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リニューアル第二弾はラマザンのお作法、
どんな風に断食を行っているのか紹介しましょう。
ラマザン(断食月)と呼ばれる約一ヶ月の期間、イスラム教を信仰する人々は日々の断食を励行しています。夜明けから日没まで一切の飲食を絶つのです。空腹や喉の渇きに耐える事は、実際に食物に恵まれない貧しい人々へ思いを馳せる事になりますし、一種の修行でもあります。この期間供に断食を行う世界中のミュスリマン(イスラム教徒)達との連帯を感じる行為でもあります。
実際、断食中、道行く、同じ様な断食中の仲間を見るだけでも勇気付けられるものです。
断食は成人男女の心身ともに健康な人が対象で、病人、老人、旅行者、妊産婦、生理中の女性、10歳くらいまでの子供、戦闘中の兵士、そして重い肉体労働に従事する場合は除外されます。
断食は、飲食をした場合、多量の出血をした場合には中断されます。
ラマザン中に、やむを得ず断食が行えなかった場合は(女性はどうしても生理期間とかぶってしまいますので)ボルチと言って神様に借りを作った事になります。その場合はラマザン終了後、引き続き断食を続行する事も出来ますし、他の時期に行う事も出来ます。どうしても無理な場合は、喜捨と言ってお金で貧しい人々への寄付を行う事で支払う事も出来ます。どれくらいの金額が妥当なのかは付近のジャーミーでホジャ(お坊さん)に尋ねて参考にします。
さて、断食をどの様に行うのか
断食を行う日の夜明け前、(今年はおそらく3時ごろ)に一度起き、サフルと呼ばれる深夜の食事を摂ります。食事を済ませると歯を磨き、アブデストと呼ばれるお清めをします。これは一日5回のお祈りの際にもするもので、手、口、鼻、耳、首、頭、腕(肘まで)、足首から下を水で洗います。詳しいやり方はまた別の機会にでも紹介したいと思います。
清潔になったら、心も清めてアッラー(神)に向かい合います。そして、誓いの言葉を唱えるのです。「ニエ エッティン アンラッハ ルザース イチン オルチ ツツマーヤ(注:筆者が勝手に耳から入った音をカタカナ表記しています)」この「ニエエッティン」を済ました後は、その日の日没まで一切の飲食を絶ちます。
日中は普通の日常を送ります。ただ、食事を摂らないだけです。断食をしていない他人にも一切干渉しませんし、されません。あくまでも神と個人の間で交わされる契約なのです。不思議な事に意外と空腹も喉の渇きも余り感じません。痩せる為のダイエットで食事を減らすのは、あんなに大変なのに、一切摂らないと決めてしまえば意外に出来るもののようです。それでも、何か、集中出来る作業がある場合は他ですが、手持ち無沙汰になる空白の時間があると余計な邪念も頭に入ってきますので、なるべく忙しくしているのが、断食中の時間を短く感じるコツのようです。いっそ昼寝をして夜中のサフルの為の睡眠不足を補うのも有効です。
断食明けの夕食イフタルは、時間が明確に決まっていますので、断食中の人もそうでない人も、普段忙しくて別々に食事を摂る家族も揃って食卓へつきます。普段、お酒を飲む人でも、ラマザン中は飲まないと言う人がほとんどですので、夜も遅くまで家族の団欒が繰り広げられます。
さて、イフタルの時間ですが、その町町でそれぞれ時間が違っています。地球は丸いですから、日没の時間も北緯南緯東経西経で左右されるのです。大概、ラマザンが近づくと、それぞれの町の商店などで、その町独自の時間を記した一覧表を配っています。どれも工夫を凝らしたデザインで見てても集めても楽しいものです。
さて、いよいよ断食が明ける時間がやってきました。
目の前には、この日のご馳走が並んでいます。家族や客様と囲む食卓で耳を澄ませます。近くのジャーミーから日没のお祈りをしらせるエザーンが聞こえてきました。一堂、まずは水の入ったコップを手に「ビスミッラーラフマーニラフィーン」と唱えながら喉を潤します。そして、掛け替えのない家族や仲間と一緒に食卓を囲めること、無事に断食が出来た事を神に感謝して食事を始めるのです。
次回はラマザンこぼれ話を集めてみましょう。
どんな風に断食を行っているのか紹介しましょう。
ラマザン(断食月)と呼ばれる約一ヶ月の期間、イスラム教を信仰する人々は日々の断食を励行しています。夜明けから日没まで一切の飲食を絶つのです。空腹や喉の渇きに耐える事は、実際に食物に恵まれない貧しい人々へ思いを馳せる事になりますし、一種の修行でもあります。この期間供に断食を行う世界中のミュスリマン(イスラム教徒)達との連帯を感じる行為でもあります。
