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- 変わるキューバ、変わらないキューバ〜キューバ世界遺産の街めぐり ハバナとトリニダー〜
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エリア:
- カリブ海>キューバ>ハバナ
- カリブ海>キューバ>トリニダー
- カリブ海>キューバ>バラデロ
- テーマ:街中・建物・景色 世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2017/02/08 14:05
ゲバラの肖像でおなじみの革命広場はライトアップされる夜に行くのがオススメ!
バラデロビーチの青い空と透き通る海にはただただ息をのむばかり
バラデロビーチの青い空と透き通る海にはただただ息をのむばかり
カメラを向けると皆ノリノリなのがキューバのいいところ
ここ最近、「激動」というワードがここまでふさわしい国もないと思う。経済の一部自由化、54年ぶりのアメリカとの国交正常化、それに伴うアメリカ定期直行便の運航開始、そして一時代を築いたフィデル・カストロの死・・・。そんなキューバにこのたび行かせていただくことになった。
訪問都市は首都のハバナ、世界遺産の古都トリニダー、そして外国人観光客でにぎわうビーチリゾートのバラデロの3都市で、やはり初めてのキューバならこの3都市を周遊するのがおすすめ定番ルート。今回はバックパッカープランということで現地では全てフリープラン、各都市移動も長距離バスを利用したが、何事にもおおらかなラテンの国ゆえいろいろ戸惑うところはあったものの順調に旅を進めることができた。
ただ興味深い歴史に加え、街を歩いていると厚切りジェイソンばりに「Why Cuban people!!!!!」と突っ込みたくなるキューバ特有の光景が多々あったのでやはりガイドさんがいた方が楽しいと思う。また今回ハバナは旅程前半2泊、後半1泊の滞在だったが、とにかく見所が多いためもっと時間が欲しかった!
<200万人が暮らす街全体が生きた博物館 首都ハバナ>
キューバの旅はほとんどの場合首都ハバナから始まる。その見どころはなんといっても植民地時代の面影を残す豪勢な建造物と、タイムスリップしたような街並み。
またキューバ名物ともいえるアメ車や旧共産圏のクラシックカーもまだまだ健在で、街並みとからめてカメラを構えれば、あっと驚くシブい写真が誰にでも撮れる。
カピトリオ(旧国会議事堂)と馬車とクラシックカー
カバーニャ要塞とキューバ国旗
ライトアップされたガルシア・ロルカ劇場
じっくり街並みを眺めてみると、ヨーロッパとも他の中南米とも、もちろんアジアとも全く違ったものなのに気づく。一見ヨーロッパの中世の旧市街チックなのだが、よく見るとぼろぼろで廃墟に近いのもある。建物の大部分が欠けていたり窓が壊れていたりするところもあるけれど、そこでも人々は元気に生きている。革命のとき、またはそれ以前からずっとここに住み続けてきたのだろうか・・・。
そんな儚い街並みとたくましい人々とのギャップが、またハバナの街を魅力的に見せてくれる。
一見廃墟だが市場として使われている
私のような「洗濯物がはためく旧市街フェチ」にはたまらない!
ご存じの通りこの国は数少ない社会主義国で、スローガンやグラフィティなども随所に見られるが、
Viva Cuba Libre=キューバの自由万歳
毎日開かれるアルマス広場の古本市では、革命関連の本やポスターが・・・
やっぱりゲバラはキューバ人に愛されてるんだなあ
経済の一部自由化に伴って自営業も認められるようになり個人経営のレストランや民宿がどんどん増えた。旅の楽しみが増え、一気に旅行しやすくなった印象がある。
特に旧市街のレストランはキューバのイメージを覆すようなオシャレな店が増加中で、キューバのご飯は評判があまり良くないから期待できない・・・と思っている方こそぜひ行っていただきたい。
雰囲気のいい旧市街のレストラン「O’Reilly」
なんと日本食も!旧市街入口近くの「日本食堂」にて
そのためか旧市街はどこにいっても個人、団体を問わず多くの旅行者が目に付いた。やはり皆、今激動のときを迎えるキューバの歴史の目撃者になろうとしているのだろうか・・・。
もはやキューバは「知る人ぞ知る」国ではない、立派な観光大国なのだと認識を改めた。
夕方にはぜひ海岸沿いのマレコン通りへ。昔も今も、そしてこれからも変わらないであろう最高の夕焼けを毎日眺めることができる。そこで目に付く釣り人やカップルも、流しのミュージシャンも、どんなにハバナの街が変わってもここにいるのだろう。
写真撮って!と声をかけてきたカップル
ハバナの街で必ず見かける陽気なミュージシャン
驚くほど美しいマレコン通りの夕焼け
<ありのままのキューバに触れる 古都トリニダー>
世界遺産の街でキューバ中部に位置するトリニダーは、なんといっても植民地時代の面影を色濃く残す石畳の街並みが有名。
特に中心部のサンティシマ教会やマヨール広場周辺は、18〜19世紀に建てられたサトウキビ農園主らの見事な邸宅が保存され、クラシックカーや馬車も走っているのでどこを撮っても絵になる風景が見られる。
コインの絵柄にもなっている風情ある街並み
市立歴史博物館の屋上から街並みを眺める
やはりここも観光客が急増中で、中心部は現地人よりも数が多いのでは?と思うほど。さすが世界遺産の一大観光地、活気があふれていた。
ガイドブックに載っている有名店「ラ・カンチャンチャラ」では名物カクテルを飲みながら生演奏が聴ける
観光客が集まる野外ミュージックショー、カサ・デ・ラ・ムシカは毎晩大盛り上がり!
