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フランス紀行

~フランスの社会・生活・文化に関する情報や日本社会との比較分析、世界各地を旅して発見した面白い情報をお届けします。~

プロフィール

ニックネーム:
Neomars
居住地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
性別:
女性
会社名:
Tabet International en France
会社英字名:
Tabet International en France
会社所在地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
業種:
現地ツアー企画・現地ガイドなど
自己紹介:
単なるスポット紹介やグルメを堪能することだけに飽き足らない旅慣れた日本人が欲している情報とは何か・・・。それは、「現地とコネクトすること」ことができる情報提供ではないかと思っています。表層に現れる現象の根拠を歴史的、文化的、社会的価値観の観点から探り、ついでに辛口ジョークや捻りの利いたブラックジョークも交えながら、「なるほど・・」と納得しながらクックックゥと笑って楽しんで頂ける情報提供をお約束します!

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フランスの語学学校

2012/09/01 17:49
フランスの語学学校
エリア:
  • ヨーロッパ > フランス > マルセイユ
テーマ:
  • 観光地
  • / 留学・長期滞在
  • / 歴史・文化・芸術
フランスに長期滞在する外国人に課された義務のひとつに、フランス語の習得というものがあります。フランス語のネイティブ出ない限り、移民局が斡旋するフランス語講座に200-300時間(試験の種類によって受講時間が異なる)に出席し、最終的にフランス語を第二外国語として学ぶ外国人向けの試験を受けることが課されているのです。

フランス語を学びたい長期滞在者には願ってもないチャンスです。200時間から300時間ものレッスンを義務という名の下に全て無料で受けることができるのですから。もっとも、フランス語をかなりマスターしている人には鬱陶しい制度のほかの何でもないのですが・・・。

フランスが人権の国といわれて久しいにも関わらず、微妙に異なる個人の状況を斟酌することはまずありません。全てが政府の一存で、一律に実施されるのがこの国のやり方なのです。「カスタマイズ」などという言葉どころか、概念自体も聞いたこともなければ見たこともありませんので。

もっとも、一日も早くフランス語をマスターしてフランスの生産的な労働人口の一部となり、税金納入を通じて共和国に役立つ市民となってもらいたいという政府の意図は理解できます。そのため、サルコジ政権下の過去3年程において、この義務を果すことがヴィザ更新や国籍取得において考慮の対象になるとされていました。

しかしながら、今年の5月で政権が「移民に優しい」社会党に移ったことから、今後はどうなのか分かりませんが。

出産を5月に控えていた私は、それまでに全てを済ませてスッキリさせたかったので、一日も早い受講の開始をお願いするべく移民局をせっつき、2ヶ月弱で初心者コースから上級コースまで全ての授業に出席して200時間確保できるようにしてもらいました。

ちなみに、今年の1月より開始をお願いしたにも関わらず、実際に召集が来たのが2月の終わりで、授業開始が3月8日でした・・・。2ヶ月も遅れるなんて日本では考えられませんが、フランスでは2ヶ月遅れなんてしょっちゅうです。数ヶ月の遅れは、「誤差」でしかありませんから・・・。

しかし、感謝すべきは、フランスでは奇跡としか思えない異例の待遇をしてもらえたことです。

私の場合、毎日頑張って通ったにも関わらず200時間には満たなかったのですが、模擬試験で合格に必要な点数を出したこともあり、満たなくても終了のお墨付きを得ることができました。まさに、「カスタマイズ」されたプログラムを組んでもらえたのです!

しかし、この裏には、移民の数に対して教師や学校の数が足りないため、必要のない人には出来る限り早lく去ってもらおうという政府の意図があることは確かです。つまり、私のためではなくて、政府のために異例の「カスタマイズ」待遇を得たわけです。。。

いずれにせよ、初級から上級まで全てのクラスに参加することができ、普段生活しているなかでは接触のない国の文化や人間模様、果ては複雑な政治問題にまで見聞する機会を得ることができ、なかなか興味深い体験となりました。

フランスの語学学校

そのなかで心に残っている幾人かにつにて紹介したいと思います。

まず思いつくのが、イランからの政治亡命者でした。

彼女はレズビアンであるがために政府から迫害を受け、家族と一緒にフランスに政治亡命してきたということでした。イラン政府は同性愛者の人権を認めず、そうであることが知られれば家族共々迫害を受けるといいます。

彼女は「どこから来ましたか?」という私の質問に対して「ペルシャから来ました。」と答えました。私は、一瞬、何のことか理解できず、フランス語が十分に話せないから上手く伝えられないのだと思いました。

しかし、話をじっくり聞いてみると、彼女は現存のイラン政権を認めず、しかし自分のルーツとアイデンティティはペルシャという言語・文化圏にあることから、自分はペルシャから来たのだと言ったということがわかりました。

国家に認められないなら自分も国家を認めない。アッパレな人間だと思いました。

彼女は、自分の兄弟や従兄弟が日本に4-5年ほど留学したことがあり、みんな日本は清潔で、全てがきちんと整備されており、日本人は礼儀正しく親切で、本当に素晴らしい国だと褒め称え、もう一度日本に行って暮らしたいといつも言っていると言いました。そして、目を輝かせながら、だから自分も是非とも日本に一度は行ってみたいと言っていました。

