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フランス紀行

~フランスの社会・生活・文化に関する情報や日本社会との比較分析、世界各地を旅して発見した面白い情報をお届けします。~

プロフィール

ニックネーム:
Neomars
居住地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
性別:
女性
会社名:
Tabet International en France
会社英字名:
Tabet International en France
会社所在地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
業種:
現地ツアー企画・現地ガイドなど
自己紹介:
単なるスポット紹介やグルメを堪能することだけに飽き足らない旅慣れた日本人が欲している情報とは何か・・・。それは、「現地とコネクトすること」ことができる情報提供ではないかと思っています。表層に現れる現象の根拠を歴史的、文化的、社会的価値観の観点から探り、ついでに辛口ジョークや捻りの利いたブラックジョークも交えながら、「なるほど・・」と納得しながらクックックゥと笑って楽しんで頂ける情報提供をお約束します!

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パティセリ1
バゲットとチーズ
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>パリ
テーマ:街中・建物・景色 グルメ 歴史・文化・芸術 
投稿日:2012/02/28 00:14
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実は、私はこれまでパンの質について拘るほうではなかった。ぶっちゃけ、コンビニで売っている菓子パンでも十分に満足していた。というよりも、むしろ、コンビニの目まぐるしく変わるラインナップに興味を覚え、新製品を次から次へと試食してみるのが楽しみだった。

C級グルメ愛好者と言われればそれまでだが・・・・、いずれにせよ、質というよりも、ヴァラエティのほうにウエイトを置いていたということだ。そのため、相当気に入った物で無い限り、同じものを継続して賞味するということは稀だった。

これは、私の意思というよりも、日本のコンビニをはじめとする小売戦略に拠るところが多いと思われる。

というのは、日本では相当なベストセラーでない限り、ひとつの商品が店頭に長々と並ぶことはまずない。ライフサイクルは商品により異なるのであろうが、いずれにせよ、売れないことが判明したり、絶頂を過ぎたと見なされれば、容赦なく即お蔵入りとなる運命にある。無数の商品が店頭デビューを控えるているなかで、売れない商品に拘る必要など全くないからだ。

そのため、知らず知らずのうちに、次から次へと登場する新製品に目を奪われ、心を奪われ、如何ともし難い移り気な消費者が生まれるのだ。これは、日本の消費者の生まれ持っての特性というよりも、そうならざるえない構造のなかで消費活動をしていることから、必然的に上記のような行動パターンが身に付くというほうが正しい。

私も意図せずして、このコーポレート・ジャパンの商業戦略に踊らされ、次から次へと新商品を渡り歩く移り気で新しい物好きの消費者であったわけだ。

このことに気が付くのは、フランスでの生活を本格的に始めてからのことになる。というのは、フランスの構造は日本と正反対であるため、違和感を覚えることが多々あるからだ。

フランスでは、コンビニなどという新製品試供場のようなものは一切存在しない。夜遅くまで、しかも日曜日も営業しているのは、アラブ人が経営する食料品店で、いわゆる我々が考える「コンビニ」からは程遠い存在である。

余談だが、アラブ人が経営する食料品店は極力避けることをお勧めする。理由は、品質管理がずさんで、かつ割高であり、彼らの店で買い物をする利点が全くないからだ。大きな声では言えないがが、彼らは、一般のスーパーや食料品店が在庫処分として放出する商品や期限切れの商品を安くで買いうけ、高利で持って販売するプチ・悪徳商法を実践しているようだ。

コンビニを除く一般の商店では、新製品が続々登場するなどということはまずもってない。お馴染みの商品が何十年にも渡って店頭に並び、消費者に愛される・・・とは必ずしも言えないにしても、少なくともコンスタントに購入されている。

ブランジェリやパティセリと呼ばれる手作りお菓子・パン屋においても同様で、多少の改良やバラエティの拡大は時と場合に応じてなされるものの、商品の基本的なラインナップは何十年という月日を経ても大変わりすることはまずない。

パティセリ1

夫や友人が小さな頃に食べていたお菓子やパンの各種は今だ健在で、30年を経た現在でもその存在に陰りが見られることはまずない。

パティセリ2

なぜなら、30年を経ても根強い消費者を抱えているからだ。夫をはじめ多くのフランス人の友人・知人は、自分達が子供の頃から慣れ親しんだお菓子やパンが大好きで、他へ移り気することもなく、今だ定期的に購入して食べている。仕方なしというよりも、食べずにはいられないからのようだ。

翻って、私は小さな頃に食べていたパンやお菓子を今だに食べたいと思うだろうか・・・?

