散策スポットとしてもとくに人気の高い「
哲学の道」。その北端にあるのが銀閣寺です。
観光客が常に多いエリアで、周辺の参道の土産物屋や茶店もにぎわっていますが、ひとたび銀閣寺の総門にたどり着くと、ここから雰囲気がガラ
散策スポットとしてもとくに人気の高い「
哲学の道」。その北端にあるのが銀閣寺です。
観光客が常に多いエリアで、周辺の参道の土産物屋や茶店もにぎわっていますが、ひとたび銀閣寺の総門にたどり着くと、ここから雰囲気がガラリと変わります。銀閣寺垣といわれる竹垣が続く先へ進むと、そのアプローチだけで、まるで別世界へと入っていくような気持ちになります。
銀閣寺は、室町幕府8代将軍・足利義政の山荘として造られた東山殿がその起源とされ、正式名称は慈照寺(じしょうじ)といいます。臨済宗
相国寺派のお寺で、高い美意識を持ち合わせていたといわれる将軍・義政の世界観が随所に見られます。
拝観料を払って境内へ入ると、目の前に広がるのが白砂の独特の世界。円錐台形にかたどられた向月台と、段形に美しく砂が盛られ波紋を表現している銀沙灘が目を引きます。
そして右手には、この寺のシンボルである銀閣(観音殿)。銀閣は室町期から残る二層の建築で、一層は書院風、二層は唐様仏殿の様式が取り入れられ、国宝に指定されています。
銀閣ばかりに目が向けられがちですが、銀閣とともに室町期から残る遺構である国宝の東求堂(とうぐどう)も、非常に価値ある文化財です。とくに東求堂内にある同仁斎(どうじんさい)という部屋は、違い棚や付け書院などが設えられた書院造になっていて、現代にも息づく四畳半の間取りのルーツになったともいわれています。
また、東求堂よりも手前、銀沙灘に面して建つのが方丈(本堂)で、江戸時代に活躍した画家・与謝蕪村や池大雅の筆による襖絵があります。
東求堂と方丈は、春と秋の特別拝観の時にしか内部が公開されませんが、訪れるタイミングが合ったらぜひ拝観しておきたい建築です。
白砂が盛られた銀沙灘をぐるりと巻いて、池のある庭園を進むと、境内の東側にある高台へと道が続きます。そして上り詰めたところから西側に開ける展望所からは、銀閣をはじめ銀沙灘や方丈などを一望できる絶景スポット。境内の中でもとくに開放的な景色が広がり、異なる風情を感じますよ。
高台から下ったところで、池越しに望む銀閣もまたすばらしいものです。決して派手な印象はありませんが、じっくり見るほどに深く身に染みるような落ち着いたたたずまい。日本文化の中に受け継がれてきた侘び寂びの世界を静かに鑑賞しましょう。春から初夏にかけての新緑も、美しさが際立つ秋の紅葉も、雪降る冬の水墨画のような彩りの世界も、季節によって変わる趣を楽しむのもいいですよ。
哲学の道周辺の見どころをはじめ、土産物店やカフェなども点在しているので、時間をたっぷりととって散策することをおすすめします。