彼女の話を聞きながら、いつか日本に行けるチャンスがくればいいのにと思いました。

次に思い出に残っているのは、旧ソビエト連邦だったジョージア共和国からフランスに政治亡命してきたリチャードという柔道の教官です。

軍隊だか警察だかの出身で、どのような経緯で柔道の先生になり、果ては政治亡命者になってしまったのかは不明ですが、いずれにせよ、彼はオリンピックにも出たことがあり、自分で柔道に関する本も書いて出版しています。自分が書いた本を見せてくれて、日本の柔道家についてもよく知っていました。

彼は、少なくとも現在の政府が政権を握っている間は祖国に帰ることはできないとのことでした。現在は息子さんと一緒に暮らしており、もう間もなく奥さんがやってくるそうです。

彼は授業中に「SUDOKU」ばかりやっているので全くフランス語が上達せず、一年経った今でもしどろもどろのフランス語しか話せませんが、話をじっくり聞いてみると、かなり頭が切れる人間であることが分かります。秘密警察あたりの出身なのかな・・・なんて思ったりしています。

因みに、彼とは「SUDOKU」といって、数字を合せるゲームを通じて仲良くなりました。

マルセイユには3種類のフリーペーパーがあり、SUDOKUもその中に掲載されています。彼が朝っぱらからSUDOKUを授業中に一生懸命やっているので、そんなに面白いなら私も・・・と思って、彼にやり方を教えてもらいました。以来、私もはまってしまい、毎朝3種類のペーパーを学校の途中でピックアップし、リチャードと一緒にやるようになりました。

今でも「SUDOKU」は大好きで、暇があればやっています。そして、「SUDOKU」をするたびにリチャードのことを思い出します。

次は、人というよりも人達になりますが、コモロ諸島から来たコモロの人達のことです。

失礼ながら私はコモロ諸島があるということを知らず、最初「コモレアン」と彼女達がたどたどしく自己紹介するのを聞いて、何のことを言っているのかさっぱり分かりませんでした。

しかし、その後、コモロ諸島というのがアフリカ大陸とマダガスカルの間にあるということがわかり、元仏領であったと知りました・・・・。

彼女達を最初に変わっている・・・と思ったのは、いつもみんな一緒になって座り、先生から質問されても答えようとしないのです。自分の名前は何ですかという極々基本的なことも、先生をジーッと見つめるだけで、口を貝のようにキュウッと閉じたまま微動だにしません。

最初、私には理解できず、かつ彼女達が自分の名前を答えるのに15分ぐらい要するのにイライラして、「単なる馬鹿だ・・・」と心の中で一刀両断していました。しかし、時間が経つにつれて、馬鹿だと勝手に決め付けたことを後悔しました。

コモロ人の文化において女性が人前で活発にコミュニケーションを図ることなど考えられないのです。一昔前の日本と同じなのです。個の確立が社会的に推奨されていないため、自分の考えを人前で述べるということが習慣として確立していないのです。

このことがわかって以来、文化人類学の研究ではありませんが、興味を持って彼らの言動を観察するようになりました。

見ていると、彼女達は決して単独で行動しようとはせず、いつも集団で、かつ年功序列の指令系統によって物事を執り行っていました。10時のおやつやランチも集団で持ち寄り、周囲にいる言葉が通じない私などにも必ず親切に勧めたり、分けたりしてくれる、良い意味での集団精神を発揮していました。

しかし、そのため学校教育を受けたこともないようで、アルファベットを書いたことはおろか、テストを受けたことがなく、模擬テストをする時になっても、何をどう問われて、どう答えるべきなのかについて全く理解していないようでした。

コモロ人のマダムからテスト中に、答えを教えてくれるよう煩く催促され、彼女がテストというもの自体何なのか分かっていないことが明らかになりました。私としても教えてあげたいのはやまやまでしたが、そうすると彼女のためにならないし、しかも、テストとは何かから教えなければならず、これは私の仕事ではないと割り切って無視しました・・・。

帰り道、ずーっとマダムのことを考えていたのを覚えています。当たり前のように教育を受けてきた人間にとってテストとは日常茶飯にあるもので、それが何かについて考えたこともありませんでした。しかし、世の中には我々が当たり前としている学校教育を受けなかった人達もいるわけで、そのような人達を社会に同化していくのは難しいだろうなぁ・・・と思いました。

そして、今更、慣れない制度や習慣に一から対応するべく努力しなければならないぐらいなら祖国にいたほうがいいんじゃないか・・・と思ったりするのですが、それは、日本という素晴らしい祖国がバックにあるから思うことで、どんなに同化に苦しもうとも、フランスに移民したいというのが彼女達の思いのようでした。

来るほうも来るほうなら、受け入れるほうも受け入れるほうだ・・・・と移民問題の奥の深さを見せ付けられたような思いがしました。

他にも面白い人達が沢山いましたが、それについては後日に譲るとして、今日はこのへんで終わりにします。
タグ:
語学学校
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留学
長期滞在
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