金沢市足軽資料館は、長町武家屋敷跡の一角にある文化施設。敷地内にはその名の通り、江戸時代に建築された加賀藩の足軽階級の住居2棟が移築展示されており無料で見学できます。
足軽は武家社会の中でも最下層の地
金沢市足軽資料館は、長町武家屋敷跡の一角にある文化施設。敷地内にはその名の通り、江戸時代に建築された加賀藩の足軽階級の住居2棟が移築展示されており無料で見学できます。
足軽は武家社会の中でも最下層の地位にありました。他の藩では長屋と呼ばれる共同住宅で暮らしたことが多かったようですが、財力の豊かな加賀藩では庭付きの一戸建ての家が与えられていたそうで、現代の住まいと比べてもなかなかの広さです。
この建物は、加賀藩の足軽の末裔から市に寄贈されたもの。1990年と1994年までそれぞれ実際に住居として使われていたそうで、石が置かれた屋根や玄関、座敷など、当時の佇まいがそのまま残る建物が平成の時代まで使われていたことに驚かされます。そういった経緯から、各家屋の玄関には「清水」「高西」という寄贈元の表札がかけられています。
内部には足軽の暮らしぶりについての丁寧な説明書きがあり、当時の足軽の仕事内容や収入などについても触れられています。全体にこぢんまりとした資料館ですが、戦国時代は歩兵として活躍した足軽たちが、太平の世になってどのように過ごしていたのか、その謎も解き明かしてくれます。足軽にスポットをあてた資料館という点も珍しく、近くにある中級武士の屋敷「高田家跡」と比較してみるのも面白そうです。