壁一面に描かれたフレスコ画、ムデハル様式の高い天井とその天井に届く馬蹄形アーチ、そして、ルネサンス様式が混在した美しいカトリックの祭壇。
西ゴート、ユダヤ、アラブ、カトリックの様式が混ざった独特なサン・ロマン教会は、トレドではぜひ訪れたいモニュメントのひとつです。なぜなら、ここは、西ゴート教会会議文化博物館になっているからです。
西ゴート王国は、 フランス南部からイベリア半島にかけて建設したゲルマン部族国家です。ゴート族は、スカンジナビア半島発祥といわれ、やがてバルカン半島からイタリアに入り、ローマはじめ諸都市を略奪しました。
410年頃、軍駐屯制をとりながら、フランスのトゥールーズ地方に定住して王国を作り、エウリコ王(466−484)の時代、領土拡張のためにイベリア半島へ勢力を広げていきました。
その後、民族移動に伴い王国の中心も移り、王の暗殺などが続きましたが、551年、アタナヒルド王の治世に、トレドに王国が完成しました。
587年、レカレド王の時代に、キリスト教アリウス派からカトリックに回収し、ローマ人と西ゴート人の宗教的統一を実現しました。これによって、教会会議が王国統一の決定機関になるという、西ゴート王国独特の政治システムが形成され、ゲルマン文化・ローマ文化・キリスト教文化を融合した文化が栄えました。
711 年、ジブラルタル海峡を渡って北アフリカから侵入してきたイスラム教徒の力と、時を同じくして各地で勃発した奴隷を含む民衆の反乱の前に、西ゴート王国は瞬く間に崩壊。
西ゴートの美術は、ゲルマン人の武具・装身具、ビザンティン文化の影響、地中海沿岸の初期キリスト教、イベリア半島のケルト・イベリア人の影響を受け、抽象的な模様を多用しました。また、馬蹄形アーチは、イスラム今日にも受け継がれていきました。
トレド周辺では、グアダムールに西ゴートの城跡が残されており、トレド旧市街のサン・ロマン教会は、西ゴート教会会議文化博物館)になっています。
西ゴート王権は、後の西欧の中世政権に固有の制度、例えば、即位の聖別式の際の誓約や塗油の儀式などの慣行を残しています。
San Roman Church サン ロマン教会(トレド)
西ゴート王国の文化博物館にもなっている教会
- 投稿日2014/09/30
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ジャンル寺・神社・教会
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エリアトレド シティセンター
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住所
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アクセスソコドベール広場から徒歩10分
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電話番号+34-92-5227872
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営業時間10:00-14:00、16:00-18:00
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定休日月曜日
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予算期間限定入場料 6ユーロ~
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