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- 幸福の国で幸せについて本気出して考えてみた 〜ツェチュ祭を訪ねるブータン周遊紀行〜
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エリア:
- アジア>ブータン>ティンプー
- アジア>ブータン>パロ
- アジア>ブータン>プナカ
- テーマ:街中・建物・景色 お祭り・イベント ホテル・宿泊
- 投稿日:2016/07/13 15:54
もはや観光名所になってしまった首都ティンプーの手信号
インドやパキスタンで見られる派手なデコトラ(デコレーショントラック)はブータンにも
ルンタ(お経が書かれた旗)が張り巡らされ、異世界への入口感がプンプンするブータンの橋
このたび、ブータン出張に行かせていただくことになった。
ブータンと言えば真っ先に出てくるワードが「幸せの国」。全世界に二百カ国近くある国の中で、いきなり「幸福」を売りにしてくる国はブータンだけだろう。なんだか怪しい新興宗教のようでうさんくささ満点だが、国全体でそう言っているということは何かちゃんとした根拠があるに違いない。よし、その幸せとはなんぞやを見に行ってやろうじゃないか。そしてあわよくば自分にも幸せのお裾分けがあれば・・・。
しかも今回の目的は「見るだけで悟りが開き、御利益がある」といわれるチベット仏教の祭ツェチュを見ることで、幸せの秘密を探る準備は完全に整っている。はたして煩悩だらけの私が行っても大丈夫なのだろうか、幸せを感じることはできるのだろうか。
ブータンがいろんな意味で他に類を見ない独特の国、ということはご存じの方も多いと思うが、まず入国からしてドラマチックだった。
今回はネパールのカトマンズから空路での入国。ヒマラヤの眺望を期待して進行方向左の窓側席に座ると、狙い通り雪を被った雄大な山々が見えてくる。機内アナウンスでは、これから着陸しますよ、などの放送と同じような普通のトーンで「左手にエベレストが見えます。。」との案内が流れてきた。なんてこった、高額なマウンテンフライトもハードなトレッキングもすることなく簡単に世界最高峰が見えてしまうとは。。
これが幸せの国のオープニングなんだろうか?
左がエベレスト(世界1位)、右がマカルー(世界5位)
そして分厚い雲を通り抜けてブータン上空へ。見えてくるのはのどかな農村風景で、でかい棚田に立派な農家。都市らしきものは全然見当たらないけど、確かに平和そうだ。谷に沿っていくようにしてパロ空港へ。
ターミナルはこれまた立派な伝統建築で、日本でも有名になったイケメン国王と美人王妃の写真がいきなり出迎えてくれる。明らかに今まで訪れた国の空港とは全然違う光景だった。正直、入国するだけでこんなにテンションが上がる国はないと思う。まるでさっき通り抜けた雲が異世界へのトンネルだったかのよう。
これはほんの序章で、この入国からブータン出国まで体験したことはとにかく他国ではありえないことばかり。これまで60カ国ほど旅行した経験があるが、ここまでユニークな国は間違いなく今までなかった。そんな「ありえない」を勝手にまとめてみると、、、
・国王
ブータンの街の建物はほとんど見事な伝統建築のみで、それだけでも十分異様でスゴイのだが、さらに異様でスゴイのが道路や軒先にでかでかと国王夫婦の写真が掲げられていること。先ほど書いたように空港にも大きな写真が旅行者を出迎えてくれるのだが、それはこの国では当たり前のことだったのだ。
首都ティンプーの繁華街
「王家がずっと続きますように」と書かれた看板を見ても、どれだけ国王が慕われているか伺える
首都ティンプーへの入口。立派なゲートと国王夫妻のラブラブ看板
一歩間違えれば北朝鮮状態にも見えるが、実際国王に対する国民の信頼は揺るぎないものがある。先代の国王は「幸福の国」の由来にもなっている国民総幸福量(GNH)という概念を提唱し、自ら国王の権限の縮小を目指して立憲君主制へと移行させ、自ら現地で指揮してインド系ゲリラを国内から追放した(特にこの出来事について熱っぽく語るブータン人に何回か出会った)。現国王も2011年に新婚旅行で来日して国会で感動的な演説を披露し、日本にブータンフィーバーを巻き起こしたのだから相当な人格者なのだろう。
・食べ物
日本人にはほぼなじみがないブータン料理。実際食べてみると、「とにかく辛い!」ことに尽きる。それは唐辛子を調味料ではなく野菜として扱っているから。どの料理も必ず唐辛子が大量に入っているし、そもそも唐辛子を炒めただけという日本では絶対成立しないような料理もある。
典型的なレストランでの料理
ティンプーの市場で、唐辛子を大量に買うお坊さん
といってもさすがに旅行者向けのホテルやレストランでは辛さを手加減してくれたり、パスタのように全く辛くない料理も用意してくれるが・・・。
一番ポピュラーな料理は唐辛子とのチーズ炒めもの「エマダツィ」で、一日三食これでも普通のことだという。あとは米や野菜、チーズに加え、干し肉を食べるのがブータンの特徴。料理も食材も日本どころか周辺国とも全く違うものばかりだけど、辛いことを除けば和定食のような、どこか素朴で懐かしい味がする。
またブムタン地方は高所のため米が取れない代わりにそばが栽培されており、日本のそばと似た「プタ」やそば粉のクレープ「クレ」がある。日本のとはまた違った味だけど、今度来たときはめんつゆとわさび持参でそば打ちでもやってみたい。
そば粉クレープ「クレ」をホームステイ先でいただく
また意外かもしれないがブータン人はお酒をよく飲む。市販されているビールや、家庭で作ることが多い焼酎アラなどは旅行者でも気軽に飲める。ブムタン地方では地ビール、地ワインをつくっており、お酒好きにはたまらない。昼からビールを飲んでいる現地人もおり、アルコールに寛容な地域だと感じた。まあ確かに日本人からしても昼からお酒を飲むなんてこれ以上の幸せはない。
