魚とタラノメの天婦羅
菜花の海苔巻き

鯉と丁子麩の椀物
串打ちした琵琶湖の稚鮎塩焼き
物集女の筍とコノコ焼き
赤貝とトリ貝の酢味噌和え

花山椒しゃぶしゃぶ 丹波産の花山椒と山形牛
香物 白菜の新香

うすい豆の土鍋炊込みご飯
物集女の筍土鍋炊込みご飯
花山椒添え

水物 にごり酒のアイスクリーム
金平糖

≪今回の日本酒≫
鄙願 大吟醸 大洋酒造 新潟県 1合片口

別途サービス料10%

店舗情報

掲載情報修正

  • 価格帯
    ¥15,001~
  • 定休日
    不定休

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