実際、断食中、道行く、同じ様な断食中の仲間を見るだけでも勇気付けられるものです。
断食は成人男女の心身ともに健康な人が対象で、病人、老人、旅行者、妊産婦、生理中の女性、10歳くらいまでの子供、戦闘中の兵士、そして重い肉体労働に従事する場合は除外されます。
断食は、飲食をした場合、多量の出血をした場合には中断されます。
ラマザン中に、やむを得ず断食が行えなかった場合は(女性はどうしても生理期間とかぶってしまいますので)ボルチと言って神様に借りを作った事になります。その場合はラマザン終了後、引き続き断食を続行する事も出来ますし、他の時期に行う事も出来ます。どうしても無理な場合は、喜捨と言ってお金で貧しい人々への寄付を行う事で支払う事も出来ます。どれくらいの金額が妥当なのかは付近のジャーミーでホジャ(お坊さん)に尋ねて参考にします。
さて、断食をどの様に行うのか
断食を行う日の夜明け前、(今年はおそらく3時ごろ)に一度起き、サフルと呼ばれる深夜の食事を摂ります。食事を済ませると歯を磨き、アブデストと呼ばれるお清めをします。これは一日5回のお祈りの際にもするもので、手、口、鼻、耳、首、頭、腕(肘まで)、足首から下を水で洗います。詳しいやり方はまた別の機会にでも紹介したいと思います。
清潔になったら、心も清めてアッラー(神)に向かい合います。そして、誓いの言葉を唱えるのです。「ニエ エッティン アンラッハ ルザース イチン オルチ ツツマーヤ(注:筆者が勝手に耳から入った音をカタカナ表記しています)」この「ニエエッティン」を済ました後は、その日の日没まで一切の飲食を絶ちます。
日中は普通の日常を送ります。ただ、食事を摂らないだけです。断食をしていない他人にも一切干渉しませんし、されません。あくまでも神と個人の間で交わされる契約なのです。不思議な事に意外と空腹も喉の渇きも余り感じません。痩せる為のダイエットで食事を減らすのは、あんなに大変なのに、一切摂らないと決めてしまえば意外に出来るもののようです。それでも、何か、集中出来る作業がある場合は他ですが、手持ち無沙汰になる空白の時間があると余計な邪念も頭に入ってきますので、なるべく忙しくしているのが、断食中の時間を短く感じるコツのようです。いっそ昼寝をして夜中のサフルの為の睡眠不足を補うのも有効です。
断食明けの夕食イフタルは、時間が明確に決まっていますので、断食中の人もそうでない人も、普段忙しくて別々に食事を摂る家族も揃って食卓へつきます。普段、お酒を飲む人でも、ラマザン中は飲まないと言う人がほとんどですので、夜も遅くまで家族の団欒が繰り広げられます。
さて、イフタルの時間ですが、その町町でそれぞれ時間が違っています。地球は丸いですから、日没の時間も北緯南緯東経西経で左右されるのです。大概、ラマザンが近づくと、それぞれの町の商店などで、その町独自の時間を記した一覧表を配っています。どれも工夫を凝らしたデザインで見てても集めても楽しいものです。
さて、いよいよ断食が明ける時間がやってきました。
目の前には、この日のご馳走が並んでいます。家族や客様と囲む食卓で耳を澄ませます。近くのジャーミーから日没のお祈りをしらせるエザーンが聞こえてきました。一堂、まずは水の入ったコップを手に「ビスミッラーラフマーニラフィーン」と唱えながら喉を潤します。そして、掛け替えのない家族や仲間と一緒に食卓を囲めること、無事に断食が出来た事を神に感謝して食事を始めるのです。
次回はラマザンこぼれ話を集めてみましょう。
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- ブログリニューアル!再開第一弾はラマザンについてです。
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エリア:
- 中近東>トルコ>カッパドキア
- テーマ:観光地 お祭り・イベント 世界遺産
- 投稿日:2010/07/06 19:05
- コメント(0)
こんにちは。
ここカッパドキアに本社を持つ、我がMTIツアーから、カッパドキアの生活情報を中心にトルコを旅する、また旅したいとお考えの皆さんに、為になる楽しいお話が紡げていけたらと思います。
まずはイスラム教徒がほとんどをなすトルコで、とっても大切な行事「ラマザン」について書いてみたいと思います。
