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エリア:
- アジア > ネパール > カトマンズ
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テーマ:
- 世界遺産
『シャチョウサン、シャチョウサン』今度はなんだろう。
『白檀の木の‘たて笛’30ドルでどうだ』笛を吹きながら彼もまたカニ歩きでついてくる。
25ドル、20ドル、 「確かに白檀の香りはする」
15ドル、10ドル 「音もでてるし、どうせ土産も要る」
つい言ってしまった 『10ドル(1100円)なら』
『まいどおおきに!』そのうれしそうな顔を見れば、言葉はわからなくとも浪花商人よろしく、彼がそう言っているのは間違いない。
一緒に歩いていたTが『1000円でも売るんちゃうか、どや』いつのまにか、買う方も浪花商人のようになっている。
『まいど』全く躊躇することなくTからお金を受け取った彼と目が合った。
Tより高い買い物をさせられた私にこぼれるような笑顔で再び釣糸をたらす。
『あなたはとっても良い人』(当たり前だ、ここが日本なら差額を返してもらうところだ)
『高く買ってくれて私はうれしい。だから私もあなた喜ばしたい』
私は期待に胸を膨らます。私を出し抜いたつもりのTも横で聞き耳を立てる。
『喜んでくれ、あなたには特別にこの笛を3本10ドルで売ってあげよう。どうだ嬉しいだろう』
この底抜けの図々しさと人の良さは尊敬に値する。『ハハー、参りました』
ネパールは経済的には貧しい。国土もやせている。
しかしそこに住む人々の心は決して貧しくはない。彼らは決して我々に媚びたりはしない。
この国には伝統を大事にする文化・生活がある。だから、神々しいまでに美しいヒマラヤの山々と同じように、この国の人々の生き様は、見かけとは違って清々しく美しい。
(Contributed by Kozo Kawasaki)
『白檀の木の‘たて笛’30ドルでどうだ』笛を吹きながら彼もまたカニ歩きでついてくる。
25ドル、20ドル、 「確かに白檀の香りはする」
15ドル、10ドル 「音もでてるし、どうせ土産も要る」
つい言ってしまった 『10ドル(1100円)なら』
『まいどおおきに!』そのうれしそうな顔を見れば、言葉はわからなくとも浪花商人よろしく、彼がそう言っているのは間違いない。
一緒に歩いていたTが『1000円でも売るんちゃうか、どや』いつのまにか、買う方も浪花商人のようになっている。
『まいど』全く躊躇することなくTからお金を受け取った彼と目が合った。
Tより高い買い物をさせられた私にこぼれるような笑顔で再び釣糸をたらす。
『あなたはとっても良い人』(当たり前だ、ここが日本なら差額を返してもらうところだ)
『高く買ってくれて私はうれしい。だから私もあなた喜ばしたい』
私は期待に胸を膨らます。私を出し抜いたつもりのTも横で聞き耳を立てる。
『喜んでくれ、あなたには特別にこの笛を3本10ドルで売ってあげよう。どうだ嬉しいだろう』
この底抜けの図々しさと人の良さは尊敬に値する。『ハハー、参りました』
ネパールは経済的には貧しい。国土もやせている。
しかしそこに住む人々の心は決して貧しくはない。彼らは決して我々に媚びたりはしない。
この国には伝統を大事にする文化・生活がある。だから、神々しいまでに美しいヒマラヤの山々と同じように、この国の人々の生き様は、見かけとは違って清々しく美しい。
(Contributed by Kozo Kawasaki)