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- え?どこ?グルジアとアルメニア?に行ってみたらこんな場所だった!
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エリア:
- ヨーロッパ>アルメニア>エレヴァン
- ヨーロッパ>グルジア>トビリシ
- ヨーロッパ>グルジア>クタイシ
- テーマ:世界遺産 グルメ 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2016/06/24 15:34
ハフパット修道院
私 出張行ってくる〜
友人 へぇ、今度はどこ?
私 グルジアとアルメニア〜
友人 ・・・へぇ〜。え、それどこ?(2回目)
次の出張先を伝えた友人の中に、アルメニアとグルジアがどこにあるのか理解していた人は一人もいない。ましてや、
え、まじで?あのワイン発祥の国グルジア?さらには、世界で初めてキリスト教を国教としたあのアルメニア?!なんて食いついてきてくれた人も一人もいない。
でもきっとこれが一般的な日本人。日本人にとってグルジアとアルメニアは、いいなぁとも、すごーいとも、リアクションする材料や情報がない、そんな場所。
そう、今回私はトルコとイランのお隣で、ロシアのちょい下にある、コーカサス地方の中のグルジアとアルメニアを旅するのだ!
とはいえ、私とて友人の知識に毛が生えた程度の知識しかない。早速ガイドブックを探すも、かの有名なガイドブックでさえこの二か国にはわずか数ページしかページを割いていない。その上、カラーでもない。
あまり下地が無い中、出発の日を迎えた。
最初に旅したのはグルジア。トビリシ空港が日中工事をしているため、この時期、夕方にならないと飛行機が離発着できない。そのため、えらく長いトランジット時間をかけトビリシに到着した。
まずはおいしいグルジア料理のお出迎え♪
焼きナスのクルミペースト
豚肉とポテトの炒めもの、オジャフリ
泥のように眠った翌朝、グルジアの昔の首都、ムツヘタへ。トビリシからは車で30分ほど。世界遺産にも登録されている古都で、古い教会を中心に街が広がっている。まずは街を見下ろす丘に建つ、スヴェッティ・ツホヴェリ大聖堂へ。
スヴェッティ・ツホヴェリ大聖堂
この大聖堂はグルジアで一番古いと言われていて、言い伝えではイエス様の来ていた衣の一部が埋められているのだとか…
そして街中にあるジュヴァリ寺院へ移動
ジュヴァリ寺院に向かう手前には、様々な露店があってとても賑やか。はちみつやフレッシュジュース、伝統的なお菓子チュルチヘラを売るお店、伝統衣装を着られる露店もある。
名産の蜂蜜を売るお店
ジュヴァリ寺院
美しいフレスコ画
トビリシに戻る途中で、昼食。
今日はグルジア料理の中でもとくに有名なハチャプリをいただく。
平らなパンにチーズを挟んで焼いたもので、一見ピザのような見た目。チーズがとろけて、これがまたおいしい!日頃これを食べていたら絶対太りそうな食べ物だけど、旅行中だものね。気にせず楽しまないと。
グルジア名物ハチャプリ
グルジアやアルメニアを車で走っていると、旧ソ連時代の建物が目につく。巨大で、なんとなく退廃的でいかにも威圧感のある建物だ。特にアルメニアでは国の至る所に旧ソ連時代の廃工場がたくさんあった。バスや車も当時相当な年代物が走っている。ソ連解体から20年以上たってもいまだ現役であることに驚かされる。
首都でもあるトビリシはソ連時代のマンモス団地、18世紀の木造の家、場違いにも感じるような近未来的な建物が入り混じっていて、頭が混乱しそうになる。建築物だけではなく、民族もアゼルバイジャン人、アルメニア人、ロシア人などが住む多民族なエリアでもある。
一言では言い尽くせない魅力のある街だ。