2010年、今年のラマザン(断食月)は8月11日から9月9日まで行われます。
ラマザンとそれに続くシェケルバイラム(砂糖祭り)はイスラム教徒がほとんどをなすトルコではとっても大切な祝祭日です。家族や親戚友人達との絆を確認する心温まる日々であり、またある意味空腹や禁煙からくる殺気立った独特な雰囲気の日々でもあります。
断食と言っても(当然ですが)期間中ずっと食物を食べないのではなく、毎日、夜明けから日没までの時間、一切の食物と飲み物を絶つのです。口に何も入れない、と言う意味ではタバコも吸いませんし、歯磨きも夜明け前に済ませます。歯科治療も控えます。唾を飲み込む事さえ禁忌と言いますが、知らず知らず飲み込んでしまうものはこの限りではありません。大切なのは自分自身がアッラー(神様)に断食する誓いを立て、その誓いを日没まで守る、個人個人の心の問題なのです。
そして日没を知らせるエザーン(日に5回のお祈りの時間を知らせるジャーミーからの放送)を聞くと同時に、日中の鬱憤を振り払うかの様にめくるめく豪華な食事をお腹一杯堪能するのです。

ラマザン中に逆に太ると言う方も居るくらいです。一家の主婦もこのイフタルと呼ばれる断食明けの食事の為に日中のほとんどの時間、料理に腕を振るっているのです。日中、禁煙していたヘビースモーカーは、食事よりタバコ!と喫煙エリアに走る方も居ます。
このイフタルの食事は、家族や親戚、時に友人同士で招待し合って、一緒に取るのが一般的です。期間中、ほとんどを、そうしたお客様を招待して過ごすご家族も居るのですが、毎日の事となると本当に大変です。主婦の頭の中はラマザン中、日々のイフタルのメニューの事でいっぱいです。
またご招待も沢山受けます。

ご招待を受けると、ご招待先のお家に伺って、そのお宅の主婦の自慢のメニューをご馳走になり、食事の後はデザート、時にはコーヒーも頂き、一息入れた後は夜更けまでチャイを片手に語り合うのです。まったりと四方山話で盛り上がり、お互いの絆を確認し、今度は我が家にご招待しますので、必ず来てくださいね、と熱い抱擁を交わして家路につくのです。
そうしたやりとりが、元々家族や親戚の繋がりを大切にするトルコ人にとっては決して疎かに出来ない行事なのは当然です。
このラマザン時期にトルコを旅するのは、とっても素敵な経験になる事でしょう。もちろん、交通機関は混乱しますし、断食中の殺気立った運転手の運転する車では多少、快適さも損なわれるかもしれませんが、世俗国家であるトルコでは、レストランも開いていますし、我がMTIツアーと供に旅する旅行者の皆様は何ら不便を感じる事はないでしょう。ただ、大都市や観光地を離れてしまうと多少違和感を覚えるかもしれません。旅する貴方はイスラム教徒ではありませんし、断食をする必要はありませんが、断食中の地元の人に対する敬意は忘れないでください。簡単な事です。ガムをクチャクチャやりながら歩き回ったり、おおっぴらに路上や乗り物の中などの公共の場所で飲食したり、とそう言った振る舞いは遠慮することです。
それでも、イスラムの世界の独特な雰囲気を覗き見られる幸運に浴する事が出来るのは事実です。
イスタンブルなどの大きな都市では貧しい人向けに無料の食事を提供するテントが張られたり、旅行者の貴方もイフタルのお食事への招待を受けたりすることさえあります。
イスラム暦は太陰暦を採用していますので、太陽暦のカレンダーでは毎年11日ずつ前へとズレていきます。今年のラマザンは8月11日からですが、来年のラマザンは8月1日から始まります。真夏のラマザンは日が長く、カッパドキアでは夜明けは4時前になりますし、日没は8時ごろです。数年後には一年でもっとも日の長い6月のラマザンになります。
33年で季節を1周する計算です。33年間ラマザンを過ごせば真夏のラマザンも真冬のラマザンも経験する事になります。お年寄りに「真夏のラマザンは大変ですね」と聞いてみたところ「いや、真冬のラマザンも大変なのだ、夏は日陰に逃げる事も出きるが、寒さはいかんともし難い。空腹の寒さは辛いものだよ」と言う答えが返ってきました。
どんなに辛くても「ニエ エッティン」と神に誓いを立てれば、神との約束を果たさなければなりません。
次回のブログでは、断食のお作法などに触れてみたいと思います。
ここカッパドキアに本社を持つ、我がMTIツアーから、カッパドキアの生活情報を中心にトルコを旅する、また旅したいとお考えの皆さんに、為になる楽しいお話が紡げていけたらと思います。
