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イチローとジュンコの夫婦珍道中

~バックパッカー日記~

プロフィール

ニックネーム:
イチローとジュンコ
居住地:
東京都
自己紹介:
2000年9月 日本を旅立ったイチローとジュンコは、飛行機で、南アフリカ・ケープタウンに降り立った。
二人はそこから日本まで、飛行機を使わずに、陸路と船のみで帰る。
アフリカ大陸南端の喜望峰から日本まで、アフリカ、東西ヨーロッパ、中東、シルクロードとまるまる1年かけての、夫婦珍道中。
野宿もしました。ゴリラと挨拶もしました。サハラを越え、ヒマラヤを越え。。
大自然、世界遺産、カルチャーショック、紛争の傷跡、そして、多くの出会い。
2001年8月無事帰国した二人の旅を振り返って、番外編コラムを掲載します。

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6 - 10件目まで(44件中)

27カ国目、モロッコ入国1
27カ国目、モロッコ入国 (モロッコ)ダクラ
エリア:
  • アフリカ>モロッコ>モロッコその他の都市
テーマ:グルメ その他 
投稿日:2001/03/21 15:06
 おととい、モロッコ入国時に、モロッコのポリスに預けたままになっている我々のパスポート。昨日、ここダクラ迄先導して来たポリスは、今日の朝9時にポリス・オフィスに来れば、パスポートを受け取れると話していた。

 ところが案の定、朝9時過ぎ、ボリス・オフィスに行っても、
 「お前達のパスポートはまだ出来ていない。」
 「ではいつパスポートを受け取れるのか。」
 「30分後にもう一度来なさい。」

 そして案の定の案の定、30分後に再びポリスオフィスで尋ねても、パスポートは受け取れず、「30分後にまた来い。」と同じ事を繰り返さられる。

 結局、モロッコの入国スタンプが押されたパスポートを受け取れる事が出来たのは、午前11時前。
 モーリタニアから国境を越えて、3日目、ようやく晴れて正式にモロッコ入国を果たす。胸の中で小さくガッツポ-ズ。

 喜びもつかの間、西サハラを一緒に歩いたミートは、早くも今日のお昼のバスでマラケシュへ向かうと言う。

 実はミート、スペインからニューヨークへのフライトの日が間近に迫っていて先を急がないと間に合わないと言う。
 「何でそんなに日程に余裕も無いのに、サハラ砂漠を歩いて国境を越えようなんて考えたの?」

 加えてミートのリュックの重い事、中に大きなノートパソコンが入っているのだ。
 「何で寝袋も持ってないのに、そんな重いノートパソコンを持って、砂漠を歩こうとしたの?」

 ミート、53才、ニューヨーク大学の教授。
 「どうして、そんな地位も名誉もお金も家族もある人が、あんな無謀な事を試みたの?」

 全くインテリの考える事は・・・。

27カ国目、モロッコ入国1

 せわしくホテルをチェックアウトしてバスターミナルへ向かおうとするミートと記念撮影、がっしり握手を交わす。
 「ステイ・フレンズ。君達と過ごした砂漠での日々は私の最も忘れられない出来事の一つとなったよ。これからも友達でいよう。メール送るよ。」

 さすがはニューヨーク大学のコミュニケーション学の教授、口が旨い。胸がじんと熱くなる。

 我々2人は、ここダクラでもう一泊して、サハラ越えの疲れを癒す事に。

 宿を安宿に移し、ダウンタウンをふらふらしていると、路地の小さな食堂の前に三角帽子の様なカワイイ円すい形のフタをかぶせられた、小さな土鍋が炭火の上に並んでいるのを発見。
 モロッコの名物料理、タシンだ。

27カ国目、モロッコ入国2

 ジャガイモやニンジン、タマネギと一緒に、マトン肉がトロける程柔らかくなる迄煮込まれている。
 オリーブにレモン、ハーブが染みた味わいがたまらない。

 大変な思いをしてようやく果たした西サハラ国境越え。今我々は、人生で一番おいしい食事を楽しんでいる。


【食事】

朝:ビスケット
昼:タシン、フライドフィッシュ
夜:タシン、ミントティー

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 9DH(モロッコ・デュラハム)
・モロッコのビザ 日本人旅行者は不要。

【宿】
(ダクラ)Hotel Riad 60DH/W-1室

いつになったらモロッコ入国?  1
いつになったらモロッコ入国?(モロッコ)ビルガンドゥーズ→ダクラ
エリア:
  • アフリカ>モロッコ>モロッコその他の都市
テーマ:鉄道・乗り物 その他 
投稿日:2001/03/20 18:15
 何もないビルガンドゥーズ。

