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- その時歴史が動いた。憧れの場所へ〜リトアニアは素朴な温かい国でした〜
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エリア:
- ヨーロッパ>リトアニア>ビリニュス
- ヨーロッパ>リトアニア>カウナス
- テーマ:観光地 世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2017/01/16 12:42
「私のしたことは外交官としては間違っていたかもしれない。しかし、私には頼って来た何千もの人を見殺しにすることはできなかった」
杉原千畝、みなさまこの名前をご存知でしょうか。
第二次世界大戦時、日本から遠く離れたリトアニアという国で、6,000人ものユダヤ人に向けてビザを発給した日本人がいたのです。
これだけ聞くとなんのこっちゃですが、その時代ドイツと同盟を組んでいた日本としては、ユダヤ人にビザを発給し、ナチスドイツの手が届かに場所へ逃がすことなど許されない事でした。
アメリカやオセアニアなどの第三国へ逃げるために、どうしても必要であった日本の通過ビザ。
日本本国の命令に背いてまで、自分や家族の立場を危うくしてまで、何故彼はビザを発給し続けたのか。
幼い頃に、本か何かで杉原千畝の事を知った私にとって、彼はずっと正義の人でした。
いつか訪れたいと思っていた杉原千畝ゆかりの土地へ、今回、フィンランド航空様とリトアニア政府観光局様のご招待で訪れる機会をいただきました。
初めて目にした素朴で温かい、憧れの土地。
農業が盛んで、自然豊かな国で出会った、素敵な景色。
皆様のご旅行の参考になりますように。

今回の旅程は、ヴィリニュスをスタートし、トゥラカイ、カウナス、ドゥルスキニンカイと巡ってきました。
リトアニアの魅力の一つに、地方都市の面白さがあげられます。
リトアニアへのご旅行だとヴィリニュスだけ訪れる方も少なくありませんが、時間が許すのであれば、是非他の町まで足を延ばしてみてください。
まだまだ他のヨーロッパ諸国に比べ、知名度は高くないリトアニア。
実際に私も行くまでは何があるのかよく分からず、バルト三国で一冊にまとめられている地球の歩き方を握りしめ、ヨーロッパまで最短最速のフィンランド航空で出発しました。
フィンランド航空は、アメニティやブランケット、紙コップなど、日本でも大人気のマリメッコとコラボしていることでも有名。
ヘルシンキ空港にはマリメッコのお店もあり、日本の半額ぐらいで購入出来るそうで、こちらも女子に大人気です。マリメッコ店のすぐ隣には、これまた大人気のムーミン店が並んでいるので、乗り継ぎ時間があいたとしても、十分楽しめる空港でした。
サイレントポリシーを取り入れているため、空港内はとても静かでフィンランドという国のイメージにぴったり。(入国した事はないですが)
こじんまりとした空港なので、乗り継ぎの移動もとっても簡単でした。
数年後には新しいターミナルが作られる予定で、また私たちの旅は自由に快適になります。
快適な移動で、遂に到着しました、リトアニア!
リトアニアの首都、ヴィリニュスは、教会密集度が世界一と言われるほど、町中に教会がひしめき合っています。
旧市街は歩いても十分観光ができる大きさ。街並みが本当に美しくて飽きることがありません。
ヴィリニュスの歩き方のコツは、旧市街の街の中を迷子になることだと聞いていましたが、本当にその通りで、一つ角を曲がればまた新しい顔を見せてくれる、いつまでも飽きることのない魅力を持った街でした。




夜には、丁度宿泊していたホテル前の広場でクリスマスマーケットも行われていたので、みんなで探検に行きました。
クリスマスマーケット初体験の私でしたが、何でしょう、あの独特な温かい優しい雰囲気にすっかり虜になってしまいました。
クリスマスのオーナメントや、ホットワイン、ジンジャークッキーが売っているお店が、クリスマスツリーをぐるりと囲むように並んでいるのですが、みんな幸せそうな顔で写真を撮ったりお菓子を食べたり、日本では見ることのない素敵なあの雰囲気。
冬のヨーロッパなんて寒いだけで絶対行きたくないとずっと思っていましたが、クリスマスシーズンであれば、また是非行きたいと思えるほどに幸せな空間でした。
<ヴィリニュスのクリスマスマーケット>