ただハバナと違ってここは人口7万ほどの田舎町。街歩きすると、とにかく現地人との距離が近くありのままのキューバが楽しめる!という印象だった。街を歩くたびに新たな発見があり、全く飽きないのだ。
市場ではラム酒の量り売り!
ラム酒をおごってくれたおじさん。言葉は通じないはずだがなんとなーく意思疎通できた
こまを回す少年
そんなありのままのキューバの最もたるものが野球。キューバといえば野球!というイメージをお持ちの方も多いはず。
中心部から少し離れた野球場に行ってみると、なんとちょうど試合が行われるとのこと。もちろん観戦させてもらう。
「マツザカ」と「イチロー」を知っていた球場の職員さん
遠くカリブ海を望む絶好のロケーション。地域リーグかなにかのようでそこまでレベルは高くなく、観客も多くなかったが、ひたむきにプレーする選手やそれに賛辞(+ときどきヤジも)を送る観客を眺めながら、どれだけ野球というスポーツがこの国に根ざしているか実感することができた。
しかし最近はサッカーの方が人気になっているようで、実際のところ公園などでサッカーをしている子供はよく見かけたものの野球少年は一度も見かけず、車や街などにヨーロッパサッカーチームのエンブレムが描かれているのも目に付いた。政治経済だけでなく、文化の面でもキューバは変わりつつある。
夜は宿の近くの広場で、音楽に合わせて百人ほどの市民が踊りまくっているところに遭遇する。さすがサルサやルンバの本場、キューバ人は音楽が流れると踊り出さずにいられないようだ。夜中の広場で大爆音、そしてひたすらダンスという日本では考えられない異様な光景を前にしてこちらまで楽しくなってしまう。そして自分も自然に彼らに混じって踊り出してしまうのだった。飲んで、踊って、飲んで、踊って・・・。
広場の脇では豚の丸焼きが
真夜中に宿に戻ったが、明け方4時ぐらいまでずっとこの大爆音は鳴り止むことがなかった。恐るべしキューバ人のスタミナとパッション・・。観光客でにぎわう街で、そんなキューバ人の着飾らないありのままの姿を間近で見られたことを幸せに思った。
キューバのどんなところが変わりつつあるのか、という点に注目してきた今回の旅だったが、「人がある場所には音楽があり、音楽がある場所には笑顔がある」という一番キューバらしい光景は旅行中いつでもどこでも見ることができた。キューバという国家がこの先どんなに変わっていっても、これだけはずっと変わることなく続いていくはず。そしてキューバならではのこの光景がこれからも旅行者を魅了してくれるに違いない。
<フリープランで旅するなら知っておきたい、キューバお金・交通・ネット事情>
先ほども書いたとおり、キューバは国のシステムが他国といろいろ異なり、もしかすると旅慣れている人ほど戸惑う所があるかもしれません。ガイド付きのツアーなら問題ありませんが、フリープランで旅するならちょっとした予備知識が必要かと思います。
まずはお金事情。キューバ旅行の計画を立てている方は、「キューバには2つの通貨がある」と知り戸惑う方が多いかと思います。旅行者用の兌換ペソ(CUC)と現地人用の人民ペソ(CUP)、という表記が多いですが実際旅行者も人民ペソを使えますし、逆もしかりです。「贅沢品用の兌換ペソ、庶民用の人民ペソ」といった方が正確でしょう。