 あるのは100m四方程度のガレキの駐車場と、昨夜我々が寝たほったて小屋だけ。駐車場を見下ろす丘にミリタリー施設があるが、そこへは立入れない。
 周囲は360度ガレキの砂漠。何の店もない。トイレもない、家もない。もちろん水道もない、電気もない。

 おっと、あんな所につるべの井戸が。
 くんで水をなめてみると「ペッペッ」しょっぱい。大西洋沿岸が程近いせいだろうか。どうやら塩水が湧き出ているようだ。

 昨日「砂漠のアリ作戦」は失敗に終わるものの、何とかフランス人の車をヒッチハイクして、モロッコ入国を果たしたのだが、パスポートはポリスが預かり、まだ、モロッコの入国手続きは完了していない。
 今日の午後2時、ポリスの先導で皆でダクラへ向かい、ダクラのイミグレで入国手続をして、ようやく、パスポートにモロッコ入国スタンプが押されて返されると言う。

いつになったらモロッコ入国?  1

 だけど、そうは言われても、こんな何も無い所で朝から午後までどうやって過ごせと言うのか。
 食べる物も、手持ちの非常食のパンとビスケットしかない。おまけにじっとしてるとやたらのハエが寄り群がって来る。砂漠のハエは飢えているのだろうか。

 ビルガンドゥーズのガレキの上で、ひたすら退屈すぎる時間を過ごしていると、一台のランドローバーが国境方面からやって来る。

 その車はポリスの先導で、外国人の我々とは離れた所に停車。「バタン」、扉を開けて人が降りてくる。
 その中に・・・。

 「ヘーイ、良かった、良かった。」
思わず声をうならし、駆け寄り握手。

 昨日、モロッコのミリタリーポストの手前でパンやビスケットを分けてくれたモロッコ人だ。
 どうやら「モロッコ人の車」をヒッチハイクできたらしい。

 これで、喉の奥の骨もとれた。何の気掛かりもなく、モロッコへ、そしてヨーロッパへ向かえる。

 ところが、昨日、今日の午後2時出発と言っていたのに、「ゴメン、ゴメン、遅れちゃって」という風なノリでポリスが現れたのは午後5時過ぎ。

 結局ビルガンドゥーズを出発できたのは午後6時。
 我々も昨日ヒッチハイクしたフランス人の車に乗り込む。

 この車、見掛けは旧式の古びたランドローバーだが、砂漠を走り切る為の装備は完璧、もちろんGPS完備、足回りはラリー車並だろう。
 こんな車で砂漠を道楽で走らせる事ができる、リッチなツーリストのみが西サハラ国境の通過を許されるのだ。

 もちろん、リッチな彼らは、車で国境を越える為、モロッコの入国税を特別にたんまりと払わさせられているそうだ。
 タダで歩いて入国しようとする貧乏旅行者が拒否される訳だ。

 ビルガンドゥーズからダクラ迄の道は、昨日我々が歩いた国境緩衝地帯の荒廃しきったガレキの道とは異なり、それなりに舗装されたモーターウェイ。
 車はその砂漠の中のモーターウェイをガンガン飛ばす。

 ガレキの荒野の砂漠の地平線から、幾つものなめらかな丸い頂きの砂丘が、右から、左から、そして目の前から現れる。
 時折、遠くに大西洋の海原も相混じり、その景観は正にスペクタクル。SF映画の中に入って、別の惑星を探検しているかのようだ。

 ダクラ迄4〜5時間と聞いていたが、途中幾つもある検問で、そのたびやたらと時間が掛かり、ダクラの街の明かりが見え始めたのは、深夜0時近く。

 「どこに泊まるか決めてるのかい?我々はHotel Doumssに泊まるけど。」
とフランス人のおじさん。聞くとそのホテルは3つ星だと言う。

 タダで車に乗せてもらって、こんな深夜に、まさか安宿探しにつき合ってくれなんて、口が裂けても言えまい。
 「私達もそこに泊まります。。。」

 ダクラの3つ星ホテルのベッドに就いたのは深夜1時過ぎ。

 預かられっ放しのパスポートは、明日朝、自分でダクラのポリスへ取りに行かなくてはならないと言われている。
 ようやく、何とかダクラにたどり着いた。
 だが依然、正式にモロッコ入国を果たしてはいない。


【食事】

朝:パン、ピーナッツ、ビスケット(フランス人がくれた)
昼:パン、ビスケット
夜:パン、ビスケット

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 9DH(モロッコ・デュラハム)
・国境→ダクラ(フランス人の車をヒッチハイク)無料