次に訪れたトゥラカイはヴィリニュスから車で約一時間。ヴィリニュスに移るまで首都が置かれていたトゥラカイの見どころといえば、トラカイ城。
大きな湖に浮かぶトゥラカイ城は、まるでディズニー映画にも出てきそうに可愛いお城。夏には湖でボートを楽しむこともできるそうです。

きゃーきゃー言いながら写真を撮りまくっていましたが、いざ城内に入ってみると・・
あら?まさかの拷問道具が置いてありました。

他にも跳ね橋や、敵が攻めて来た際に守りやすいように作られている狭い階段を見て、いくら可愛いといっても戦争の為に作られたお城なのだなぁとなんとなくしんみり。



お城の中はこじんまりしていますが、見ごたえはたっぷり。
トゥラカイにはトルコ系移民がたくさん住んでいるため、町中にも彼らの伝統家屋が並んでいました。

彼らの伝統料理「キビナイ」というパイも町の名物となっており、多くのカフェやレストランで食べることができます。
肉まんに近いような味で、ぺろっと食べれてしまいました。

次に訪れたカウナスは、第二次世界大戦時に首都が置かれていた街。
この町の見どころといえば何と言っても杉原千畝博物館で、今回の旅で、私が一番楽しみにしていた場所。
そして、遂にその場に私は立つことができた。
彼がこの地で6,000人ものユダヤ人に向けて発行した日本の通過ビザ。
1940年7月から8月にかけて、寝る間を惜しみ、何本ものペンを潰しながら、日本本国の命令を無視し、無許可で発給し続けたビザ。
最後、リトアニアを出発する列車の窓からもビザを投げていたという。
小さい頃から憧れていた杉原千畝が、実際に住んでいた場所は、高級住宅街の一角にひっそりと佇んでいた。
「希望の門、命のヴィザ」とかかかれたプレートが掛けられた門は、私の想像よりもとても小さく、ここに100人を超えるユダヤ人達が詰めかけたとは想像ができない。

杉原千畝が住居としても利用していた元日本領事館を使った博物館では、杉原千畝の生涯をまとめた15分のビデオや、書斎を再現した部屋を見ることができ、訪れた人は皆、机に座って杉原千畝ごっこをするのがお約束で、私もいそいそと記念撮影をさせてもらいました。

入館料は無料で、入場者からの寄付だけで運営されているそう。
博物館内のお土産屋さんで売られているビザの形をしたマグネットや、チョコレート、蜂蜜は美味しいと評判で、パッケージも可愛いので、お土産にお勧めです。



その当時、ヒットラー率いるドイツと同盟を組んでいた日本の国民として、彼がしたことは果たして正義であったのか。その当時の日本の正義を当てはめれば、決してしてはならなかったでしょう。彼のした事に関しては、様々な意見があることも理解できます。
しかし、そういった状況下でも、自分の正義を貫き通した杉原千畝という日本人を、私は心から誇りに思いました。
「私は大したことをしたわけではない。当然のことをしただけです」
この場所で彼がいかに悩み抜き、自分の正義を貫き、目の前の命を助けようと戦い抜いたのか。憧れのこの土地に、自分の足で立つことができて本当に心から嬉しく、私も彼のように芯のある人間になりたい、そう思えた、とても素敵な機会となりました。
そして、最後に訪れたのはドゥルスキニンカイ。
まだまだ日本では名前が知られておらず、ガイドブックにも小さくしか載っていない街ですが、リトアニア人だけでなく、ほかのヨーロッパ諸国やトルコ人に愛されている素敵な街でした。
ミネラル豊富な水が湧き出ているため、昔から湯治場として知られている街。
ここでは観光で外を出歩くのではなく、スパホテルに滞在し、ひたすら体を休めることが目的です。
リトアニアの特産品、琥珀を利用した琥珀スパも有名で、スパトリートメントグッズも日本よりお得に購入できます。
出来ることであれば、長期滞在をお勧めしたい街でした。



