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台南 (台湾) 観光の現地クチコミ

現地のプロ(10人)詳細

Wusanto Reservoir 烏山頭水庫 ウーサントウスェイクー

トルヨコ (ガイドブック編集人)

日本人技師、八田與一が残した巨大なダム湖

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「烏山頭水庫(ウーシャントウシュェイクー)」は、台南市東方の山麓にある農業灌漑を目的とした大きなダム湖です。水庫(シュェイクー)は中国語でダム、貯水池の意味です。周辺は自然が豊かで、烏山頭水庫風景区として整備されています。

烏山頭ダムは、八田與一という日本人技師を抜きにして語ることはできません。このダムは日台交流の象徴として、あるいは日本が台湾統治時代に残したインフラ整備の好事例としてよく取り上げられ、日本からの修学旅行生などもよく訪れています。

烏山頭ダムの建設を指導したのが石川県出身の日本人技師の八田與一(明治19年生まれ)でした。台湾総督府土木課の技師として台湾に赴任していた八田與一は、大正7年(1918)、嘉南平野の灌漑計画を作成しました。嘉南平野は台湾西南部の嘉義から台南にかけて広がる平野ですが、当時は干ばつ被害が相次ぎ、農民は苦しい生活をしていました。大正9年(1920)から八田與一の指導の下で、烏山頭ダムの設計、建設が始まり、10年後の昭和5年(1930)にようやく完成しました。

烏山頭ダムは堰堤(えんてい)の長さが1,273m、高さ56m、貯水量1億5千万トンもあり、完成時は東洋一の規模を誇りました。また八田與一は、ダムだけでなく嘉南平原を潤す「嘉南大圳(たいしゅう)」と呼ばれる総延長1,600kmにも及ぶ農業用水路も敷設、また灌漑後の農業指導まで行いました。八田與一はダム建設に際し、工事に集められた作業員のために宿舎、学校、病院、娯楽施設なども建設、福利厚生にも力を尽くしたので、台湾人から信頼を集めました。

烏山頭ダムは貯水後の入り組んだ沿岸の景観から、珊瑚潭(シャンフータン)とも呼ばれるとても広大な人造湖です。見学する場合は、旧放水口に向かうのが一般的です。タクシーで見学に来る場合にも、旧放水口の駐車場に車を着けてくれます。

旧放水口はダムの水を嘉南大圳に送り込むためにつくられたもので、その先には当時の放水路も残されています。ここは、映画『KANO 1931海の向こうの甲子園』のロケ地としても使われた場所で、映画の中ではダムが完成し、放水口から勢いよく水が放水され、農民たちが放水路に水が流れるのを喜ぶ様子が描かれています。現在は新しい放水口がつくられていますが、ダムの水は当時と同じように、嘉南平野を潤しています。

旧放水口の脇には「八田技師紀念室」という資料館が建っていて、たくさんの資料や写真を見ることができます。日本語の資料もたくさんありました。資料館入り口に「永遠的技師 八田與一」の文字と八田與一夫婦の姿を写したプレートが掲げられていているのが印象的です。

烏山頭ダムの完成の昭和17年(1942)5月、八田與一は新しい赴任地のフィリピンに向かいますが、乗船していた客船大洋丸がアメリカ軍潜水艦に撃沈され亡くなりました。台湾で與一と生活を共にしていた夫人は、日本敗戦直後の昭和20年(1945)9月、この放水口に身を投げて與一の後を追いました。

旧放水口から歩いて堰堤に上ると、ダム湖の広大な湖面を見ることができます。烏山頭ダムは、粘土、砂、石を固めたロックフィル方式という堰堤でつくられているので、普通にダムと聞いて想像するようなコンクリートの高い堰堤はありません。大きく弧を描いた長い堤防が延々と続いています。ダム工事の時に使われた土砂運搬用の汽車や大型機械なども保存されています。

湖水を見下ろす小さな丘に、八田與一の銅像があります。ダム完成後の昭和6年(1931)に建てられたものです。よくある威厳ある立ち姿の顕彰銅像とは全く異なる銅像です。地下足袋にゲートルの姿で腰を下ろし、足を投げ出し、右手で前髪をいじりながら、考え事をしているような像です。「嘉南大圳設計者 八田與一氏像」のプレートがあるだけで、台座や碑文もないユニークな像ですが、八田技師を慕った当時の台湾の人々の心情が察しられる姿です。像の後方には「八田與一・外代樹(とよき)之墓」と刻まれた八田夫妻の墓石が置かれています。

ダムの見学を終わったあとは、再び車で近くの「八田與一紀念園區」に向かいます。ここは2011年5月8日の八田與一の命日に合わせて開園した記念公園です。ダム建設の当時は、この場所に一戸建て、二軒長屋、四軒長屋、八軒長屋など、全部で68棟の官舎、従業員宿舎が建ち並び、一つの町のようになっていたといわれます。そこに八田與一宅をはじめ3棟の一戸建て、1棟の二軒長屋の日本人官舎が復元されました。立派な平屋の木造日本建築で、庭も整備されています。庭には、子どもを抱いた外代樹夫人の銅像が建っていました。

烏山頭ダムでは、台南郊外の自然風景とともに、日本統治時代、地元の台湾の人々とともに嘉南平野を一大稲作地帯に変えようという夢を実現した日本人技師の物語に触れることができます。

烏山頭ダムへのアクセスはいくつかあります。バスを使うなら台鉄善化駅前から大台南公車の「烏山頭水庫」行き橘4のバス利用です。時間は30分程です。しかし本数が少ないことと、下りてから広大な園内を歩いて回らなければならないので、ちょっと大変です。

おすすめはタクシーです。台鉄隆田駅からタクシーで20分ぐらいですが、チャーターにして公園内を回ってもらうのが一番便利です。半日で800元ぐらいが目安です。

宿泊が台南市内ならば、時間の節約も考えて、ホテルから直接タクシーが手っ取り早いです。台南市内からだと50分~1時間ぐらいの距離です。グループ旅行なら、なおさら「割り勘でタクシー」がおすすめです。

2011/08訪問
  • 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。