【宿】
(ダクラ)Hotel Doumss 281DH/W-1室

サハラ砂漠を歩いて渡る? 2
サハラ砂漠を歩いて渡る!「砂漠のアリ作戦」? (モーリタニア・モロッコ国境)→(モロッコ)ビルガンドゥーズ
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
  • アフリカ>モロッコ>モロッコその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/19 17:59
 ミッション・インポッシブル。砂漠のアリ作戦2日目。

 朝8時、ミリタリーポストの石小屋の中のソルジャー達は、皆まだ寝静まっている。
 昨夜の親切なもてなしに感謝の意を書き残し、ミートと3人でいよいよ西サハラ砂漠のモーリタニア、モロッコ国境緩衝地帯へ歩いて踏み込む。

 もうここはモーリタニアでもモロッコでもない。

 かつてスペインが作ったという砂の上にガレキが並ぶこん跡をたどって少し歩くと、道の脇に地雷注意の標識が立っているのを発見。
 これは珍しいと、写真に収めようとカメラのファインダーを覗きながら標識に近付くと、
 「危なーい」
Junkoが叫ぶ。

 写真を撮るのに夢中で、ついスペインの道をほんのちょっとだけ外れた砂の上に足をのせてしまったのだ。
 スペインの道の外は、どこに地雷が埋まっていてもおかしくない。
 「絶対に道を外れないように、On the wayで歩こう。」
と朝、皆で言い合ったばかりなのだ。

サハラ砂漠を歩いて渡る? 1

 途中、休憩を取ったりしながら、砂漠の中を右に左にくねり続くガレキのスペインの道を進む。

 朝でまだしゃく熱と言う程暑くないお陰か、気合が入っているせいか、重いバックパックを背負っているにも係わらず、3人とも皆もくもくと、ぐいぐい歩いて順調に約10km先にあると言うモロッコのミリタリーポストに向かって進んで行く。

サハラ砂漠を歩いて渡る? 2

 歩くのは大変だが、取り囲む砂漠の大パノラマはまるで月か火星かと言う程の、美しくも、地の果てをも連想させるもの。

 ミートはSONYの小型のビデオカメラでビデオを撮りまくっている。少しぐらいさっと撮るならまだしも、ここは地雷も埋まる国境緩衝地帯。西サハラのモロッコへの帰属問題もまだ完全には決着していない。
 「そんなにガンガン撮って、スパイにでも間違えられたらどうすんの。。。」
と、気をもむ自分とJunko。

 歩き始めて2、3時間余り、目前の小高い丘の上に建物とアンテナが建っているのが見える。
 「恐らくあそこだろう。」
 「昨夜のモーリタニアのミリタリーポストの人達のように、モロッコのソルジャー達も親切な人達だといいね。」

 その建物に向かって歩いていると、さびついて横たわる車(多分地雷でやられた)の向こうに、古びれたランドローバー車と人の姿。
 話をきいてみると、彼らは数名のモロッコ人。モーリタニア人の運転する車でモロッコへ入ろうとしたが、モーリタニア人とモロッコ人が同じ車でモーリタニアからモロッコへ入る事は許されず、ここでモロッコ人の車が通るのを待っていると言う。

 「歩いてはモロッコへは入れないよ。」
と、その内の一人が言う。
 何か根拠があって言っているのだろうか。

 ともかく、モロッコはもう目の前、苦労してここまで来たのだからもう行くしかない。この砂漠の中をまた10km以上も歩いて戻るなんて考えられない。

 1km程坂道を上がると、鉄の鎖が行く手をはばむ。その奥にはポリスが座っている。
 モロッコのミリタリーポストだ。

 鎖を越えようとすると、奥のポリスはひらいた手のヒラをこちらに伸ばし、「そこで待て」のジェスチャー。
 だが、待てど暮らせど、奥のポリスは座ったまま、何の動きもない。

 「His behavior is very bad!!」
ミートが頭をかかえる。もしや「完全無視」?

 彼らはいわゆる「お役人」だ。歩いてここ西サハラの国境を越えて入国しようと言う前例の無い我々の行動に、どうしていいかわからず無視を決め込んでしまったのだろうか。そんな事されたら、この砂漠の真中で我々はどうすればいいのか。

 「ムッシュー、ケスクセ・プロブレーム?(何か問題があるのですか)」
と、ミートがフランス語で叫ぶ。
 ポリスは再び、そこで待てのジェスチャー。

 しばらくして、ようやく丘の上のアンテナが立つ建物から、一人の男が現れる。
 「申し訳ない。もうしばらく待ってくれ。」

 更にしばらくすると、小ぶとりの偉そうな軍服姿の男が部下を従えて現れる。
 「歩いてここを通る事はできない。外国人の運転する車でなら通れるが、車がないのではダメだ。戻れ。」