日本がここ半世紀の間に経験した経済・社会面における巨大な地殻変動は、我々の消費行動にも影響を及ぼしていることは確かだ。我々の両親と比較して、団塊ジュニア世代に我々の消費行動パターンは確実に異なる。

私の父が今だに「あんぱん」や「コルネ・チョコ」といった、昔懐かしの味に拘るのに対して、私にはこのような拘りは全くない。

小さな頃に食べていたお菓子やパンなんて、今ではどこを探しても見当たらないし、第一、どのような物を食べていたかもよく覚えていない。目にすれば、「ああ、あったよね」と思い出すが、かといって、これじゃないと駄目!と拘りを持つ商品はない。現在と同じく、小さな頃からコロコロ変わるラインナップに影響され、選択がコロコロ変わったからだろう。

一方、商品のラインナップが変化に乏しいフランスに来てからは、若干ではあるものの、拘りともいえるような感覚が私のなかで芽生えてきた。

まず、ヴァゲットであるが、主食とまではいかなくとも、日々の食卓で食するようになると、徐々にではあるが、種類や店による特徴、品質、好みというものが分かるようになり、お気に入りの店、お気に入りの商品というものが出てきた。そして、これから何十年とこの同じ味と商品に拘るのだろうと漠然と思ったりしている・・・。

ヴァゲット

フランスでは、パンを手作りする店しか「ブランジェリ」の看板を挙げてはならないことになっている。政府の許可が必要であり、その審査をパスして初めてこの看板を掲げることができるらしい。

もっとも、最近では悪質なブランジェリが登場し、機械により大量生産され、冷凍保存されたパンを「手作り」と偽って販売している店もある。しかし、このような店は長続きしないのではないかと思ったりする。というのは、この私でさえも、今ではひとくち食べてみれば、手作りと機械生産の違いを的確に見分けることができる。

ポイントは、肌理の細かさとしっとり感にある。

機械による大量生産では、肌理は確実に粗くなり、同時に恐ろしいほど画一的になる。機械によって無機質に統制されるからだ。

一方で、手作りのものは、肌理が細かく、小麦のフレイバーを長期間に渡って保存することができることから、食べるとその風味が口全体に広がる。噛めば噛むほど、味わい深くなるわけだ。

言葉で全てを説明することは難しいが、慣れてくれば簡単に見分けることができるようになる。そして、焼きたての手作りバゲットをこの上なく美味しいものだと感じるようになることも請け合いである。

私にはパリを頻繁に訪れる友人が多いが、皆同様に、「どうしてフランスのパンはこんなに美味しいの?!」とため息をつく。彼らは、私と違って、そろいもそろってグルメ志向であり、美味しい物に食べなれている。そのため、住んでじっくり味わうことなく、美味しいものとそうでないものの違いが直ぐに分かるのだ・・・・。今となって、私も彼らに賛同せずにはいられない。確かに、フランスの手作りパンは世界最高である。

続いて、ご飯に漬物というように、バゲットには欠かせないチーズであるが、これに関しても、徐々に味や品質の違いが分かるようになってきた。これまで、チーズの選択は夫に全てお任せだったが、この頃は、私自らワインや料理に合うチーズを選ぶことができるようになってきた。もちろん、失敗することは今だ多々あるのだが・・・。

フロマジェリ

以前は、カマンベールとブリーの違いが良く分からなかった・・・(汗)・・。このことに気が付いた夫は、あまりの驚きに、しばし呆然としたことがあった。それもそのはず、西洋諸国を中心に海外での長期に渡る生活を経たにも関わらず、今だにカマンベールとブリーの違いが分からない現代日本人がいたなんて想像だにしなかったのだ。

余談だが、私は、食に関しては、今では珍しい「純ジャパ」種であり、日本食意外は基本的に受け付けないタイプだ。絶対に海外に住んではいけないタイプの日本人である。これは親譲りだ。私の両親もいかなる地域に住もうと、お付き合いで仕方ない場合は除いて、頑なまでに日本食に拘り続けたのだった。

チーズはワインと同じく奥が深い。だから、私がチーズを理解しているなどというつもりは毛頭ないが、地域によって味や製法が異なり、歴史を経て変革を遂げてきたものなどもあり、それぞれのチーズに隠された由来や特徴を知るのはとても面白いと思う。

アルザス

最近は、日本人の味覚に合い値段も手ごろなブリーやエメンタルを選んで食べているが、他にも色々開拓して味覚の幅を広げてみるのも面白いかななどと思うようになってきた。

まだ、質を論じるまでにはいかないが、まずはヴァラエティを拡大することからはじめようと思う。この辺り、質よりもヴァラエティに重きを置く日本人消費者の特性がむくむくと頭をもたげてきたといえるかもしれない・・・。
タグ:
パリ パン ヴァゲット お菓子 グルメ 

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