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新橋に佇む日本料理の最高峰

訪問 2013.03

京味と言えば知らない人もいない新橋の日本料理店。くろぎ、星野、ちゃわんぶなど、名だたる有名店の大将たちの出身店としても名が通る。もりかわや、と村の大将も、意外に知られていないが京味にいた。大将は、日本料理の伝統を守るためと、多くの料理本も精力的に出している。素材を大切にする日本の心と、旬の走り、盛り、名残りをリズミカルに配置。香りとビジュアルを縦横無尽に使いこなす匠の技が素晴らしい。 大女将を筆頭に若女将姉妹のサービスが肌理細やか。カウンターの後ろから客の会話を聞き、絶妙なタイミングで話し掛ける。花板を始めとした大勢の料理人たちが、小ぢんまりしたカウンターの向こうのオープンキッチンにひしめいている。全員がカウンターの食事の進捗に目を光らせ、料理と日本酒の減り具合に合わせ、花板のさりげない合図で次の皿が用意されていく。見ていて飽きない。 料理はお任せ料理のコースのみ。素材により、季節により、価格は1人4万円前後。秋の松茸の頃が一番値が張ると言う。冬は香箱蟹。皿数は、前菜の3種盛りに始まり、小鉢が数皿、2種類の造り、椀物、焚合せ、焼物、揚物などが季節の素材に応じて供される。〆は香の物と御

新橋に佇む日本料理の最高峰

訪問 2013.03

京味と言えば知らない人もいない新橋の日本料理店。くろぎ、星野、ちゃわんぶなど、名だたる有名店の大将たちの出身店としても名が通る。もりかわや、と村の大将も、意外に知られていないが京味にいた。大将は、日本料理の伝統を守るためと、多くの料理本も精力的に出している。素材を大切にする日本の心と、旬の走り、盛り、名残りをリズミカルに配置。香りとビジュアルを縦横無尽に使いこなす匠の技が素晴らしい。

大女将を筆頭に若女将姉妹のサービスが肌理細やか。カウンターの後ろから客の会話を聞き、絶妙なタイミングで話し掛ける。花板を始めとした大勢の料理人たちが、小ぢんまりしたカウンターの向こうのオープンキッチンにひしめいている。全員がカウンターの食事の進捗に目を光らせ、料理と日本酒の減り具合に合わせ、花板のさりげない合図で次の皿が用意されていく。見ていて飽きない。

料理はお任せ料理のコースのみ。素材により、季節により、価格は1人4万円前後。秋の松茸の頃が一番値が張ると言う。冬は香箱蟹。皿数は、前菜の3種盛りに始まり、小鉢が数皿、2種類の造り、椀物、焚合せ、焼物、揚物などが季節の素材に応じて供される。〆は香の物と御飯に、最後は水菓子。

スペシャリテは、明石の鯛の造り。京料理の醍醐味を味わえる。〆の鮭のハラス御飯も、季節にもよるが必ずのように出される。皿数が多いので小食の身に完食は厳しいが、このハラス御飯は、あまりの美味しさに残した客がいないとまで言われる伝説の逸品。水菓子の葛切りも、大将自ら切り分けることで知られる。弟子である湯島の新鉄人も、この葛切りは好んで出している。

店内の写真撮影は原則禁止。大将の拘りは、実物と映像の伝わり方の違いを良しとしないことが理由と聞く。従って以前はマスコミ嫌いでもあった。最近は良く見かけるが。ミシュラン3つ星を断ったことでも、世界に名を馳せた。写真撮影を嫌うのは、映像を参考に安易に表面上の真似をする輩を嫌ってと言う話も聞いたことがある。メモを取ることも、同じ理由で嫌われる。知りたければ、この店に食べに来て、来たら来たで、食べることに集中して欲しいと言う大将の切なる願いが伝わる。

今回の季節の素材は旬の盛り、サヨリ。旬の名残りはフキノトウに始まる春山菜。そしてこの時期の名残りの王様と言えるフクの白子に、名残りの女王マツバガニ。楽しみな旬の走りはタケノコ尽くし。旬の走りから名残りまでを、心の底から楽しめる。