 いくら頼んでも、ぶっちょう面の男はガンとして我々のモロッコ入国を許さない。
 「今すぐ、ビーコンの圏外、1km後ろの車が横たわる丘の下へこの道を戻れ。」

 ミッション・インポッシブル。映画では不可能と思われた作戦が成功するが、我々の砂漠のアリ作戦は最後の最後で見事に玉砕。
 モロッコ入国を果たせず、仕方なく来た道を1km戻り、横たわるさびた車の脇に荷物を置き砂漠の砂の上に座り込む。

 午後の砂漠の太陽は容赦なく、大地を、空気を、そして我々を照らしつける。

 「彼は正しかったね。」
先程、歩いてモロッコへは行けないと教えてくれた、「モロッコ人の車」を待つ男がモーリタニア人、モロッコ人以外の外国人の車を待つ我々に近付いて来る。

 ボー然と座り込む我々の前に来ると、近づいてきた2人の男が我々に手を差し出す。
 見ると手にはビスケットとパン。

 彼らは昨日からずっと、水も日陰もないこの砂漠の真中で車を待っていると言う。この先、後何日待たなければいけないのかもわからない。極限状態も覚悟だと言うのにアカの他人の我々に食料を手渡した上に、
 「水もあるから、困ったら言ってくれ。」

ひたすら、「サンキュー」、「メルシー、ブークー」を繰り返すしかない我々。胸が締め付けられ、熱くなる。

 これが砂漠の民のやさしさなのか。厳しい環境で生きる彼らにこそ、真のヒューマニズムがひそんでいるのか。
 豊かすぎる国から来た我々3人、満ち足りた生活をする我々に果たして彼らの真似ができるだろうか。

 砂漠へ追い返された我々。砂漠で真の人のやさしさに触れた我々。
 今、我々は不幸なのか幸せなのか。

 「我々の水も食料も限界がある。夕方前までここで車を待って現れなければ、大変だがモーリタニアのミリタリーポストまで歩いて戻ろう。モーリタニアのミリタリーポストでは水も食料の提供して貰える。そこで車を待つ方が何もないこの砂漠の上で待つよりマシだ。」
と言うと、ミートは、
 「夕方、もう一度モロッコのミリタリーポストに行って頼んでみよう。我々の事をあまりにもかわいそうに思って入国を許してくれるかも知れない。例え再び入国を拒否されても、せめて水と食料、そしてネグラだけでも提供してくれるよう頼んでみよう。」

 夜の砂漠はこごえるほどの寒さ。風も強く、こんな砂漠の真中で夜を過ごすのはムリだ。
 行くか戻るか選択は2つしかないのだ。

 その時、道の向こうから車の排気音が聞こえてくる。見ると車はモーリタニアで良く見かけるランドローバー。
 「だめだ。あれはモーリタニア人の車だ。」
と、ミートが頭を下にうなだれる。

 だが良く見てみると、
 「ホワイトピープル。ア・ホワイトピープル・イズ・ドライビング(白人だ。白人が運転している)!!」
叫び手を振る自分。

 我々の前に止まったランドローバー、車にはフランス人のドライバーのおじさんが一人だけ。
 ミートが事情を説明すると、
 「OK!!乗りな!!」

 「イッツ・ア・ミラクル!!」
自分は叫び、ミートは天を仰ぎ神に感謝でもしているのか。

 「(フランス人の)気が変わらない内に急いで」
この状況で人助けをしようと言うのに、フランス人のドライバーの気が変わる訳もないのだが、ともかくJunkoをせかし、急いで荷物を車にのせる。

 そして、すぐにでも我々自身、車に乗り込みたい所だが、忘れてはならない事が一つ。

 モロッコ人の車を待つ「彼ら」は、外国人のこの車ではモロッコへは入れない。彼らはまだ車を待ち続けなければならないのだ。
 先程彼らから手渡されたパンとビスケットを彼らに返し、抱ようし合って、感謝と敬意、そして彼らの幸運を願う。

 そして車に乗り込み、先程門前払いされたモロッコのミリタリーポストへ。
 先程我々の入国を拒否した偉そうな男の背後にいた部下らしき男が、「良かったな。」と言う様な表情で我々を迎える。

 「外国人の車でなら問題ない。」
指示されるがまま、その男にパスポートを預ける。

 車にはそのモロッコのミリタリーポリスも乗り込み、一緒に、国境後最初のモロッコの街、ビルガンドゥーズまで行く。

 パスポートは、その後もダクラへ着く迄、預けたまま。
 実は国境にもビルガンドゥーズにもイミグレーションが存在せず、モロッコ入国の手続きはダクラのポリスで行われるのだ。その為、ダグラに着いて入国手続きが済む迄、我々のパスポートは預けられたままになるのだ。

 ビルガンドゥーズ、手持ちの地図を広げると確かに西サハラはモーリタニアの国境付近にその地名が載っている。
 だが、今、我々がいるここビルガンドゥーズ。ミリタリー施設が丘の上に建ち、その丘の下には駐車場と石で造られた小屋が3軒あるだけ。街とも村とも呼ぶには程遠い、単なるミリタリー施設が砂漠の中にあるだけに過ぎない。

 すぐにでもダクラへ向かえるのかと思っていたら、ダクラへ立てるのは明日の午後2時だと言う。
 一体ここで何のどんな手続きが必要でそんなに時間が掛かるのか?