ブムタン地方の地ビールレッドパンダと、山椒がきいてつまみにぴったりな腸詰めギュマ
ただ標高が高い場所が多いため酔いが回りやすいので、飲み過ぎにはくれぐれもご注意を・・・。
・国内移動
ブータンはヒマラヤの山岳国で平地がほとんどなく、必然的に国内移動が大変になる。日本のような国なら山岳地域でも高速道路を通したりトンネルを作りまくったりすることもできるが、経済規模も小さいためクネクネの峠道ばかり。鉄道も現在のところまったく通じていない。
ブータンで旅行者がよく訪れるパロ、ティンプー、プナカ、ブムタンといった街をほぼすべて通っているのが国道一号線で、いわばブータン版東名高速。ところがこれが日本の林道状態のありさまで、断崖絶壁の危険な道がガードレールなしの両側一車線というのはあたりまえで、ところどころ舗装すらされていない。現地の方は今工事中で一年後には良くなると言っていたが・・・。
そんなわけで移動するだけでもちょっとハードなブータン旅行だけど、頻繁に出会う絶景が疲れを吹き飛ばしてくれる。山岳国ながら農業が盛んなブータンではありえないほど高い山の上や深い谷底にも立派な農家や見事な棚田があり、どこを移動しても全く飽きない。日本でいうと四国の山奥や紀伊半島などに似ている感じ。移動中でも、ガイドさんに頼めば気軽に好きな所で停まってもらえて写真が撮れるのもいいところだ。
プナカへ向かう途中の見事な棚田
なお一応国内線フライトもあるが天候不良でよく欠航したり、そもそも乗客が少ないとその時点でフライトがキャンセルになることもあるのだそう。やはりどんな手段を使ってもブータン国内移動は一筋縄ではいかないのだ。
・スポーツ
ブータンの国技といえばアーチェリー。民族衣装でアーチェリーを楽しんでいる姿はどこか日本の弓道に通じるものがあるけど、ルールは全く違う。的までの距離はなんと140mもあり、オリンピックに参加したブータン人選手が「的が近すぎて当たらない」という名言(迷言?)を残したこともあるとか。また一日中どころか何日間も試合が続くこともあり、的に当たると祝いの歌と踊りを披露する。なんともブータンらしいゆるゆるスポーツ。
さらに手軽に行われているのがダーツで、よく道ばたでやっているのを見かける。これも的が遠い、当たると歌って踊る、とアーチェリーとよく似たブータン流スポーツ。ブータンでダーツバーを開いたら流行るかも。
全身正装のアーチェリーに対してこちらは適当な服装でもいいようだ
ゴーイングマイウェイなブータンスポーツ界だけれど、最近力を入れているのがサッカー。一時期世界最弱といわれていたが、ここ最近はその位置を脱し最近のワールドカップ予選では日本と同じステージで戦っていた。
せっかくなので国際試合が行われる首都ティンプーのチャンミリタンスタジアムへお邪魔してみる。
伝統建築なのはここも同じで、なんとも優雅なスタジアム。いつか日本代表がここで試合するときはぜひ行ってみたい!
あ、お坊さんもサッカーを見るんだ
・テレビ
1999年以前はテレビの視聴は禁止されていたとのことで、現在もチャンネル数は少なめ。今回の旅行ではホームステイ先で見る機会があったが、ニュース番組と歌番組しか見る機会がなかった。
ニュース番組では、トップニュースはもちろん国王の一日。
また英語教育に力を入れているブータンらしく、ニュースも公用語のゾンカ語と英語の両方を流しているのが特徴。
歌番組はプロの歌手やタレントがほぼいないためかのど自慢的な番組で、これもしっかり舞台背景が国王と第一子の男の子を抱いた王妃になっているのがなんともシュール。
ただどの番組も出演者全員が民族衣装を着ているため(法律により公的な場では民族衣装を着なければいけない)、どんな番組でも時代劇か笑点に見える・・・。
しかし、ブータンのチャンネルより圧倒的に多いのが隣国インドのチャンネル。インド映画やドラマは大人気で、なんとその影響で公用語のゾンカ語よりヒンディー語の方がよく通用するとのこと。独特の文化を持つブータンでも、やはりエンターテイメント大国インドの力は大きいようだ。
・観光地
ブータンは敬虔なチベット仏教徒が多く、世界で唯一チベット仏教を国教としている国。観光地も仏教関係の寺院などがほとんど。
特にブータンならではの見どころといえるのがゾン。ゾンとはひとことで言えば城塞兼県庁兼寺院といったもので、歴史的価値があるうえにほとんどが現役の行政施設、宗教施設として使われている。
川のたもとに堂々と建つプナカ・ゾン
緑の中にいきなり現れる、軍艦のようなトンサ・ゾンを望む
チベットから17世紀に亡命してきた僧がブータンの起源をつくったといわれ、ほとんどのゾンもその時に建てられた。どのゾンも遠目からでも圧倒されるほどとてつもない存在感を放っており、内部に入ると大胆かつ緻密なつくりや鮮明な仏画にこれまた圧倒される。
またブータン人はゾンに入るときに、ゴ(男性用)やキラ(女性用)といった民族衣装に加えカムニやラチューと呼ばれる肩掛けを身につけなければならない。これをいそいそと身につけるブータン人を見ると、外国人の私たちまで身が引き締まる思いがする。
パロ・ゾンの内部
ブータンの公用語はゾンカ語だがこれはゾンで使われる言葉という意味で、また県もゾンカクと呼ばれる。それほどゾンはブータン人にとって重要なものなのだ。
またブムタン地方は国内でも数多くの古刹、名刹が集まっている地域として有名で、寺院めぐりが楽しい。
参拝者が少なくひっそりとしたチャカル・ラカン
ロダク・カルチュ・ゴンパで法要にお邪魔させてもらう
ときおり村人が参拝に来る以外は誰もおらず静寂が支配する寺院や逆にいつも僧侶でにぎわっている寺院などいろいろで、祀られている仏像も様々。ブムタンは範囲が広いので、一日かけてゆっくりまわりたい。
・・・と、この国は目にするもの耳にするもの感じるものとにかくすべてが新鮮で衝撃!確かに他の国に比べるとブータン旅行は高くするけど、こんな経験ができるだけでも十分行く価値があるのでは??