そしてグルジアはなんと、ワイン発祥の国なのだとか。紀元前8000年頃にはワインが飲まれていたというから驚きだ。
ガイドさんお勧めのワインショップに連れて行ってもらい、安くておいしいワインを購入してみる。帰国後に飲むのが楽しみだ。
街の上をロープウェーが走る
200年の歴史を持つパン屋さん
旧市街の時計塔
急に現れる近未来的な橋
ワインショップ
そして翌日。グルジア観光のハイライト軍用道路を通って十字架峠へ!と息巻いて外に出たものの、期待を裏切るように今にも降り出しそうな曇天…。
軍用道路というのはコーカサス山脈を越えて、トビリシとロシアをつなぐハイウェイのこと。最高地点の十字架峠は標高2395mだ。軍用道路は冬期、雪などの影響で道路が封鎖されることもある。まさに私が行った5月はベストシーズン!のはずなのに、走り出した途端、雨が降り出した。
途中、17世紀に建てられたアナヌリ教会を経て、十字架峠へ。
アナヌリ教会
天気は良くなるどころか悪くなる一方。雨脚もひどくなってきたが、霧がすごいことになっている。5m前も見えない状態で走るハイウェイはとてもスリリングだった。
ちょっとだけ視界が晴れた十字架峠
本来であれば、このハイウェイでは大コーカサス山脈の大パノラマが見えるはず!それをお届けできなくて悔しい限りである。
峠を越えて軍用道路の終着点、カズベキに到着したころには天気が少し良くなってきた。
カズベキに着いたら車を4WDに乗り換え、カズベキ教会を目指す。カズベキ教会は道中が整地されていない山の上にあるのだ。ついさっきまで大雨だっただけに、道のコンディションは最悪。一度車が横滑りした際には思わず声が出た。
カズベキ教会に到着
カズベキ教会からの眺め
カズベキ教会
復路ようやく太陽が顔を出してくれて、少しだけだが、コーカサスの山を拝む事が出来た。
大コーカサス山脈
グルジア・ロシア友好の壁
この日一番テンションが上がった事。それは羊飼いの群れとの遭遇。
なんと3000頭を超える羊に囲まれたのだ。ゆっくり3分間は羊の波!この時期であれば、毎日こういった場面に出会うという。
軍用道路の名物、羊の大群
夜はこれまたグルジア名物のヒンカリ(グルジア風小龍包)を食べ、グルジアに別れを告げた。
グルジア風小龍包、ヒンカリ
陸路でグルジアからアルメニアへ。アルメニアはビザが必要だが、陸路で簡単に取得が可能。難なく、アルメニアへ入国。
昨日の天気が嘘のように天候に恵まれ、暑いくらいの気温の中、世界遺産のハフパット修道院とサナヒン修道院へ。
今までグルジアの教会ではアイコンと呼ばれる壁画をたくさん見てきたが、アルメニアにはそれらは見られない。壁画があることはほぼなく、その代りにハチュカルという石を掘って作られた十字架がたくさん見る事が出来る。
世界遺産ハフパット修道院
世界遺産ハフパット修道院
世界遺産ハフパット修道院
ハチュカル
固い石にとっても細かい彫刻が入っていて、芸術作品のようだった。
ハフパット修道院とサナヒン修道院は有名建築家の親子がそれぞれ建てたもの。サナヒンを父、ハフパットを息子が作ったのだそうだ。
ハフパットで見かけた旧ソ連時代の現役バス
アルメニアを旅する際、一般的にはまぁホテルなのだが、安く行きたい人、あまりに田舎でホテルが無いとき、ちょっと変わった体験がしたい人にオススメなのが、民宿だ。JICAなども支援をしているそうで、そんな民宿をいくつか視察してみた。
シャワーやホテルは共同の所が多いが、部屋は清潔でWIFIもつながり、宿泊には何の苦もない。民家では家畜を飼っていたり、畑があったりするので、ホストファミリーと一緒に料理レッスンをしたり、農家ならではのアクティビティーも楽しめる。
チバ村の民宿
民宿の客室
民宿で買っているウシ
さらにホストファミリーからの温かい歓迎には心癒された。
ちょっと見学に来ただけなのに、チキンや自家製パイ、自家製ワインなどおもてなしの嵐!!
