Dalseung Korea-Japan Friendship Center 達城韓日友好館（鹿洞書院） タルソンハンイルウホグァン（ノクトンソウォン）

大邱で知られている、歴史上の有名な日本人が2人いるのをご存知でしょうか。

一人は寿城池の造成に尽力した水崎林太郎氏。

そしてもう一人が、今回紹介する金忠善（キム・チュンソン）将軍（1571～1642／日本名「沙也可」）です。
（これ以降「沙也可」と紹介します）

沙也可将軍は、文禄元年に起きた文禄の役（韓国では「壬辰戦争」）の際に、加藤清正の右先鋒として朝鮮へ出兵します。しかし釜山に上陸してから「この戦いには義がない」として、3,000人の部下と共に朝鮮へ投降し、その後朝鮮に帰化したのです。

その後沙也可将軍は朝鮮に火縄銃の製造と技術を伝達し、丁酉戦争、李逅の乱、丁卯戦争、丙子戦争など数々の戦争で功績を挙げ、三乱功臣と言われるまでになりました。その功績が認められ、李氏朝鮮時代の第14代国王・宣祖（ソンジョ）より「金忠善」の名を賜ることになったのです。晩年は大邱の友鹿（ウロク）里に定住し、家訓や郷約を定め住民の教育に励んだそうです。

1789年、金忠善を祀るべく、地方の儒学者たちによって鹿洞書院は創建されました。
一時は高宗の父・興宣大院君の書院徹廃令により閉鎖（1864年）されてしまうのですが、1885年（高宗22年）に再建されました。
その後国の支援を得て1972年に現在の場所へ移築されています。今でも沙也可将軍の偉業を称え、春と秋に祭祀が行われているのだそうですよ。

鹿洞書院の前に建つ「向陽門」は沙也可将軍の故郷、和歌山県を向いていると言われており、門越しに望む風景に将軍が二度と帰ることのない故郷を懐かしんだとされています。

ところで沙也可という名の由来は諸説あるのですが、日本に残してきた家族に累が及ばないように付けた名前で本名ではないと言われています。

書院の隣にある「達城韓日友好館」の中には沙也可将軍の直筆の親書をはじめ、数々の遺品が展示されています。そしてほとんどの展示物に日本語表記がなされていますので、安心して見学ができます。
入場は無料です。

館内では大型スクリーンで沙也可将軍の生涯を描いた10分ほどのCGアニメ映像も見ることができます（日本語字幕付き）。

日本語を話せる文化解説士の先生も常駐していますので、解説してもらいながら見学するとより理解が深まるでしょう（※鹿洞書院は普段は施錠されていますので、見学を希望する場合は友好館で申し出て鍵を開けてもらいましょう）。

さらに友好館の裏山を15分程登ったところには、沙也可将軍のお墓があります。
途中は急勾配になっていますが、体力に自信のある方はぜひお墓のある場所まで行くことをおすすめします。そこから見渡せる友鹿里ののどかな風景を眺めながら、晩年を鹿と共に過ごした沙也可将軍の生涯に思いを馳せてみてはいかがでしょう。

大邱市ではシティーバスツアーという、テーマごとに各地を周遊できるバスツアーを催行しています。
水曜・土曜にこの鹿洞書院も含まれた「寿城・嘉昌コース」が催行されていますので、曜日が合うようでしたらこのツアーに参加すると楽に行けますよ。

詳しいコースはこちらから→　http://jp.daegucitytour.com/index.php
お申込み、お問い合わせはこちらから→　E-mail ： daegutravel1@gmail.com