旅行者と現地人との間の高い壁がある(たぶんこのシステムが一番旅行者を戸惑わせているのでは・・・)キューバでは、旅行者が普段利用するレストランやタクシー、また観光地などはすべて兌換ペソ払いで料金が設定されているため、これだけあればすべて事足ります。しかし後で述べる市バスやフェリーに乗りたい!、ローカルのご飯を食べてみたい!という方は人民ペソが必要になります。1CUC=24CUPのレートで両替でき、ローカルのお店でCUP支払いをするとお釣りがCUPで返ってこともあります。ローカルのお店は物価がかなり安いですが、「外国人=お金持ち」という固定観念が染みついているキューバでは外国人がCUPを使いまくるのも考えもの、とのことです。
ちなみにトリニダーで見た野球の試合チケットの価格は1CUP(約5円)。1CUC(約120円)ではありません。
外国通貨から兌換ペソ、そして兌換ペソ・人民ペソ間の両替は、街中のカデカ(CADECA)と呼ばれる両替所や銀行の利用が一般的。けれども両替所はなぜかいつもどこでも行列ができており、しかも皆順番を守って文句も言わず並んでいるので感心します。ここまで行列に並ぶのに慣れている民族は日本人とキューバ人くらいでは・・・と思うほど。
(そもそもどこでもこんなに行列ができる光景が異様なのでは・・・という突っ込みは置いといて)
これが両替所のマーク
なおハバナ空港の両替所では日本円から兌換ペソへの両替所が可能ですが、地方都市では日本円の取り扱いがしていないことがあり、アメリカドルは多額の手数料が取られるのでユーロやカナダドルからの両替をおすすめします。
ちなみに写真を撮り忘れましたが、3人民ペソ札はゲバラの肖像が描かれており兌換ペソしか使用しない観光客にも大人気。それゆえなかなか手に入りにくいようですが、トリニダーの両替所で人民ペソを入手するときに熱心にお願いしたら(しぶしぶながら)10枚ほど新札を混ぜてくれました。
つぎに交通事情。都市間移動ではバス利用がほとんどになりますが、現在外国人が乗車できるのは「ビアスール(Viazul)」社のバスのみ。バスターミナル(ハバナでのターミナルは中心部から遠く、タクシーで移動することになります)にて出発の1時間〜30分前にカウンターでチェックインをしてチケットを発券してもらい、目当てのバスが来たら荷物を預けてバスに乗車。時間はほぼ定刻通り、というか逆に満席になってもいないのに定刻より早く出発することもあるので要注意です。どうもキューバ人はのんびりした所がある反面、仕事をさっさと終わらせたい傾向にあるようです。
設備は日本の高速バスとあまり変わらず、快適な移動が期待できます。しかし冷房が効きすぎていることが多いため上着や毛布の持ち込みをおすすめします。(私が乗ったときも乗客はほぼ外国人旅行者でしたが、冷房のことは了解済みのようで全員上着や毛布を羽織っていました)
食事の時間をまたぐと路線のみ食事休憩があるようで、今回はハバナからトリニダーへ行く際に途中のレストランに立ち寄りました。10CUCのビュッフェの他サンドイッチもあり。
キューバ周遊の旅で頼りになるビアスールバス
街歩きだけでは見られないキューバの田舎の風景を眺めるのも楽しみですね。
一面に広がるサトウキビ畑
カストロが我が町にやってきた!とアピールする看板
また街中の移動(ハバナ新市街から旧市街など)は、外国人はタクシー利用が主流です。これが意外と高く付き、15分ほど乗って10〜15CUC(約1200〜1800円)。けれど運がいいとクラシックカーに乗れることもあり、そのアトラクションを含めた料金だと思えば納得できるかも。
またハバナやバラデロでは1日5CUCで乗り放題のオープンバスも走っています。
ごく普通にタクシーとして使われるクラシックカー
変わった形のココタクシー。運転手に声をかけると試乗(?)させてくれた
バラデロのオープンバス、「バラデロビーチツアー」。ビーチで遊んだ後はこれで街を一周してみては?