BBQチキンを焼いてくれた
おもてなし料理
民宿のご夫婦
愛の修道院、ノラバンク修道院
ノラバンク修道院を経て、私が向かったのは世界最古のワイナリー。ここは2011年に発見されたばかりの紀元前3500年のワイン醸造所である。こんな洞穴の中にあるとは。
世界最古のワイン醸造所の前で
ここでワインがつくられていた…
今から約5500年も前にワインを飲んでいたなんて、おっしゃれ〜
近くにはワイナリーがあり、美味しいワインが驚きの低価格で買える。税関の申告さえなければ何本でも買って帰りたい!こんなに安くておいしいのに、3本までしか持って帰れないなんて、酷な話だ…。
ワイナリー見学
ワインテイスティング
翌日、タテヴ村に行く為に今日は手前にある村の、ユニークな樽のホテルに泊まった。ワインの国アルメニアにちなんだコンセプトなのだろうか。
樽のホテル
樽の部屋からの絶景
タテヴ村にはアルメニア一美しいと言われるタテヴ教会があるのだが、この村に行く楽しい交通手段が2010年に完成されたロープウェイだ。それまでタテヴ村は、いくつもの谷に閉ざされ、車だと約1時間強の山道を走らなければならなかった。このロープウェイは全長5.7km、所要時間12分で世界一長いロープウェイとしてギネスに認定されている。以前スノーボードに行った際、ドラゴンドラに乗ったことがあるが、あれよりも長いのか!
ギネス認定世界最長のロープウェイ
ロープウェイからの絶景
いざ乗車。緑深い谷の中を、私を乗せたゴンドラが飛んでいく〜。足元を除けば胸がすくむような高さ。うひょ〜〜〜!
着いた先のタテヴも本当に美しい小さな村であった。
タテヴ村
タテヴ教会
タテヴ教会のハチュカル
高所恐怖症の人にとっては魔の12分間だと思うが、このロープウェイに乗るだけでもここまで来てよかったと思えた。そしてその先には美しい村と教会があるのだから、アルメニアに来たら絶対のおすすめポイントだ。
タテヴからエレバンに帰る途中、思わぬアクシデントに見舞われた。アルメニアを走っていて常々思っていたのだが、国道であってもとにかく道が悪い。ここにきて、タイヤがパンクしてしまったのだ。路上に車を止めて、ドライバーさんが一生懸命タイヤを確認していると、わざわざ車を止めて、どうした?と様子を聞いてくれる。日本だったら止まってくれる人いるのかなぁ。優しい人がタイヤの空気入れを貸してくれた。
結果、空気は入らず、スペアのボロボロタイヤを使って帰ることになるのだが、思わぬところでアルメニア人の優しさに触れる事が出来た。なお、アルメニアではいいタイヤを買う事が出来ず、人々はわざわざ隣国のグルジアへ買いに行くのだそうだ。タイヤだけではなく、電化製品なども同じだという。そうか、アルメニアはなかなか買い物をするのも大変なんだな、とアクシデントから思わぬ勉強が出来た。
話は変わるが、よく日本の心に例えられる富士山。みんな大好き富士山。では、アルメニア人にとっての富士山は?それはアララト山です。アルメニア人はみんな大好きアララト山。
アララト山はノアの方舟がたどり着いた場所という伝説があり、アルメニアの出入国スタンプにも描かれている、アルメニア人の誇りだ。
そしてもう一つ、アルメニア人が誇りに思っているもの。それがアルメニア正教。アルメニアは西暦301年、世界で初めてキリスト教を国教として定めたことをもう一つの誇りにしている。アルメニアにキリスト教を伝えた聖者グレゴリウスが13年もの間幽閉されていたホルヴィラップ修道院はまさに聖地のようなもの。
ホルヴィラップの修道院のすぐ後ろにアララト山がそびえている。ホルヴィラップ修道院越しに見るアララト山というのは、まさにアルメニア人の2大プライド!