まずはイスラム教徒がほとんどをなすトルコで、とっても大切な行事「ラマザン」について書いてみたいと思います。
2010年、今年のラマザン(断食月)は8月11日から9月9日まで行われます。
ラマザンとそれに続くシェケルバイラム(砂糖祭り)はイスラム教徒がほとんどをなすトルコではとっても大切な祝祭日です。家族や親戚友人達との絆を確認する心温まる日々であり、またある意味空腹や禁煙からくる殺気立った独特な雰囲気の日々でもあります。
断食と言っても(当然ですが)期間中ずっと食物を食べないのではなく、毎日、夜明けから日没までの時間、一切の食物と飲み物を絶つのです。口に何も入れない、と言う意味ではタバコも吸いませんし、歯磨きも夜明け前に済ませます。歯科治療も控えます。唾を飲み込む事さえ禁忌と言いますが、知らず知らず飲み込んでしまうものはこの限りではありません。大切なのは自分自身がアッラー(神様)に断食する誓いを立て、その誓いを日没まで守る、個人個人の心の問題なのです。
そして日没を知らせるエザーン(日に5回のお祈りの時間を知らせるジャーミーからの放送)を聞くと同時に、日中の鬱憤を振り払うかの様にめくるめく豪華な食事をお腹一杯堪能するのです。

ラマザン中に逆に太ると言う方も居るくらいです。一家の主婦もこのイフタルと呼ばれる断食明けの食事の為に日中のほとんどの時間、料理に腕を振るっているのです。日中、禁煙していたヘビースモーカーは、食事よりタバコ!と喫煙エリアに走る方も居ます。
このイフタルの食事は、家族や親戚、時に友人同士で招待し合って、一緒に取るのが一般的です。期間中、ほとんどを、そうしたお客様を招待して過ごすご家族も居るのですが、毎日の事となると本当に大変です。主婦の頭の中はラマザン中、日々のイフタルのメニューの事でいっぱいです。
またご招待も沢山受けます。

ご招待を受けると、ご招待先のお家に伺って、そのお宅の主婦の自慢のメニューをご馳走になり、食事の後はデザート、時にはコーヒーも頂き、一息入れた後は夜更けまでチャイを片手に語り合うのです。まったりと四方山話で盛り上がり、お互いの絆を確認し、今度は我が家にご招待しますので、必ず来てくださいね、と熱い抱擁を交わして家路につくのです。
そうしたやりとりが、元々家族や親戚の繋がりを大切にするトルコ人にとっては決して疎かに出来ない行事なのは当然です。
このラマザン時期にトルコを旅するのは、とっても素敵な経験になる事でしょう。もちろん、交通機関は混乱しますし、断食中の殺気立った運転手の運転する車では多少、快適さも損なわれるかもしれませんが、世俗国家であるトルコでは、レストランも開いていますし、我がMTIツアーと供に旅する旅行者の皆様は何ら不便を感じる事はないでしょう。ただ、大都市や観光地を離れてしまうと多少違和感を覚えるかもしれません。旅する貴方はイスラム教徒ではありませんし、断食をする必要はありませんが、断食中の地元の人に対する敬意は忘れないでください。簡単な事です。ガムをクチャクチャやりながら歩き回ったり、おおっぴらに路上や乗り物の中などの公共の場所で飲食したり、とそう言った振る舞いは遠慮することです。
それでも、イスラムの世界の独特な雰囲気を覗き見られる幸運に浴する事が出来るのは事実です。
イスタンブルなどの大きな都市では貧しい人向けに無料の食事を提供するテントが張られたり、旅行者の貴方もイフタルのお食事への招待を受けたりすることさえあります。
イスラム暦は太陰暦を採用していますので、太陽暦のカレンダーでは毎年11日ずつ前へとズレていきます。今年のラマザンは8月11日からですが、来年のラマザンは8月1日から始まります。真夏のラマザンは日が長く、カッパドキアでは夜明けは4時前になりますし、日没は8時ごろです。数年後には一年でもっとも日の長い6月のラマザンになります。
33年で季節を1周する計算です。33年間ラマザンを過ごせば真夏のラマザンも真冬のラマザンも経験する事になります。お年寄りに「真夏のラマザンは大変ですね」と聞いてみたところ「いや、真冬のラマザンも大変なのだ、夏は日陰に逃げる事も出きるが、寒さはいかんともし難い。空腹の寒さは辛いものだよ」と言う答えが返ってきました。
どんなに辛くても「ニエ エッティン」と神に誓いを立てれば、神との約束を果たさなければなりません。
次回のブログでは、断食のお作法などに触れてみたいと思います。
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