王室ラス・デスカルサス修道院は、神聖ローマ帝国を兼ねたカルロス1世(カール5世)と王妃のポルトガル王女イサベルの娘、フアナ・デ・アストリアスが、夫でポルトガル王子フアン・マヌエルの未亡人となった後、1559年に興した修道院です。
フアナ・デ・アストリアスの弟は、父カルロス1世を継いでスペイン国王となったフェリペ2世です。
横に細長いプラテレスク様式のファサードから中に入りチケットを買うと、パティオの手前の待合室で人数が集まるまで待たされます。
チケット売り場では、人数に余裕がある回のチケットを売っていますから、希望通りの時間に見学ができるとは限りません。観光スケジュールが決まっている人は、なるべく朝早く行き、希望の時間帯のチケットを買いましょう。
さて、パティオを通ってエントランスに立つと、美しいトレド風ルネサンス様式の階段に沿って、壁と天井を覆う圧倒的なフレスコ画に目を奪われます。
洗礼者ヨハネと羊、キリストの受難、フェリペ4世、マリアナ・デ・アストリア王妃らの姿は、16〜17世紀にかけて描かれましたが、損傷がはげしかったため、2011年に完全修復されました。
階段を上がって回廊に立つと、この修道院がパティオを中心にした回廊の形になってる事がわかります。
この回廊は、タラベラ焼きのタイルが美しいチャペル、1000体ものキリスト像を納めたチャペルなど、貴重な祭壇でぐるりと囲まれています。
今も20名ほどいる修道女たちは、観光客がいる時間帯は姿を見せませんが、早朝あるいは閉館後、この回廊に集まり、祈りをあげるのです。
展示されている秘宝には、大変大きなエメラルドで作られた十字架、大小の象牙のキリスト像なども見られ、南米やフィリピンまで到達していたスペイン帝国の勢力を感じます。
また、奥にはタペストリーの間があり、ここには、フェリペ2世の娘でありネーデルラント総督であったイサベル・クララ・エウヘニア王女の命で、ルーベンスが下絵を描きブリュッセルで織られたという、大きなタペストリーも展示されています。
デスカルサス修道院を興したフアナ・デ・アストリアは、スタペストリーの間の奥にある、ポンペジョ・レオニ(Pompeyo Leoni)作の墓碑祈祷像がある礼拝堂に埋葬されています。
18世紀にナポレオンに攻められるまで、修道院の敷地は広大でした。現在カジャオにあるデパート、エル・コルト・イングレスを遥かに越える場所に至り、高い壁でぐるりと取り囲まれていたと言います。
その後、マドリード市の拡張工事もあり、時代の流れで現在の形になりました。
修道女たちが住む別棟には、自給自足用の畑もあるということです。
Monastery of Las Descalzas Reales ラス デスカルサス レアレス修道院
河合妙香
(記者、カメラマン、経営者)
500年続く修道院は今も修道女が祈る場に
- 投稿日2014/09/30
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ジャンル寺・神社・教会
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エリアセントロ
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住所
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アクセス地下鉄L3・5線 Callao駅から徒歩約3分
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電話番号+34-91-4548800
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営業時間[火-土]10:00-14:00,16:00-18:30 [日]10:00-15:00
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定休日月曜日
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予算入場料(大人) 8ユーロ
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公式サイト
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