CUPを持っていれば市民の足の市バスにも乗れるので、時間があればチャレンジしてみては?たいてい混み合っていて行き先も判別するのが難しいですが、バス停にいる人や運転手に自分の目的地を言ってみるとどれに乗れば良いか親切に教えてくれます。これも旅の醍醐味ですね。
運転席にゲバラのステッカーが
またハバナ旧市街からハバナ湾対岸のカバーニャ要塞近くまで、同じく市民の足のフェリーが通っています。15分ほどの船旅ですが、自転車をそのまま乗せたり船内から釣りをしたりとなかなか珍しい光景が見られておすすめ。市バス、フェリーともたったの1CUP。
自転車を持った人がごく普通に乗っているフェリー船内
最後にネット事情ですが、他の国では一般的なフリーwifiがキューバではほぼ存在しません。通信会社「ETECSA」オフィスでカード(1時間利用可能で2CUC)で買い、電波の入るところ(ところどころ大勢の人がスマートフォンをいじっている場所があるのですぐ分かる)でカードに記載のIDとパスワードを入れてつなぐようになりますが、オフィスの数は多くなく、しかもやはりキューバ名物の行列ができており非常に不便。主なホテルでも買えるほか、電波が入る場所でカードの闇売人(?)がうろうろしており、ちょっと高値ですが待つことなく買うことができます。ネットの速度は問題ありません。
ハバナ旧市街のメインストリート、オビスポ通りにある「ETECSA」オフィス
ここ最近人気急上昇中の旅行先にもかかわらずなかなか情報が少ないキューバですが、最低限の予備知識があれば誰でもしっかり楽しめます!
【スタッフおススメ度】
●ハバナ ★★★★★
見事な歴史的建造物や博物館をひととおりまわるだけでも一日がかりで、気の向くまま街を歩きまわるだけでも楽しい。どこか儚い街並みと笑顔あふれるハバナっ子とのギャップがまた旅行者を魅了してくれる。
●トリニダー ★★★★★
観光客でにぎわう古都で見応えのある博物館が多い。小さい街なので地元の人の生活に触れる旅もおすすめ。ライブスポットも多く、夜はどこからか楽しげな音楽が聞こえてくる。
●バラデロ ★★★★
キューバいちのビーチリゾートで、ここまで透明な海はなかなかお目にかかれない。オールインクルーシブの豪華ホテルが立ち並ぶほか、誰でも入れる公共ビーチもある。
(2017年1月 伊藤卓巳)
- ついに時が動き出す!?旧世紀のレプリカ キューバの肖像
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エリア:
- カリブ海>キューバ>ハバナ
- カリブ海>キューバ>トリニダー
- カリブ海>キューバ>サンチャゴ デ キューバ
- テーマ:ホテル・宿泊 世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2016/01/05 15:10
いつか行きたい国は突如、行かなければならない国となった。
パステルカラーのコロニアルな建物の前を、クラッシックカーが颯爽と走り去る。葉巻の煙とジャズが漂う街で、20世紀初頭という時代に飲み込まれる。
<ハバナ>
54年ぶりに米国との国交正常化を果たしたキューバ。首都ハバナの旧市街にあるのは洗練された美しさではなく、使い込まれた美しさ。生活感のある街の色はどこか懐かしい。
観光の中心オビスポ通りでは観光客と地元っ子が行き交い、お土産物屋にはイケメン革命家チェ・ゲバラTシャツやマラカス、木製の置物が並ぶ。一歩脇道へ入ると、活気溢れる生活エリア。大声で果物を売る屋台があったり、道端で車を修理する人がいたり…たくましい人々の生活風景は、映画のワンシーンのように美しい。バルコニーの洗濯物ですら、世界遺産の一部かと思うほどに存在感がある。
地味だがおすすめの場所は、アルマス広場の古本市。雨天以外の毎日開催されている。革命関連の書物はもちろん、財務大臣だったゲバラのサインの入った紙幣。大胆なグラフィックの政治プロパガンダ的ポスター。革命前からあるようなオールドクラシックな時計や、装飾品。ここに並ぶヴィンテージの品々は、この国のどんな歴史を見てきたのだろう。ひとつひとつの物語を想像すると、わくわくが止まらない!気づけばここへ毎日通っていた。
アルマス広場の古本市
<トリニダー>
キューバの心に最も近づけるのは、この町かもしれない。
照りつける太陽の下、カラフルな平屋の町並みをのんびり散策。疲れたらカフェでモヒートを一杯。一服したらまた、音楽に導かれるように歩き出す。気のむくままに、道端で人々とサルサを踊る。自分がイメージした通りのキューバは、ハバナよりもむしろトリニダーにあった。
バーから聴こえてくる生演奏に足取り弾ませていると、馬に乗ったお兄さんがあいさつをしてくれた。ジーンズにくたびれたネルシャツ、カーボーイハットをかぶり、いかにも客引きという出で立ち。戸惑いながらもあいさつを返すと、彼はそのまま街角のアグロ・メルカード(農産物市場)で豆を買い、どこかへ消えてしまった。客引きではなかったらしい。こんな場所が21世紀にまだあったなんて。
町は気取らない音楽にあふれ、旅人たちはただただ時の流れを楽しんでいる。アメリカとの国交正常化した現在、こんなに印象的な街並みのトリニダーでは、今すぐにでもハリウッドの撮影がはじまってもおかしくない。いにしえの時の流れは、いつか早まってしまうのだろうか。
せっかくキューバを訪れたのに、ハバナだけで過ごすのはもったいない!たとえ1泊でもトリニダーに滞在することができたら、キューバの印象がググッと変わってくるだろう。
<サンティアゴ・デ・クーバ>
「ハバナなんてキューバじゃない!本当のキューバはここサンティアゴだ!」
日曜日の昼下がり。迷い込んだ住宅地で、手持ち無沙汰なおじさんにつかまり熱烈な演説を聞くはめになった。(スペイン語だったので、ほとんど理解はできなかったが)
かつて首都として栄え、キューバ革命への第一歩が踏み出された地でもあるサンティアゴ・デ・クーバ。フィデル・カストロ前国家評議会議長が青年期を過ごした街であり、キューバ音楽のメッカだ。この街にあるのは植民地時代の面影を残す街並みと、空をなぞるような電線。蒸せ返るような暑さとひなびた坂道。どこかの家の一室から聞こえてくるバンドのリハーサル・・・確かに、ハバナよりもキューバっぽいかも!
