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フランス紀行

~フランスの社会・生活・文化に関する情報や日本社会との比較分析、世界各地を旅して発見した面白い情報をお届けします。~

プロフィール

ニックネーム:
Neomars
居住地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
性別:
女性
会社名:
Tabet International en France
会社英字名:
Tabet International en France
会社所在地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
業種:
現地ツアー企画・現地ガイドなど
自己紹介:
単なるスポット紹介やグルメを堪能することだけに飽き足らない旅慣れた日本人が欲している情報とは何か・・・。それは、「現地とコネクトすること」ことができる情報提供ではないかと思っています。表層に現れる現象の根拠を歴史的、文化的、社会的価値観の観点から探り、ついでに辛口ジョークや捻りの利いたブラックジョークも交えながら、「なるほど・・」と納得しながらクックックゥと笑って楽しんで頂ける情報提供をお約束します!

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クリスマスのパリ

2012/02/03 22:00
クリスマスのパリ1
エリア:
  • ヨーロッパ > フランス > パリ
テーマ:
  • 観光地
  • / 街中・建物・景色
  • / 歴史・文化・芸術
クリスマスのシーズンの到来により、パリの街もクリスマス一色となりました。ユーロ圏一体を覆う経済危機の重苦しい雰囲気を吹き飛ばさんばかりに、人々は足取りも軽やかにノエルのショッピングを楽しんだり、シーズンのディナーやパーティーに奔走しています。

クリスマスのパリ2

フランスでは、クリスマスが日本のお正月のようなもので、家族が集い一緒になって祝う一年で最も大切な行事なのです。ですので、連日に渡って報道される欧州の先行きを憂うニュースや分析はさておいて、いつもは硬いパリジャンの財布の紐もこの時ばかりはかなりの程度緩むようです。

クリスマスのパリ1

我が家でもこのシーズンには物入りとなり、プレゼントの用意、ディナーの準備とショッピングへ費やす時間が飛躍的に増します。そんな時にいつも思い出すのは、物質文明の絶頂を極める東京の豊かさ・・・・・・。

日本では、フランスは文明の先駆者、美の巨匠の国などというイメージが定着していますが、それは既に数世紀も前のことであり、21世紀の今日においてはその限りではありません。過去の遺産に固執し、それを国内どころか世界に納得させるフランスのPR力、イメージ戦略というものには、まずもって脱帽するよりほかありませんが・・・・・。数世紀前の遺物、方法論、デザインなどが今世紀の産物に勝るとも劣らない有効性、存在価値というものを持つのだと信じ込ませることにおいて・・・・・。

いずれにせよ、商品の品揃え、種類など無限に存在するだけでなく、消費者のニーズを遥かに先取りしたなアメニティ、細かな点にまで配慮したデザイン性、意匠を凝らした利便性など、ここまでやるか・・・・と消費者を唸らせる商品で東京は満ち溢れています。歩くたびに将来を展望した新たな発見、創造性の発露を垣間見ることができるのが東京の街の魅力といえるでしょう。創造性と消費文化をここまで綿密に結び付けて経済の発展の道筋を構築する都市は、世界広しといえど東京を除いてまずないといえます。そして、この消費文化がもたらす富と繁栄により、今日の東京は群を抜いて豊かで、煌びやかで、創造の世界の先端を行く都市だと位置づけられるわけです。

パリをはじめとしてフランスでは、消費文化のここまでの横溢を見ることはまずありません。その理由のひとつに、国内産業を守るための厳格な規制が挙げられます。そのため、平均賃金のレベルの割りには物価が高いということが住んでみると身に染みて分かります。

小市民の我々にとって日々タオルや束子、食器や掃除道具が品質がそこそこに保障されてはいるものの割高な「Made in France」である必要はありません。日本の百円ショップに溢れている途上国から輸入された安価な商品で十分に間に合うわけです。食料品にしても、農業国だという割りにはそこまで品揃えが豊富で安価であるというわけでもありません。品質保証は厳格にされているようですが、それは少々遅れている点があるものの、日本においても同様のレベルが確保されているといえます。

一般消費者としてフランスで暮らしてみると、規制緩和というものが日本で言われているほど悪質なものではなく、むしろ歓迎すべきものであることが身に染みてわかります。もちろん、無節操な規制緩和は国内産業を退廃に導き、巨大外資の市場搾取を許すだけに堕するだけなので奨励されませんが、健全な競争と経済の活性化を目指すしっかりした方針があるのであれば、ある程度までは必要とされるものです。そうでなければ、フランスのように一部の非効率な産業を温存するがために、一般大衆が被害を蒙っているのです。