●ブータンに来たならホームステイ!ご家庭に潜入して幸せの秘密を探る
そんなユニークな国ブータンでおすすめなのが、なんといってもホームステイ!もともと宿泊施設が少なかったブータンでは旅行者を家に泊めるのが当たり前で、外国人旅行者も気軽にホームステイができる。またホストファミリーにとってもお客さんを泊めることで話し相手ができ、外部のニュースが聞けるというメリットがあるようで、ホームステイ中ガイドさんやドライバーさんとホストファミリーとの会話は絶えることがなかった。
今回はプナカとブムタンでホームステイ。
プナカでのホームステイ先は、街から30分ほどかかる人里離れた場所。「よくぞこんな所に・・・」と言いたくなる山奥に立派な農家があった。
玄関に魔除けのポ・チェン(男根)が描かれるのがブータン民家のユニークなところ
ホームステイ先の子供たちと遊ぶ
農家の周りにはこれぞザ・ブータンの絶景といった見事な棚田が広がっており、そのてっぺんには小さな寺院がある。まずは家族の方とその棚田の中を散歩。
白い旗のようなものはお経が書かれたダルシン
そしてやっぱり楽しみなのが食事。ここの田畑で取れた自家製のご飯や野菜を出してくれる。こちらも自家製のブータン焼酎アラも振る舞ってくれた。
赤米で作られたためワインのような見た目だが味は完全に焼酎。すぐ目がまわる。。
朝食はご飯やゆで卵、そしてブータンならではの特製バター茶。
ブムタンでのホームステイ先は母屋とは別に宿泊者用の建物があり、ホテルのように快適だった。
けれどやっぱりそこはホームステイ、ホストファミリーがいろいろ気にかけてくれ、言葉があまり通じなくても優しさが身にしみる。
せっかくブムタンに来たのだからと名物そば料理を出してくれたり、毎日自家製アラをいただいていたらアル中と思われたのか別れ際にボトルに詰めてプレゼントしてくれたり。
日本のそばと似ているようで全然違うブータンそばプタ(右下)
ブータン人の生活に触れ、家族の一員になったようになれるホームステイ体験は、観光よりもずっと心に残るかも。
また一般家庭で体験したいのがなんといっても石焼き風呂ドツォ。ホームステイしなくても、ガイドさんに相談すれば近くの農家などで手配してくれるはず(別料金)。一見お堅そうでも、このようにうまく融通が利く所もブータン旅行のいい所だと思う。
●「見るだけでご利益がある」チベット仏教の祭ツェチュ
今回楽しみにしていたのがツェチュ。各地の悪霊を調伏してブータンにチベット仏教を伝えたとされる僧グル・リンポチェにちなむ祭で、メインのマスクダンスはグル・リンポチェの生涯に起こった出来事をたたえたもので、この出来事がいずれも月の10日であったことから、ツェチュとは「月の10日」を意味している。
ツェチュが行われる時期は場所によって様々でほぼ毎月どこかの地域でやっているが、今回幸運なことにブムタン地方で2日連続で別々のツェチュを見ることができた。ブータンにおいてとても重要で「見るだけでご利益がある」とされるお祭だから、これでご利益も倍になったはず!
まずはチュメ谷のニマルン・ツェチュへ。
会場は寺院で、舞台を取り囲んで観客が所狭しと並んでいる。これがツェチュの即席ステージ。
まず村の女性たちの歌から始まり、すぐにマスクダンスがスタート。僧侶が奏でる音楽に合わせて、色鮮やかなダンサーがダイナミックに踊りまくる!
ここにも大きな国王ファミリーの写真が・・・
ダンサーに混じってときどき出てくるのは風変わりな仮面をかぶったアツァラ。道化の役割を持ち、観客を笑わせる強烈なキャラを持っているがここのアツァラは気合いが入りまくり。外国人旅行者を舞台に引きずり込んでダンスさせるわ、子供や犬を追いかけ回すわで観客も大喝采だった。
棒で頭を叩かれると御利益があるとか。日本でもこんな祭があるような・・・
翌日はチョコル谷のクジェ・ツェチュへ。このツェチュのメインはトンドル(大仏画)のご開帳。開帳は未明に行われるようで、会場の寺院へ着いた頃には長い行列ができあがっていて皆トンドルを額へすりつけていた。トンドルを前に五体投地をする観客もいて、彼らがどれだけご開帳を待ち望んでいたのか身にしみて分かる。
ここではニマルン・ツェチュとまた違ったダンスが見られ、大満足。いずれも会場が小さいのですぐ目の前でマスクダンスが見られ、その迫力はすごいものがあった。
お昼頃トンドルが大切にしまわれる。また来年までさようなら
けれど、ツェチュで一番印象に残ったのは精一杯のおしゃれをして年に一度のお祭りを楽しんでいる観客たち。舞台からふと周囲に目を移すと民族衣装の鮮やかな色彩や、満足そうに踊りを見つめている観客の姿が目に入って、これを見るだけでもツェチュに来て良かった!と感じた。私たち旅行者にとっては重要なイベントであるこのツェチュだけど、彼らにとっても年に一度の最高の楽しみなのかもしれない。
そんな日本昔話に出てくる世界そのものをこの目で見れたこと自体がご利益なのかも。そして、これこそが彼らにとっての幸せなのかもしれないと思う。幸せは遠い所にあるのではなく案外そこら辺に転がっている、と聞いたことがあるけどブータン人はそれを探すのが上手な民族で、それが「幸福の国」の秘密かも・・・。
自然豊かな国土と賢明な国王、謙虚で信心深い国民に恵まれた、世界でここだけの奇跡の国ブータン。この国が幸せの国と呼ばれるのは必然なのかもしれない。そんな国を旅できること自体、これ以上ない幸せなのでは。
【スタッフおススメ度】
●プナカ ★★★★
標高が低く冬も冷え込まないことから「冬の首都」として栄えた街。プナカ・ゾンはブータンのゾンの中でも屈指のイケメン度を誇る
●ブムタン ★★★★★
歴史あるお寺が多いが、街らしい街がなくのんびりした雰囲気で立派な農家が多い。ここに来たなら名物そば料理はぜひ食べたい。京都と長野を足したような感じ?
