アールヌーヴォーって何?
デザインや建築でも学んだ人でなければピンと来ないかもしれない。アールヌーヴォーとは、19世紀末から20世紀始めの短い間、ヨーロッパで一世を風靡したデザイン様式。フランス語でArt Nouveau――それまで贅沢で豪華なものばかりが持てはやされた貴族趣味へのアンチテーゼとして登場した、新しいアートの潮流だった。特に建築におけるアールヌーヴォーのメッカとなったのがベルギー。木、鋳鉄、ガラスなどの新素材、花や鳥などのモチーフ、くねくねしたカーブや幾何学的な対照性など、「新規」な挑戦が次々と試された。
その頂点にたったのがヴィクトール・オルタ。彼はその頃財力を持ち始めた新興資本家たちの私邸、ワイン商や織物商の倉庫、駅や音楽堂、学校などの公共の建物を精力的に手掛けたが、徹底的にアールヌーヴォーの粋を尽くしたのは何と言っても自身の家だった。だから、アールヌーヴォーを知りたいなら、ここを訪ねるのがベスト。AからZまでがひとつの家につまっている。
アールヌーヴォー建築は「トータル・デザイン」だ。すべての階のすべての部屋の、すべての窓、ドア、床、壁、机に椅子、トイレの便器や洗面台、ストーブ、食器、フォークにナイフ、ドアノブに鍵穴に至るまで、家の内外のすべてがアールヌーヴォー尽くし。疲れる…こんなところに住んでいたら嫌にならないのかな。実は、理想的に造ったこの自宅に、オルタは数年しか住まなかったらしい。
アールヌーヴォー様式の住宅は、当時ブリュッセル中に多数建てられたので、今でも正面外装だけなら、ブリュッセルのあちこちの住宅地で「アールヌーヴォー住宅めぐり」が楽しめる。世界遺産に指定されたオルタによる住宅はいくつもあるが、外見はオルタ色の窓枠以外は、あまり目立たないし、内部公開は珍しい。だから、オルタ・ミュージアムの価値は大きい。旧市街からはちょっと離れていて、公開は午後のみなので要注意。
Horta Museum オルタ美術館(オルタ邸)
栗田 路子
(コンサルタント、コーディネーター、通訳、ジャーナリスト)
巨匠オルタの自宅でアールヌーヴォーに浸り切る
- 投稿日2016/03/14
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ジャンル美術館・ギャラリー
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エリアブリュッセル
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住所
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アクセスブリュッセル南 Brussels South/Midi駅からトラム81番に乗車しJansonで下車 徒歩約3分
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電話番号+32-2-5430490
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営業時間[火-金]14:00-17:30 [土・日]11:00-17:30(最終入場16:45)
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定休日月曜日,1月1日, 復活祭,5月1日,7月21日, 8月15日, 11月1日・11日, 12月25日
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予算入場料(大人) 12ユーロ
(6-17歳) 3.5ユーロ
(65歳以上) 10ユーロ -
公式サイト
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