大回りコース(※)の中で最も見所となる遺跡「プリアカン」。
意味は「聖なる剣」です。
1191年にアンコール時代最も勢力を持った王、
ジャヤヴァルマン7世が自身の父のために作った菩提寺(仏教寺院)であり、
その大きさは東西800m、南北700mと広いものです。
その広さもあり、一部のエリアは全然修復の手も入っておらず、
発見当初のまま保存されています。
観光客の訪問時間もまばらなため、静寂な遺跡内は雰囲気も良く、
西洋人旅行者には人気があり、人によってはバイヨン寺院よりも良いと言う人もいるほど。
※アンコール遺跡大回りコース・・・、プレアカン(プリアカン) → ニャックポアン → 東メボン → プレループ
大回りコースとは、アンコールトムの北西から西側のエリアにある、アンコール遺跡を効率よく巡るモデルコースの事。
年代順、様式別、デヴァター等の関連性は一切ありません。
プレアカン(プリアカン)の西参道と東参道には、
乳海攪拌の欄干(写真2枚目参照)が残っており、
参道を通り抜けた外側周壁の四方には
50メートルごとに立派なガルーダ像(写真1枚目参照)が立ち並んでいます。
乳海攪拌の仏陀は、仏教を手厚く保護した王(ジャヤヴァルマン7世)の死後、
過激なヒンドゥー教徒により、ほとんど破壊されているのが痛々しいが、
歴史背景の重みを物語っています。
西参道から真っ直ぐ進むと、中央祠堂にストゥーパがそびえ立っています。
中央祠堂の壁のヒビから木漏れ日が差し掛かり、ストゥーパと上手く合わせると、
火を点したロウソクのように映ります。
さらに中央祠堂を通り抜け、東参道手前の右手には
大きなガジュマルが遺跡に絡みつく様子(写真3枚目参照)も必見ポイントです。
今現在も自然の力で遺跡が崩壊しつつありますが、未だ修復の目処が立っておらず、
タ・プローム寺院のように進入禁止ロープが張られるのも時間の問題かもしれません。
東参道手前の左手には、アンコール遺跡では珍しいギリシャ神殿のような建造物が残っています。
一見、2階建てに見えるが実際には階段、床もなく不思議な造りになっています。
大まかな見所はこの辺だが、一般ツアー等では西門から入り、北門へとぬける短縮コースが多いため、
じっくり見たい人はガイドにきちんと伝えておいた方が良いです。
通常は東門が正門となるため、個人旅行だと、そちらからゆっくりぐるりと回るのもお薦め。
また、南門エリアは特に見所がないのだが、観光客がほとんど来ない手付かずゾーンになっているため、静寂な空気が漂う不思議な空間です。
遺跡巡りばかりでは疲れてしまうので、密林に眠る遺跡の中でゆっくり休憩してみては如何でしょうか。
現在も少しずつではありますが、自然の力で破壊が進んでおり遺跡の保存状態は良くないのが残念です。
アンコール遺跡共通入場券、1日$37の入場料が必要。
1日$37の入場券を払って来る価値があるかどうかの判断は、正直難しいです。。
悪く言えば、破壊が急速に進んでいるにも関わらず放置された遺跡ですが、
良く言えば、アンコール時代の歴史背景、自然の生命力を、ありのままの姿で見れるため、個人的には大回りコースの中でダントツに魅力があると思います。
Preah Khan プリヤ カーン
八納 なつみ
(現地旅行会社勤務 総合旅行業取扱管理者)
静寂に包まれ栄華を偲ぶ、王が父に捧げた仏教寺院
- 投稿日2015/05/07
- 更新日2017/02/02
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ジャンル史跡・遺跡
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エリアシェムリアップその他
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住所
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アクセス観光の拠点となる町シェムリアップより約20km。車やトゥクトゥクで約40分程度で到着。
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予算1日有効入場券 37リエル
3日間有効入場券 62リエル
7日間有効入場券 72リエル
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