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フランス紀行

~フランスの社会・生活・文化に関する情報や日本社会との比較分析、世界各地を旅して発見した面白い情報をお届けします。~

プロフィール

ニックネーム:
Neomars
居住地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
性別:
女性
会社名:
Tabet International en France
会社英字名:
Tabet International en France
会社所在地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
業種:
現地ツアー企画・現地ガイドなど
自己紹介:
単なるスポット紹介やグルメを堪能することだけに飽き足らない旅慣れた日本人が欲している情報とは何か・・・。それは、「現地とコネクトすること」ことができる情報提供ではないかと思っています。表層に現れる現象の根拠を歴史的、文化的、社会的価値観の観点から探り、ついでに辛口ジョークや捻りの利いたブラックジョークも交えながら、「なるほど・・」と納得しながらクックックゥと笑って楽しんで頂ける情報提供をお約束します!

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展示会1
マルセイユ絵画展
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
テーマ:観光地 鑑賞・観戦 歴史・文化・芸術 
投稿日:2012/02/26 03:04
コメント(0)
マルセイユの歴史を追った絵画展が3月の初旬まで開催されているというので、早速、見に行ってきました。場所は旧市街にある美術館で、エジプト美術やアフリカ美術展なども同時に開催されていました。

展示会1

この建物は、第二次大戦終結まで、貧民救済のための施設として利用されていたようで、今でもこのことを説明する表示や看板が立っています。

展示会7

展示会6

今だって貧民救済施設として利用したほうが市民に喜ばれるんじゃない・・・人間は霞を食っては生きられないんだから・・・と思う私・・・。

マルセイユでもご他聞に漏れず、貧困はそこかしこで見られます。他よりも群を抜いて高い失業率から鑑みると、むしろ、マルセイユこそ貧困のたまり場なのかもしれませんが・・・。

いずれにせよ、フランス全土で急速に広がる貧困を考えると、最早、この国は文化に立脚するというよりも、福祉救済に立脚した国家としてのアイデンティティを強化したほうがいいんじゃないか・・・と思ったりします。芸術や哲学などメタフィジカルなことに現を抜かしてる暇があったら、貧困や格差など現実に横たわる問題に真摯に取り組み、解決するメカニズムを構築することに時間とエネルギーをかけるべきでしょう。観光客を喜ばすよりも、国民を喜ばせることのほうが先決です。

入り口でチケットを購入するのですが、チケット購入ぐらいにどうしてここまで時間がかかるの・・・?というぐらい時間がかかりました。まずミッシングしているのが、チケット売り場の売り子の姿が見当たらないということ・・・・・。待っているのが私達を含めて6人ぐらいだったので、被害はそこまで甚大ではありませんでしたが・・・。

しかし、待つこと5分、それから購入するのに15分・・・。日本だったらものの1分で全てが終了するところ、ここフランスではその20倍はかかるということです。効率と性能を重んじる日本人の私には、どうしても慣れることができない、また受け入れたくない日常における現実です。

私には、どうしてサッサと物事を効率良く済ますことができないのか理解できません。複雑難解な問題解決を要求されているわけでもあるまいし、ごく普通の一般教育を受ければ十分に遂行可能なタスクなのだから、ちゃっちゃとこなしてよと思うのですが、そうは問屋がおろさないようです。考えすぎなのか、若しくは、考えなさすぎなのかわかりませんが、とにかく、要領を得ないというのがこの国の国民の特徴だといえるでしょう。

何とかチケットを購入し、おなじみのフランス人に関する人間行動科学アナル101を夫に対して垂れながら、展示会場に向かいました。

回廊がぐるりと周囲に巡らされており、一部はカフェやレストランとして利用されています。ここ二週間ほど、マルセイユでは小春日和が続き、日中は15度を越える陽気が続いています。その前に雪が舞ったなんて信じられないほど暖かく、外でゆっくりとランチをしたり、お茶をしている人達がいました。

展示会5

展示会3

展示会場に入ると、撮影禁止だと言われ、がっくり・・・・。写真を撮ろうと張り切ってカメラまで準備してきたのに・・残念でした・・・。

展示は主として18世紀ぐらいから現代までを網羅するもので、学芸員がそれぞれの絵を説明してくれるのですが、何しろ人数が足らず、学芸員の周りには黒山の人だかりができていました。最初は私達も黒山に混じって真剣に説明を聞いていましたが、途中から離れて、自分達で鑑賞することにしました。

展示会2

絵画は、その背景について知ることも重要ですが、自分の目で見て、感性で感じることも同じく重要だと思います。一般の素人として、まず大切なことは、自分の審美眼に照らして好きか嫌いかを見定めることだと思います。私は、技法や巧みさやコンセプトの斬新さはまず横に置いて、自分の感性に訴えてくるものかどうかにまず注目しています。