街にはとにかくアジア人が少ない。いや、ほとんどいない。歩いているだけで前から後ろから、上から下から、いろんなところで声をかけられ、珍しがられる。これから公園でサルサを踊りに行かない?なんておじさんも。この街では現地の人と井戸端会議に花を咲かせ、思いっきり触れ合ってみるのがいいだろう。
素敵な笑顔の親子
お手製のキックボードで遊ぶ少年
おすすめのビュースポットは、ガイドブックにも記載のあるパドレ・ピコ(階段)。パステルカラーの町並みと雑然とした電線がなんともサンティアゴっぽい。雨上がりのパドレ・ピコは、アスファルトの湿り具合から人々の動線がわかる。階段に腰掛けて、いつまでもこの通りを眺めていたい思いだった。
パドレ・ピコ(階段)からの景色
<カサに泊まると、キューバをもっと好きになる!!>
碇を逆さまにしたようなカサのマーク
カサ(カサ・パティクラル)とは、キューバ人が個人宅を改装し、客室として提供している宿のスタイル。ホームステイと民宿の中間くらいの感覚の施設だ。政府からの許可を得ている家庭のみがカサを経営することができる。
はじめてのカサ体験はトリニダー。バスターミナルの入口にカサの客引きがずらりと並ぶ中、予約してあったカサのオーナーの息子さん(多分高校生くらい)は私の名前を書いた紙を持って待ってくれていた。合流し、ターミナルから徒歩10分のカサを目指す。彼は道すがら、町の中心部へ行き方やガイドブックには載っていない郊外のみどころを説明してくれた。
カサに着くとオーナーである彼のお父さん、お母さんが出迎えてくれた。このカサは3人家族。出かけるとき声をかけてくれたり、帰ると家族3人リビングでテレビを見ていたり、まるで実家に帰ったかのような、ほっこりした気持ちで宿泊することができた。
カサ お部屋のイメージ
カサのリビング
カサの中庭で朝食
カサのお父さんとお母さん
カサのルールは利用するカサによって、予約内容によってそれぞれ異なる。今回利用したカサはチェックイン後、家の鍵と部屋の鍵を渡してくれた。早朝散歩するのにも、夜遅くまでジャズバーで楽しむのにも、戸口の開け閉めのためにわざわざオーナーを呼びつけるわけにはいかない。まさか鍵を預けてくれるとは思わなかったのではじめは戸惑ったが、この鍵はすごく役立った。鍵は渡されず門限が決まっていたり、朝食の時間が決まっていたりするカサも他にはあるらしい。
朝食だけではなく、夕食もカサのお母さんの手料理を頂くのが絶対おすすめだ。一般的にキューバは外食の習慣がない。ほとんどのレストランが観光客向けで、美味しい店を見つけることは結構難しいと思う。それならカサのお母さんに夕食を作ってもらった方がいい。キューバの家庭料理を味わえるし、お母さんとも仲良くなれる。
カサで頂くキューバの家庭料理
トリニダーのカサは一軒につき客室一部屋のところが多いが、その他の都市では複数客室を持つカサもある。サンティアゴで利用したのは4部屋を持つ2階建ての大きなカサで、ちびまるこちゃんのような大家族がオーナー。赤ちゃんを抱いた奥さんがチェックインの対応をしてくれた。屋上へ上がるとブランコで遊ぶ小学生くらいの娘さんがいたり、その側でお兄さんがお隣さんと物々交換をしていたり。いろんな世代の生活を垣間見ることができたのはとても素敵だ。
未だに配給のある生活をしていて、皆配給手帳を持って配給所へ出かける。ここで低価格で購入できるのは油、塩、コーヒー、黒豆、卵、鶏肉、離乳食など・・・そういえば街で見かけた配給所はいつも人だかり。旅行客は近づけない雰囲気だった。街中は明らかに物資が不足している。野球大国としても知られているが、空港へ向かう途中に見たハバナのメインスタジアムはオンボロ。アメリカメジャーリーグでのプレーを夢見て亡命する野球選手もいると聞くが、あの設備をみると複雑な気持ちになる。
けれど、今の生活も不自由ばかりではない。学費は大学まで無料。医療費も無料だ。街では、世界がうらやむアメリカ製のクラシックカーが気取らない姿で行き交う。
素朴なこの国らしさは、経済封鎖の解除によって無くなってしまうかもしれない!なんて私たちの焦りは杞憂だったように思う。当のキューバ人たちは相変わらず、うらやましいほどに陽気でたくましく、したたか。そもそもあんな大国と対等の関係にあった国なのだから、みんな芯が強い。
