シンタグマ広場からパネピスティミウー通りをオモニア広場に向かって歩いて行くと、右手に印象的な古代風の建物が三つ並んで見えてきます。これは、シンタグマ広場に近い方から、アカデミー(学術院)、アテネ大学、国立図書館で、19世紀後半に建てられたネオ・クラッシック様式建造物の代表作です(全て原則的には外部からのみの観光になります)。
中央に立つアテネ大学を設計したのは、有名な建築家クリスチャン・ハンセン1803-83で、1839年から1842年の間に建てられました。現在、アテネ大学のメイン・キャンパスは、中心からちょっと離れた場所に移ってしまっていますが、今でも特別な行事の時には使用されます。
アテネ大学の正式名称は「カポディストリアス国立アテネ大学」といいます。これは、独立近代ギリシャの初代首相だったヨアンニス・カポディストリアスに因むもので、大学の前には彼の像が立っています。
大学に向かって右に立っているのはアテネ学術院。テオフィル・ハンセン(1813-1891)の設計で、1859年に建てられました。建物正面、円柱の上に立つ像は、向かって左がアテナ女神、右がアポロン神で、学芸と芸術の守護神です。
大学に向かって左側に立つのは国立図書館。やはり、テオフィル・ハンセンの設計で、1887年から1902年にかけて建てられました。建物の正面は、ドーリア式神殿を模しています。
クリスチャンとテオフィル・ハンセンはデンマーク人の兄弟で、近代ギリシャ王政初期の建築を代表する建築家です。近代ギリシャの建築を代表する建築家が、なぜ外国人なのでしょうか。オスマン・トルコに支配されていたギリシャには、近代ヨーロッパ建築の伝統がありませんでした。ギリシャが独立した後、バイエルンからやって来た王や、ギリシャに「戻ってきた」富裕な外国のギリシャ人たちは、建築を外国の建築家に依頼せざるを得なかったのです。こんなところにも、ヨーロッパ文化発祥の地でありながら、ヨーロッパでなくなっていたギリシャのねじれた歴史が伺えます。
National and Kapodistrian University of Athens アテネ大学
ギリシャ近代建築の名作
- 投稿日2015/03/23
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ジャンルその他建造物
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エリアアテネ
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住所
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電話番号+30-210-7277000
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公式サイト
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