私など、日用雑貨を買いに行くたびに、東京の街に溢れている百円ショップが懐かしくてたまりません。しかも、フランスのディスカウント・ショップは寂れた物悲しい雰囲気に満ちており、ここで買い物するだけで自分が落ちぶれた人間だと思わされるのに対して、日本の百円ショップは、様々な工夫や創意に溢れる小物に満ちて明るく華やかで、「お買い得商品を発見する」喜びに満ちた建設的な時間をすごすことができる空間、そこで買い物をする私は費用対効果を考慮する賢い消費者として認識することができるのです。

話が私個人のフランスの消費経済における不満を開陳する方向に外れてしまいましたが、クリスマス・ショッピングにおいても同様の問題に直面します。種類が少なく、しかもデザインやコンセプトにおいてもいまいちなものしかないということです。そして、費用対効果に乏しい。。。。東京の価格を知り尽くしている私には、何を買うにも「え、これでこの値段・・・・?」という類の感想しか頭に浮かばないのです。ヨーロッパが最適なのは高価なアンティークの買い物だけで、小市民のちまちました買い物には適していないようです。ま、これも、普段買い物に興味がなく、必要最低限以外はショッピングをしない私の限られた知識と経験から生まれた見解だといばそれまでですが・・・。

あまり捗らないクリスマス・ショッピングに苛立ちを感じ、息抜きにシャンゼリゼ大通沿いに立ち並ぶクリスマス・マーケットでも冷やかしに行こうかと思い立ち、冬の冷たい風が吹きすさむ夕暮れのシャンゼリゼに向かいました。

クリスマスのパリ3

クリスマスのパリ4

今年のシャンゼリゼのクリスマス・イルミネーションは、ぶっちゃけ、たいしたことありません。友人や知人から「今年はたいしたことない」とか「貧弱」「コンセプトが不明」などと聞かされていましたが、行って見ると、「このやる気のなさ、どうしちゃったの?」と言いたくなるほどの貧相なできばえでした。

クリスマスのパリ6

経済危機で節電でもしようとしているのかなと思ったりしましたが、節電が目下叫ばれている東京のほうがテレビで見る限り格段に派手で豪華です。欧州のクリスマスの風物詩として代表格であるシャンゼリゼのイルミネーションがこんなことでは許されません!

クリスマスのパリ7

クリスマス・マーケットは、チーズ、燻製ハム、ソントン(キリスト降誕の状態を再現するための人形など一式)、チョコレート、アクセサリーなどクリスマスに関連する各種製品を売り出すブースがシャンゼリゼ沿いに軒を連ねていました。子供のためのメリーゴーランドや滑り台などもあります。この寒さのなかでも子供は元気です。

クリスマスのパリ8

クリスマスのパリ9

目新しいのが、「無料マッサージ」!無料で手足や方などマッサージしてくれるのです。慣れない主婦業とパリの寒さで凝り固まっている私の身体もマッサージを切に欲していましたが、妊娠しているので変わったことはせまいと、「無料」という世界で最も魅惑的なオーラを発する形容詞から目を逸らし、そこでマッサージを堪能している人々が発する狂喜の叫びを聞くまいと必死の努力でもってその場を立ち去りました。

クリスマスのパリ10

でも結局、何も買わずに帰ってきました・・・。というよりも、寒さでまともな思考ができず何も考えられなかったと言ったほうが正しいかもしれません。

その代わりに、写真を一枚撮りました。アレクサンドル3世橋とエッフェル塔をセーヌ川越しに遠くに見る景色です。パリの絵葉書にもよくありますが、確かにこのアングルはパリの美しさを最高に引き立てます。

クリスマスのパリ11

夕暮れに沈む冬枯れの情景は、19世紀の街並みが色濃く残るパリの美しさを更に引き立てます。黄昏も深まり夜の帳が下りんかともいうべき状態にあるフランスの繁栄が、斜陽を深めるフランス社会の停滞が、そして、アイデンティティの崩壊により物語性を日々失うフランスのレガシーの消滅が、全てのこの一枚に収められているような気がしました。
タグ:
パリ
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ノエル
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寒空の下でもクリスマスのライトアップが美しいパリ。シャンゼリゼを中心にパリのクリスマスデコレーションやマーケットをご案内します。
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