バルト三国への旅行の場合、エストニア・ラトヴィア・リトアニア周遊のツアーであったり、フィンランドなどの経由地と組み合わせたツアーであったりが多いため、リトアニア一か国のみで楽しいかなぁ、などと考えながら出発したのですが、本当に良い意味で裏切ってくれました。
オフシーズンである冬でさえ、こんなに楽しめるこの国に、夏に来たら骨の髄までメロメロにされてしまうかも知れません。
優しい笑顔で迎え入れてくれた人たち、素朴で美しい街並み、美味しすぎる食事、これ以上に必要なものはあるでしょうか。
時間を気にせずに、迷子になるように滞在を楽しめる国、リトアニア。
皆さまも、次のご旅行には迷子になりにリトアニアへのご旅行はいかがでしょうか。

★★★★★杉原千畝博物館
日本人として、リトアニアに行ったら是非訪れて欲しい!
★★★★★トゥラカイ城
夏の景色ももちろん、冬の凍った湖に浮かぶ姿も美しい!
★★★★リトアニア料理
ツェペリナイをはじめ、こんなに外れのない国珍しい!
(2016年12月 大野史子)
杉原千畝、みなさまこの名前をご存知でしょうか。
第二次世界大戦時、日本から遠く離れたリトアニアという国で、6,000人ものユダヤ人に向けてビザを発給した日本人がいたのです。
これだけ聞くとなんのこっちゃですが、その時代ドイツと同盟を組んでいた日本としては、ユダヤ人にビザを発給し、ナチスドイツの手が届かに場所へ逃がすことなど許されない事でした。
アメリカやオセアニアなどの第三国へ逃げるために、どうしても必要であった日本の通過ビザ。
日本本国の命令に背いてまで、自分や家族の立場を危うくしてまで、何故彼はビザを発給し続けたのか。
幼い頃に、本か何かで杉原千畝の事を知った私にとって、彼はずっと正義の人でした。
いつか訪れたいと思っていた杉原千畝ゆかりの土地へ、今回、フィンランド航空様とリトアニア政府観光局様のご招待で訪れる機会をいただきました。
初めて目にした素朴で温かい、憧れの土地。
農業が盛んで、自然豊かな国で出会った、素敵な景色。
皆様のご旅行の参考になりますように。

サンタクロースごっこ
今回の旅程は、ヴィリニュスをスタートし、トゥラカイ、カウナス、ドゥルスキニンカイと巡ってきました。
リトアニアの魅力の一つに、地方都市の面白さがあげられます。
リトアニアへのご旅行だとヴィリニュスだけ訪れる方も少なくありませんが、時間が許すのであれば、是非他の町まで足を延ばしてみてください。
まだまだ他のヨーロッパ諸国に比べ、知名度は高くないリトアニア。
実際に私も行くまでは何があるのかよく分からず、バルト三国で一冊にまとめられている地球の歩き方を握りしめ、ヨーロッパまで最短最速のフィンランド航空で出発しました。
フィンランド航空は、アメニティやブランケット、紙コップなど、日本でも大人気のマリメッコとコラボしていることでも有名。
ヘルシンキ空港にはマリメッコのお店もあり、日本の半額ぐらいで購入出来るそうで、こちらも女子に大人気です。マリメッコ店のすぐ隣には、これまた大人気のムーミン店が並んでいるので、乗り継ぎ時間があいたとしても、十分楽しめる空港でした。
サイレントポリシーを取り入れているため、空港内はとても静かでフィンランドという国のイメージにぴったり。(入国した事はないですが)
こじんまりとした空港なので、乗り継ぎの移動もとっても簡単でした。
数年後には新しいターミナルが作られる予定で、また私たちの旅は自由に快適になります。
快適な移動で、遂に到着しました、リトアニア!
リトアニアの首都、ヴィリニュスは、教会密集度が世界一と言われるほど、町中に教会がひしめき合っています。
旧市街は歩いても十分観光ができる大きさ。街並みが本当に美しくて飽きることがありません。
ヴィリニュスの歩き方のコツは、旧市街の街の中を迷子になることだと聞いていましたが、本当にその通りで、一つ角を曲がればまた新しい顔を見せてくれる、いつまでも飽きることのない魅力を持った街でした。

