680(天武天皇9)年、天武天皇が皇后の病気平癒を祈って、建立を発願したのが薬師寺の始まり。元は飛鳥の地に建てられていましたが、奈良時代になってから現在地へと移された法相宗の寺院です。
近鉄橿
680(天武天皇9)年、天武天皇が皇后の病気平癒を祈って、建立を発願したのが薬師寺の始まり。元は飛鳥の地に建てられていましたが、奈良時代になってから現在地へと移された法相宗の寺院です。
近鉄橿原線の西ノ京駅からすぐの場所にあり、北側の受付で拝観料を支払ってから、南へと進んでいくと観音池のほとりにあるのが東院堂(国宝)です。鎌倉時代に再建された堂内には、聖観世音菩薩像(国宝)が安置されています。美しさが際立つ白鳳期の仏様をじっくりと堪能しましょう。
東院堂を拝観した後は、いよいよ薬師寺の独特な伽藍とご対面です。きらびやかな金堂を挟むように、東塔、西塔の二つの美しい塔が建っているのは薬師寺ならでは。
中門をくぐって右手に見えるのが東塔です(2020年4月に修復完成)。創建当初の建造物として残る塔で、国宝に指定されています。各層に裳階(もこし)と呼ばれる屋根が付いているため六重に見えますが、実際には三重塔です。どこかリズミカルな美しさをもつことから、「凍れる音楽」とも評されています。
そして中央に位置しているのが、1976(昭和51)年に復興された金堂。内部には御本尊、薬師三尊像(国宝)が安置されています。中央の薬師如来坐像をはじめ、両脇の日光菩薩像、月光菩薩像は白鳳期に造られた仏像として傑作といわれています。とくに日光・月光菩薩像の腰をひねったような立ち姿は、そのたおやかな美しさに見惚れてしまいます。
金堂の西側にあるのが、1981(昭和56)年に復興された西塔です。東塔と同じく、こちらも三重塔。東塔よりもやや高く造られており、これは経年変化で木材が縮むことで、いずれ東塔と同じ高さになることが想定されているのだとか。
金堂の奥には、2003(平成15)年に復興された大講堂があり、弥勒三尊像(重文)や仏足石・仏足跡歌碑(ともに国宝)が安置されています。
また境内北部には、玄奘三蔵院伽藍(げんじょうさんぞういんがらん)があり、玄奘塔では、法相宗の祖である玄奘三蔵(『西遊記』のモデルとしても有名)の遺骨と像が祀られています。