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マドリード (スペイン) ショッピングの現地クチコミ

現地のプロ(5人)詳細

河合妙香 (記者、カメラマン、経営者)

キュートで辛口テイストな靴とバッグは手作り一点モノ!

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マドリード独特のアバンギャルドと粋な精神であふれかえるチュエカ・マラサナ地区。

ペドロ・アルモドバル監督が好んで描く人間たち、たとえば乾いたブラックユーモアの裏に、心の奥をキュンとさせてくれる熱くやさしい個性豊かな人々が集まる町には、彼らを癒し、満足させる素敵なお店が集まっています。

そんな中でも、キラリと光る個性を放つ1軒が、エスピリト・サント通り1番地にある小さなお店「イオリ」です。

オーナーは、アルゼンチンはブエノスアイレス出身デザイナー、シンシア・イオリさん。
ブエノスアイレスで、オペラの舞台衣装を手作りするデザイナーさんだったシンシアさんは、16年前にご主人の仕事の関係でマドリードにやってきました。

3歳の頃から物作りが大好きで、ひたすらデザイン畑を歩き、グラフィック・デザイナーもしていたというシンシアさんは、舞台衣装作りで器用な才能を発揮します。

驚くべきことに、アルゼンチンのオペラ舞台では、宮廷人が着用する大きなカツラ、ドレス、靴などの小物が、その都度手作りされていると言います。

彼女はこの仕事で、今につながる基礎をしっかり勉強したのです。

カツラの製法は、木型を使って、丸みを帯びたモノを作るという点で、靴作りと基本的には同じなのだそうです。

物作りにおいて天性のインスピレーションがあるシンシアさんのデザインは、自由な町マラサナ地区の雰囲気にもぴったり。

アルゼンチン・タンゴを思わせるエレガントなデザインと、おしゃれな皮革や布が生み出す靴とバッグは、大評判となりました。

マドリードに来てからも、しばらく舞台の裏方仕事についていたものの、小物はすべて出来上がっているか、他の国から来たものばかり。

つまらなくなったところへ、ご主人が「店を持ったらどうか?」に勧められます。

その都度、「ビジネス経験もないから、いやだわ」と断っていたシンシアさん。

しかし、人生とはわからないものです。

ある日、たまたま通りかかったエスピリト・サント通り1番地に、「貸店舗」を見つけました。
1836年当時の雰囲気を残す、天井が高く、棚もしっかり残っているレトロな物件を一目で気に入り、「店をやるならここ」と思ったのです。

特にお気に入りは床全面に貼られているアンティーク・タイル。
「他の場所ならやっていなかったわ」というシンシアさんは、契約時点では商品など手元にありませんでした。

店を借りてから、すこしずつバッグや靴を作り、店での販売を始めたのでした。

それから早10年。

「イオリ・ブルー」と呼びたくなるトレードマークの青空色は、靴内底、商品を包む紙からリボン、そしてお店のファサードを彩っています。

隅から隅まで、シンシアさんの愛と美学で包まれている「イオリ」で、一生涯大切にしたいと思える1点に出会えるかもしれませんね。 

同じ「もの」なのに、愛をいっぱいに受けたバッグや靴は、手元に置くだけで愛おしくなります。

きっと、イオリさんのポジティブ・エネルギーが静かにハートに伝わって、使い手の目と心を輝かすことでしょう。

「今日はちょっと違うね!なんだかとってもおしゃれ!」。そう言われること請け合いのお買い物ができるにちがいありません!

  • 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。