ルネッサンスの時代、イタリア絵画の注文主は豊かな商人や貴族たちでした。けれども、もしも教会というもう一人の上得意客がいなければ、イタリア絵画はあれほどの発展を遂げなかったかもしれません。教会内部は数々の絵画や彫刻で飾られ、その結果、美術作品の宝庫となった教会がイタリアにはたくさんあります。ヴェネツィアのサンタ・マリア・グロリオーサ・デイ・フラーリ教会もそんな教会のひとつです。
教会はバラ窓やヴェネツィア特有の装飾で飾られた正面エントランスを持つ、15世紀ゴシック様式で建てられています。サン・マルコ寺院に次ぐ二番目の高さを誇る70メートルの鐘楼が、それほどの高さとは思えないほどの大聖堂です。レンガの外壁はシンプルですが、一歩足を踏み入れると、数々の彫刻や大理石の柱の荘厳さに圧倒されるでしょう。
中央に、木製のレリーフや聖人の彫像で飾られた聖歌隊席が設けられています。オリジナルのまま現存するヴェネツィアでは唯一の木製聖歌隊席です。また、入口上部のブロンズの十字架像もお見逃しなく。十字架像は、フィレンツェに工房を持つマエストロにしてレオナルド・ダ・ヴィンチの師でもあった、ヴェロッキオの手になるものです。
聖歌隊席を抜けた先の主祭壇を飾るのが、サンタ・マリア・デイ・フラーリ教会の至宝、ティツィアーノの『聖母被昇天』(1518年)です。 天に昇る聖母マリアの晴れやかな姿とそれを崇めるように見上げる使徒たち、そして聖母を迎える天なる父の姿。祭壇画の前に立った当時の人々は、周囲をぐるりと囲むステンドグラスの光によって浮かび上がる、壮大なドラマの一シーンに立ち会っているかのような気になったことでしょう。
『聖母被昇天』は金のアーチの縁どりや大理石の柱の枠、そして何より周囲のステンドグラス(から差し込む光)と一体となった、この場所、この教会から決して切り離してはいけない絵画です。私たちもその壮大なドラマに立ち会うために、当時の人たちと同じように足を運び、祭壇画の前に立つことにしましょう。
他にも、ティツィアーノの師でもあったジョバンニ・ベッリーニの聖母子像や、フィレンツェの彫刻家ドナテッロの木製の聖ヨハネ像など、見ごたえのある(それだけでも目玉になり得る)作品がたくさんあります。可能であれば1時間ほど時間をとって、ゆっくりと鑑賞されるのがおすすめです。
★アクセス:サンタ・ルチア駅徒歩15分。もしくは同駅から水上バス1番で(27分)San Toma下船、停留所より徒歩5分
Basilica di Santa Maria Gloriosa dei Frari サンタ マリア グロリオーザ デイ フラーリ聖堂
ルネッサンスの名画が当時のままの姿で迎えてくれる、「まるごと美術館」の教会
- 投稿日2017/12/14
2015/02訪問
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ジャンル寺・神社・教会
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エリアサンポーロ
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住所
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アクセスSanta Lucia駅から徒歩約15分、水上バス1・2・N番 S. Toma停留所から徒歩約3分
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電話番号+39-041-2728611
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営業時間[月-金]9:00-19:30[土]9:00-18:00 [日・祝日]13:00-18:00
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定休日無休
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公式サイト
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