熱海温泉には明治時代に入ると多くの文人墨客が訪れて、この地を舞台にした数々の作品を描きました。その代表作といえるのが、尾崎紅葉の『金色夜叉』。物語のワンシーンを再現した「貫一お宮の像」と隣り合う「お宮の松」
熱海温泉には明治時代に入ると多くの文人墨客が訪れて、この地を舞台にした数々の作品を描きました。その代表作といえるのが、尾崎紅葉の『金色夜叉』。物語のワンシーンを再現した「貫一お宮の像」と隣り合う「お宮の松」は、古くからの観光地になっています。
長編小説『金色夜叉』は主人公である間貫一がいいなずけのお宮を蹴り飛ばすシーンなどが大きな話題を呼び、大ブームを起こしました。その舞台となったことから、熱海はこの作品によって全国の人々に知られるようなったのです。
「貫一 お宮の像」は1986年、熱海にアトリエを構えていた彫刻家、館野弘青が制作したブロンズ製です。貫一が下駄でお宮を蹴り飛ばす姿が、まるで舞台を見ているかのようなリアルさで描かれています。
海に向かって左側には「お宮の松」がありますが、現在のものは1966年に植えられた2代目。初代「お宮の松」は、尾崎紅葉の弟子、小栗風葉の句碑が1919年に建てられたことを受けて、昭和初期頃よりその名で呼ばれるようになりました。そして、「お宮」の名をもつことから2人の像とともに、名作ゆかりの地として人気を集めたのです。