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オーグー ドゥ ジュール メルヴェイユ 博多

訪問 2015.07

東京・日本橋のオーグー ドゥ ジュール メルヴェイユが、開業10年で突然閉店したのは今年2月のこと。そればかりか、旗艦店である麹町の「オーグードゥジュールAu gout du jour」まで今月いっぱいで閉店するという、オーグーファンとしては何とも寂しいニュースが続くなか、オーグーグループでは最も新しいメルヴェイユの博多店に行って来た。博多のこちらもすでに7回目くらいの訪問で勝手知ったる店のはずが、私は今回珍しく緊張していた。4月から新シェフとなった小岸明寛さんの料理を初めて頂くからである。これまでずいぶん見てきた料理写真や食材のスナップ、小岸さんとのメッセージのやりとりなどから、これは単に「おーうまいねー」では済まないだろうというのは予想できた。小岸さんは佐賀県出身。北海道のミシェル・ブラス・トーヤ・ジャポンのシェフを経て、今年4月から白水鉄平さんの後任としてメルヴェイユ博多のシェフを務めている。13年の第1回RED U-35で、準グランプリを受賞したのも記憶に新しいところ。「料理はおまかせください」との言葉を事前に頂いていた。九州野菜のガルグイユ。ガルグイユは、ミシェル・ブラスが考案した、じゃがいもに生ハムを添えた

オーグー ドゥ ジュール メルヴェイユ 博多

訪問 2015.07


東京・日本橋のオーグー ドゥ ジュール メルヴェイユが、開業10年で突然閉店したのは今年2月のこと。
そればかりか、旗艦店である麹町の「オーグードゥジュールAu gout du jour」まで今月いっぱいで閉店するという、オーグーファンとしては何とも寂しいニュースが続くなか、オーグーグループでは最も新しいメルヴェイユの博多店に行って来た。

博多のこちらもすでに7回目くらいの訪問で勝手知ったる店のはずが、私は今回珍しく緊張していた。4月から新シェフとなった小岸明寛さんの料理を初めて頂くからである。
これまでずいぶん見てきた料理写真や食材のスナップ、小岸さんとのメッセージのやりとりなどから、これは単に「おーうまいねー」では済まないだろうというのは予想できた。

小岸さんは佐賀県出身。北海道のミシェル・ブラス・トーヤ・ジャポンのシェフを経て、今年4月から白水鉄平さんの後任としてメルヴェイユ博多のシェフを務めている。13年の第1回RED U-35で、準グランプリを受賞したのも記憶に新しいところ。

「料理はおまかせください」との言葉を事前に頂いていた。



九州野菜のガルグイユ。

ガルグイユは、ミシェル・ブラスが考案した、じゃがいもに生ハムを添えたオーベルニュ地方の郷土料理だ。

野菜と花と種子のパレットのようなこの皿は、野菜のおいしさやその地方の食材の豊かさを表現する料理として、これまで無数のオマージュや変奏を生んできた。
私自身もこれまであちこちで食べてきたし、もちろんライオールのブラス本店でも食べた(2012年のことで、すでに厨房は息子のセバスチャンに代わっていた)が、これまで本当においしいと思えることがなかった。
私の理解力が足りなかったのだと思う。料理はテクニックや素材の良し悪しだけではなく、食べ手の理解力やコンディションも合わさって初めて本当においしいと思えるものだからだ。

が、ここで来た。
これまででライオールの本店も含め、自分史上ぶっちぎりのガルグイユが。



「長年の山歩きの経験を通して、自然との関わり方を学んだ」というミシェル・ブラスのスピリッツが、地元九州の野菜を使ってそのまま皿の上にあった。

ガルグイユについて、あるシェフから聞いた話を思い出した。ブラス本人が目の前で作ったガルグイユを、その場で食べる機会があったのだという。

それは10年くらい前のスペインの料理学会「マドリッド・フュージョン」のときで、ミシェル・ブラスがゲストで訪れた年のことらしい。若い彼は、調理スタッフとして裏方にいて、ミシェルがガルグイユを作るところを見ていた。それを「食べてみろ」と言われて、食べた時の衝撃が今でも忘れられないという。

「ミシェルはきっと、食べ手が、フォークで掬う動作を計算して盛り付けていたと思う。ひと口で食べられる分に入る花やハーブの量が絶妙だった。口のこちら側だけで花の香りがして、反対側で別のうまみが広がる、そのバランス感覚がすごかった」

今回小岸さんのガルグイユを食べて初めて感じたことは、料理に散らす花には食材としての意味があるということだった。
花には食材としてのうまみはないし、食感もあまり無い。それが今回は、うまみの強い野菜に香りと苦味を足す食材となっているのがよく分かった。
花の香りもガルグイユに欠かせない要素なのだ。



甘鯛のポワレ。

スープの輪郭を作っているのは、甘鯛の出汁に加えられた自家製のオイルだ。シナガワハギを漬け込んで作ったという。
シナガワハギは別名スイートクローバー、ハーブティーの素材にも使うことがあるらしい。それがオイルにわずかな苦味と独特の風味を足して、出汁全体を奥行きのあるものにしている。
甘鯛と、その下に置かれたアワビと、ガルニのカワラマツバの香りがそれぞれお互いを引き立て合って、ひと皿のなかにある。



印象的な野草はアミューズにもあった。

写真手前右の蒸し鶏の一品は、上に載ったシモツケソウの香りがポイントだ。シモツケソウは近辺の山でシェフや仲間たちが採取してきたものだという。
淡い味の鶏と一緒に、バラに似た甘い香りが一瞬だけ口の中に弾けて、消えた。
その清涼感は暑いこの季節によく合っていた。

食材が時期・場所を問わず流通するようになって、食材からその土地ならではのものを感じ取るのは難しくなってきたけれど、このような市場に出回らない山野草は、現代に最後に残った地域性の濃いものの一つである気がする。



小岸さん、気合いの入った料理をありがとうございました。

店舗情報

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  • 価格帯
    ¥5,001~¥10,000
  • 定休日
    無休

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