世界が広がったことによって、これからキューバはどんな考え方と出会い、どう変化していくのだろうか。この国について考えることのひとつひとつが、気がつけば再訪の理由になっていた。
Welcome to my home, this is your home! と歓迎してくれたハバナのカサのお父さんと
【スタッフおすすめ度】
ハバナ旧市街★★★★・・・クラッシックカーが行き交う、時が止まったような世界遺産
トリニダー★★★★★・・・音楽にあわせて散策できる、美しい田舎町
サンティアゴ・デ・クーバ・・・ディープなキューバに会える!灼熱の革命の故郷
(2015年11月 仙波佐和子)
- ビバ!メキシコ&キューバ 世界遺産 駆け巡りツアー
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エリア:
- カリブ海>キューバ>ハバナ
- 中南米>メキシコ>メキシコシティ
- 中南米>メキシコ>ビヤエルモーサ
- テーマ:観光地 世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2015/03/30 15:32
今回の旅先はメキシコ&キューバ。まずはメキシコシティを目指します。成田からの直行便を利用しました。
中心部へは車で40分ほど。ジャガランタの花が出迎えてくれました。ジャガランタを初めて見てテンションは上がります。
<メキシコシティ歴史地区>
メキシコシティはアステカ帝国とスペイン植民地時代の旧跡、現代文化が融合した大都市です。
アステカ時代は湖上に浮かぶ都市で、スペイン軍の記録には「夢幻の世界はこれか・・・」と記されているほど、当時高い文明をもっていました。植民地時代はアステカ時代の建物の石材でスペイン風の町が築かれ、現在はそのエリア(ソカロ地区)が歴史地区となり現在でも重厚な建築が立ち並んでいます。
夜はマリアッチで楽しいひと時。チャロと呼ばれる衣装を身に着けた楽団の演奏を聴くことができます。
心地よい歌声と生演奏はなぜだか少しなつかしいような気になりました。
<ティオティワカン遺跡>
紀元前2世紀ごろ建造されたメキシコ最大の宗教都市国家。最盛期には20万人以上の人口がいたと推定され、繁栄を築いていましたが8世紀には滅亡してしまいました。どこに消えてしまったのか解明はされておらず、
謎は深まります。それぞれの建築物は一分の隙もなく建てられていて、高い数学、天文学の知識を操っていたと想像されます。実際登ってみても2000年前の建築とは想像できず、最近つくられたものと言われても、そうなんだ、と納得してしまいそうな素晴らしい遺跡です。
頂上では何かのパワーをもらおうと儀式(?)を行っている観光客もいました。
<パレンケ遺跡>
メキシコシティから空路拠点の町、ビジャエルモーサへ。パレンケ遺跡はさらに車で2時間。
パレンケはマヤ古典期後期を代表する遺跡でその中に神殿や宮殿が残されています。この遺跡は滅亡から約800年もの間ジャングルに埋もれていました。現在発掘されているのはその一部で、すべて発掘されるとどんな規模になるのか想像もつかないものでした。建築物の数々は、数字の7にちなんだもの(階段、扉の数など)が含まれていて、どこが7になるのか探すのも面白いかもしれません。
遺跡内には水路や運動場、スポーツの観覧席、トイレなどもあり高い生活レベルが想像されます。
また数々残されているレリーフも興味深く、古代文明にちなんだ、中国の龍、エジプト風なども残されていました。神殿を一つ一つ登るのは大変ですが、見る価値は十分あります。
まだまだ見たいところはありますが、後ろ髪を引かれつつメキシコをあとにし、カリブの真珠と言われるキューバへ。最近はアメリカとの国交正常化に向けて何かと話題です。
現地のかたは心待ちにしている様子でした。
・キューバ編
<オールドハバナとその要塞群>