ホルヴィラップ修道院とアララト山
でも見えない!アララト山見えない!!残念ながら雲に隠れていた。
何と驚いたことに、日本の富士山的存在、アララト山は今現在、トルコの領土なのだ。ホルヴィラップ修道院から目と鼻の先、数十メートル先からはトルコの領土で、アルメニア人は自由にアララト山に行く事が出来ない。いきなり富士山が他国の領土にあるなんて考えられない!でも悲しいかな、度重なる侵略の為に、アルメニアはアララト山を手放さざるを得なかったのだ。でもアルメニア人は言う。アララト山が一番美しく見えるのはトルコ側ではない、アルメニア側なのだ!と。。。
先にキリストを始めて国教にしたと書いたが、世界で初めて公式の教会が出来たのがアルメニアのエチミアジンである。ここは世界遺産にも登録されている。
エチミアジンの宝物館にはキリストが貼り付けになった際に脇腹を刺したとされる聖なる槍が飾られている。
補修中のエチミアジン
キリストの脇腹を刺したとされる槍
世界中から巡礼者が絶えない
世界中のキリスト教徒にとって大切な教会であるため、修復にはローマ正教、アルメニア正教、ユネスコ、アルメニア政府などなど、各所の許可が下りないとなかなか進める事が出来ず、これからもまだ時間がかかる見込みだそうだ。
こうしてあっという間のグルジア・アルメニア出張は終わりを告げた。
想像以上に深い歴史と文化、民族間の感情、争いの過去…いろいろな事を学んだ9日間だった。
タテヴから首都エレバンに帰る途中、何の変哲もない団地の真ん中で車が止まった。ガイドさんに言われるがまま車を降りると、そこで見たのは、3.11の東日本大震災の被害者の為に建てられたハチュカル…。
日本人でグルジアとアルメニアを知っている人は、やはり多くない。
でも日本人が知らないこんな田舎の街で、私たちとともに悲しみ、私たちの為に祈りをささげてくれている人たちがいるのだ。
日本に帰ったら友人に、自分が今回行った国々がどんなところだったのかたくさん話をしたいな、と改めて思った。
東日本大震災の為の慰霊碑
ムツヘタ ☆☆☆☆ 世界遺産の街並みがかわい
トビリシ ☆☆☆☆☆ 文化、民族が入り混じる歴史の深い首都
ムツヘタ ☆☆☆☆☆ 軍用道路と合わせてグルジア旅行のハイライト
ロリ地方(ハフパット) ☆☆☆☆☆ サナヒンとハフパット修道院はとても美しい
アレニ地方 ☆☆☆☆☆ 民泊とロープウェイがお勧め
エレバン ☆☆☆☆ アルメニアの首都。郊外に行く起点
(2016年5月 久保井奈々子)
- コーカサス3カ国弾丸6日間の旅〜アゼルバイジャン・グルジア・アルメニア〜
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エリア:
- ヨーロッパ>アゼルバイジャン>バクー
- ヨーロッパ>アルメニア>エレヴァン
- ヨーロッパ>グルジア>トビリシ
- テーマ:世界遺産 グルメ 歴史・文化・芸術
- 投稿日:2016/06/24 15:25
今回はコーカサス3カ国をなんと現地3泊のみ、計6日間で周る弾丸ツアーです。その日程を支えるのが、便利な夜便で5つ星エアラインカタール航空のフライト。行きは成田発22:20なので、仕事を早めに片付けてそのまま空港に向かいます。
1カ国目はアゼルバイジャン。首都バクーへ到着です。ビザは今まで日本で事前取得が必要でしたが、つい先日から可能になったアライバルビザに挑戦します。
ここで申請書に記入し、奥のカウンターに提出します。記入内容はパスポート情報や滞在先など。証明写真3枚、パスポートのカラーコピー2枚を持参しましたが、これは使いませんでした。日本国籍なら無料ですが、他の国籍でアライバルビザの場合は有料のようです。少し並んで15分くらいで1ページ分のシールが貼られたパスポートを返され、無事取得できました。
