熊本県にある世界遺産のひとつ、三池炭鉱の万田坑(まんだこう)。熊本県の北西部、福岡県との県境に位置する荒尾市にあります。2015年に「明治日本の産業遺産革命 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として、福
熊本県にある世界遺産のひとつ、三池炭鉱の万田坑(まんだこう)。熊本県の北西部、福岡県との県境に位置する荒尾市にあります。2015年に「明治日本の産業遺産革命 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として、福岡県大牟田市の宮原坑をはじめ、全国にある日本の近代化を支えた産業遺産と共に、世界文化遺産に登録されました。
三池炭鉱は、かつて荒尾市と福岡県大牟田市、みやま市に坑口(こうぐち)があった国内有数の鉱山です。明治時代、西洋の文化や先進技術が次々に導入され、鉄道や製鉄など新たな産業が生まれました。その主なエネルギー源となったのが石炭でした。万田坑は三池炭鉱の主力坑のひとつで、明治末期から昭和初期にかけて活躍。その後、エネルギーの主力源が石油へ移行し、万田坑の規模は縮小していきました。最終的には1997年に三池炭鉱が閉山されるまで稼働しました。
万田坑のシンボルになっている鋼鉄製の第二竪坑櫓(だいにたてこうやぐら)は、高さが約18.8mあります。その下にある第二竪坑坑口にケージと呼ばれるエレベーターが設置され、地下約264mの深さまで炭鉱マンや資材が行き来していました。当時はレンガ造りの第二竪坑巻揚室にある巻揚機を動かすことでケージを上下させていたようですが、その巨大な巻揚機は迫力満点。
他にも第一竪坑櫓跡や重要な役割を担っていた場所がたくさんあるので、ガイドさんと一緒に見学するのがおすすめ。スマートフォンやタブレットで聴けるガイドシステムもあります。万田坑ステーションに展示されている施設全体の復元模型や展示を見ると、当時の万田坑の様子を学べます。
歴史的な価値がある万田坑ですが、レンガ造りの建物や炭鉱マンたちの当時の備品などがレトロでオシャレだと、撮影スポットとしても大人気。映画『るろうに剣心』のロケ地になったことで、さらに注目されています。