聖ペテロ&パウロ教会

夜明けの門

聖アンナ教会

魚つり中のキリスト?
夜には、丁度宿泊していたホテル前の広場でクリスマスマーケットも行われていたので、みんなで探検に行きました。
クリスマスマーケット初体験の私でしたが、何でしょう、あの独特な温かい優しい雰囲気にすっかり虜になってしまいました。
クリスマスのオーナメントや、ホットワイン、ジンジャークッキーが売っているお店が、クリスマスツリーをぐるりと囲むように並んでいるのですが、みんな幸せそうな顔で写真を撮ったりお菓子を食べたり、日本では見ることのない素敵なあの雰囲気。
冬のヨーロッパなんて寒いだけで絶対行きたくないとずっと思っていましたが、クリスマスシーズンであれば、また是非行きたいと思えるほどに幸せな空間でした。
<ヴィリニュスのクリスマスマーケット>




次に訪れたトゥラカイはヴィリニュスから車で約一時間。ヴィリニュスに移るまで首都が置かれていたトゥラカイの見どころといえば、トラカイ城。
大きな湖に浮かぶトゥラカイ城は、まるでディズニー映画にも出てきそうに可愛いお城。夏には湖でボートを楽しむこともできるそうです。

氷に閉ざされたトゥラカイ城(響きがロマンチック)
きゃーきゃー言いながら写真を撮りまくっていましたが、いざ城内に入ってみると・・
あら?まさかの拷問道具が置いてありました。

とりあえず拷問道具にはまってみる
他にも跳ね橋や、敵が攻めて来た際に守りやすいように作られている狭い階段を見て、いくら可愛いといっても戦争の為に作られたお城なのだなぁとなんとなくしんみり。



お城の中はこじんまりしていますが、見ごたえはたっぷり。
トゥラカイにはトルコ系移民がたくさん住んでいるため、町中にも彼らの伝統家屋が並んでいました。

三窓のある伝統家屋
彼らの伝統料理「キビナイ」というパイも町の名物となっており、多くのカフェやレストランで食べることができます。
肉まんに近いような味で、ぺろっと食べれてしまいました。

このサイズでもぺろっ
次に訪れたカウナスは、第二次世界大戦時に首都が置かれていた街。
この町の見どころといえば何と言っても杉原千畝博物館で、今回の旅で、私が一番楽しみにしていた場所。
そして、遂にその場に私は立つことができた。
彼がこの地で6,000人ものユダヤ人に向けて発行した日本の通過ビザ。
1940年7月から8月にかけて、寝る間を惜しみ、何本ものペンを潰しながら、日本本国の命令を無視し、無許可で発給し続けたビザ。
最後、リトアニアを出発する列車の窓からもビザを投げていたという。
小さい頃から憧れていた杉原千畝が、実際に住んでいた場所は、高級住宅街の一角にひっそりと佇んでいた。
「希望の門、命のヴィザ」とかかかれたプレートが掛けられた門は、私の想像よりもとても小さく、ここに100人を超えるユダヤ人達が詰めかけたとは想像ができない。

杉原千畝が住居としても利用していた元日本領事館を使った博物館では、杉原千畝の生涯をまとめた15分のビデオや、書斎を再現した部屋を見ることができ、訪れた人は皆、机に座って杉原千畝ごっこをするのがお約束で、私もいそいそと記念撮影をさせてもらいました。

遂に憧れの地にたどり着く
入館料は無料で、入場者からの寄付だけで運営されているそう。
博物館内のお土産屋さんで売られているビザの形をしたマグネットや、チョコレート、蜂蜜は美味しいと評判で、パッケージも可愛いので、お土産にお勧めです。

