シェフのドミニク・ル・スタンクさんは元々、ホテルネグレスコ内にある星つきのレストラン、サンタクレールのメインシェフだった方。
その華々しいキャリアを捨ててまでも今の小さなお店を構えたかったその理由とは。
高級であるゆえに家族たちでさえ食べに来ることができない。
作った料理を食べてくれる人の顔を見ることさえかなわない。それは彼の目指した料理人とはかけ離れたものだった。
旧市街の一角に見つけた小さなお店がメランダだった。定年間近のおやじさんが一人で切り盛りしていた。
ドミニクさんは毎週のようにここへ通い「この店を手放すときはぜひともぼくに譲ってください」とくり返し頼んだという。
こうして彼は今から十二年ほど前、メランダの店主となった。
朝、自転車をこいで、隣接している市場で野菜や果物を買い求めるドミニクさんの姿がある。
新鮮な素材で作る腕利きシェフの作るニース料理が地元の住民たち、そして観光客たちが放っておくわけはない。
狭い店内はいつも満員で客たちはそれこそ肩を寄せ合うようにして舌鼓を打つ。
黒板にはその日のオードブル、メイン、デザートが書かれている。しかし、注文の仕方はまったくの自由だ。
オードブルだけを三品頼んでもいい。メインとデザートだけでもいい。おっと、店の端っこにチーズが見える。
今日はあれをメインにしてみようか。
春から夏の終わりまではズッキーニの花のフリッターがある。素朴な味わいでおススメの一品だ。
ピストゥと呼ばれるバジルソースのパスタはスパゲティ好きにはぜひ味わってもらいたい。
ワインの種類は白、赤、ロゼでそれぞれ一種類のみ。
しかしこれが厳選されたワインらしく、料理の味を引き立ててくれること間違いない。
店の奥にしつらえられた、驚くほど小さなキッチン。その前でドミニクさんが目をつむって深呼吸をしている。
まるで客たちのおしゃべりを楽しむかのように。
あるいは客たちの食べる顔を見て自分の作る料理を自ら評価するように。
彼のおだやかな顔となめらかな立ち居振る舞いはそれだけでも一流の料理人であることをわたしたちに語りかけてくる。
そして食後のコーヒーを、そろりそろりと運んでくれる、彼の奥さんのかわいらしさと美しさがまた、彼の小さな城に花を添えているのである。
Meranda メランダとはニースの古い方言で le casse croûte ル・カッス・クルットのこと。クルット(バゲット=フランスパン)をカッス(こわす)、つまりサンドイッチをかじること、それが転じて「かんたんな食事」を表すようになった。
電話がないので予約は現地で直接行うこと(必須)。
La Merenda ラ・メランダ
正統派のニース料理ならココ!
- 投稿日2015/11/27
ニース郷土料理、超有名ビストロ!
- 投稿日2015/11/27
ニースに来て、土地の料理を食べたいと思うなら是非行って欲しいお店。
ニース旧市街にある小さなニース料理のレストラン、ラ・メランダ。
有名ホテルの星付きレストランで腕をふるっていたシェフが独立して開店したお店。
この辺りのレストランには珍しく、土日が定休日なので要注意。
月曜〜金曜までの昼と夜のサービスのみ。
また、電話がないので予約したい場合には事前にお店まで出向いて口頭で予約すること。
私はここへ行くときはいつも開店と同時に入店。
開店と同時だとほとんど並ばずに席につけます。
と、なんだか不便な所から紹介してしまいましたが、このお店、筆者一押し、とても美味しいニース料理が食べられるビストロです!
こじんまりとしたレストランは南仏のビストロらしい雰囲気です。
料理はニースの地元料理。マルシェや地元の新鮮食材をふんだんに利用したものばかり。
前菜はニース風のピッツァや、リコッタチーズ、バジルペーストのトロフィー(パスタ)も美味しい。
メインは煮込み料理など。
ドーブはビーフシチュー、トリップはモツの煮込み、私のイチオシはレンズ豆とソーセージの煮込みです。
メニューの数は決して多くはありませんが、どれも美味しく、一度食べるとまた是非リピートしたくなるお店です。
支払いの際、クレジットカードは利用できませんので現金のご用意を。
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ジャンルフランス料理
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エリアオールド タウン
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住所
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アクセスオペラ ヴィエイユ・ヴィル駅から徒歩1分
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営業時間[月₋金] 12:00₋13:30,19:30₋21:00
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定休日土・日
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予算20~40ユーロ
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公式サイト
- 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。