●ティンプー ★★★★
首都だが人口はたった10万人、それでも地方から来ると大都会に見える。日本では見られない食材ばかり集まる市場見学がオススメ。
●パロ ★★★★★
国内唯一の国際空港があるが、中心部は伝統建築家屋が並び宿場町のような印象。郊外のパロ・ゾンから眺める街は絶景。
(2016年7月 伊藤)
- 『タリンとヘルシンキのクリスマス・マーケット』
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エリア:
- ヨーロッパ>エストニア>タリン
- ヨーロッパ>フィンランド>ヘルシンキ
- テーマ:買物・土産 お祭り・イベント 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2015/03/30 15:27
「タリンのクリスマス・マーケットのお店に並べられたミニチュアの置き物」
エストニアのタリンと、フィンランドのヘルシンキのクリスマス・マーケットに行きました。
「クリスマス・マーケット」というと、その発祥の地とされるドレスデンをはじめ、ドイツ各地のものや、オーストリアのウイーンや、近頃はパリのクリスマスマーケットなども知られてきましたが、タリンと、ヘルシンキでも開かれています。
エストニアは、日本ではまだまだ馴染みの少ない国ですが、引退した大関 把瑠都の出身国、ということで知られています。
1991年に、旧ソ連からバルト三国の他の2国(ラトビアとリトアニア)とともに独立しました。
「タリン・旧市庁舎前のラエコヤ広場で開かれていたクリスマス・マーケット」
ボクが乗った飛行機はタリン空港に夕方17:00に到着しました。タリンは北緯59度。北欧フィンランドとはバルト海のフィンランド湾をはさんで向かい合う位置にあり、緯度が高いので、冬は夕方5時頃までには太陽が沈み長い夜の闇に包まれます。
ボクがタリンの街に着いた時は、すでに辺りは真っ暗。でも、旧市街の真ん中にあるラエコヤ広場に行くと、クリスマス・マーケットが華やかに開かれ、街の人々がたくさん集まっていました。
「仮設のカウンターでホットワインを手におしゃべりする人々」
街の人たちの多くは、手に手に紙コップのホットワインを持ち、ある人は歩きながら、またある人は広場に設けられた木造りのカウンターで、湯気を立てるホットワインを飲んでは買い物をしたりおしゃべりして楽しんでいます。
この時期にしては暖かく、小雨がぱらついていましたが、人々はフードをかぶるだけで傘も差さずにいます。
ボクも、7ユーロを払って、紙コップのホットワインを受け取りましたが、なんとまあ、その甘いこと。クランベリーのワインで、ベリーらしい酸っぱさもありましたが、甘さが格別。でもその温かい甘さが、冷えた身体を内側からホコホコと温めてくれました。
「ミニチュアの置き物やマグネットの店」
「長靴や猫のマフラーの店」
「帽子の店」
「毛織物(ミトンやセーター)の店」
並んだお店は、みんな、年に1度しか開かれないマーケットのためにしては立派な構えで、観光客向けのおみやげになるようなものを多く売っていました。
でも、マーケットに来た人の口を楽しませるお店も、ホットワインの他、ソーセージを炒めたもの、フライドポテトの店や、子供向けの大きなアメを売っている店など並んでいました。
「ホットワインの店」
「炒め物の料理の店」
「アメの店」
広場には、街の観光名所を巡る、蒸気機関車の列車を模したバスもやってきます。また広場の真ん中では舞台が作られ、子供たちを中心にダンスや楽器の演奏が披露されていました。舞台の前では、ホットワインを手にした人たちがいっぱい見ていました。
「観光用の列車を模したバス」
「舞台で踊る子供たち」
タリンから飛行機で約30分。バルト海のフィンランド湾をひとまたぎすると、フィンランドの首都ヘルシンキに着きます。こんどは昼間にヘルシンキのクリスマスマーケットを訪れました。
ヘルシンキのクリスマスマーケットは、ヘルシンキ大聖堂前の元老院広場で開かれています。ここは、街の中心で、ヘルシンキの中でも最も古くからの歴史を持つエリアです。
「ヘルシンキのクリスマスマーケット」
立ち並ぶお店は、タリンのものよりさらに立派で、とても一時期だけの臨時の露店とは思えない造りです。また、売っている商品の種類がタリンのマーケットより多く、海産物の店や、なんと鍛冶屋さんまでありました。
「お菓子の店」
「ろうそくの店」
「手作りの毛糸のサンタ」
「鍛冶屋の店」
「ベビーカーで買い物をする家族連れ」
広場の真ん中にはメリーゴーラウンドが設置されていて、たくさんの子供たちも遊びに来ています。
「ヘルシンキ大聖堂とメリーゴーラウンド」
「メリーゴーラウンドで楽しむ子供連れ」
「遊び終わって帰る子供たち」
ヘルシンキのクリスマスマーケットはタリンのマーケットより、観光客向けではなく、地元の街の人たち向けの色合いが強いと感じました。
フィンランドは、サンタクロースの故郷といわれるロバニエミや、オーロラ、ムーミンワールドなどを目当てに訪れる観光客が多いですが、クリスマスの時期に旅行されるなら、ぜひ、クリスマスマーケットに立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
おすすめ度
タリン ★★★★
たっかい城壁に囲まれた旧市街の中は、中世の町がそっくりそのまま残っています。
城壁の上の展望台から眺める景色もすばらしく、世界遺産登録にナットクです。
ヘルシンキ★★★
歴史を感じさせる古い建物が、広い通りに沿って整然と並ぶ町並みは、「北欧の古都」というイメージそのまま。買い物や食事も楽しく、フィンランドの旅を演出してくれる町です。
(2014年12月 小澤誠)
- 墓場で運動会どころの騒ぎじゃない!死者の日IN オアハカ!!