 我々は粗末な石レンガでできた小屋に、「寝ていいよ。」と言われる。

 何とかモロッコ入国を果たした我々だが、「山」は越えたとは言え(実際には山でなくて砂漠だが・・・)、ダクラに着いてパスポートを返して貰うまで、まだまだ予断は許されない。

 いったん丘の上のミリタリー施設へ姿を消した、一緒に乗り込んで来たモロッコのポリスが、2度、3度、丘の下の小屋の前の日陰で疲れ切って休む我々3人のもとへ現れ、そのたび、山盛りのバゲットにビスケット、パックの牛乳まで差し入れてくれる。
 彼は、我々3人が大変な思いでここ迄来たと言う事情を知っている。それで親切にしてくれるのだろう。

 それにしても、ついさっきまでは冷たくモロッコ入国を拒否し、砂漠へ追い返したくせに、「歩く」か「外国人の車」かの違いだけで、いとも簡単に入国を許され、この待遇の違いはどう言う事だろう。

 「デッド・オア・アライブ」
許されざる者は砂漠でどうなろうと構わず、モロッコ入国を許された者には気を寄せる。
 差入にありがたく思いながらも、全くもって釈然としない。

 モーリタニアとヌアディブの街に、「アメリカ人と日本人の3人が、歩いてモロッコとの国境を越えたらしい。」と言う噂が広まっている恐れがありますが、それは間違いです。
 我々の作戦は失敗です。結局最後は歩いてモロッコへは入れず、フランス人の車をヒッチハイクしてモロッコへ入ったのです。

 奇跡的に車が現れヒッチハイク出来たから良かったものの、追い返された砂漠の真ん中で、車が現れなかったらと思うと背筋が凍り付きます。

 加えて、「あの時」、車が砂にスタックしたまま抜けられなかったら、モーリタニアのミリタリーポストで泊めてもらえなかったら、地雷を踏んでしまっていたら・・・等々後から良く考えると、今更ながら、何もなかったから良かった様なものの、やり過ぎたと深く反省しております。
 良い子(=善良な旅行者)は決してマネしないで下さい。


【食事】

朝:パン
昼:パン
夜:パン、ピーナッツ、ビスケット、牛乳

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
1US$ ≒ 9DH(モロッコ・デュラハム)
※現在の所、歩いてモーリタニア→モロッコの国境は越えられません。ヌアクショット又はヌアディブで外国人ツーリストの車をヒッチするか飛行機を使いましょう。

【宿】(ビルガンデゥーズ)石小屋。無料。

サハラ砂漠を歩いて渡る2
サハラ砂漠を歩いて渡る!「砂漠のアリ作戦」? (モーリタニア)ヌアディブ→モロッコとの国境
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/18 17:47
「ミッション・インポッシブル!!」
(今日の日記にはお題を付けさせて頂きます。)

 昨日、アメリカからやってきた旅人、ミートから持ちかけられた作戦は、
 「歩いて国境を渡る。」

 外国人が乗合タクシーでモーリタニアからモロッコへ入れない理由は、
 「外国人はモーリタニア人と一緒に国境を渡る事は許されない。」

 そして、外国人の車でならそれが許される理由は、
 「モーリタニア人、モロッコ人以外の、外国人同士だけなら何の問題もない。」

・・・と言うのが、ヌアディブのモロッコ領事館で、我々もミートも聞いたモロッコ側の見解だ。

 これを拡大解釈すると、
 「例え車でなくても、歩いてでも外国人同士だけなら国境通過は許される。」
と言う事になる。

 そこで、
 「国境直前までタクシーなどで行って、そこから歩いて国境を渡り、モロッコへ入国する。」
と言うのが、ミートのアイデアだ。

 だが実際はそう簡単には行かないのだ。

 昨晩、ミートと我々3人に、「私の車で乗せてってやるよ。」と言うキャンプサイトの主人、それに車で国境を通過して来たと言うフランス人ツーリストを交えて、国境の様子の情報収集及び国境越えの作戦を皆でたてる。
 モーリタニア、モロッコ両国の国境には緩衝地帯があり、モーリタニア側の国境最終ミリタリーポストからモロッコ側の国境ポストまで約10km。
 ただし、特別に許可された乗合車以外の、地元の一般の車は、モーリタニア国境を越える事は許されず、小高い丘の上のミリタリーポストの監視の双眼鏡に見つからないようポストの3km手前までしか行けないと言う。

