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- 【イタリアソムリエ協会のマスター・ソムリエが教えるイタリアワイン】今回はシチリア州のワインを見ていきます!
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エリア:
- ヨーロッパ>イタリア>パレルモ
- テーマ:買物・土産 グルメ 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2021/08/12 00:00
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みなさん、こんにちは。
イタリアソムリエ協会のマスター・ソムリエの資格を持つ
うしお ゆにこ です。
イタリアワインの紹介、第4回目は、シチリア州です。
シチリア島といった方が馴染みがあるかもしれませんね。

シチリアのワインは、おそらくみなさんの持っている、いかにもイタリアワインらしいイメージ に近いと思います。
イタリアの太陽と大地の恵み、フルーティでボディがあり、凝縮された味、酸味が比較的少なく飲みやすい。。。
また、値段が比較的お手頃なのも嬉しいところです。
さて、地中海に浮かぶ最大の島、シチリア島では、紀元前7世紀頃よりワインの生産が行われてきました。
現代になってからは、生産されるワインの多くが、バルクワインとして、他の地域や外国の「修正用ブレンドワイン」として使われてきた、という悲しい歴史もあります。
また、シチリアワインというと 「コルヴォ」 か 「レガリアーリ」、というイメージの時代もありました。

シチリアを代表する超有名ワイン。ラベルは少し変わっても、今でもスーパーで健在。
そういった苦難を超えて、小さな農家も自分たちで瓶詰めして独自に売り出すようになったので、今では興味深いワイナリーがたくさん出現しています。
さて、シチリア州のキーワードは、以下です。
?? 大量に生産されるワインの多くが、バルクワインとして売られてしまう長い歴史があった。
?? シチリアで、何といっても歴史的に有名なワインは、マルサラ。
?? エトナ山麓で造られるワインに注目!
シチリアでは、ワインの生産は白の方が赤よりやや多く、DOCG(保証付原産地統制呼称)ワインは 1つ 、他、多くのDOC(原産地統制呼称)ワインがあります。
シチリアもご多分に漏れず、土着品種が多いのですが、その中での注目は以下です。
白 カタラットの栽培が最も多く、他、グリッロ、インツォリア、カリカンテなどが代表。
赤 ネロ・ダーヴォラ(カラブレーゼ)が非常に人気があり、シチリアを代表する品種。他、ネレッロ・マスカレーゼに注目。
それでは、州都 パレルモ からスタートです。
パレルモと言えば、王宮(黄金のパラティーナ礼拝堂!)やカテドラル、旧市街など、見所たくさんの町です。
パレルモの西の方に、「アルカモ」 と呼ばれる白ワインの生産地域があります。
品種は主にカタラットを使い、香草などの香り、フレッシュ感がある、比較的軽めの辛口ワイン。シチリアで特に美味しい魚介料理全般にぴったりです。
シチリアの西側の海岸線を目指すと、マルサラ がありますが、歴史的な酒精強化ワイン、「マルサラ」の産地です。
1773年、イギリス人商人ジョン・ウッドハウスが、突然の嵐の襲われマルサラ港に寄港することになりました。そこで飲んだお酒が、当時イギリスで人気だったポートワインに似ていたので持ち帰ることにしたのですが、その時、長い船旅に持つようにと、アルコールを添加しました。
これがイギリスで非常に受けて、歴史的ワイン 「マルサラ」 の誕生となりました。
主に甘口で、お菓子作りに使われることが多いのですが、辛口のものもあります。
色も、白ブドウ品種(カタラット、グリッロ他)を使った黄金色と琥珀色のもの、黒ブドウ品種(ペリコーネ、ネロ・ダーヴォラ他)を使ったルビー色のものがあり、熟成期間によりフィーネ(1年以上)、スーペリオーレ(2年以上)、スーペリオーレ・リゼルヴァ(4年以上)、ヴェルジネ(ソレラスとも呼び、5年以上)、ヴェルジネ・ストラヴェッキオ(リゼルヴァとも呼び、10年以上)と異なるカテゴリーがあり、非常に複雑です。
甘いタイプは、チョコレートや、カンノーロなどの伝統的なシチリアのお菓子、辛口のものは食前酒、しっかりした味のチーズなどに合わせてみてください。

マルサラと言ったら、フローリオ社が超有名
さて、南側の海岸線へ出て、東に進むと、神殿の谷で有名なアグリジェントがあります。数多くの神殿の壮大な姿は、シチリアまで行ったら必見です。
さらに東には、シチリアバロック建築の可愛らしい町、ラグーザやカルタジローネなどが。
その辺りは、「チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア」という、シチリア唯一のDOCGワインの生産地が広がっています。
チェラスオーロとは一般にロゼを指すのですが、このチェラスオーロは、ロゼではなく赤ワイン。品種は、ネロ・ダーヴォラとフラッパート、フルーツの香り(ざくろの香りがあることも)が心地良く、フレッシュ感のある飲みやすいワインです。ローストなど、肉料理に最適。