名残りの松葉蟹も旨みたっぷりで最高に美味しいが、河豚の白子の焼き上がりには感動できる。表面だけがふわっとかたまり、中身はトロトロ。にも関わらずあっさりしていて、滋味深いのに嫌な濃厚さを一切感じない。造りは明石の鯛の熟成感が、旨みの凝縮という形で何とも言えず味わい深い。対して伊勢海老の刺身は新鮮そのもの。甘過ぎない口当たりが素晴らしい。この2つの造りのコントラストが絶妙でもある。

ふわふわと言う形容がぴったりの海老真薯には驚く。こんな海老真薯は食べたことがない。さりげなく乗せられたゼンマイも春を感じる旬の盛り。スペシャリテの鮭のハラス御飯の前に、走りの筍料理の仕上げ、筍御飯。細く刻まれた筍の御飯は珍しい。春を告げる香りが漂う。有名なハラス御飯は、軽く盛られた御飯の上に、御飯より多いハラス焼きの身が細かくほぐされ、これでもかと乗っている。一番上にはカリカリに火を入れた鮭の小さい皮。思い出すだけで涎が溢れ出す抜群の美味しさ。

日本酒は冷たいものと、燗酒が1種類づつ。この店の料理に合う大将お気に入りの逸品。至高の料理に合う、しかも大将お気に入りの日本酒は、かなりニッチなところを突いていて楽しい。今回は飛騨の銘酒、拝領。岐阜の天領酒造が吊るし取りで造る大吟醸酒。希少な銘酒と言える。この店の料理に、まさにぴったりと嵌る。濃厚な大吟醸でありながら、吊るしでの造りは滑らかさを前面に押し出し、すっきりとした飲み口で嬉しい。

場所はJR新橋駅、烏森口を出て一方通行を右手の日比谷通りに向かう。日比谷通り、西新橋2丁目交差点の少し手前を左に。2本目の小道の右手、コインパーキングの敷地の手前角に在る。地上げ途中でコインパーキングとなっているような広い敷地の角に、ポツンと1軒で建つ4階建の小振りなビル。ある意味1軒屋日本料理店。新橋側からは交差点の角に小じんまりと納まる外観。まさに静かに佇むイメージ。西新橋と言う場所柄もあってか、そんな有名な店が、こんな所にあろうとは思えぬ複雑な雰囲気を醸し出している。

暖簾をくぐると、すぐ右手が個室。正面にわずか9席のカウンター。桧の分厚い一枚板。いったいこれだけでいくら掛かったのか。良く拭き込まれたカウンターの表面は、丁寧に拭き続けられて、今では多少デコボコにさえなっている。このカウンターを中心に、常連のための空間という感覚が溢れる。2階にも個室がある。しかしやはりこの店は、カウンターが良い。料理人や大女将、若女将姉妹との会話も、美味しい料理の一部。

この店の料理を食べて、大将お気に入りの日本酒を飲み、微に入り細に入るサービスを受けると、もはやこの店が、自分の心の中の日本料理そのものの定規になってしまう。この店に比べてどうなのか、この料理に比べてどうなのか、そんなスキルを身につけたような錯覚さえ覚える。東京を代表する京料理の店は、日本を代表する日本料理の店でもある。日本料理の伝統を後世に伝えるためにも、これからも厳しい指導で、今まで同様に多くの名料理人を輩出し続けて欲しい。誰もがそんな気持ちになる名店ではないだろうか。

お任せコース 40000円/1人 日本酒を含む
前菜 3種盛合せ
蕗の薹煮 細魚と海老の手毬鮨 氷魚の佃煮
小鉢 根芋の葛餡かけ
蛤の土手鍋
松葉蟹
河豚の白子焼き
若狭ぐじの筍鋏揚げと芹の天婦羅
造り 明石の鯛 伊勢海老
椀物 海老真薯と薇
焚合 揚げ蕨煮 鯛の子 湯葉
焼き肴 もろこ
若狭ぐじの桜餅 道明寺粉と餅米
香物 京野菜の漬物盛合せ
御飯 筍御飯
御飯 鮭のハラス御飯
水菓子 葛切り 特製黒蜜

天領 拝領 吊るし取り 大吟醸 天領酒造 岐阜県

店舗情報

掲載情報修正

  • ジャンル
    日本料理
  • 営業時間
    [月-土]12:00-14:00、18:00-22:00
  • 連絡先
    03-3591-3344
  • 住所
  • 価格帯
    ¥15,001~
  • 定休日
    日曜日・祝日

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