青井阿蘇神社は、熊本県南部の人吉市にある神社です。その名前からわかるようにここは阿蘇神社の分社で、阿蘇神社の12の神様のうち、三神の御分霊が祀られています。806年の創建以来、1200年以上に渡って人吉の地
青井阿蘇神社は、熊本県南部の人吉市にある神社です。その名前からわかるようにここは阿蘇神社の分社で、阿蘇神社の12の神様のうち、三神の御分霊が祀られています。806年の創建以来、1200年以上に渡って人吉の地を守ってきた守り神なのです。地元では親しみを込めて「青井さん」と呼ばれています。
青井阿蘇神社でまず目に入るのは、朱色が美しい禊橋(みそぎばし)と鳥居です。禊橋がかかる蓮池は、例年6~7月ごろになると、池が蓮の葉で埋め尽くされます。蓮の葉の緑と欄干と鳥居の赤のコントラストが美しく、禊橋越しの青井阿蘇神社は撮影スポットとしても人気です。
鳥居をくぐった先にある社殿群5棟〈本殿、回廊、幣殿(へいでん)、拝殿、楼門〉は、相良氏13代当主相良長毎(ながつね)が1610年より4年の年月をかけて造営したもの。一連の社殿が同時期に造営されたものであることは、全国的にも珍しいそうです。
また、急勾配な茅葺(かやぶき)屋根など、随所に桃山様式と呼ばれる豪華な建築様式を取り入れながら、南九州地方に見られる雲龍(うんりゅう)の彫刻も随所に施されています。このような点が評価され、2008年に熊本県では初めての国宝に指定されました。
敷地内にある文化苑(ぶんかえん)は、平安時代初期から明治までの1100年間、青井阿蘇神社の大宮司(だいぐうじ)を務めた青井家の屋敷。主屋だった建物は、現在「継承殿(けいしょうでん)」と呼ばれており、西南戦争で薩軍人吉隊の宿舎となりました。茶室の北西の柱には西南戦争でつけられた刀傷が残り、蔵には古来の信仰や祭りに関する資料などが展示されています。なお、文化苑は2020年7月の豪雨の影響で、しばらくの間は休苑。