 我々はまずキャンプサイトの車に乗り、モーリタニア側の国境ポストの3km手前で降り、モロッコ側の国境ポストまで約13kmを歩いて渡る。

 我々が重い荷物を背負って歩こうとしている国境緩衝地帯は、しゃく熱の西サハラの砂漠のど真ん中。しかもかつての紛争の名残で地雷があちこちに埋まっていると言う。
 道はあるにはあるがボロボロ、道の上を歩いている分には地雷の心配はないが、道を外れると危険との事。

 難関はまだある。

 我々が今いるヌアディブの街からモーリタニア側の国境ポスト迄約40km、その間、ポリスチェックポイントが2ヶ所ある。
 我々日本人2人とミートの「外国人ツーリスト3人は、国境付近で車がガス欠になり車を停めてあるので、そこ迄送って行く。」
という理由をでっち上げ、ポリスチェックをかいくぐると言うのは、キャンプサイトのご主人のアイデア。
 国境通過が許されない一般の車両が、国境方面へ向かうと言うのだから、ポリスチェックをかいくぐるにはそれなりの理由が必要なのだ。

 何とか無事、モロッコ入国を果たすと、国境後、最初にある街はビルガンドゥーズ。
 国境を通過し、モロッコへ入国してしまえば、後はどんな車に誰と一緒に乗ろうが自由な筈なので、そこで、その約450km先のダクラまで車をヒッチハイクする。ダクラ迄行けば、モロッコ北部の主要都市までバスが出ている。

 広大な砂漠の上を、ポリスチェックをかいくぐり、ミリタリーポストの監視の目から逃れ、地雷を避けて、働きアリの様に大きな荷物を背負ってせっせと歩いて国境を越える。
 名付けて「砂漠のアリ作戦」。

 不可能ではないだろう。だが無謀にも見える。大丈夫だろうか。
 やる気まんまんのアメリカ軍ミートとそそのかされた日本からやって来た我々2人、さぁ、作戦開始だ!!

サハラ砂漠を歩いて渡る1
『砂漠のアリ作戦』 ミッションチャート
<ミッション1>ヌアディブ→モーリタニア側国境最終ミリタリーポスト(約40km)
1-1) 2ヶ所のポリスチェックをかいくぐる。
-2) 最終ミリタリーポストの監視に見つからない様ポスト3km手前で降車し歩く。

<ミッション2>国境・モーリタニア側ミリタリーポスト→モロッコ側ポスト(約10km)
2-1) モーリタニア側ミリタリーポストを通り、モーリタニアを「出国」する。
-2) モロッコ側ポスト迄約10kmを歩く。地雷が埋まっているので道を外れてはいけない。

<ミッション3>モロッコ側ポスト/ビルガンドゥーズ→ダクラ(約450km)
3-1) ヒッチハイク。

※よい子は決してマネをしないで下さい。(よい子=最良な旅行者)



 我々2人とミートの3人が乗った古びれたランドローバーは、昼、丁度12時頃、ヌアディブのキャンプサイトを出発。
 車はキャンプサイトの従業員の男が運転、そして車にはもう一人、これから向かう国境までの道は砂漠の中の所々道なき道、ガイドが必要なのだ。

 国境緩衝地帯を10km以上歩かなくてはならない我々は、何が何でも明かるい内に歩き切って国境っを渡ってしまいたいので、朝一番にでも出発したかったのだが、このガイドがなかなか現れず、出発が昼までずれ込んでしまったのだ。

 ヌアディブの街を出てすぐ幹線道路をそれ、ガイドのナビゲーションに従って車は砂漠の道なき道を走る。

 そしてまず、1ヶ所めのポリスチェック。

 「モロッコへ行くのか?」
と、ポリス。
 「Yes。国境手前までこの車で行って、あとは歩いて国境を越えモロッコへ行く。」
とミートが返答する。

 「『国境付近でガス欠の車が停めたままになっている』なんてウソはすぐバレる。正直に言ってちゃんと出国しておいた方がいい。」
と言うのが、後から聞いたミートの考えだ。

 「パスポート」
と言うポリスの指示に従って、我々3人はパスポートを提出。
 すると、ミートのパスポートにはさんであった外貨申告書を見て、ポリスは我々2人に
 「お前達の外貨申告書はどこだ?」
 「そんな物持っていない。モーリタニア入国の際、何も言われなかった。」
と返す。

