奈良県橿原市にある今井町は、江戸時代さながらの町家が並ぶ重要伝統的建造物群保存地区です。東西約600m、南北約310mの区域内にある建物のうち500軒が伝統的建造物。そのうち、国の重要文化財が9件、県指定文
奈良県橿原市にある今井町は、江戸時代さながらの町家が並ぶ重要伝統的建造物群保存地区です。東西約600m、南北約310mの区域内にある建物のうち500軒が伝統的建造物。そのうち、国の重要文化財が9件、県指定文化財3件、市指定文化財5件と、貴重な建物が数多く残っています。
もともと今井町は、天文年間(1532〜1555年)に一向宗本願寺の僧、今井兵部によって造られた寺内町でした。御坊(現在の称念寺)を開き、都市計画に基づいて町を造り、周囲に濠を巡らし、自衛力も持ったのです。織田信長に抵抗し、やがて降伏するものの、信長から「万事大坂同前」と、自治権を獲得。大坂や堺とも交流する商業都市となり、豪商も数多く出ました。そうした財力をもとに建てられた民家は堅牢で、当時のさまざまな工夫が施されています。
予約なしで内部を拝観できるのが、見学無料の今井まちや館。18世紀初期に建てられ、片側に「通り土間」その横に3室が2列に並んだ「2列6室型」と呼ばれる間取りで、今井町の典型的大型町家です。かまどの煙を外に出す「煙出し」、戸が動く必要のある長さだけ溝を刻んだ「突止溝」、通りに面した「ミセノマ」の真上に屋根裏を利用して造った「つし2階」など、江戸時代の民家を体感できます。