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エリア:
- 中南米>メキシコ>メキシコシティ
- 中南米>メキシコ>オアハカ
- 中南米>メキシコ>グアナファト
- テーマ:お祭り・イベント 鑑賞・観戦 世界遺産
- 投稿日:2014/12/25 16:53
何年も前からずっと憧れていた、メキシコの死者の日のお祭り!
女1人でメキシコ大丈夫かなとか、遠いしな、とかいろいろと理由をつけ見送っていたけど、ついに今年、実行に移す時が来た。
メキシコに行く目的は、オアハカで死者の日のパレードを見る事、ルチャリブレ(メキシコプロレス)を見る事の二つ。今回は11日間と長く休みをもらったので、どうせ行くなら、コロニアルな世界遺産の街も見よう、ということでメキシコシティ、グアナファト、オアハカの3都市を目指し、日本を出発した。
長時間のフライトを乗り越え、メキシコシティに到着した。
ホテルにチェックインして、早速ルチャリブレ観戦に出かける。
ルチャリブレが行われる会場は2つで、曜日が限られているので、自分が見たい試合や会場などこだわりがあるのであれば、事前にチェックが必要だ。
会場に着くと、周りにはすでにいくつか露店が出ていた。
プロレスには詳しくないが、グッズはとてもかわいいので購買意欲をそそられる。
会場はカメラの持ち込みが禁止されているので、入口のセキュリティチェックでカメラを預けなければならない。
じゃあ撮影できないの?というとそうではない。なぜかスマホのカメラで撮影していても全然怒られない。むしろ、係員の人にシャッターを押してもらった。
だったら、カメラも許してほしいんですけど・・・。
なんとなく、ノリでマスクを買ってみた。
満員御礼!とは言えないが、テレビの生放送もあり、会場はそこそこの入り。
日本のプロレスと言えば、流血があったりパイプイスで殴られたり、大仁田厚みたいなおどろおどろしいイメージだったのだけども、ルチャリブレはもっとコミカル!
空中技が飛び交い、そこここに笑いの要素がちりばめられている。もっと、うおぉぉぉーっという怒号を予想していたが、会場は笑いの渦だった。
レスラーのキャラも濃い!ちっちゃいおっさん(超デブ)とか色気ムンムンのマッチョなタフガイとか、驚いたことに日本人の萌え系女子のレスラーもいた。
日本人の女の子レスラーはとても細く、試合中もひゃぁとか、ん〜っとかかわいい声を出していた。ガタイのおばちゃんチャンピオンに案の定負けてしまったが、異国の地でプロレスをしている彼女にエールを送りたい。
最前列で見ていたのだが、場外乱闘になるとすぐ目の前で繰り広げられるので柵越しにぶつかりそうになる。迫力満点だ。あの熱気と空中戦は是非生で感じて頂きたいが、会場の周辺は決して治安が良くない。試合が終わるころには夜になっているので、安全には十分注意が必要だ。
翌日、メキシコシティから世界遺産のテオティワカンへ向かった。
テオティワカン行きのバスは街の北にあるバスターミナルから出ている。まず、ローカルバスに揺られて、北バスターミナルへ。テオティワカン行のバスの窓口は一つだけなので、迷うことはないだろう。ここからさらに1時間弱で目的地に到着。
まず、太陽のピラミッドに登ってみた。標高が高いこともあって、これがかなりハード。
頑張って登り切ったが、そこからの眺めはたいしたものだった。
もうお気づきの方もいるかもしれない。私はこの手の遺跡にあまり興味を持てない。街歩きとかの方が好きなのだ。
という訳で私のような存在がここにいること自体、歴史に対する冒涜なので、早々にメキシコシティへ戻った。
治安の悪い(と言われている)街を歩く上で気を付けたことは、地図を見ながら歩かない、極力手ぶらに近い恰好、カメラを隠す、道に迷ってる感を出さない、ということ。
地図やカメラを持っていたら狩られる!と思っていたので、地図を頭の中に叩き込み、自分の行きたい場所は予めスペイン語で紙に書いておいて、迷いそうになったらお店の人に紙を見せて道を聞いて周った。でも街歩きはやはり昼間だけ!夕方以降の一人歩きは避けよう。正直怖い。メキシコの買い物をとても楽しみにしていた私は、シティでの滞在時間の多くを市場で過ごした。お土産を買うのであればシダデラ市場が一番!規模も大きく、他の都市よりも品ぞろえが豊富で、値段も割と安い。もちろん商品に値段がついていないので、値切り交渉が必要だが、そもそも、そんなにボッタくろうという人がいないようで、どこに行っても料金はさほど変わらず、料金も大幅に安くなることはなかった。
ホテルはガリバルディ広場近くに用意していた。というのは、ガリバルディ広場では夜な夜なマリアッチの演奏が楽しめる場所だから。
マリアッチ楽団の人たちは20時ころから徐々に集まり始めて、深夜まで広場は音楽にあふれている。これを見に行くには帰りが危険なので、広場の中にあるホテルを選んだのだ。
ただ、ガリバルディ広場の周りは治安の悪さを肌で感じる、というか、ガラが悪い。
昼間歩いている分には問題ないが、このあたりにホテルを取ることはお勧めできない。しかも夜中の2時3時まですごくうるさいのだ。
広場にはツアーできているような外国人もいたので、個人ではなくオプショナルツアーで来る方がベターであろう。マリアッチはお金を払うと演奏をしてくれるのだが、ケチな私は人がお金を払っている横で、遠慮も悪びれもせず、写真を撮りまくっていた。
メキシコシティーを後にし、世界遺産のコロニアル都市、グアナファトへ向かった。
グアナファトへはテオティワカンに行くときと同じく、北バスターミナルからのバスに乗り約5時間だ。
グアナファト…。到着して10分で悟った。この街好きーーー!