 「いいかイチロー。外貨申告書なんてそんなシリアスな問題じゃないんだ。これは単なるゲームだ。やつらはバクシーシ(ワイロのお金)が欲しいだけなんだ。」
とミートが耳もとでささやく。

 ポリスはまず4000ウギアのバクシーシを要求して来る。すると、
 「こんな面倒臭い事はもう沢山だ。ここで折り返して今すぐ又ヌアディブに戻ろう。」
とドライバーが叫ぶ。

 このドライバーの振るまいも、多分演技。我々は事前に「車代はバクシーシ込」の約束をしてあったので、最終的にドライバーがいくらポリスに支払ったのかわからなかったが、この演技でバクシーシは多少「割引」されたと思われる。

 モーリタニアの出国スタンプが押されたパスポートが返され、まず一番目のポリスチェックを通過。

 そのパスポートの出国スタンプが押されたページを見せ、二番目のポリスチェックは難無く通過。
 ミートの考え通り、一番目のポリスチェックで正直にモロッコへ行く事を伝え、出国スタンプを貰っておいて正解だった様だ。

 さすがはアメリカ人ミート51才。ニューヨークユ・ニバーシティのコミュニケーション学のプロフェッサーだそうだ。文句なしのこのミッションのリーダーだ。
 ただ、なんとか笑顔で善良な旅行者を強調して各関門を乗り切ろうとする我々日本人2人に対して、ミートはあくまで強気なのが少し気になる。

 2つのポリスチェックを抜けると、車はしばらく砂漠の道なき道を進む。

 窓の外には、砂漠の向こうにコバルトブルーの海が広がる。
 人の手が全く入っていない純真無垢な砂の大地が造り出す造形美と大海原、静まり返ったその美しいランドスケープに息を呑む。
 正に、困難なミッションの途中の、一瞬のつかの間の清涼水だ。

サハラ砂漠を歩いて渡る2

 「あれが昔スペインが作ったモロッコへ続く道路だよ。」
とドライバーとガイド。
 見ると、それは道路と言うよりガレキが並んでいるだけ。しかもほとんど砂に埋もれ、目を凝らさないと、石ころなのか道路のこん跡なのか見分けるのが困難な程だ。

 車は砂にタイヤをとられないよう、砂の浅い所を選んで進まなければならない。バカ正直にこの「スペインの道」を進もうとすると、そこをおおうぶ厚い砂の中に突っ込んでしまうので「スペインの道」はあくまで道しるべ。引き続きガイドのナビゲーションに従って、砂漠の中の道なき道を進む。

 ところが、
 「ウォーン、ウォーン、ウォン・・・。」
ドライバーがいくらアクセルを踏み込んでもタイヤはカラ回り。
 どうやらガイドは道を誤ってしまったらしい。車は砂漠の砂にスタック。

 ガイドもミートも自分もJunkoも車を降り、タイヤのまわりの砂を掘り、全員で渾身の力をこめて車を押す。
 しゃく熱の太陽が容赦なく照りつける砂漠の真中で、これを数え切れない程くり返す。
 汗がしたたる。砂じんで目が痛い。

 1〜2時間してようやく車は砂地獄を脱出。
 危うく「砂漠のアリ」は、ミッション半ばで「アリ地獄」に喰われる所だった。

 「ヘーイッ!!」
ドライバーは声を上げて喜んでいる。
 「何がヘーイだ、今はいいが、我々のミッションはまだ先があるんだ。」
と自分とミート。

 この砂との戦いですっかり時間を食われ、時刻はもう夕方になろうとしている。
 「だから、もっと早く出発しておけば・・・。」

 やがて車は、こんもりと砂が盛り上がった小さい砂丘の陰に停車。

 「いいか、そこを曲がってあっちの方へ行け。」
と、ドライバーとガイド。
 どうやら我々は、モーリタニア側の国境最終ミリタリーポストの手前まで来たらしい。

 我々3人は車を降り、砂の上にバックパックを降ろし、ヌアディブへ戻って行く車を見送る。

 ついにサハラ砂漠の真中に3人だけになってしまった。もう行くしかない。
 覚悟を決め、バックパックを背負う。

サハラ砂漠を歩いて渡る3

 時刻は既に夕方過ぎ、
 「今日、地雷も埋まる砂漠を10km以上も歩くのは無理だな。モーリタニアのミリタリーポストでお願いして何とか今晩は泊めさせてもらおう。」

 歩き始めて間もなく、小高い丘の上に小屋を発見。そこへ向かって歩いていると、そこから監視していたソルジャーが我々の方へ歩いて近付いてくる。

 ミートが事情を説明すると、そのソルジャー先導でミリタリーポストへ案内される。緊張が体を走る。

 石を積んだ小さな小屋の中へ入ると、
 「ハロー、どうしたんだい。・・・そりゃあ大変だったな。まあ座って。」
と、小屋の中にいた4人のソルジャーは、皆柔らかい笑顔。