日本通過ビザを使って、世界中へと散っていった

素敵なお土産

発給されていたビザ
その当時、ヒットラー率いるドイツと同盟を組んでいた日本の国民として、彼がしたことは果たして正義であったのか。その当時の日本の正義を当てはめれば、決してしてはならなかったでしょう。彼のした事に関しては、様々な意見があることも理解できます。
しかし、そういった状況下でも、自分の正義を貫き通した杉原千畝という日本人を、私は心から誇りに思いました。
「私は大したことをしたわけではない。当然のことをしただけです」
この場所で彼がいかに悩み抜き、自分の正義を貫き、目の前の命を助けようと戦い抜いたのか。憧れのこの土地に、自分の足で立つことができて本当に心から嬉しく、私も彼のように芯のある人間になりたい、そう思えた、とても素敵な機会となりました。
そして、最後に訪れたのはドゥルスキニンカイ。
まだまだ日本では名前が知られておらず、ガイドブックにも小さくしか載っていない街ですが、リトアニア人だけでなく、ほかのヨーロッパ諸国やトルコ人に愛されている素敵な街でした。
ミネラル豊富な水が湧き出ているため、昔から湯治場として知られている街。
ここでは観光で外を出歩くのではなく、スパホテルに滞在し、ひたすら体を休めることが目的です。
リトアニアの特産品、琥珀を利用した琥珀スパも有名で、スパトリートメントグッズも日本よりお得に購入できます。
出来ることであれば、長期滞在をお勧めしたい街でした。

スパ・ヴィリニュス

ミネラルたっぷりの水を飲むこともできます

大きなクリスマスツリー
バルト三国への旅行の場合、エストニア・ラトヴィア・リトアニア周遊のツアーであったり、フィンランドなどの経由地と組み合わせたツアーであったりが多いため、リトアニア一か国のみで楽しいかなぁ、などと考えながら出発したのですが、本当に良い意味で裏切ってくれました。
オフシーズンである冬でさえ、こんなに楽しめるこの国に、夏に来たら骨の髄までメロメロにされてしまうかも知れません。
優しい笑顔で迎え入れてくれた人たち、素朴で美しい街並み、美味しすぎる食事、これ以上に必要なものはあるでしょうか。
時間を気にせずに、迷子になるように滞在を楽しめる国、リトアニア。
皆さまも、次のご旅行には迷子になりにリトアニアへのご旅行はいかがでしょうか。

抱えきれない程の思い出のプレゼント、ありがとうございました!
★★★★★杉原千畝博物館
日本人として、リトアニアに行ったら是非訪れて欲しい!
★★★★★トゥラカイ城
夏の景色ももちろん、冬の凍った湖に浮かぶ姿も美しい!
★★★★リトアニア料理
ツェペリナイをはじめ、こんなに外れのない国珍しい!
(2016年12月 大野史子)
- かつての栄光の街・サンクトペテルブルグ・ビリニュス・リーガ・ミンスクを訪ねて
-
エリア:
- ヨーロッパ>ベラルーシ>ミンスク
- ヨーロッパ>リトアニア>ビリニュス
- ヨーロッパ>ロシア>サンクトペテルブルグ
- テーマ:観光地 世界遺産 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2016/10/25 14:39

ペテルゴーフ宮殿の噴水
かつてはロシアの首都・サンクトペテルブルグ、かつてはリトアニア大公国の首都・ビリニュス、かつてはロシア第三の都市・リーガ、そしてかつてはメネスクの名でバルト海と黒海を結ぶ貿易の中心地・ミンスクを訪問した。
イスタンブール経由で最初の訪問地サンクトペテルブルグに夕方到着。明日からはガイドさん付の観光はあるものの、少しでも街を見ておこうと気がはやる。やはり何と言ってもエルミタージュ美術館の姿だけでも見ておきたいと寒い中、街に出た。それは広いスペースの宮殿広場を真正面に、左にエルミタージュ美術館、右に旧参謀本部、何かこみ上げてくる充実感。ここはこの街の中心、観光の出発点だ。

広々とした宮殿広場とエルミタージュ美術館

宮殿広場と旧参謀本部

宮殿広場にいる記念撮影のためのモデルさん(1ショット5ドルでした)
入館は明後日にして、宮殿橋を渡ると、この街が港街であること、昔は沼沢地であったことが偲ばれる。元に戻ってネフスキー大通りを散歩すると、街の両側には由緒ある建物がこれでもかと並んでいる。ビックリするほど人も多く圧倒されそうだ。ここが本当にロシアなのだろうか。まるでパリかロンドンのようである。