この観点からすると、今回の展覧会は、まずまずだったなというところです。

まず展示のコンセプトですが、これはまず問題ありませんでした。マルセイユは地中海の名だたる港湾として有名なだけあり、絵画のほとんどが地中海を背景にして生きる人々の日常を描いたものでした。

そして、絵画の種類ですが、印象派による風景画や古典派による人物画が主だったコレクションでした。

ここまでは良かったのですが、問題は、全体として、これといって目を惹くものがなかったということです。ひとつぐらいは思い出に残るような絵があっても良さそうなものですが、今回は、不幸にも、そんな絵にめぐり合うことはありませんでした・・・。

私は、日本人の一般的美術愛好家のご他聞に漏れず、印象派が大好きです。ベタだと言われようと何だろうと、印象派でなければ古典派にしか興味がありません。

そのため、購入したい絵画になかなか巡りあえないという問題を抱えています。印象派の作品などは売りに出されることはまずありませんから。素敵なものは全て美術館ががっちり握っていて手放すことはありません。売り出されているものは、ほぼ全て現代アートで、主人も私も現代アートにはいまいち・・・・と気乗りがしないのです。

駆け出しのアーティストの作品をコレクションするのもひとつの方法なのでしょうが、そこまでの審美眼を持ち合わせておらず・・・。やはり、「これだ!」と感性の叫びが聞こえない作品には、どうしても手が伸びません。

絵画は、インテリア・アイテムとしても、資産としても申し分ありません。特に、相続税の観点から資産としてはまずもって申し分ないものですが・・・。もっと色々巡って勉強したり、新たな感性を養う必要があるようです・・・。

展示会4

さて、最後に少しだけマルセイユの歴史やプロフィールについてお話しましょう。

コレクションは18世紀から始まっていましたが、マルセイユの始まりはそれよりも遡ること著しく、紀元前600年になります。このことから、マルセイユは2600年の歴史を持つ、フランスで最も古い都市として有名です。

当時は小アジアと呼ばれる場所(現在のギリシャやレバノン辺りにかけての地域)に住んでいたフォセン(phoceenne)という民族によって建設され、西地中海の主要貿易港として栄えました。マルセイユがギリシャ人の植民都市と言われる所以がここにあります。そのためか、今でも、マルセイユのことをフランス語の別名でLa Cite Phoceenneといいます。

古代より、マルセイユはヨーロッパ本土、地中海、北アフリカ、小アジアを結ぶ要としての役割を果たしてきました。様々な民族が商業を通じて交わり、そこにには多彩な文化の混交が見られ、マルセイユを他とは異なる稀有な特徴-文化の十字路-を持ち合わせる都市へと発展させてきたのです。

古代においては、地中海と内陸部を結ぶ要として、ギリシャ人、その後ローマ人と内陸部に住むガリア人との接触を促し、中世から近代にかけては、イスラム商人がそれに加わり、近代以降においては、北アフリカを中心とする植民地からの移民などが加わります。

展示会8

中世の一時、度重なるペストによって人口の多くを失い、第二次大戦の戦火によって旧市街の多くが全滅したことを除けば、これといった災禍に見舞われることなく順調に商業都市として栄えてきたといえます。

マルセイユが位置するプロヴァンス地方の文化は内陸のフランクのそれとは異なるものでした。17世紀のルイ14世の時代になって、ようやくフランス国家としての枠組みが整い、統一が図られるようになるまでは、言語や風習など多くの点で異なり、全く異なる文化圏をそれぞれ形成していたといいます。

今ではプロバンス訛りなどと方言のような言い方をされますが、プロバンス語はフランス語とは異なる言語だといいます。ドーテの「風車小屋からの便り」には、当時のプロヴァンス地方で営まれていた生活や価値観が活写されています。

また、サントン人形といって、この地方の農民の生活を具現化する人形がありますが、こちらは現在でも購入できます。サントン・ド・マルセイユと呼ばれ、様々な種類があることから、当時の農民の生活が偲ばれます。

現在は、パリに次ぐフランス第二の都市として、地中海における最大の貿易港として知られていますが、それと同時に、また別の都市としてのアイデンティティの確立も目指しているようです。

つまり、ビジネスや海洋関連の研究に力を入れ、欧州本土と地中海世界を含むヨーロッパの文化の十字路としての役割の強化を模索しているのです。

前者に関する主な活動は、研究機関の設立と研究者の誘致、後者に関しては、来年2013年にヨーロッパの文化都市として様々なイヴェントがあります。

その他にも、国際機関の誘致や、国際会議の開催などをはじめ、欧州や地中海という地域に限定されることなく、世界の主要都市として地位を確立するよう努力しているようです。

展示会9

従来の商業、貿易都市、地中海と大陸の架け橋という枠には収まらないダイナミックな成長と発展が期待できるようです。
タグ:
絵画 展示会 南仏 マルセイユ 歴史 

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