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イチローとジュンコの夫婦珍道中

~バックパッカー日記~

プロフィール

ニックネーム:
イチローとジュンコ
居住地:
東京都
自己紹介:
2000年9月 日本を旅立ったイチローとジュンコは、飛行機で、南アフリカ・ケープタウンに降り立った。
二人はそこから日本まで、飛行機を使わずに、陸路と船のみで帰る。
アフリカ大陸南端の喜望峰から日本まで、アフリカ、東西ヨーロッパ、中東、シルクロードとまるまる1年かけての、夫婦珍道中。
野宿もしました。ゴリラと挨拶もしました。サハラを越え、ヒマラヤを越え。。
大自然、世界遺産、カルチャーショック、紛争の傷跡、そして、多くの出会い。
2001年8月無事帰国した二人の旅を振り返って、番外編コラムを掲載します。

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聖地マシュハド (イラン)マシュハド

2001/06/18 12:56
聖地マシュハド 1
エリア:
  • 中近東 > イラン > マシャド
テーマ:
  • 街中・建物・景色
まずは、コンクリートのいかついゲートの外からわずかにその先端だけ見えるモスクや時計台の写真をパチリ。
 我々は今正に、マシュハドの聖地、イマーム・レザーの御前に居る。

聖地マシュハド 1

 ここからゲートをくぐって聖地の中に入るには、ゲート脇のクロークにカメラや荷物全てを預け、男女別に分かれたゲートの入口でボディーチェックを受けなくてはならない。もちろん聖地内では、写真撮影は厳禁だ。
 ゲートの入口の前でJunkoと別れる。

 カメラ等の荷物を預け、ゲート入口へ向おうとすると、Junkoが女性の係官に連れられて自分を呼んでいる。
 話を聞くとどうやらJunko、ゲート入口のチェックで服装チェックにひかかってしまったようだ。

 もちろんJunkoはチャドルを着ていたし、頭からスカーフをかぶっていたのだが、聖地へ立ち入るにはそれだけでは不足だった様だ。

 ここは単なるモスクではない、聖地なのだ。
 我々2人は係官に連れられ、ゲート内部に入る。
 だが聖地イマーム・レザー内には入れず、その外側からまわり込むように歩かされ、ツーリストインフォメーションの様な所へ通される。

 そこでおじさんにチャドル用の布を渡され、それで顔のラインを完全に隠し、はだけないように襟元で常に手でおさえる様指導される。

 そして今度はスタッフに連れられ、博物館へ。

 博物館には、巡礼者によって寄付された品々や、イランの昔のコインや記念切手などが並ぶ。中には胴体の裏側が人の顔の様に見えるサメだかイカだかのはく製まで展示されている。

 博物館を一通り見てまわると、ゲート入口へ戻り帰るように先導される。そしてゲート入口で男に借りたチャドル布を返し、ゲートの外に出る。

 そう、我々は聖地内への立入りを拒否され、博物館だけ見せられて、丁重に追い払われたのだ。


 ゲート入口へ戻る途中、少しだけ聖地内部を覗ける所があったのだが、モザイク装飾に囲まれたその光景はわずかな部分だったにもかかわらず、実に見事だった。

 せっかくマシュハドまで来て、聖地イマーム・レザーを前にして、イカのはく製など見ただけですごすごと帰る訳にはいかない。

 夜、再度、聖地入りに挑戦する。

 「強行突破」などする訳にも行かない。そこは聖地だ。
 昼間、丁重に追い返されくやしい思いをしたが、軽い気持ちで彼らの流儀に従わず、ずかずかと立入ろうとした我々の方が悪かったのだ。

 道に入れば道に従え。宿のおばさんにチャドル用の布を借り、Junkoはおばさんにチャドル布のはおり方を指導してもらう。

 我々は聖地に立ち入るのだ、今度は失礼があってはならない。
 おまけに我々は異教徒、謙虚な気持ちで行こう。

 自前の黒いチャドルを着た上に、頭から宿のおばさん借りたチャドル布をかぶり、フェイスラインを布で完全に隠し、はだける事がない様襟元で布をピタッと手でおさえるJunko。

 そして緊張のゲート入り。

 自分は男性用に入口からすまして入場、そこでJunkoを待っていると、
 「おっ。」
来た来た、今度は何事もなく入場できた様だ。

 昼間Junkoがかぶっていたスカーフは穴もあいていたしほつれだらけ、あれもいけなかったのかな。
 ともかくこれで晴れて聖地イマーム・レザーへ入れる。

 イマーム・レザー入口の大きな門では、人々が手をかざし、頭をすり寄せ祈りを捧げている。
 門をくぐると中庭の真ん中に噴水、それを取り囲む色彩々のタイルでうめつくされたモスク等の建物。その背後に、これもタイル装飾の時計台の塔。 ライトアップされ、タイル芸術がその輝きを増す。

 凄い。一体どこに視線を合わせればいいのだろうか。美しい。

 かつて訪れた有名なイスファンのエマーム広場も美しかったが、そこは開放的な空間だった。
 それと比べ、さすが聖地だけあって、ここには厳そかな雰囲気が満ち溢れている。

 時刻は丁度お祈りの時間、中庭の中央で男女に別れた大勢の拝礼者達が鳴り響くアザーンに合わせてひざまづき、額を地に付ける。

 キラめくタイルにうめつくされたその中で繰り返される人々の祈り、隅で呆然とその光景に圧倒される異教徒の我々。

 お祈りが一段落すると、人々の流れに付いて、目指すは聖地の中の聖域。

 聖域は入口だけではなく、完全に男女別。
 Junkoと別れ、自分は男性用の入口から靴をぬいで入る。

 入ったとたん、通路はミラーのタイルでうめつくされ、世界は360°光につつまれる。

 その通路の奥にあるのが聖者イマームの金の棺、ここが聖域だ。

 中央にイマームの金棺、そこから柵が張られこちら側では男達が、向こうでは女性用の別の入り口から入った来た女性達が、激しく祈りをあげている。

 大勢の人でごった返す聖域。それぞれ自分の祈りを捧げる事で必死だ。

 大きなイマームの金棺の周囲では棺に向って手を延ばし、体をのり出して感情を露わに激しく祈る人々が溢れ人塊を作りそこに近付くことさえできない。
 かたわらから呆然とその様子を眺める自分。
 女性陣の中には、感極まって体ごと床に崩れ、棺に近寄ろうにも近寄れない人もいる。泣き崩れる者もいる。

 仏様の前で、十字架の前で、こんなにも感情をむき出しにして祈る人々の姿を我々はこれまで見たことがない。特に日本のお寺や神社では形式にのっとり厳かに祈る事しかできないように思えるのだが、ここでは人々は全てをさらけ出し、感情のまま祈っている。

 これが人間なのだ。

 ここにイスラム教の強さの一端を、かいま見たような気がする。


【食事】

朝:ナン、干杏
昼:卵サンド、ソフトクリーム、ヨーグルト、コーラ
夜:卵サンド、ファンタ、メロン

【トラベルメモ】

1US$≒約8000Rl(イラン・リアル)

【宿】
(マシュハド) Hotel シダ・アビブ 35000Rl/W一室
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