カラフルな家々が丘にずーっと広がり、石畳みの街並み、かわいいカテドラル、映画に出てくるようなクラッシクカー。たまりません!もう目に映るすべてがかわいくて、カメラには収めきれない。
ちょうどこの時期、死者の日だったので、祭壇にかざる砂糖菓子の露店がたくさん出ていた。
市民の台所、イダルゴ市場は屋台も出ている。観光客向けのお土産は2階へ。
グアナファトに来たら絶対に行くべきところは、ピピラ記念像の丘。ここから街を一望できるのだが、夕方から夜にかけての眺めが最高だ。
またグアナファトの名物となっているのが街中を走っている地下道だ。かつてこの街は鉱山として栄え、その時の坑道や地下用水路を道路として使っている。バスやタクシーで通ることができるのだが、この地下道がまたかっこいい。
今回の旅の目的はオアハカの死者の日のお祭りで、グアナファトはおまけ程度に思っていたのだが、良い意味で期待を裏切られる結果となり、大満足だった。
そして、いよいよ憧れの地オアハカへ。
メキシコシティーから国内線で1時間。オアハカ州は先住民の文化が色濃く残るエリアで、先住民の青空市(ティアンギス)や様々なお祭りを目当てに来る観光客が多い。
オアハカ空港から乗り合いバスに乗り20分程度でオアハカの街へついた。
さて、今まで死者の日、死者の日と言ってきたがそもそもこれはどういったものなのか。
今や日本でもメジャーになってきたがメキシコ版ハロウィンである。こちらの人々にとってのハロウィンとは日本のようにコスプレを楽しむというものではもちろんなく、言わば日本人にとってのお盆なのだ。
10月31日、お墓へ故人を迎えに行く。この時の様子がとても面白いのだが、お墓はまるで夢の国のようにかわいく飾りつけされる。ランタンやマリーゴールドなどお花、ロウソク、お人形でデコレートをし、マリアッチを呼ぶ。家族は個人のお墓の前でお酒を飲み、ご飯を食べ明け方まで、故人との思い出に浸る。死ぬことは悲しいけど、“今”を楽しく生きるというメキシコ人らしい考え方だ。
31日はいわば前夜祭だが、おは墓の街は30日からすでにお祭りムード一色。
街は至る所にドクロが溢れ、レストランやホテルなど死者の日の祭壇がたくさん。
到着して街を探検していると、遠くに陽気な音楽が聞こえた。
音のする方に引き寄せられていくと、なんともかわいいパレードの一団と遭遇。
ブラスバンドの音楽、かわいく仮装した子供や女の子たち!なんということでしょう!!
そして、31日死者を迎える為に墓地へ。
こんなに墓地がかわいくなっているなんて信じられない!墓場で運動会どころの騒ぎじゃないよ!!
本当にマリアッチがお墓の前で陽気に歌を歌っている。露店まで出てとても賑やかだ。墓地の装飾はまるで競うように趣向が凝らされている。
11月1日はまさに故人が戻ってきている日ということで、死者の日の本番である。
昼間は大きなイベントがないため、近郊のイエルベ・エル・アグアへ出かけた。ローカルバスを乗り継ぎ約2時間。スペイン語で沸騰した水を意味するこの場所は、まるでトルコのパムッカレのような場所。沸騰した水と名付けられているが、水の温度はとてもぬるい。天然のプールになっているので、ある程度の寒さを覚悟の上、泳いでみるのもよい。ただしもちろん、きちんとした更衣室やシャワー施設はない。このあたりの水はミネラル分が多く、岩が滝上に溶けてしまったという、不思議な景観も見える。
1日の夜は、オアハカの街はパレード本番。かわいい仮装をした人々、音楽隊が街を練り歩く。大きなガイコツの人形が空を舞い、昼間のパレードとは違って、ここに参加している人はもっと本格的。花のかごを頭にもって、伝統衣装+ガイコツメイクの子供や女性がいたり、棺桶から出てきたガイコツを担ぐ司祭のような男性。スカートをなびかせながら踊りを踊る。もうあまりの楽しさに涙が出そう。
11月2日 この日、死者は自分たちの世界へ帰っていく。またお墓では朝までパーティーして死者に別れを告げるのだ。日本で言うなら送り火だ。
日曜日だったこの日はちょうど、最も大きなティアンギス(青空市)が近郊のトラコルーラにて行われる日だ。村では民族衣装を着た女性たちがお店を出していた。少し歩いていくと大きなアーケードの市場もある。生肉をその場で買って、BBQをしている人もいて驚いた。トラコルーラに行ったらぜひ町の中心にある教会を訪ねてみてほしい。小さな村ながら、教会の装飾は大変素晴らしい。
トラコルーラから戻り、死者の日最終日の夜を待つ。
21時前、一番盛り上がる墓地、サンフェリーぺへ向かった。タクシーで20分、片道約500円ほど。
10月31日のように、お墓では夜通しパーティーだ!
初めて死者の日の写真を見てから、憧れつづける事、約3年。
こんなに楽しいお祭りがこの地球上に存在しているとは思わなかった!