ネフスキー大通りの夜景
最初の晩は有名なレストラン「文芸カフェ」で名物「ボルシチ」と「ビーフストロガノフ」を楽しんだ。もちろん本場の料理の味は最高。

ロシア料理・ボルシチ

ロシア料理・ビーフストロガノフ
2日目の午前中は市内から約1時間の所にある、有名な「エカテリーナ宮殿」を観光。
1724年にピョートル大帝の妃、エカテリーナ1世のために建てられたこの青い塗装のロシア・バッロク様式の宮殿は豪華そのもの。建物内部の大広間、琥珀の間、絵画の間、緑の食堂、青の客間等とその贅沢さにため息がでる。公園も宮殿に劣らぬ美しさ。浴場や小宮殿、橋やモニュメント、彫刻が点在している。

エカテリーナ宮殿の外観

エカテリーナ宮殿の内部

エカテリーナ宮殿の公園

浴場
午後は、噴水と庭園と宮殿のアンサンブルのペテルゴーフ宮殿を訪れる。やはりここもピョートル大帝によって1714年に建設が開始された。大宮殿の中は残念ながら撮影禁止だがその内部はエカテリーナ宮殿にも負けない豪華さ。ここの噴水は私がこれまで見た中で最も美しい。やっと晴れた青空に映えて、黄金の輝きの水を噴き上げている。大滝だけでも37の銅像、64の噴水、142の噴出し口がある壮大なスケールだ。

ペテルゴーフ宮殿と大滝

ペテルゴーフ噴水

ペテルゴーフ噴水の銅像

ペテルゴーフ噴水の運河が海に向かって続いている
3日目はサンクトペテルブルグの街歩き。かつての帝政ロシアの首都であったサンクトペテルブルグには数え切れないほどの宮殿・教会がある。どこを歩いても他の町では名所となるものばかりなので焦点を絞って回りたい。先ずは町全体が見渡せるイサク聖堂の展望台に登って町全体を見渡すことにした。建物も40年もかけて建てられた世界でも有数の荘厳たる聖堂だ。

移動は地下鉄利用

地下鉄の切符も簡単に買えます

雨の中のイサク聖堂

豪華なイサク聖堂の内部

見事なステンドグラス

イサク聖堂の展望台からの遠景

イサク聖堂の展望台からの眺め

展望台までは階段を登らければなりません
次にメインストリートのネフスキー大通りを歩いて、両側にある由緒ある建築群を見ながらウインドーショッピングやピープルウオッチング。仕上げは通りから少し北に入った所にある純ロシア風教会の「血の上の救世主教会」を訪れた。

ネフスキー大通り

血の上の救世主教会

きらびやかな血の上の救世主教会の内部
本日のメーンイベントは世界屈指の美術館の一つであるエルミタージュ美術館。サンクトペテルブルグを訪れる人は必ず行くと言っていい。収蔵美術品は約300万点。展示室を歩いて回ると20キロメートル以上に及ぶ。エルミタージュの意味は「隠れ家」だが、当時のエカテリーナ2世がこっそり自分自身のために楽しんでいた館が、今では壮大な美術館に変身した。建物は4つに分かれているが、それぞれ廊下で繋がっているので見学するときは気づかず歩いている。先ずは宮殿装飾そのものに圧倒され、イタリア、フランドル、オランダ、スペイン美術と名作が揃っている。

エルミタージュ美術館の内部

豪華な宮殿装飾

レンブラントの名作「ダナエ」
最近の人気エリアは近代美術が展示されている旧参謀本部新館だ。モネ、セザンヌ、ゴーギャン、マテイス、ピカソ、ゴッホ、ルノワール、アンリ・ルソーが一挙に見られる必見の館である。

モダンな新館(旧参謀本部内)

