熱海温泉街の南端近くにある「起雲閣」は、1919(大正8)年に別荘として築かれ、岩崎別荘(非公開)、住友別荘(現存していません)とならんで「熱海の三大別荘」と称された名邸。1947(昭和22)年に旅館として
熱海温泉街の南端近くにある「起雲閣」は、1919(大正8)年に別荘として築かれ、岩崎別荘(非公開)、住友別荘(現存していません)とならんで「熱海の三大別荘」と称された名邸。1947(昭和22)年に旅館として生まれ変わり、熱海を代表する宿としてその名を馳せた歴史をもちます。滞在した著名人を見ると、太宰治、志賀直哉、谷崎潤一郎、山本有三…と、日本を代表する文豪がズラリ。現在は熱海市の文化財となり、内部が公開されています。
いちばんの見どころとなるのは、国内外の建築の粋を集めた多様な様式美。日本の伝統家屋の技を集めた本館(和館)と、日本・西洋・中国の様式を融合させた独特のデザインの洋館に分かれていて、いずれも豪華さと繊細な装飾の美しさに目を奪われます。
館内を巡った後は、自然の地形を生かした庭園を見に屋外へ。1,000坪ほどある敷地に池や木々を配した池泉回遊式庭園は、眺めと散策を同時に楽しめる設計が特徴です。「根津の大石」と名付けられた、10人以上が2か月以上をかけて運んだという20トンもの巨石も目を引きます。