もし行くことを悩んでいる人や、写真を見て少しでも興味を惹かれる人がいたのであれば、来年の10月末、メキシコ行きの航空券を用意して、みっちり4日間オアハカに滞在してほしい。
今回、満足度120%のメキシコ旅行となった。
そしてもう既に、またいつかこの日に戻ってくることを夢見ている自分がいる・・・。
おすすめ度
メキシコシティ ★★★★ 歴史の深い首都。買い物も楽しいが、治安には十分気を付けて
グアナファト ★★★★★ コロニアルな世界遺産都市 カラフルな街並みがとてもかわいらしい
オアハカ ★★★★★ 民族文化が色濃く残る世界遺産都市
(2014年10月 久保井奈々子)
女1人でメキシコ大丈夫かなとか、遠いしな、とかいろいろと理由をつけ見送っていたけど、ついに今年、実行に移す時が来た。
メキシコに行く目的は、オアハカで死者の日のパレードを見る事、ルチャリブレ(メキシコプロレス)を見る事の二つ。今回は11日間と長く休みをもらったので、どうせ行くなら、コロニアルな世界遺産の街も見よう、ということでメキシコシティ、グアナファト、オアハカの3都市を目指し、日本を出発した。
長時間のフライトを乗り越え、メキシコシティに到着した。
ホテルにチェックインして、早速ルチャリブレ観戦に出かける。
ルチャリブレが行われる会場は2つで、曜日が限られているので、自分が見たい試合や会場などこだわりがあるのであれば、事前にチェックが必要だ。
ルチャリブレの殿堂 アレナメヒコ
会場に着くと、周りにはすでにいくつか露店が出ていた。
プロレスには詳しくないが、グッズはとてもかわいいので購買意欲をそそられる。
会場はカメラの持ち込みが禁止されているので、入口のセキュリティチェックでカメラを預けなければならない。
じゃあ撮影できないの?というとそうではない。なぜかスマホのカメラで撮影していても全然怒られない。むしろ、係員の人にシャッターを押してもらった。
だったら、カメラも許してほしいんですけど・・・。
なんとなく、ノリでマスクを買ってみた。
マスク購入!
ルチャグッズ
満員御礼!とは言えないが、テレビの生放送もあり、会場はそこそこの入り。
日本のプロレスと言えば、流血があったりパイプイスで殴られたり、大仁田厚みたいなおどろおどろしいイメージだったのだけども、ルチャリブレはもっとコミカル!
空中技が飛び交い、そこここに笑いの要素がちりばめられている。もっと、うおぉぉぉーっという怒号を予想していたが、会場は笑いの渦だった。
レスラーのキャラも濃い!ちっちゃいおっさん(超デブ)とか色気ムンムンのマッチョなタフガイとか、驚いたことに日本人の萌え系女子のレスラーもいた。
日本人の女の子レスラーはとても細く、試合中もひゃぁとか、ん〜っとかかわいい声を出していた。ガタイのおばちゃんチャンピオンに案の定負けてしまったが、異国の地でプロレスをしている彼女にエールを送りたい。
最前列で見ていたのだが、場外乱闘になるとすぐ目の前で繰り広げられるので柵越しにぶつかりそうになる。迫力満点だ。あの熱気と空中戦は是非生で感じて頂きたいが、会場の周辺は決して治安が良くない。試合が終わるころには夜になっているので、安全には十分注意が必要だ。
小っちゃいおっさんレスラー
日本人萌え系レスラー
ラウンドガールはみんなセクシー美女
翌日、メキシコシティから世界遺産のテオティワカンへ向かった。
テオティワカン行きのバスは街の北にあるバスターミナルから出ている。まず、ローカルバスに揺られて、北バスターミナルへ。テオティワカン行のバスの窓口は一つだけなので、迷うことはないだろう。ここからさらに1時間弱で目的地に到着。
まず、太陽のピラミッドに登ってみた。標高が高いこともあって、これがかなりハード。
頑張って登り切ったが、そこからの眺めはたいしたものだった。
太陽のピラミッドからの眺め
月のピラミッド
もうお気づきの方もいるかもしれない。私はこの手の遺跡にあまり興味を持てない。街歩きとかの方が好きなのだ。
という訳で私のような存在がここにいること自体、歴史に対する冒涜なので、早々にメキシコシティへ戻った。
治安の悪い(と言われている)街を歩く上で気を付けたことは、地図を見ながら歩かない、極力手ぶらに近い恰好、カメラを隠す、道に迷ってる感を出さない、ということ。
地図やカメラを持っていたら狩られる!と思っていたので、地図を頭の中に叩き込み、自分の行きたい場所は予めスペイン語で紙に書いておいて、迷いそうになったらお店の人に紙を見せて道を聞いて周った。でも街歩きはやはり昼間だけ!夕方以降の一人歩きは避けよう。正直怖い。メキシコの買い物をとても楽しみにしていた私は、シティでの滞在時間の多くを市場で過ごした。お土産を買うのであればシダデラ市場が一番!規模も大きく、他の都市よりも品ぞろえが豊富で、値段も割と安い。もちろん商品に値段がついていないので、値切り交渉が必要だが、そもそも、そんなにボッタくろうという人がいないようで、どこに行っても料金はさほど変わらず、料金も大幅に安くなることはなかった。
メトロポリタンカテドラル
ベジャス・アルテス宮殿
シウダデラ市場
ホテルはガリバルディ広場近くに用意していた。というのは、ガリバルディ広場では夜な夜なマリアッチの演奏が楽しめる場所だから。
マリアッチ楽団の人たちは20時ころから徐々に集まり始めて、深夜まで広場は音楽にあふれている。これを見に行くには帰りが危険なので、広場の中にあるホテルを選んだのだ。
ただ、ガリバルディ広場の周りは治安の悪さを肌で感じる、というか、ガラが悪い。
昼間歩いている分には問題ないが、このあたりにホテルを取ることはお勧めできない。しかも夜中の2時3時まですごくうるさいのだ。
広場にはツアーできているような外国人もいたので、個人ではなくオプショナルツアーで来る方がベターであろう。マリアッチはお金を払うと演奏をしてくれるのだが、ケチな私は人がお金を払っている横で、遠慮も悪びれもせず、写真を撮りまくっていた。
マリアッチ楽団
マリアッチのおじさんと
メキシコシティーを後にし、世界遺産のコロニアル都市、グアナファトへ向かった。
グアナファトへはテオティワカンに行くときと同じく、北バスターミナルからのバスに乗り約5時間だ。
グアナファト…。到着して10分で悟った。この街好きーーー!