旧市街はアルマス広場を中心にコロニアルな町並が立ち並んでいます。メキシコシティの歴史地区にた重厚な建物もありますが、カラフルに彩られた町並はカリビアンな雰囲気を醸し出しています。
また青い海には不似合いですがいくつかある要塞は植民地時代この地がいかに重要だったかがうかがえます。
旧市街には素敵なお店も多いので、ブラブラ散歩も楽しいものです。また町にはクラシックカーをいたるところで見かけることができますが、これは個人のタクシーなので観光客も気軽に乗ることができます。記念にドライブも一興です。
<ビニャーレス渓谷>
キューバの内陸には山脈が走り自然が豊かな国でもあります。渓谷とはいってもお椀型の山が点在している変わった景観のカルスト地形で周辺にはタバコ農園が広がっています。ビニャーレスはハバナから日帰りツアーが多いのですが、時間があれば是非1泊していただきたい。朝に現れる霧はこの渓谷を何とも言えない幻想的な世界へいざないます。今回は残念ながら霧は現れず・・・、ですが日の出から刻一刻と変わる景色もすばらしく、じっと見ていたい気持ちになりました。周辺には洞窟や大きな壁画もあり自然の多様性を楽しむことができます。
・番外編
<キューバのキャバレー>
ハバナは革命前、カリブのモンテカルロと言われラテンアメリカ最大の歓楽街でした。今でもハイレベルなライブやショーを楽しむことができます。今回はもっとも有名で最大規模のキャバレーを体験してきました。
きらびやかな衣装や迫力のあるカリビアンミュージック、素晴らしいダンスやパフォーマンスに我を忘れ、カメラのシャッターを切ってしまいました。まるで夢の世界です。
<チェ・ゲバラ>
キューバに行ったらここで是非写真を撮りたいゲバラの肖像。近年カミーロの肖像もできました。
<ヘミングウェイ>
「老人と海」のモデルとなった海、コヒマル。のんびりとした雰囲気に創作意欲を掻き立てられる気持ちが少しわかるような気がします。ここでゆっくり過ごしてみたいものです。
ラテンのまぶしい太陽を浴びて心身が健康になった気がした今回の旅。メキシコもキューバもこれから注目のディスティネーションです。今度はスペイン語を勉強して再度訪れたいと心から思ったのでした。
おすすめ度
メキシコシティ歴史地区 ★★★★
ティオティワカン遺跡 ★★★★
パレンケ遺跡 ★★★★★
ハバナ旧市街 ★★★★★
ビニャーレス渓谷 ★★★★
(2015年3月 平田真美)
中心部へは車で40分ほど。ジャガランタの花が出迎えてくれました。ジャガランタを初めて見てテンションは上がります。
<メキシコシティ歴史地区>
メキシコシティはアステカ帝国とスペイン植民地時代の旧跡、現代文化が融合した大都市です。
アステカ時代は湖上に浮かぶ都市で、スペイン軍の記録には「夢幻の世界はこれか・・・」と記されているほど、当時高い文明をもっていました。植民地時代はアステカ時代の建物の石材でスペイン風の町が築かれ、現在はそのエリア(ソカロ地区)が歴史地区となり現在でも重厚な建築が立ち並んでいます。
ベジャス・アルテス宮殿
カテドラル
国立宮殿
カテドラル奥にあるアステカ時代の遺跡
三文化広場 アステカ、中世、現代の建物が一度に見える
夜はマリアッチで楽しいひと時。チャロと呼ばれる衣装を身に着けた楽団の演奏を聴くことができます。
心地よい歌声と生演奏はなぜだか少しなつかしいような気になりました。
<ティオティワカン遺跡>
紀元前2世紀ごろ建造されたメキシコ最大の宗教都市国家。最盛期には20万人以上の人口がいたと推定され、繁栄を築いていましたが8世紀には滅亡してしまいました。どこに消えてしまったのか解明はされておらず、
謎は深まります。それぞれの建築物は一分の隙もなく建てられていて、高い数学、天文学の知識を操っていたと想像されます。実際登ってみても2000年前の建築とは想像できず、最近つくられたものと言われても、そうなんだ、と納得してしまいそうな素晴らしい遺跡です。
頂上では何かのパワーをもらおうと儀式(?)を行っている観光客もいました。
太陽のピラミッド
階段の傾斜
太陽のピラミッド頂上にて
死者の道と月のピラミッド
<パレンケ遺跡>
メキシコシティから空路拠点の町、ビジャエルモーサへ。パレンケ遺跡はさらに車で2時間。