ルノワール「扇子を持つ女」

マティス「ダンス」

チャールズ・ホフバウアー「In London 1907」

セザンヌ「サント・ヴィクトワール山」

エドガー・ドガ

ゴーギャン「果実を持つ女」

ピカソ 「Dance with Veils」
サンクトペテルブルグを去る前に、ロシア美人を紹介。

美人揃いのガイドさんたち

レストラン・カチューシャの可愛いメイドさんたち
4日目は早朝2時半にホテルを出発して、飛行機にてリトアニアのビリニュスへ向かう。
世界遺産のビリニュスの旧市街を回るには、先ずは町の全貌が見渡せる北の端にあるゲディミナス城の登ってみるのが定番のようである。石畳の回り階段を登りきると、カトリック特有の柔和なバロック建築の多い和やかな町が一面に見えてくる。

ゲディミナス城の塔

ビリニュスの街の眺め

ビリニュスの街の眺め
反対側は新市街だがこちらも整然としてきれいな町だ。

新市街の遠景
この旧市街の景色を頼りに下に降りていくと、見事な大聖堂、王宮、カテドゥロス広場がある。

カテドゥロス広場と大聖堂とベルタワー

王宮
さらに南に下ると有名なビリニュス大学が見える。中も見学可能だ。

ビリニュス大学と聖ヨハネ教会

ビルニュス大学構内
道を左に折れると、かのナポレオンが自分の国に持ち帰りたいと言ったゴシック造りの聖アンナ教会にぶつかる。

聖アンナ教会

聖アンナ教会

城から見える聖アンナ教会の遠景
通りに戻り、さらに南下すると町に中心の旧市庁舎と市庁舎広場にあたり多くの人で賑わっている。

市庁舎広場

市庁舎

市庁舎広場に集う市民の皆さん

聖カジミエル教会の前での結婚記念撮影
さらに行くと旧市街の南端「夜明けの門」に突き当たる。歩いて回るのに丁度いい広さの町だ。

夜明けの門

街のいたる所で結婚式(今日はおめでたい日かも)
5日目は専用車でカウナスの街にある「杉原記念館」を訪れる。ビザを発行して多くのユダヤ人の命を救った杉原千畝の実際の職務室や写真を見ると、尊敬の念と感謝の気持ちが沸き起こってくる。日本人の誇りである。

杉原記念館

杉原記念館

杉原ご家族

通過査証
午後はシャウレイの街の北東約12キロメートルにある、「十字架の丘」を訪れる。それは遠くからみるとまるで小山のように見える。大小無数の十字架が建ち並び、積み重ねられて丘を形成している。神聖さと荘厳さを感じさせる異空間だ。

十字架の丘

十字架の丘

十字架の丘
6日目はラトビアの首都リーガの旧市街巡り。リーガはバルト3国の中での最大の都市。世界遺産の旧市街は見所満載だ。先ずは聖ペテロ教会の123mの塔(展望台は72m)に登り、町全体を見渡してみる。9ユーロの入場料はいささか高いと思ったが、元は十分は取れた。数多くの教会、ハンザ商人の商家、市庁舎など所狭しと並んでいる。新市街とのバランスもいい町だ。

聖ペテロ教会

リーガの街の遠景

リーガの街の遠景

リーガの町並み
次にリーガを代表する建築・ブラックヘッドの会館へ。大時計や数々の彫像、レリーフが美しい。

ブラックヘッドの会館

ブラックヘッドの会館

市庁舎
市庁舎の脇を抜けて行くと、街の中心・ドゥァマ広場には沢山の人が溢れており、その前にバルト3国最古の教会「リーガ大聖堂」がでんと構えている。高さ90mの塔を持つ教会はその威厳を今も放っている。

