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イチローとジュンコの夫婦珍道中

~バックパッカー日記~

プロフィール

ニックネーム:
イチローとジュンコ
居住地:
東京都
自己紹介:
2000年9月 日本を旅立ったイチローとジュンコは、飛行機で、南アフリカ・ケープタウンに降り立った。
二人はそこから日本まで、飛行機を使わずに、陸路と船のみで帰る。
アフリカ大陸南端の喜望峰から日本まで、アフリカ、東西ヨーロッパ、中東、シルクロードとまるまる1年かけての、夫婦珍道中。
野宿もしました。ゴリラと挨拶もしました。サハラを越え、ヒマラヤを越え。。
大自然、世界遺産、カルチャーショック、紛争の傷跡、そして、多くの出会い。
2001年8月無事帰国した二人の旅を振り返って、番外編コラムを掲載します。

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アンビリーバブル!アイアン・トレイン (モーリタニア)シンゲッティ→アタール→ショム→ヌアディブ

2001/03/13 17:00
アンビリーバブル!アイアン・トレイン 1
エリア:
  • アフリカ > モーリタニア > モーリタニアその他の都市
テーマ:
  • 鉄道・乗り物
 「朝6時頃、アタール行の乗合自動車が宿の前を通る」と、宿の人に聞いていたので、朝6時前、宿を出て、宿の前の道端に荷物を置いて車を待つ。
 ところが待てど暮らせど車は来ない所か、静まり返ったシンゲッティの街自体に車のエンジンの音など一つも聞こえて来ない。

 乾いた砂漠の街の朝は寒い。
 両腕両足をピタッと閉じ、身を小さくして、待ちぼうけする事1時間半。どこからともなく車のエンジン音が聞こえてくる。

 すかさずエンジン音が聞こえて来る方へ走り寄る。車は小型トラックだが乗合ではなさそうだ。
 手を挙げて車を止める。
 「アタール?」

 久しぶりのヒッチハイク。妥協した金額は乗合よりかなり割高だったが、座席に2人きりでゆうゆうと座れる。車の状態も良い。
 荷台にバックパックを放りのせ、車に乗り込む。

 それにしても、モーリタニアに入ってから、野宿に、トラックの荷台での移動、そして今度はヒッチハイク。
 西アフリカに入って比較的快適に旅をしていたのだが、やはりサハラの旅はそうは楽はさせてもらえない様だ。

 そして、アタールから乗合4×4に乗り継いででショムに向かうと、そこはもう道路と言うには程遠い、いわゆるピスト。
 砂漠の中の道無き道を、車高の高い4×4でグイグイ進んで行く。

 午後1時半過ぎに着いたショムの街は、ガランとした砂漠の中の荒地に敷かれたむき出しの鉄道のレールの横に、数軒小さなほったて小屋の様な四角い建物が並んでいるだけ。

 同じ乗合4×4に乗っていたヌアディブへ行くと言う英語が喋れるオジサンをつかまえて、
 「駅はどこですか?」
と聞くと、
 「列車が来るのは5時頃だから、しばらくここで休んで行こうよ。駅へはその頃一緒に行きましょう。」

 おじさんについて、地ベタにじゅうたんが敷かれたそれはそれは質素なレストランへクツをぬいで入る。

 アブダライと名乗るそのおじさん、今はモロッコ管轄で未だ独立問題がくすぶる西サハラの人で、今はモーリタニアはヌアディブのファミリーの所(多分親せきの家族)に寄せてもらっているそうだ。

 「ヌアディブからダグラへ行きたいのだが、公共の交通機関はあるのですか?」
ダクラとはモロッコ/西サハラの街、モーリタニアから国境を越えてダグラ迄行くのは難しいという噂だが、確かな情報は持ち合わせていない。アブダライに尋ねると、
 「Yes イエス。乗合のランドローバーがダグラ迄出てるよ。」
 何だ、乗合があるって事は、思っていたよりも簡単に国境を越えてダグラへ行けそうだ。この時ばかりはそう思って楽観していたのだが・・・。

 手づかみで、昼食に洗面器に盛られたご飯を食べた後、アブダライや他の人達と、レストランのじゅうたんの上で茶を飲み横になって列車の時間を待つ。
 これがこちらモーリタニアン・スタイルなのだ。

 寝そべってレストランの建物をよく見てみると、太い鉄道のレールを組んで作られている。
 すぐそこに敷かれた鉄道の脇には、要らなくなったレールその他がガレキの山となって、放り捨てられている。そこから拾ってきた廃材で家を建てたのだろう。
 隙間だらけだが、ここは砂漠の街、雨も降らないだろうし、鉄筋だから丈夫に違いない。

 夕方6時過ぎ、アブダライについて小型トラックの荷台に乗り、駅舎もホームもない駅と呼ばれる砂漠の荒野のレール脇へ行って、列車を待つ。
 澄んだ乾ききった大気の中、夕日に染まる広大な焼けた大地が美しい。