パレンケはマヤ古典期後期を代表する遺跡でその中に神殿や宮殿が残されています。この遺跡は滅亡から約800年もの間ジャングルに埋もれていました。現在発掘されているのはその一部で、すべて発掘されるとどんな規模になるのか想像もつかないものでした。建築物の数々は、数字の7にちなんだもの(階段、扉の数など)が含まれていて、どこが7になるのか探すのも面白いかもしれません。
遺跡内には水路や運動場、スポーツの観覧席、トイレなどもあり高い生活レベルが想像されます。
また数々残されているレリーフも興味深く、古代文明にちなんだ、中国の龍、エジプト風なども残されていました。神殿を一つ一つ登るのは大変ですが、見る価値は十分あります。
頭蓋骨の神殿のレリーフ
宮殿跡
発掘前と発掘後
太陽の神殿
十字架の神殿からの眺め
エジプト風レリーフ
レリーフを元にした手書きのお土産
古代人風の衣装を着た売り子さん
まだまだ見たいところはありますが、後ろ髪を引かれつつメキシコをあとにし、カリブの真珠と言われるキューバへ。最近はアメリカとの国交正常化に向けて何かと話題です。
現地のかたは心待ちにしている様子でした。
・キューバ編
<オールドハバナとその要塞群>
旧市街はアルマス広場を中心にコロニアルな町並が立ち並んでいます。メキシコシティの歴史地区にた重厚な建物もありますが、カラフルに彩られた町並はカリビアンな雰囲気を醸し出しています。
旧国会議事堂
劇場
ホテル アンボスムンドス
アルマス広場の古本市
また青い海には不似合いですがいくつかある要塞は植民地時代この地がいかに重要だったかがうかがえます。
旧市街には素敵なお店も多いので、ブラブラ散歩も楽しいものです。また町にはクラシックカーをいたるところで見かけることができますが、これは個人のタクシーなので観光客も気軽に乗ることができます。記念にドライブも一興です。
モロ要塞
要塞から市内の眺め
当時の兵士風
クラシックカーいろいろ
かわいい看板の数々
<ビニャーレス渓谷>
キューバの内陸には山脈が走り自然が豊かな国でもあります。渓谷とはいってもお椀型の山が点在している変わった景観のカルスト地形で周辺にはタバコ農園が広がっています。ビニャーレスはハバナから日帰りツアーが多いのですが、時間があれば是非1泊していただきたい。朝に現れる霧はこの渓谷を何とも言えない幻想的な世界へいざないます。今回は残念ながら霧は現れず・・・、ですが日の出から刻一刻と変わる景色もすばらしく、じっと見ていたい気持ちになりました。周辺には洞窟や大きな壁画もあり自然の多様性を楽しむことができます。
ビニャーレス渓谷(日中)
ビニャーレス渓谷(早朝)
タバコ小屋
インディオ洞窟
ムラル壁画
タバコ小屋ととっくりヤシ
・番外編
<キューバのキャバレー>
ハバナは革命前、カリブのモンテカルロと言われラテンアメリカ最大の歓楽街でした。今でもハイレベルなライブやショーを楽しむことができます。今回はもっとも有名で最大規模のキャバレーを体験してきました。
きらびやかな衣装や迫力のあるカリビアンミュージック、素晴らしいダンスやパフォーマンスに我を忘れ、カメラのシャッターを切ってしまいました。まるで夢の世界です。
魅惑のトロピカーナショー
<チェ・ゲバラ>
キューバに行ったらここで是非写真を撮りたいゲバラの肖像。近年カミーロの肖像もできました。
<ヘミングウェイ>
「老人と海」のモデルとなった海、コヒマル。のんびりとした雰囲気に創作意欲を掻き立てられる気持ちが少しわかるような気がします。ここでゆっくり過ごしてみたいものです。
ラテンのまぶしい太陽を浴びて心身が健康になった気がした今回の旅。メキシコもキューバもこれから注目のディスティネーションです。今度はスペイン語を勉強して再度訪れたいと心から思ったのでした。
おすすめ度
メキシコシティ歴史地区 ★★★★
ティオティワカン遺跡 ★★★★
パレンケ遺跡 ★★★★★
ハバナ旧市街 ★★★★★
ビニャーレス渓谷 ★★★★
(2015年3月 平田真美)
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