水原華城

1997年ユネスコ世界文化遺産に登録。ソウルの南にある水原（スウォン）市に位置する水原華城（スウォンファソン）は、朝鮮王朝の第22代王、正祖（チョンジョ）が、激しい党派争いの末に米びつの中で無念の死を遂げた父を慎むために築城しました。その物語と歴史的遺産の重要性、そして数多くのドラマのロケ地でもあることからソウルで欠かせない観光スポットとなっています。

伝統衣装に身を包んだ華やかな実戦武芸や守門軍交代儀式などのパフォーマンスも見どころ。220年以上前と同じ場所での弓射錬武体験や気球への搭乗などアクティビティも充実。時期によっては演劇祭やライトアップなどのイベントも開催されているので訪問前にチェックしておきましょう。

また水原華城は、当時の哲学と軍事的防御機能、実用的な施設機能、東洋と西洋築城術を集約した建築的価値、壮麗な石壁や庭園など、当時の築城術の粋を集めた希代の秀作といわれています。

正祖の父、思悼世子（サドセジャ）の墓は元々楊州にありましたが、当時の風水上最もよいとされる水原に移し築城。また党派争いの根絶と王道政治の実現など、当時の政治構想および南側の国防要塞としても重要な城郭でした。築城時の姿がほとんど原形のまま、完全な形で残っている唯一の華城（ファソン）であるだけでなく、それぞれの門と華城行宮をつなぐ街路網がそのまま保存されているなど、220年前の城の骨格が現存している点にも注目。城郭自体が東洋哲学の「孝」思想に基づいた構成になっており、哲学的な価値を持つ重要な遺産でもあります。 閉じる