The Acropolis Museum 新アクロポリス博物館

2009年に新しくオープンしたアクロポリスミュージアムは、遺跡発掘現場の上に浮かせた近代的な建物もさることながら、聖なる丘から出土した彫刻や遺物を時代やテーマ別に展示。高い天井と、ガラス張りの外壁から注ぐ自然光によって、開放感のあふれるギャラリーが魅力です。

1階から2階へ向かうアプローチには、丘の斜面から出土した各種の彫刻や陶器類。正面階段を登って右側がアルカイック期の出土品（2019年9月現在このギャラリーのみ撮影不可）。左側は紀元前5世紀～紀元5世紀の彫刻や古代都市を再現したジオラマなどが展示されています。

展示されている彫像は頭部が欠損しているものが多いので、ちょっとだけ神話の蘊蓄を。女神アテーナーの像は、英雄ペルセウスが献じたメデューサの首の胸飾りで判別できます。死してなお見る者を石化してしまうこのメデューサの頭部は、その後、厄除けとして人気を博し、中東からシルクロードを渡って日本に伝来。私たちにもお馴染みの鬼瓦となりました。

2階から3階へ上る階段下、博物館の吹き抜け部分に張り出した特設スペースに、エレクティオンのカリアテッド（女性像）が5体、静かに佇んでいます。本来は6体でしたが、19世紀に英国のエルギン卿によって持ち去られ、今は大英博物館にいる姉妹を待ちわびるかのように、前列右側のスペースが空席になっています。

3階はカフェとミュージアムショップ。とくに屋外のカフェは、アクロポリスを一望する景色が素晴らしく、ここでいただくコーヒーは格別です。

そして、4階のパルテノンギャラリー。パルテノン神殿と同数のステンレス製柱を並べ、様々な神話を描いたレリーフが展示されています。

2019年の夏から、ミュージアム下の遺跡に入れるようになりました。遺跡の入口は、ミュージアムを出て右手のスロープを下ったところにあります。見学料はミュージアムの入場料に含まれていますので、入場券を提示してください。

地下鉄アクロポリス駅から徒歩1分。
入館時に手荷物検査があります。大型の荷物は持込み不可。
館内無料Wi-Fiあり。携帯電話の使用はロビー、レストラン、カフェのみに限定されます。

2階のアルカイックギャラリーを除き、館内撮影可。ただし、フラッシュや三脚、照明器具の使用は禁止されます。同ミュージアムではガイドツアーを行っていません。

割引入場券を購入する場合は、パスポートまたは学生証を提示する必要があります。

イースター直前の金・土曜、大晦日、元旦は営業時間が短縮されるので要注意。
8月中の満月の日および「ヨーロッパの博物館の夜」は深夜0時まで営業。
3月6日、3月25日、5月18日、10月28日は入場無料です。

アクロポリスとアクロポリスの丘周辺で見つかった遺産が主な展示物。

アクロポリスの丘から発見された彫刻、建築エレメントなどは、かつてアクロポリスの丘の上にあった地下博物館に展示されていましたが、手狭だったので、丘の南側に全く新しい建物を建築し、そこに移されました。このため、博物館がオープンした2009年からしばらくは、「新」アクロポリス博物館と呼ばれていましたが、今では普通にアクロポリス博物館と呼ばれています。

その面積は、旧博物館の約10倍である14,000平方メートル。ベルナール・チュミとミハリス・フォティアディスのデザインです。

博物館の一階は、アクロポリス周辺の聖域から見つかった彫刻・陶器などが主に展示されています。

二階には、アクロポリスの丘の上で見つかった彫刻や建築エレメントが主に展示されています。主な見ものは、アテナ女神に捧げられた「コーレー」（ギリシャ語で「娘、若い女性」の意味）像のコレクション、エレクテイオンを飾っていたカリアティデス像のオリジナル（アクロポリスの丘にあるのはレプリカ）、今残っているものよりも古い神殿を飾っていた彫刻などです。

三階（写真で、ガラス張りになっている最上階）は「パルテノン・ギャラリー」と呼ばれ、現在立っているパルテノン神殿から保存のために移された彫刻が、神殿の一部を復元する形で展示されています。多くのギリシャ人にとって、大英博物館に収蔵されている、パルテノン彫刻から持ち去られた彫刻群（19世紀の初めにイギリスのエルギン卿が、当時まだオスマン・トルコ支配下にあったギリシャから持ち去ったもので、「エルギン・マーブル」と呼ばれます）の返還は悲願なのですが、このフロアでは、これらの彫刻が返還されたらすぐに展示できるようになっています。

博物館にあるカフェ・レストランでは、アクロポリスを眺めながら、コーヒーを飲んだり、ギリシャ食材を使った食事を楽しむことができ、人気です。