ガイドブックも全然出ていない未知の国でしたが、とりあえずバクーの気候は東京と同じくらい。高台にある殉教者の小道や、旧市街の乙女の塔に登ると眺めが良いのですが、「風の町」と呼ばれるほどあり、とにかく強風が吹きつけてきます。バクーの街はシルクロードの中継地としてアラブ、ペルシャ、トルコ、ロシアなどの文化が入り混じっているのですが、旧市街はシルヴァン・シャフ・ハーン宮殿をはじめ、イスラムの雰囲気が強いです。宮殿はいくつもの建物が一体になっており、細かな幾何学模様に目を奪われます。
イスラムっぽい旧市街もあるのですが、新市街はヨーロッパの街並みのようで、ブランドショップが建ち並び、近代的なデザインの建物も多いです。来月6月にF1が開催されるらしく、街中の道沿いにフェンスや観客席が取り付けられていました。ランドマークになるのが3匹のヒヨコのようなフレイムタワーです。高台にあって、特徴的な外観なのでどこにいても見つけやすいです。
夜はフレイムタワーに炎や旗を振る人のイルミネーションが映し出されます。
かっこいいというか、変わった形の建物も多く、どこかの美術館のようなメトロ駅やロールケーキ形の絨毯博物館など。
翌日、バクー郊外へ。車で1時間ほどの所にあるゴブスタンの岩画を見に行きます。巨大な岩がごろごろと重なり合う岩場に、石器時代の人々が描いた岩画が6000点あまりも残されています。岩画は牛やラクダ、人々の踊る様子、儀式の場面などの単純なモチーフですが、脈動感があって不思議と惹きつけられるものばかり。手前の小さな博物館でわかりやすい解説の展示で学んでから、実物を見ることができます。地元の子供たちもたくさん見学に来ていました。
アゼルバイジャンの料理の最大の特徴は、なんといっても香草です。山盛りの香草が毎食テーブルに並び、サラダ、スープ、肉料理、どれにも香草が入っています。パクチーなどが苦手な人は、パンとチーズくらいしか食べるものがないことも多いようです・・・プロフと呼ばれるピラフや、香草やチーズを挟んだピザのクタブ、ナスのペーストのマンガウ、デザートはフルーツのシロップ漬けのムラッパなど。
3日目の夜に空路で2カ国目、グルジアのトビリシへ。ほんの1時間ちょっとの国際線で、グルジアはビザも不要なので、気分は国内線。トビリシの市内観光をする時間がないのが残念ですが、ムツヘタとカズベキ観光に向かいます。
トビリシから車で30分ほどのところにあるムツヘタはグルジアのかつての首都で、現在でもグルジア正教の中心とされています。街を臨む山の頂上にちょこんと建てられているのは、ジュヴァリ教会です。ムツヘタの町と共に世界遺産に登録されていて、山の上にあるのでムスリムの侵略の際も壊されずに今も残されています。ジュヴァリ教会から見える、ムトゥクヴァリ川とアラグヴィ川の合流地点に栄えるムツヘタの美しい町の見晴らしは最高です。スヴェティ・ツホヴェリ大聖堂では、ブドウとクルミのぐにぐにしたスイーツ、チュルチヘラや色々なお土産屋さんに夢中になりました!
ムツヘタから軍用道路を通ってカズベキを目指します。軍用道路はグルジアとロシアを結ぶ重要な道で、かつてロシアが軍事用に切り開いたものですが、名前からイメージされるように物騒なところではなく、自然の景観がとても美しいルートです。途中でアナヌリ教会やグルジアとロシアとの友好の壁、十字架峠に立ち寄ります。
グルジアの教会は、女性が入る時は頭にスカーフかフードをかぶって(髪は多少みえてもok)、内部は撮影禁止というところがほとんどですが、アナヌリ教会は内部も撮影できます。城塞の中に、イエスキリストの為の教会と、聖母マリアの為の教会の2つの教会があり、イコンが描かれた大きな障壁、イコノスタシスは見応えがあります。
友好の壁はとてもカラフルで、見晴らしも良く、多くの人の撮影スポットになっています。この辺りは標高も高く、ダウンを着込むくらいにとても寒いのですが、信じられないことにパラグライダーを楽しむ人もみかけました。そしてこの軍用道路で最も標高が高い十字架峠は、標高2395m。とても寒く、凍える前にバスに戻ります。