 「お腹も空いただろう。」
と、お茶に、パンやクッキーやピーナッツの茶菓子迄つけて、もてなしてくれる。
 厳しい尋問などがあるのではないかと恐れていただけに、この展開はあまりにも意外。

 夜は調味料で味付けしただけのマカロニと、質素ながらも晩ご飯までごちそうになる。

 砂漠の夜は寒い。強い寒風が吹き付け、ヒューヒューとうなりを上げている。
 ここのミリタリーポストに電気はない。お茶や料理は携帯のガスコンロで作っている。

 日が落ち、砂漠の地平線がオレンジ色に染まる頃、寝袋を持ちあわせていないミートはミリタリーポストの石造りの小屋に、自分とJunkoの2人は離れの鉄道のレールをたてかけて作ったすき間風が吹きつける粗末な監視小屋に寝袋を敷いて眠りに就く。

 車もなんとか砂地獄を抜けられた。そして国境ミリタリーポストのモーリタニアのソルジャー達に意外にも親切にしてもらって、とりあえず今夜の所はひと安心。

 だが、当初の計画では、今日中に国境を越えモロッコ入国を果たす予定だったのだが、、、。
 ミッションは明日も続く。


【食事】

朝:バゲット、オレンジ
昼:なし
夜:マカロニ

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
・ヌアディブ→モーリタニア国境ミリタリーポスト手前
(宿泊していたCamping Baieで車を手配)3000UG/1台バクシーシ込 12時発 17時着

【宿】
(国境のモーリタニアのミリタリーポスト手前)無料

NoPhoto
謎のアメリカ人現る (モーリタニア)ヌアディブ
エリア:
  • アフリカ>モーリタニア>モーリタニアその他の都市
テーマ:その他 
投稿日:2001/03/17 17:27
 モロッコのダクラ迄乗せて行ってくれる車を待ちこがれて、今日で4日目。

 「外国人はモーリタニア人と同じ車で国境を越える事は許されない。」
と言う、理解し難いモロッコ政策により、ダクラ迄の乗合4×4に乗せてもらえない我々2人。ここヌアディブのキャンプサイトで毎日、日がな外国人ツーリストの車をヒッチハイクしようと張り込んでいる。

 しかし、ダクラ行の車はなかなか現れない。 現れたと思ったら乗せてもらえない。
 そしてついに、今日はキャンプサイトには新しい車は1台も出現せず。

 そりゃぁ、何ヶ月も何年も待っていれば、いつかダクラ迄乗せてってくれる車が見つかる事だろうが、これは旅だ。そんなにいつ迄も待ってはいられない。

 実はヌアディブからモロッコのカサブランカ迄、週一便飛行機が飛んでいるのだ。
 車が見つかる迄、いつ迄待てるか、どこ迄我慢できるか。
 「ある程度待っても見通しが立たなかったら飛行機を使わざるをえないかも知れない。」

 「ここヌアディブでビザの延長はできますか。」
我々のモーリタニアビザの有効期間は一ヶ月、もしその間に車が見つからなかったらと心配して、宿のおやじに尋ねてみると、
 「できるよ。一度の延長申請で1ヵ月間延長できる。」

 ビザの延長ができなければ、ビザの有効期限をリミットにして、それ迄車が見つからなければ、カサブランカ迄「飛んで」しまおうかとも考えていたのだが、我々は今、飛行機を使わずにアフリカ喜望峰から日本までを旅する「挑戦」中。ここはビザを延長してでも「長期戦」を覚悟する。

 午後、お昼がてら気晴らしに街を軽く散歩して、キャンプサイトに戻ると、一人のアメリカ人がキャンプサイトをたずねて来る。彼もダクラ迄行くそうで、一緒にダクラへ行く仲間を探しているそうだ。

 「私達2人もダクラへ行くんですが、あなたは車を待っているんですか?」
とそのアメリカ人に尋ねると、
 「いや、私も車は待っていないんだが・・・。」

 そしてヒッチハイクの車待ちで長期戦も覚悟した矢先、そのミートと名乗る謎のアメリカ人から、とんでもない話を持ち掛けられる。。。。


【食事】

朝:バゲット、ピーナッツ
昼:リーポワソン、オレンジ
夜:パン、オレンジ

【トラベルメモ】

1US$ ≒ 250UG(モーリタニア・ウギア)
・(ヌアディブ)Camping Baie 1000UG/部屋泊1人(2泊目からの料金)

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