アクロポリスの丘南側のスロープを利用して建てられたこの音楽堂は二世紀に、ヘロデス・アティコス(現代ギリシャ語読みだとイロディス・アティコス)という人物によって建てられました。
ヘロデス・アティコスは、ローマ帝国(当時のギリシャは帝国の一部でした)の黄金時代である二世紀に生きた億万長者で、いくつかの巨大建築物を残しました。現在、パナティナイコ競技場として復元されている建物も、もともとこの人物が造らせたものです。音楽堂は、亡くなった彼の妻、レギッラを追悼するため、161年頃に建てさせたものです。
ファサード(建物の正面)の高さは、現存する部分だけで28メートルあります。建造された当時には、ファサード、床、座席とも、表面はすべて大理石で覆われていました。現在見るとよくわかりませんが、劇場と音楽堂(オデイオン)の一番大きな違いは、屋根のある無しでした。他の音楽堂同様、ここでも今は屋根がなくなってしまっていますが、かつては杉材で覆われていたという記録が残っています。収容人数は5千人程度だったと推定されています。
ヘロデスの音楽堂は、267年に、いわゆる「蛮族」である(帝国外に住んでいた、文化を異にする人々)ヘルリ人がアテネに攻め込んだ際に破壊され、その後、再建されることはありませんでした。音楽堂が現在の姿になったのは、1950年から1961年にかけて行われた修復のおかげです。
現在もコンサートや劇場として使われており、夏の間に行われる、アテネ・エピダウロス・フェスティバルの主要会場の一つとしても有名です。チケットはオンラインでも購入可能ですので、夏にアテネを訪れる方は、興味のある催し物が行われているかチェックしてみてはいかがでしょうか。
イベントの際以外は中に入ることはできませんが、ファサード(正面)はディオニシウー・アレオパギトゥー通り側からよく見えますし、アクロポリスの丘から内部を見下ろすこともできます。
Odeon of Herodes Atticus ヘロディス・アッティコス音楽堂
古代の大富豪が建て、今も使われる音楽堂
- 投稿日2015/03/23
古代遺跡で味わうオペラやコンサート
- 投稿日2015/03/13
- 更新日2016/08/26
アクロポリスの丘を登る途中、右手の斜面から見下ろすことのできる古代劇場。
丘の斜面を利用して半円形の客席を作り、正面に石組みの高い壁をいただいたこの劇場は、2世紀にローマの執政官イロドス・アティコスによって建設されたものですが、残念ながら一般には公開されていません。
つまり、丘の上から眺めるしかないのですが、ここに朗報。毎年6~8月の3カ月間、アテネフェスティバルの一環としてこの音楽堂でイベントが催されており、チケットを入手すれば、この神秘的な遺跡でコンサートやオペラ、ミュージカルなどを楽しむことができます。
夏の間は日が長いため、日没を待って午後8時半開場、午後9時開演。入口から入って石造りのトンネルのような通路を歩いていると、まるでグラディエーターになった気分。
石造りの席にはクッションが置かれているのでお尻が痛くなることはありませんが、背もたれがないのがやや難点。しかし、プログラムが開演するとそんなことはすっかり忘れてしまいます。
何せ、四方を遺跡に囲まれ、背後はライトアップされたアクロポリスのみ。現代社会から完全に隔絶されたこの幻想的な空間で、好みの交響曲やオペラを堪能できるという極上の時間は、ギリシャ旅行のハイライトとなること間違いなし。
上演時間は15分間の休憩を挟んで3時間ほど。終演は深夜12時を回ります。
チケット料金は演目によって異なりますが、50~150ユーロ程度。観客席の傾斜が急なので、一番安い最上段の席でもそれほど遠く感じません。また、学割もありますので、有効に活用してください。
今年の「アテネ&エピダブロス フェスティバル2015」のプログラムが発表されました。イロドスアティコス古代音楽堂では、ギリシャ国立歌劇団によるプッチーニのオペラ「トスカ」(6月14、16、17、18日)、コール・ポーター作のミュージカル「キス・ミー・ケイト」(6月24日)などの公演が予定されています。詳細は以下をご覧ください。
http://www.greekfestival.gr/uploads/programme_2015_en.pdf
また、以下のサイトでチケットの予約が可能です。
athens festival 2015:http://www.greekfestival.gr/en/mobile/index
-
ジャンル劇場・ホール・ショー
-
エリアアテネ
-
住所
-
アクセス地下鉄M2 アクロポリス Acropoli駅から徒歩約9分
-
電話番号+30-210-3224625
-
営業時間[外観] 24時間営業
-
定休日無休
-
予算入場料(大人) 20ユーロ
(6-25歳) 10ユーロ -
公式サイト
- 上記の記事は、訪問時点の情報を元に作成しています。訪問先の都合や現地事情により、最新の情報とは異なる可能性がありますのでご了承ください。