カラフルな家々が丘にずーっと広がり、石畳みの街並み、かわいいカテドラル、映画に出てくるようなクラッシクカー。たまりません!もう目に映るすべてがかわいくて、カメラには収めきれない。
グアナファトの街並み
バシリカ教会
ちょうどこの時期、死者の日だったので、祭壇にかざる砂糖菓子の露店がたくさん出ていた。
砂糖菓子
市民の台所、イダルゴ市場は屋台も出ている。観光客向けのお土産は2階へ。
イダルゴ市場
グアナファトに来たら絶対に行くべきところは、ピピラ記念像の丘。ここから街を一望できるのだが、夕方から夜にかけての眺めが最高だ。
丘からの夜
またグアナファトの名物となっているのが街中を走っている地下道だ。かつてこの街は鉱山として栄え、その時の坑道や地下用水路を道路として使っている。バスやタクシーで通ることができるのだが、この地下道がまたかっこいい。
地下道の入り口
今回の旅の目的はオアハカの死者の日のお祭りで、グアナファトはおまけ程度に思っていたのだが、良い意味で期待を裏切られる結果となり、大満足だった。
そして、いよいよ憧れの地オアハカへ。
メキシコシティーから国内線で1時間。オアハカ州は先住民の文化が色濃く残るエリアで、先住民の青空市(ティアンギス)や様々なお祭りを目当てに来る観光客が多い。
オアハカ空港から乗り合いバスに乗り20分程度でオアハカの街へついた。
さて、今まで死者の日、死者の日と言ってきたがそもそもこれはどういったものなのか。
今や日本でもメジャーになってきたがメキシコ版ハロウィンである。こちらの人々にとってのハロウィンとは日本のようにコスプレを楽しむというものではもちろんなく、言わば日本人にとってのお盆なのだ。
10月31日、お墓へ故人を迎えに行く。この時の様子がとても面白いのだが、お墓はまるで夢の国のようにかわいく飾りつけされる。ランタンやマリーゴールドなどお花、ロウソク、お人形でデコレートをし、マリアッチを呼ぶ。家族は個人のお墓の前でお酒を飲み、ご飯を食べ明け方まで、故人との思い出に浸る。死ぬことは悲しいけど、“今”を楽しく生きるというメキシコ人らしい考え方だ。
31日はいわば前夜祭だが、おは墓の街は30日からすでにお祭りムード一色。
街は至る所にドクロが溢れ、レストランやホテルなど死者の日の祭壇がたくさん。
街中に溢れる死者の日ムード
かわいすぎる祭壇
到着して街を探検していると、遠くに陽気な音楽が聞こえた。
音のする方に引き寄せられていくと、なんともかわいいパレードの一団と遭遇。
ブラスバンドの音楽、かわいく仮装した子供や女の子たち!なんということでしょう!!
そして、31日死者を迎える為に墓地へ。
こんなに墓地がかわいくなっているなんて信じられない!墓場で運動会どころの騒ぎじゃないよ!!
本当にマリアッチがお墓の前で陽気に歌を歌っている。露店まで出てとても賑やかだ。墓地の装飾はまるで競うように趣向が凝らされている。
11月1日はまさに故人が戻ってきている日ということで、死者の日の本番である。
昼間は大きなイベントがないため、近郊のイエルベ・エル・アグアへ出かけた。ローカルバスを乗り継ぎ約2時間。スペイン語で沸騰した水を意味するこの場所は、まるでトルコのパムッカレのような場所。沸騰した水と名付けられているが、水の温度はとてもぬるい。天然のプールになっているので、ある程度の寒さを覚悟の上、泳いでみるのもよい。ただしもちろん、きちんとした更衣室やシャワー施設はない。このあたりの水はミネラル分が多く、岩が滝上に溶けてしまったという、不思議な景観も見える。
イエルベ・エル・アグア
滝のように目るが、実は溶けた岩
1日の夜は、オアハカの街はパレード本番。かわいい仮装をした人々、音楽隊が街を練り歩く。大きなガイコツの人形が空を舞い、昼間のパレードとは違って、ここに参加している人はもっと本格的。花のかごを頭にもって、伝統衣装+ガイコツメイクの子供や女性がいたり、棺桶から出てきたガイコツを担ぐ司祭のような男性。スカートをなびかせながら踊りを踊る。もうあまりの楽しさに涙が出そう。
夜のパレード
11月2日 この日、死者は自分たちの世界へ帰っていく。またお墓では朝までパーティーして死者に別れを告げるのだ。日本で言うなら送り火だ。
日曜日だったこの日はちょうど、最も大きなティアンギス(青空市)が近郊のトラコルーラにて行われる日だ。村では民族衣装を着た女性たちがお店を出していた。少し歩いていくと大きなアーケードの市場もある。生肉をその場で買って、BBQをしている人もいて驚いた。トラコルーラに行ったらぜひ町の中心にある教会を訪ねてみてほしい。小さな村ながら、教会の装飾は大変素晴らしい。
トラコルーラのティアンギス
トラコルーラの教会
トラコルーラから戻り、死者の日最終日の夜を待つ。
21時前、一番盛り上がる墓地、サンフェリーぺへ向かった。タクシーで20分、片道約500円ほど。
10月31日のように、お墓では夜通しパーティーだ!
サンフェリーぺの墓地の様子
初めて死者の日の写真を見てから、憧れつづける事、約3年。
こんなに楽しいお祭りがこの地球上に存在しているとは思わなかった!
もし行くことを悩んでいる人や、写真を見て少しでも興味を惹かれる人がいたのであれば、来年の10月末、メキシコ行きの航空券を用意して、みっちり4日間オアハカに滞在してほしい。
今回、満足度120%のメキシコ旅行となった。
そしてもう既に、またいつかこの日に戻ってくることを夢見ている自分がいる・・・。
おすすめ度
メキシコシティ ★★★★ 歴史の深い首都。買い物も楽しいが、治安には十分気を付けて
グアナファト ★★★★★ コロニアルな世界遺産都市 カラフルな街並みがとてもかわいらしい
オアハカ ★★★★★ 民族文化が色濃く残る世界遺産都市
(2014年10月 久保井奈々子)
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