チェラスオーロ他、シチリアの代表ワイン
そして、東側の海岸線に出ると、古代にはシチリア島で最も重要な町であったシラクーサ、少し北上して、シチリア島の第2の都市カターニア、ギリシャ劇場が有名、風光明媚なタオルミーナがあり、時々噴火するエトナ山(標高約3300m)が迫っています。
そのエトナ山は、今では、シチリアで注目のワインの産地です。
産地は主に東側、1000mの標高までにも及びますが、昼と夜の大きな寒暖差から来る凝縮された味わいが特徴的です。
「エトナ」は、白、赤共にあり、白は、カリカンテ、カタラットなどの品種を使い、花、リンゴの香りなどがきれいで、アンティパストから魚料理まで幅広く合わせられます。
赤は、ネレッロ・マスカレーゼなどの品種を使い、フルーツやスパイスの香り、凝縮されたボディが、肉系ソースのパスタやローストなどに合います。
ただし、「エトナ」の欠点は、やや値段が高いこと。シチリアでは高級ワイン的存在です。

エトナの白、赤ワイン
その他、北の海岸線には、リーパリ(エオリエ)諸島があり、マリヴァジア種から造る、「マルヴァジア・デッレ・リーパリ」 というデザートワインが有名です。
シチリア島の南西、アフリカの方が近いくらいのところに、難民の漂着で有名なパンテッレリア島があり、この島では、ズビッボと呼ばれるモスカート種から、「モスカート・ディ・パンテレッリア」 というデザートワイン造られています。

パンテッレリア島のワイン。パッシートとなると、より濃厚な甘口タイプになる。
これらのデザートワインは、カンノーリ、カッサータなど、濃厚なデザートと一緒にどうぞ。
では、また。次回もお楽しみに。

- シチリアの町で「猛暑」を凌ぐありがたいの飲み物の一つ「セルツ」
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エリア:
- ヨーロッパ>イタリア>パレルモ
- テーマ:買物・土産 グルメ
- 投稿日:2021/08/07 00:00
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皆様こんにちは。パレルモのガイド河村です。
日本ではオリンピック真っ最中ですが、いかがお過ごしでしょうか?
ご存じのようにサマーバカンスの地として知られるシチリア、夏は透明な海から新緑涼しい山まで色々楽しめますが、やはり町中は「暑い!」です。
今回はそんなシチリアの町で「猛暑」を凌ぐありがたいの飲み物の一つ「セルツ」をご紹介します。
セルツを味わえるのはバールやレストランではなく、シラクーサやカターニャの町中に点在する「キヨスコ」という場所。日本語に訳すと、駅にあるスタンドのキヨスクですが、シチリア島では広場やメインストリートの一画で立ち飲み専用のドリンクを提供する屋台のようなドリンクスポットです。

パレルモではあまり見かけませんが、キヨスコ文化が盛んなシチリア島の東海岸の町では夕刻のお散歩時に足を止めて、喉を潤すとてもポピュラーなサマードリンクのひとつです。

シチリアの大きなレモンを絞り、それに「ガソーザ」と呼ばれる炭酸ソーダを加えます。そして最後の「キメ手」は「お塩」!塩をひとつまみ入れると、シュワシュワ〜 と泡がたちます。この音がまた清涼感をそそるのです。
一杯1ユーロから1,5ユーロ程度のお手頃なお値段で楽しめる飲み物!暑い日にキヨスクで立ち止まって飲むセルツは、疲れを一気に回復してくれるくらいのパワー感です。

勿論、家庭でも簡単に作れ、好みでミントシロップを入れれば上の写真のように緑色の清涼感あるシュワシュワなドリンクがあっという間に完成しますので、是非お試しください。
セルツの作り方
ガソーザ(甘味のついた炭酸水。スプライトで代用可能)150ミリ程度
レモン4分の1切れ
ミントシロップ(好みで) 少々
塩 小さじ3分の1くらい
ミントシロップを少々入れたグラスにガソーザを入れ、レモンを絞る。最後に塩を一気にいれスプーンでかき混ぜる。

- 【ブルータスの胸像】フィレンツェの巨匠ミケランジェロ
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エリア:
- ヨーロッパ>イタリア>フィレンツェ
- テーマ:観光地 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2021/08/03 00:00
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フィレンツェのバルジェッロ美術館には、
ミケランジェロ作「ブルータスの胸像」があります。
古代彫刻の胸像のスタイルを取りながらも、正面ではなく
横を向いていたりとか、感情が顕になっている表情とか、
胸像の典型を逸脱した作品です。

このブルータス像のモデルとなったのはメディチ家のロレンツィーノ(またはロレンザッチョとも呼ばれます)という人物です。
ロレンツィーノはメディチ家のフィレンツェ公アレッサンドロ・デ・メディチ(暴君であったといわれます)を暗殺して、犯行後にフィレンツェから逃亡しました。
そしてアレッサンドロの後を継いでフィレンツェ公となったコジモ1世が送った暗殺者によってヴェネツィアにて殺害されてしまいます。
ミケランジェロがロレンツィーノの胸像をブルータスとして彫ったのは、共和国派(つまりメディチ家の圧政に反対する)であったミケランジェロの発想かと思っていたのですが、松本典昭著「メディチ家の至宝」には、これはロレンツィーノ自身の主張によるものだと書いてありました。
ロレンツィーノは自分の行為を正当化するために「弁明」を書いて皇帝カール5世に送りました。
その中で自分のことを「自由を圧政者から守るブルータス」になぞらえていたのです。
彼が作らせたメダルには表面に自分の横顔、裏面には「二本の剣に挟まれたフェルト帽」が刻まれていて、これは前1世紀にローマで作られた「ブルータス」のメダルと一緒なのです。
フェルト帽は解放奴隷に与えられていたため、自由のシンボルでした。
ミケランジェロはこのロレンツィーノの主張を受け入れ、彼をブルータスとして彫ったのですね。
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