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フランス紀行

~フランスの社会・生活・文化に関する情報や日本社会との比較分析、世界各地を旅して発見した面白い情報をお届けします。~

プロフィール

ニックネーム:
Neomars
居住地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
性別:
女性
会社名:
Tabet International en France
会社英字名:
Tabet International en France
会社所在地:
ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
業種:
現地ツアー企画・現地ガイドなど
自己紹介:
単なるスポット紹介やグルメを堪能することだけに飽き足らない旅慣れた日本人が欲している情報とは何か・・・。それは、「現地とコネクトすること」ことができる情報提供ではないかと思っています。表層に現れる現象の根拠を歴史的、文化的、社会的価値観の観点から探り、ついでに辛口ジョークや捻りの利いたブラックジョークも交えながら、「なるほど・・」と納得しながらクックックゥと笑って楽しんで頂ける情報提供をお約束します!

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ノートルダム1
マルセイユの守護神・ノートルダム・ド・ラ・ギャルド
エリア:
  • ヨーロッパ>フランス>マルセイユ
テーマ:観光地 世界遺産 歴史・文化・芸術 
投稿日:2012/02/05 01:03
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ノートルダム・ド・ラ・ギャルドは、"La Bonne Mere"とも呼ばれるマルセイユの守護神です。地中海へと開けた海抜約150メートルの丘の尖端よりマルセイユをぐるりと見渡し、海の安全と沿岸都市の繁栄を見守っています。

現在のバシリカは19世紀に奉納されたものですが、その歴史は13世紀の始めに遡ります。

13世紀の当時、その丘はサン・ビクトワ-ル修道院に帰属しておりましたが、ピエールという一人の聖職者がその峰の尖端に小さな礼拝堂を建設し、生涯そこの守護として尽くしました。その後、17世紀末に起きたフランス革命の少し前まで女子修道院としての役割を果たしました。

その間、16世紀の前半より、フランソワ1世によってその丘に要塞が築かれ、軍事施設の一つとして国家に収容されてしまいました。16世紀に入ると封建制度の下で分散していた封建貴族の中から王が誕生し、中央集権化が進み、絶対主義全盛の時代に入ります。軍事力にバックにした王権を前にして、聖職者といえども従うより他になかったのでしょう。

ノートルダム2

しかし、軍事要塞となった後も礼拝堂はそのままの状態で置かれたことから、平時におていは一般にも開放されることとなり、敬虔なカトリック教徒が祈りを捧げるべく通ってきたといいます。

軍事要塞の中に置かれた礼拝堂というのは前代見物でしたが、その歴史は1941年を持って幕を閉じます。1914-1918年の第一次世界大戦争より戦闘のあり方に変化が現れ、航空機や戦車などが導入されたことから、要塞の存在意義が失われてしまったというのが主たる原因のようです。

ノートルダム3

1934年には当時の共和国大統領であったアルバート・ルブラン(Albert Lebrun)によって要塞を非戦闘地域に指定するという大統領令が下されました。そして、第二次大戦が始まり戦費が嵩むようになると、不必要な要塞を維持することは最早不可能とみなされ、1941年をもって要塞としての歴史は終焉を迎えました。

「要塞に囲まれた礼拝堂」として4世紀もの長きに渡り浮世の荒波に翻弄されたわけですが、抜けるような青空をバックにバシリカの白亜が優雅に浮き出し、その登頂に立つ黄金のマリアの像がたおやかに微笑んでいるのを見る限りでは想像だにできません。その穏やかさ、優雅さには俗世とは隔絶の感があり、これはまさしく現在の宗教と俗世の関係を物語っているように思われました。

西欧社会においては先に述べた絶対王政を境に政教分離が実践されるようになり、その後の産業革命、市民革命へへの道を開きます。以降、科学への信望が強まり、現世における幸せ、物質的な豊かさが何よりも追求される世の中が到来し、宗教家としては己の存在意義が疑問に付される受難の時期を迎えたといえます。

このような時代において、宗教が果たす役割について聖職者はもっと積極的に発言し、行動を起こしていく必要があるように思われます。私には、現代社会における宗教の目的がいまいち良く分かりません。

ノートルダム4

隣人愛と寛容を説き、人類の救済のためにあるみたいなことを言われますが、一神教の世界で実際に起きていることは、加速する不寛容と高まる相互の疑心暗鬼、そして、何よりも恐ろしい、生命への無頓着ではないでしょうか?

これは、原理主義者や過激派が勝手に教理を解釈し、行動に出ていることで宗教とは関係ないと言われるかもしれないが、私にはそうは思われません。結局のところ、従来の宗教活動をただひたすら繰り返すだけで、現代社会において必要とされる救済のニーズを把握できず、具体的な解決策なり行動指針を打ち出せないだけなのです。

ノートルダム5

また、俗世に蔓延する様々な煩悩と向き合い、対処することについては、一神教に限らず全ての宗教に通じる普遍の問いだと思います。しかし、いずれの宗教もこの問いに答えを出していません。多くの大義名分が巷に氾濫していますが、日常においての実践に関する具体策といったものは未だに提示されていないのです。結局のところ、精神の安らぎや心の安定を得るには、自分と向き合い、一人で対処していくしか他ないのでしょう。

ノートルダム6

ミストラルにビュンビュン吹かれ、立っていることさえも危ぶまれるなかで、マリアが微笑んで優雅に立っている場所だけではエアー・バックが張り巡らせてあるかのように静けさに満ち、穏やかそのものでした。隔絶の世界・・・・とはまさにこのことで、カトリックに限らず全ての宗教が現在直面している状況を雄弁に物語っているようでした。
タグ:
マルセイユ 世界遺産 旧港 バシリカ 名所 

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