お昼頃にカズベキの小さな村に辿り着きました、山頂に小さく教会が見え、4WDに乗り換えてあの教会を目指します。しかしこれが予想を大幅に上回るアトラクションで、前後左右に大きく振り回されながら、片道約30分のドライブ。ドライバーさんは慣れているからか、音楽をかけ、余裕でずっとおしゃべりしながら、崖っぷちを対向車線とすれ違って行きます。上まで登ったら、抜群の景色の中を教会まで15分ほど歩きます。澄んだ青空と大自然の山々にツミンダ・サメバ教会がかわいらしく見えて、とても絵になる風景です。
日曜日なので教会ではミサをやっていて、ちょうど美しい讃美歌をきくことができました。教会の雰囲気とあいまって、神聖な気分に浸ります。
町まで降りると、少しだけですが雲の隙間からカズベキ山を見ることもできました。
とても日が長いので気づきませんでしたが、帰りにあちこち視察したり、グルジアの美味しいワインを買いにスーパーに寄ったりしていたら、結局この日の就寝は3時。グルジアではお肉とあわせて赤ワインがよく飲まれるのですが、レストランでとても飲みやすい赤ワインが出たので、スーパーで探してお土産にしました。ワインはワイナリーやスーパーでお安く売っています。
(大きな小龍包のようなヒンカリ)
(チーズピザのハチャプリ)
明らかな睡眠不足ですが、翌朝早くに出発し、アルメニアの国境へ向かいます。独立記念日の準備で自由広場が封鎖されてしまい、遠回りをしつつ1時間半でサダプロ国境に。車を降りて、出国手続きをします。中間地帯の免税店の並びを抜けて、アルメニアのビザを取って入国します。ここのビザも申請書を書くだけで写真は不要、$10くらいでした。アルメニアとアゼルバイジャンは政治的に仲がよくなかったりして、アゼルバイジャンにも行ったのかと言われましたが、だからといって入国できないなんてこともなく、3カ国目アルメニアに無事入国。ここからハフパト修道院まで、1時間半のはずが、なぜか3時間。穴ぼこだらけの悪路で、且つ車が大きいので、全然スピードが出せないんだとか。どんなに悪路でも、今日の深夜のフライトで帰国しなければならないし。不安を感じつつも修道院を見学します。
ここに飾られているアルメニア正教の十字架は、先端が開いていて、幾何学模様の装飾が施され、繊細で美しいです。その後、セヴァン湖の近くで昼食をとり、首都エレバンの近郊にあるガルニ神殿、ゲガルド修道院を見学します。セヴァン修道院では空が真っ暗になってきて、強風と雨から逃げるように移動しました。
ゲガルド修道院は4世紀に巨岩を掘り抜いて造られた岩の修道院で、現在は主に13世紀に造られた建物を見学できるようになっていますが、岩をくり抜いた部分から聖水が流れ出ている部屋があり、これを飲むと病が治ると言われています。ゲガルドは槍の意味で、ローマ軍人がイエスキリストを刺したとされる槍がこの近辺で見つかったことが名前の由来になっています。
そうこうしているうちに、あっという間に夜になり、予定通りなのですがエレバンの市内観光もできないまま、3:25発のフライトで帰国の途につきました。
コーカサスとまとめられているこの3カ国は、どこも治安が良く、物価が安く、食文化は似通ってはいましたが、宗教も言語も通貨も異なる国です。グルジア・アルメニアはなんとなく似ているのですが、アゼルバイジャンは特にこの2カ国とは違う雰囲気を感じました。詰め込んだスケジュールで見てまわれなかったところもたくさんあるので、次回はゆっくりまわってみたいです。今回お世話になったカタール航空の方、現地手配をしてくださった方をはじめ、ご一緒してくださった皆さん、とてもとても楽しく、あっという間の6日間でした。本当にありがとうございました。
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バクー…★★★★ 近代化が進む古今東西が入り混じった街
トビリシ…★★★★★ 様々な宗教を受け入れる国際的な街、次こそ市内観光を
ムツヘタ…★★★★★ 川に挟まれた東欧のような古都
カズベキ…★★★★★ グルジアのスイス。大自然に美味しい水と空気が最高!
(2016年5月 増田里紗)
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