 「ガガン、ガガン」
午後7時前、そんな美しいランドスケープをバックに、ディーゼル機関車に引かれた列車の先頭がゆっくりと視界に入ってくる。

アンビリーバブル!アイアン・トレイン 1

 そして列車が目の前を通り掛かり始めると、自分もJunkoも唖然。
 次々に目の前を通り過ぎるどでかく頑丈そうな、石炭の様な人の体より大きい石をのせた貨車。何とこれが延々と連なっているのだ。軽く100両以上はあるだろう。
 こんなにでかく長い列車は今迄に見た事もない。

 通称「アイアン・トレイン」。石炭の様な貨車に積まれたどでかい鉱石は鉄鉱石。
 この列車はモーリタニアの主要産物の鉄鉱石を運ぶ輸送列車で、延々と続く貨車の最後の、大蛇の尾の先にわずか2両ばかりつながれた客車は「ついで」なのだ。

 Junkoと2人で口をあんぐり開けて、その様を眺めていると、突然、それまで物腰も静かだった紳士、アブダライが叫ぶ。
 「クイックリー!!」

 見ると、アブダライは走り出したトラックのヘリにつかまって我々を呼んでいる。
 「そんな、突然そんな事言われても。」
 重いバックパックを背負った肩と腰に渾身の力を込めて、走り出したトラックを追いかけ、その荷台のヘリにつかまるように飛び乗る。

 我々がこれから乗ろうとしているアイアントレイン、貨車が100両以上もある為、列車の長さは軽く1km以上。列車は、だいたいの位置でわずかな時間停車するだけ。
 末尾に繋がれた2両ばかりの客車がどこに止まるかわからないので、車で追いかけなければならないのだ。
 下手をすれば1km以上も離れた客車迄、わずかな停車時間に人の足で走って行く事はできないのだ。

 荷台のヘリにしがみつく我々を乗せ、チビトラックは列車の客車を追いかける。
 「キュー、ガッタン」
列車が停まった。だが車は急に停まれない。トラックは客車を追い越してしまう。

 「飛び降りろー!!」
トラックが数m客車を追い越してしまった所で、トラックのヘリから地面に飛び降り、客車に向かって全速力で走る。
 たどり着いた客車の入口は、降りる人と乗る人でごった返している。

 何と言ってもこの巨大なアイアン・トレイン、末尾に繋がれた客車と先頭のディーゼル機関車のけん引車まで、その距離1km以上、けん引車の乗務員は1km以上後ろの客車がどこに止まろうと、客の乗り降りの最中だろうと知ったこっちゃないのだ。
 適当に停まり、適当に出発するだけ。
 急いで乗り降りしないと何の合図もなく列車は又、突然走り始めるのだ。

 「何でたかが列車に乗るだけで、ここ迄しなくちゃいけないんだ・・・。」
 Junkoはこのせいで、しばらく腰が痛くなってしまったそうだ。

 乗降車する人でごった返す小さな入口に、身体と荷物を押し込み、やっとの思いで客車に乗り込むと、またしても唖然。

 木造の客車には座席も窓もない。乗客は皆ザコ寝、窓の替わりに、小さな覗き窓が幾つかあるだけ。
 「こりゃ客車と言うよりほとんど貨車だ。」
 トイレには扉もない。

 列車は夜行。夜通し走り続け翌朝ヌアディブに到着する予定だ。
 何とか、我々の荷物を置く場所と、寝るスペースだけは確保。

 「どうだい、日本の列車とは違ってるかい?」
とアブダライ。
 「違ってるも何も・・・」
と、返す言葉が見つからず、ただただ「Yes」とうなづくしかない。

 夜、アイアン・トレインでは、まだまだ信じられない事が次々続く。

 窓もシートも無い客車には、ちろん電灯などない。
 真っ暗な車内を、各々の乗客が持ち合わせた懐中電灯で照らしている。

 ウトウトしていたら、急に車内がそれ迄より薄明るくなったので見てみると、何と、火を灯したロウソクをヒモで天井から吊るしてランプ替わりにしているではないか。
 更に脇を見ると、ガスコンロでお茶を沸かしているやからまでいる。

 列車は時折、「ガタン」とかなり揺れる。その度、客車内の天井に吊るされたロウソクは振り子のように右に左に大きく振れる。火の付いたガスコンロも幾度となく木の床に倒れる。

 「火事になったらどうすんだよ!!」
自分もJunkoも目を丸くし、開いた口はふさがらない。

 ディーゼルのけん引車はここから1km以上も先、この車両が火事になろうが、きっと知ったこっちゃないだろう。

 アイアン・トレインは、夜通し砂漠の真中を走り続ける。
 火事にでもなったら、夜の砂漠へ、列車を飛び降りて逃げるしかないのだろうか。

 今夜は長い夜になりそうだ。


【食事】

朝:パン、クッキー、ピーナッツ
昼:肉入炊込ライス、
夜:なし

【トラベルメモ】

1US$ ≒250UG(モーリタニア・ウギア)
・シンゲッティ→アタール(4×4小型トラックをヒッチ/座席に乗車) 1時間半弱 5000UG/2人
・アタール→ショム(乗合4×4/TOYOTA)2時間半 1500UG+100UG/荷1コ
・ショム→ヌアディブ(夜行列車:「もう2度と乗りたくない」)19:00発 翌9:00着 11時間 800UG/1人
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