鈴木大拙館は、金沢が生んだ世界的な仏教学者、鈴木大拙(すずき だいせつ/1870-1966)の足跡や考えを紹介する文化施設。東洋の思想や日本文化を広く海外に伝えた鈴木大拙の書や写真、著作を通し「来館者が自ら
鈴木大拙館は、金沢が生んだ世界的な仏教学者、鈴木大拙(すずき だいせつ/1870-1966)の足跡や考えを紹介する文化施設。東洋の思想や日本文化を広く海外に伝えた鈴木大拙の書や写真、著作を通し「来館者が自ら思索できる場」となることをコンセプトとしています。
建物は、「玄関棟」「展示棟」「思索空間棟」とこれらを結ぶ回廊から成り、回廊に沿って「玄関の庭」「露地の庭」「水鏡の庭」が配されています。
展示棟には、鈴木大拙による書や彼の写真、著作など、鈴木大拙その人を知り、学ぶ資料を展示しています。そこから先に進むと、いったん視界が開けて屋外に出ることとなり、現れるのが水鏡の庭です。水鏡の庭には思索空間が浮かぶように立ち、来館者はそこで自由に思索できます。市内中心部にあるとは思えないほどの静寂に満ちており、池を囲むように枝を伸ばす木々も、季節ごとの彩りを添えます。
この個性的な建物は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)新館も手掛けた世界的な建築家・谷口吉生(たにぐち よしお)氏の手によるもので、3つの棟と3つの庭からなる空間を回遊することで、来館者が鈴木大拙の世界にふれ、学び、自ら考えることを意図して造られました。「世界で最も美しい美術館をつくる建築家」と言われる谷口氏だけあって、周囲の景観も巧みに利用した建物はお見事というほかありません。