リーガ大聖堂とドゥァマ広場

リーガ大聖堂のライトアップ
三人兄弟の家や趣のあるトゥルァクシュニュ通りには城壁が残り火薬塔へと続いている。

城壁

トゥルァクシュニュ通り

火薬塔

三人兄弟の家
リーヴ広場の北側の建物の屋根の上に伸びをする猫が見えるのが通称「猫の家」だ。今も悪いねずみを屋根の上から見張っているかのようだ。

猫の家

「猫の家」の屋根の上の猫

リーヴ広場
屋根の上ばかり見ていたら、いくつもの風見鶏を見つけることができた。

屋根の上の風見鶏

屋根の上の風見鶏

屋根の上の風見鶏

屋根の上の風見鶏

旧市街と新市街の境界にある自由記念碑塔

ビルセータス運河の公園
7日目はベラルーシのミンスクへ。この日は近郊の2つの世界遺産、ミール城とニャースヴィシュ宮殿を訪問。ミール城は16世紀前半に、地元の有力者ユーリ・イリイーニチによって築かれた中世の城である。緑豊かな公園と湖に囲まれ、のどかな景色とレンガ色の城が調和した人気スポットだ。2,000年には世界遺産に登録された。5つの塔はそれぞれ異なったデザインで建てられているが形状はほぼ同じ。可愛いゴシック様式の城だ。

ミール城

ミール城

ミール城内

ミール城内部

湖とミール城

ガイドのユリヤさん
ミンスクから南西約90キロメートルにあるニャースヴィシュ宮殿は2005年に世界遺産に登録された。16世紀にリトアニア大公国の最高実力者ラジヴィル家の富と名声を誇示するために建設が始まった。以降1939年にソ連の侵攻によって追放されるまで改築が繰り返された。今は博物館となり、当時の豪奢な内部を回覧できる。この宮殿(城)の立地環境は実に見事だ。ゲートから700〜800m続く道は両側の池に囲まれ、訪れる宮殿に対する期待を膨らませる。その池はまるで魔法のように空の雲を池面に映しだし、絵画そのものだ。城も堀に囲まれ、美しい姿を際立たせている。

ゲート

逆さ絵の池

こんなきれいな池に囲まれている

ニャースヴィシュ宮殿

ニャースヴィシュ宮殿

ニャースヴィシュ宮殿

ニャースヴィシュ宮殿

ニャースヴィシュ宮殿

ニャースヴィシュ宮殿

ニャースヴィシュ宮殿内

ニャースヴィシュ宮殿内部

ニャースヴィシュ宮殿内部

ニャースヴィシュ宮殿と私
最終日はミンスクの街の観光。ベラルーシ共和国の首都・ミンスクは第2次世界大戦によって破壊されたが、旧ソ連風の町並みにすっかり復興された。印象はやはり機能的なクールな整然とした感じを受ける。10月広場や勝利広場はその代表といえる。

ミンスクの町並み

10月広場

勝利広場
一方で、レーニン通りにあるフリーダムスクウエア(通称、歴史センター)はヨーロッパ的な雰囲気が味わえる地区だ。旧シテイホール、聖霊大聖堂を中心にレストランやパブなど大いに観光客で賑わっている。

フリーダムスクウエア

旧シテイホール

聖霊大聖堂

象徴の市長像は大人気(触ると願いが叶うと言われている)

ガイドのダーシャさん

私も真似をして
近くのトラエツカヤ旧市街区も戦前の家々を復元した一画だ。石畳の小道でつながれ、民芸品や薬局など点在し、散歩に最適だ。スヴィスラテ川の中程にはアフガニスタン出兵慰霊碑「涙島」もある。

トラエツカヤ旧市街地区

トラエツカヤ旧市街地区

トラエツカヤ旧市街地区

涙島

3日間お世話になった親切なドライバー「ニコラ」さん
冒頭のコピーでかつての街などと、4つの街を過去の街のような表現をしてしまったが、大きな間違いだった。美しい町並み、歴史を感じさせる町並み、中世ヨーロッパを思い起させる建物群、教会、大聖堂、美術館等、それでいてそれぞれの街に特徴がある。再訪する時があったら選ぶのに苦労するに違いない。
2016年9月20日〜29日
本山 泰久
おすすめポイント
*サンクトペテルブルグ ★★★★★ エルミタージュ美術館、聖堂、教会、美味しい料 理。言うこと無しの街。
*ビリニュス ★★★★ カトリック特有の柔和なバロック建築の多い和やかな街
*リーガ ★★★★★ 活気溢れる新旧入り混じった歴史の街
*ミンスク ★★★★★ ヨーロッパとロシアの中間の匂いがする不思議な街
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